答弁書第五七号

内閣参質一七九第五七号
  平成二十三年十二月十六日
内閣総理大臣 野 田 佳 彦   


       参議院議長 平 田 健 二 殿

参議院議員紙智子君提出国土交通省「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


参議院議員紙智子君提出国土交通省「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」に関する質問に対する答弁書


一の1から3までについて

 お尋ねについては、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議(以下「有識者会議」という。)が平成二十二年九月に取りまとめた「今後の治水対策のあり方について 中間とりまとめ」(以下「中間とりまとめ」という。)の「はじめに」に記述されているとおりであると考えている。

一の4について

 中間とりまとめにおいては、「「中間とりまとめ」に示した共通的な考え方に従って、個別のダム事業が点検されるとともに、幅広い治水対策案等を立案し評価されるプロセスを経て、予断を持たずに検証が進められ、必要な安全度を確保しつつも、よりコストが低い治水対策案等が見出されることを強く求める」とされているところである。

二の1について

 地方整備局等を個別ダムの検証に係る検討を行う主体(以下「検討主体」という。)としたことについては、地方整備局等は、ダム事業を自ら実施し、検証に係る検討に必要となる情報等を保有しており、検討主体となって、責任を持って検討することが適切であるとの考えによるものであり、「適格性を欠く」との御指摘は当たらないものと考えている。

二の2及び3について

 個別ダムの検証に係る検討は、検討主体が実施するものであり、当該地域の土地利用や住民の安全等について様々な法令等に基づいて行政上の責任を有する関係地方公共団体の長と密接な連携を図ることが重要であるとの考えから、検討主体がその検討を進めるに当たり、「関係地方公共団体からなる検討の場」を設置することとしているものである。
 なお、これまで国土交通省の対応方針として「継続」に決定したダム事業について、検討主体は、中間とりまとめに示された手順・手法に沿って、「関係地方公共団体からなる検討の場」の設置、情報公開、パブリックコメント、学識経験を有する者や関係住民等からの意見聴取を行い、科学的合理性、地域間の利害の衝平性、透明性の確保を図り、地域の意向を十分に反映するための措置を講じつつ、幅広い治水対策案の立案を含め検討を行ったものと認識している。
 なお、サンルダム建設事業については、検討主体である国土交通省北海道開発局において、その検証に係る検討を行っているところであり、今後、パブリックコメントを行い、広く意見を募集する予定である。

二の4について

 検証の対象としている直轄ダム二十五事業及び補助ダム五十三事業のうち、平成二十三年十月二十七日現在で、国土交通省の対応方針として「継続」になったものは補助ダム十三事業、「中止」になったものは直轄ダム二事業、補助ダム四事業、検証が終了していないものは直轄ダム二十三事業、補助ダム三十六事業である。
 また、お尋ねの「批判的意見が出されていた件数」については、「批判的意見」の意味するところが明らかでないため、お答えすることは困難である。

三の1について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の座長の発言は、中間とりまとめの第十章「10.2 国土交通大臣の判断」において、「検討結果の報告を受けた後、国土交通大臣は、本中間とりまとめで示す個別ダム検証に当たっての共通的な考え方に沿って検討されたかどうかについて当有識者会議の意見を聴」くこととされている趣旨を述べたものであると考えている。

三の2について

 御指摘の「意見」の具体的な内容が必ずしも明らかではないが、個別ダムの検証について、中間とりまとめにおいて、「検討結果の報告を受けた後、国土交通大臣は、本中間とりまとめで示す個別ダム検証に当たっての共通的な考え方に沿って検討されたかどうかについて当有識者会議の意見を聴」くこととされており、これに基づき、有識者会議の運営は適切に行われているものと認識している。

三の3について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、有識者会議は今後の治水理念を構築し、提言すること等を目的とした会議であり、また、個別ダムの検証については、中間とりまとめにおいて、「検討結果の報告を受けた後、国土交通大臣は、本中間とりまとめで示す個別ダム検証に当たっての共通的な考え方に沿って検討されたかどうかについて当有識者会議の意見を聴」くこととされており、これに基づき、有識者会議がその役割を果たしているものである。

三の4について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、厚幌ダム建設事業の検討主体である北海道は、同事業の検証に係る検討に関する資料についてパブリックコメントを行い、提出された八十九件の意見ごとに、厚幌ダム建設事業地域代表者会議の委員からの意見も踏まえた上で、北海道の考え方を示した資料を作成し、これを公表していると承知している。
 また、御指摘の「パブリックコメントを提出した住民ら」の「疑問」については、「検討主体はあくまでも北海道であることから、皆様方からのご質問につきましては、北海道から回答させていただきます。」として、北海道から回答していると承知している。

四について

 個別ダムの検証について、検討主体は、パブリックコメントで募集した意見、関係住民等から聴取した意見等の内容を国土交通省への報告書に記載することとされており、中間とりまとめにおいて「検討結果の報告を受けた後、国土交通大臣は、本中間とりまとめで示す個別ダム検証に当たっての共通的な考え方に沿って検討されたかどうかについて当有識者会議の意見を聴」くこととされている有識者会議は、これらの様々な意見を含め、個別ダムの報告書の内容を確認した上で国土交通大臣に対して意見を述べていると承知している。
 なお、有識者会議の委員については、幅広い分野の専門家の中から有識者として選定されているものである。