<第179回国会 2011年12月8日 東日本大震災復興特別委員会>


福島産米セシウム基準値超え問題/抜本的な検査体制の強化とコメの全量買い取れを要求

○復興庁設置法案(内閣提出、衆議院送付)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 野田総理にお伺いします。
 福島で、安全宣言を出してから一か月を経て暫定規制値を超える放射性セシウムに汚染された玄米が発見されたということで、現地は大変なショックを受けています。国と県の指示どおりにやったのに涙が出ると、そして、最初から綿密な検査をしていればこのようなことにならなかったんじゃないかと肩を落としているわけです。福島県産米は安全ですということで強調して宣言を出した、その後でこういう事態になるということは、やはり本当に信頼を更に失わせることになっているわけです。
 それで、一連のチェックが機能しなかった理由について、福島県の担当課は、もっと検査をしようにも機器が足りなかったと、国が検査体制を整えてくれればよかったと言っているわけです。総理、ホットスポットというのはまだらに存在しているということが分かっているわけですけれども、国が指示した検査が粗かったと、これはやっぱり国の不手際だと思うわけです。
 こういう苦しみを再びまた与えているということに対して、総理はどのように責任を取るおつもりでしょうか。
○国務大臣(鹿野道彦君) まず、私から最初に申させていただきます。
 基本的に、四十年のデータというふうなものも踏まえて作付け制限、そしてまた、基本的に収穫前あるいは収穫後、予備調査、本調査というふうな形で検査体制をやってきたつもりでございますけれども、現実、今先生からお話しのとおりに、いわゆる暫定規制値を超えるお米が検出されたということをやっぱり真摯に受け止めていかなきゃならない。
 そういう意味で、これから、今、福島県とも連携を取って人を派遣してやっておりますけれども、土壌がどうなのか、あるいはまたその周囲の状況はどうなのか、そういうような等々を詳細に検査、調査をしながら、それを受けて、福島県ともしっかりと連携を取って検査体制というふうなものをきちっとつくり上げていきたいと思っているところでございます。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 今農水大臣の御説明のとおり、収穫前と後で検査をしてきたにもかかわらず一部地域において暫定規制値を上回るセシウムが出てきたということは、これはその事実を重く受け止めなければいけないというふうに考えております。
 現在、福島県は消費者の不安を払拭すべく緊急調査を実施をしているところでございますけれども、国としても、早期に調査結果が得られるように積極的な協力を行って国民の皆様の安心につなげてまいりたいと思いますし、二十四年産米の作付けの考え方や調査等の在り方についても関係府省に早急に検討させていきたいと考えております。
○紙智子君 三月十一日の前までは、これ日本は原発の安全神話に基づいていますから、事故は起こらないと、これが前提になっていたわけですよ。それで結局、食の安全基準も作っていなかったですし、放射性物質の検査体制も、それから食品の検査機器もなかった。事故が起きてから急遽、これは研究用のものだとか大学にあるものとか、総動員でこれやってきたけれども、絶対量は不足しているわけですよ。だから検査も十五ヘクタールに一か所というような粗い検査になったんじゃありませんか、農水大臣。
○国務大臣(鹿野道彦君) 確かに先生おっしゃるとおりに、検査体制については限界があったと、検査の能力については限界があったと。そういう状況の中でできるだけの検査を行うというような考え方に立ったわけでありますけれども、現実を見た場合に、やはりそういうふうな検査能力に限界があったということは間違いございません。
 そういう意味で、検査の機器の体制整備、そういうこと、それから、国としてもできるだけ御協力をさせていただくというふうな体制の下に今日取り組まさせていただいているところでございます。
○紙智子君 今、限界があったということをお認めになりましたけれども、この間、農水省として増やしてきたのはゲルマニウム半導体のこの検出器で、国内用で二十二台、輸出用で十九台ですよ。そしてそれも、国内の体制も不十分なのにもかかわらず輸出に重きを掛けて、それで国際部のこの部長通達では、輸出用の検出器を使って検査をするときに、国内のものについては、この輸出用を終わった後、余裕があるときでなきゃ使っちゃいけないと、国内の方を少なくしなさいと、こんなことを指示するような通達まで出していて、これは本当におかしいと思うわけですよ。国内で国民の口に入る農産物が、これは検査して安全であることが証明されて、危険なものは一切流通していませんと、こうなってこそ信用問題としても外国に向けて出せるわけですから、まずここを力入れるのが本当だというふうに思うんですよ。これは質問しません。答えは要らないです。
 それで、もう一つ、総理。JA福島では、これ、出荷できなかった米をどうしたらいいのか、来年米が作付けできるんだろうかと、こういう不安が広がっているわけです。それで、放射性セシウムは半減期が三十年ですね。ですからこれ、二十年、三十年というふうに掛かる。今年だけの話じゃないんですよ。そういう中で、当然国は、これ、出荷できなかった米は全量買い上げる、あるいは今回のことによる損害賠償は東電にきちんと賠償させると、これは当然だと思いますけれども、おやりになりますか。
○国務大臣(鹿野道彦君) まさに今先生おっしゃったとおりに、今回のこの暫定規制値を超えた米につきましては販売ができないわけでございますので、東京電力が早期に賠償すべきだと、こういう考え方であります。そのために私どもとしては賠償の早期実現を後押しをしてまいりたいと、こう考えておるところでございます。
○紙智子君 ちょっと、総理、総理もお願いします。
○委員長(増子輝彦君) 紙智子さん。紙智子さん、時間ありませんので。
 じゃ、総理、野田総理。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 今の農水大臣のお答えであって、第一義的にはこれは東京電力が賠償するということでございますので、その早期実現を全力を尽くして行うということであります。
○紙智子君 私は、国がちゃんと買い上げるべきだと思いますよ。そこをやっぱりやって、国が東京電力に出してもらうということをやるべきですよ。それと、生産者には何の責任もないんですから、これは絶対に負担させることはあってはならないということを強く申し上げたいと思います。
 それからもう一つですけれども、今後長期にわたることも見通して、これ、検査体制についても確立しなければならないと思います。それで、米は主食ですから、これ、検査体制は万全でなければならないわけで、これまで十五ヘクタールに一か所ということになってきたわけですけど、これは結局、その中でホットスポットとなりますと、濃いところと薄いところと出てくるわけですよ。で、広いわけですよね。
 ですから、こういう在り方も、もっと一戸一戸の農家で検査できるようにするとか、もっと狭めていくということでやるべきだというふうに思いますし、それから、ほかの食品や学校給食の食材なんかも含めてこれはきちっとやっていくということでは、各都道府県に放射線検査センターなんかも設置して、機器もそろえて、ゲルマニウム半導体ですか、そろえて、それでこれからの体制を先を見通してやっていくべきだというふうに思いますけれども、これ総理、最後にお願いします。
○国務大臣(鹿野道彦君) 基本的に、検査能力の強化というふうなものに対しては、私どもも補正予算あるいは当初予算におきましても対応させていただいているところでございます。
 そして、基本的に、今、米の問題につきましては、福島県としっかりと連携を取って、福島県とともに検査計画というふうなものに対して取組をさせていただいておるわけでありまして、消費者の方々にも安心していただくことができるようにこれからも万全の検査体制を確立をしていきたいと思っております。
○紙智子君 狭めるようにということを言いましたけれども、やるんですか。そのことについて、ちょっと、最後は総理にちゃんと答えていただきたいと。
 検査体制については、広くて擦り抜けたということがあるわけですから、これはちゃんと狭めてやるということや、きちっとした万全の体制を取るということはされるんですか。農水大臣じゃなくて、総理大臣。
○委員長(増子輝彦君) 最初に鹿野農水大臣、その後に野田総理に答えていただきます。
○紙智子君 いえいえ、最後、総理で結構です。
○国務大臣(鹿野道彦君) 各県、地域の方々とも連携を取りながら対処してまいりたいと思っております。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 担当大臣の御答弁以上のことはございませんが、検査体制の強化に努めていく方向でございます。
○紙智子君 終わります。

(略)

○委員長(増子輝彦君) 質疑は終局したものと認めます。これより討論に入ります。別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 復興庁設置法案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(増子輝彦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。