<第177回国会 2011年8月25日 経済産業委員会、農林水産委員会、環境委員会連合審査会>


泊原発の運転中止をもとめる

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 まず、法案の質問に先立って、先日の泊原発三号機の営業運転を再開を認めた問題で海江田大臣にお聞きしたいと思います。
 この間の経済産業省の対応というのは、これ、やり方においても内容においても営業運転再開先にありきというもので、これ、道民や国民の厳しい抗議の中で三月十一日以降初めて営業運転を認めたという点で重大だと思います。
 立地四町村以外の周辺の町村の首長さんからも周辺地域の意見も聞くべきだと意見が上がっています。それから、原発から六十キロの距離にある札幌の市長も大変これ怒っているわけですね。北海道大学の大学院教授ら道内九大学の教授、准教授五十人が緊急に声明を発表して要求を出しているのに何の検討もせずに運転再開を認めたということは、これ道民軽視も甚だしいんじゃないかと、こういうことでよろしいんでしょうか。

○国務大臣(海江田万里君) 紙委員にお答えをいたします。
 何の検討もなしにということでございますが、私どもは北海道の知事とよくお話合いをいたしまして、従来でしたら、これは、既に試験運転に入っているわけでございますから、しかしそれが、最終的な合格証を求めるということがなしにそういう試験運転が長く続きましたので、これではいけないということできちっともう最終報告をして、そして最終的な合格証の交付をという申出を、こちら側からそういうことを相手に伝えまして、そしてそういう書類が上がってまいりましたので、保安院だけでありませんで原子力安全委員会のチェックも受けまして、そして知事とお話をいたしまして、知事の意向を酌んで、そしてこの合格証の手渡しをやったわけでございます。

○紙智子君 今のお話は、三月十一日のあの福島の原発事故を経験して、道民にとっては納得できない話なんですよ。七割の人たちが、やっぱりできればもう原発に頼らない方向に行ってほしいと、そういう願いを本当に強く持っているんですよ。
 そして、高橋北海道知事は、保安院だけでなく原子力安全委員会も関与をして二重のチェックをしたのでこの三号機の安全性は担保されたというふうに言っているんですけれども、立地地域の岩内町議会では、先日特別委員会が開かれてどういう意見が出ているか。原子力安全委員会での班目委員長の発言は、ただ保安院からの報告を受けたにすぎす、関与なんかしていないんじゃないかと、どうしてそれで安全が担保されたと言えるのかと、こういう議論がされているわけですよ。それから、五十人の北海道の大学の教授からも、活断層群の存在が指摘されている問題についても真摯に情報開示と解析を行って、北海道民を納得、安心させる責任があるんだと。津波対策でも、例えば海水ポンプの電動機と代替海水取水ポンプの確保、電気設備の浸水対策実施など、二年とか四年程度を目途に対策を取るというふうに発表していることに対しても、日本列島が今地震活動期に入っている中で、こんな緊張感の欠如した緩慢な対策でいいのかと指摘をしているわけですよ。
 こういうことにもこたえず許可したということは、結局これ、道民の理解よりも高橋知事の面目や北電の利益を優先しているというふうに言われても仕方がないんじゃありませんか。

○国務大臣(海江田万里君) この定期検査が明けて、そして再稼働に向けたこの手続については、これは従来からの法律の決まりがございます。しかし、今委員御指摘のありましたように、三月十一日の東京電力福島第一発電所の事故という大変深刻な問題がございますから、そこはそうした意味では更なる安全性を確認をするということで、今やはりそうした更なる安全性を確認をするということで申し上げれば、やはりこれは原子力安全委員会の意見を聞くということが必要だろうというふうに思っておりますので、その意見を聞いて、そして北海道の知事の意見も尊重しながら、そういう意味では、もう既に試験運転が進んでおりましたので、それに対して最終的な確認証を渡したと、こういうことでございます。
 私どももこの安全性ということは十分これは考えて、そして今二年、三年掛かるじゃないかという御指摘がありましたけれども、もちろんそうした予定をできるだけ早く、一日も早く前倒しをして、そういう更なる安全確保のための手続あるいは施設の整備というものをやってくださいということはお願いをしてございます。

○紙智子君 これまでの安全神話が完全に崩れ去ったわけですよ。そういう下で、以前の延長線上では納得しないと。福島の事故を踏まえて根本からやっぱりやり直さなきゃいけない。そうしないと納得できませんし、知事の意見を聞いたって言うんですけれども、道民にいかに理解して納得を得るかということが大事なんであって、これ理解得ていない中で運転というのはやめるべきだということを強く申し上げておきたいと思います。
 それで、北海道電力は原子力発電のほかに火力、水力、地熱、太陽光熱と、こういうところでも発電をやっていまして、総発電量でいうと七百四十二万キロワットを超えているんですね。それ以外にも電源開発による水力発電とか、道による水力発電、企業などの自家発電などを含めて、もう単純に合計しても道内の発電力というのは八百八十五万キロワットと。原発部分のは二百七万キロワットですから、だからそれをもし止めたとしても、やりくりできるだけのものというのはこれからだってまだつくり出せる可能性もあるし、これ節約なしにしてもそういうことがあり得るというわけですから条件は十分あるわけですよ。ですから、原発に依存せずに必要なエネルギーを確保する道があるんだと。そのためにも、今回のこの再生可能エネルギー源で発電した電気を電気事業者に固定価格で買取りを義務付けるということは非常に重要だというふうに思うわけです。
 我が党は、かねてからこれ提唱してきたことでもあり賛成なんですけれども、再生可能エネルギーの爆発的な普及と電気料金への賦課金の転嫁抑制、それから国民への負担軽減ということを両立させるために、衆議院では修正案を提出させていただきました。反映された部分もあるんですけれども、なお監視が必要なところもあるというふうに思うわけです。
 そこで、一つ確認しますけれども、法案第五条の接続義務というのがありますが、要は電力会社が認定された発電設備と変電、送配電用の電気工作物を接続する求めがある場合に、これはそれに応ずる義務を課すということなんですけれども、この間実は新聞報道で、電力会社が風力の買取りに上限を設けて買い取らないというような記事がありました。それで、五条の正当な理由がある場合を除き拒んではならないというふうになっていることが根拠になっているんだということが書かれていたわけですけれども、衆議院で大臣は接続拒否できるのは極めてまれというふうに述べられています。
 だから、はっきり言って北海道新聞なんですけれども、報道のように、例えば北海道電力が新規風力を買わないなんということはないというふうに理解してよろしいでしょうか。

○国務大臣(海江田万里君) 私もその北海道新聞の記事を読みまして、大きな見出しで新規風力買わぬというふうに出ておりましたが、これはもう既に、その意味では連系可能容量というのがございますね、その連系可能容量がもういっぱいだという誤認に基づいた記事でございまして、北海道電力自身がこの連系可能容量は既にいっぱいではなくまだ八万キロワットの余裕があるということをこれは認めております、発表しておりますので、当然のことながら余力があるということですからそれを買っていただかなければなりませんし、この余力を更に高めるために系統の強化策というものもこれから講じていただかなければならないと、こう考えております。

○紙智子君 時間になりましたけれども、風力だけじゃなくて、ほかのものも含めて、先ほど来の議論を聞いていますと、やっぱりこの電気業界にまだまだ甘いんじゃないかという印象も受けるわけで、そこは、ここが限界と言ったとしても、更にやっぱり必要の中で引き上げるということも是非御検討いただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。