第177回国会 2011年5月18日 国際・地球環境・食糧問題に関する調査会


○福島原発事故 放射能の土壌汚染調査が重要
(水問題への取組の在り方について)
参考人
広島大学原爆放射線医科学研究所教授          星  正治君
国際医療福祉大学クリニック院長、同大学大学院教授 鈴木  元君


○紙智子君 二つお聞きしたいと思っていますので、一つは、福島原子力発電所の事故で水道水から国が定めた基準を上回る放射性沃素が検出されて、妊婦さんや乳幼児がいる世帯でこれ大問題になって、ペットボトルを買いに走るという事態になったわけです。それで、やっぱりきちっと調べてちゃんと公表していくということが大事だと思うんですけれども、水道でいいますと、地方自治体が事業主体なんで、放射性物質の検査というのは自治体が行っているんですけど、その際の測定の場所の決め方とか検査方法とか違うといろいろ違いが出てくるというのはあると思うんですよね。やっぱり統一した検査方法や必要な測定箇所を定めることが必要なんじゃないのかなということが一つお聞きしたい点です。
 それからもう一つは土壌汚染についてなんですけれども、星参考人は、土壌の汚染地図を作ることが重要だというふうに言われていますよね。それから、鈴木参考人の資料では、国際機関の放射能汚染の地域の基準は、放射性セシウム137の汚染の密度が三万七千平方メートル・ベクレルの地域というふうに書かれていますよね。そこで、まずその土壌汚染を重視する、なぜ重視する必要があるのかということを一つと、それから、汚染の単位を日本の場合は一キログラム当たりで計算、表していると思うんです。国際機関でいうと、日本はキログラムなんだけれども、一平方メートルであったりで、そこに違いというか、比較がなかなか見えないというのがあって分かりにくいというのがあるんですけれども、これについて、国際基準を日本でなかなかそのとおりに使っていないんですけど、これはやっぱり分かりやすくした方がいいんじゃないのかなというふうに思うんですけど、この点についての御意見を伺いたいと思います。

○参考人(星正治君) 水の場所については、汚染した川に沃素が、セシウムが入るというわけですから、浄水場に行きますから、多分浄水場から出てくる水、つまり浄水場ごとにどこかのポイント、水道水のポイントを決めればいいんじゃないかと私は個人的に思っています。そんなにたくさんする必要はないと思う。
 それから、土壌の汚染はなぜかというのは、私、そのスライドをお見せしたのはそのつもりだったんですけれども、一番正確に分かるということです。それから、線量も分かるし、それから汚染の程度も分かるし、それが一番正確な基本であると、そういう意味です。
 それから、一キログラム当たりと平米当たりというのは、これは農作物にとっては、根から吸い上げると考えれば土一キログラム当たりになりますね。フォールアウトからすると一平方メートル当たりと、フォールアウトからですね、それを混同していると思います。つまり、どれだけ降ってきたかは当然一平方メートル当たりでないといけませんよね。
 だから、福島では今何が当面問題になっているかというと、農地が耕せるかどうかとか、そういうことで、農業関係の県の担当者が、十五センチ掘ってそれを混ぜてキログラム当たりに直して出していましたんで、これは測定するときも特に強調しているんですけれども、私たちは一平米当たりを出すと、それはキログラム当たりに後で換算できると、こう考えています。

○参考人(鈴木元君) まず、水の測定法、これは厚労省の方の水事業者に対する研修で公定法みたいなのが既にあるかと私理解しています。そういう意味で、誰がやっていても大体同じ結果にはなっているんじゃないかと理解しています。
 それから、土壌汚染、どっちがいいかというより、換算式がありますんで、直感的にどっちが分かりやすいかという話だけだろうと思います。いずれ必要なのが、土壌汚染からそれぞれの作物にどういうふうに移行するか、移行係数が最終的にどうなるかというのが、日本の作物に関して汚染濃度の高いレベルではデータがないです。
 昔の核実験のときにフォールアウトがありまして、そのセシウムを使った移行実験というのはやられているんですが、高濃度になった場合、それから土地の性状ですね、非常に砂れきが多いのか、関東ローム層なのか、粘土質が強いのか、そういうものによっても違うというのは分かっていますし、肥料の与え方でも違うというのも分かっていますし、そういう細かいところになるとまだまだ調査がはっきりしていなくて、どのレベルだったらこの作物ならいいというようなことがなかなかすぐには出てこないという状況かと思います。その辺は今後是非調査してもらいたいところです。