第177回国会 2011年4月14日 農林水産委員会


○仮設住宅、国産材活用をもとめる森林法改正など全会一致で可決

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 最初に、震災被害とその対策、対応ということで質問をいたします。
 四月十日現在で林野関係被害状況が九百六十九億円ということで報告をされました。林地荒廃、治山施設被害と合わせると、被災地域に拠点のある木材加工・流通施設の被害が七十一か所で五百十三億円ということです。
 今後、この被害実態を継続的に把握をして、災害復旧事業で迅速に対応できる箇所、中期的、長期的に対策を講じる必要がある箇所と、それぞれにしっかり対応をお願いしたいと思います。
 この木材加工施設が被害を受けたということで、この間、建設資材が回ってこないということがあちこちで起きています、全国各地でということですけれども。それで、林野庁としては必要な供給量は確保できるということが今もお話しになっているわけですけれども、現場に聞くとまだ供給されていないということなんですね。これ、どこが問題、どこに滞っているのかということを把握されているでしょうか。まず、その点、お聞きしたいと思います。

○政府参考人(皆川芳嗣君) 先ほど来も御質問等もありましたけれども、東日本の大震災の以前から建設業界自体に在庫が非常にない状況という中で今回の被災ということでございまして、そういうことで、特に途中で材が手元にないという中で合板企業がかなり被災したということを見て、例えば在庫がない中での注文が受けられないといったようなことで、どうしても荷が動かない状況がしばらく続いたんではないかと。また、特に震災後の交通関係の非常に遮断された状況ということもあって、それがまたその動きに拍車を掛けまして不安の状況が続いたのかなと。その中で、ややもしますと過剰な反応の部分もあったのかというふうに思っております。
 そういう意味で、今、合板はフル生産に近い状況になっております。そういった状況が続けば、当然に流通段階にも荷が徐々に動き始めるという状況になると思いますし、また、四月になりましてからは新規の受注ということについても門戸が開かれ始めているというふうに伺っておりますので、川下の工務店まで届くのにはいましばらく時間が掛かると思いますけれども、必ずや状況は改善していくというふうに認識しているところでございます。
 いずれにしても、正確な情報を業界全体で共有していくということは何よりも大事だというふうに認識しております。

○紙智子君 私の地元、北海道なんですけれども、この北海道のある地域でも、大手の木材業者二か所から発注を受けて下請なんかやっているわけですけど、どちらもこの合板の供給が止まっていて、その資材供給の見通しがめどがなかなかまだ見えないという話を聞かされるものですから、その作業途中になっていて、請け負っている仕事が途中になって止まってしまうと、結局見通しが立たないと、もうそこはやめて違うところにというふうになる可能性もあるということで、非常に不安になっているわけですね。
 ですから、今、足りるし、ちゃんと待っていれば来るんだということでもあるんですけれども、是非、この仮設住宅の資材供給というのはすごく急がれるわけですけれども、全体が滞らないように監視ということでは強めていただきたいというふうに思います。
 それから、次に、復旧土木工事、仮設住宅の建設用の土木くいですとか合板生産のための原木の安定供給ということでは、今、全国森林組合連合会も組織を挙げて取り組んでおられるわけですけれども、これまでは東北の合板の工場に運んでいたわけですけど、今度は遠隔地まで含めて運ばなきゃいけないというふうになっていて、当初はそのためのガソリンがないという話もあったんですけど、今は運搬費用そのものもかなり掛かると、かさむということで、そこに対する助成も要望されているんですよね。
 それから、仮設住宅の場合でも、JAS以外の、非JASですか、非JAS製品を使うんではなくて、やっぱりシックハウスという問題も対策もちゃんとなされている国産材の活用をするべきだということで合板工業組合連合会の皆さんが要望されているわけです。
 いずれもこれ大事な問題だというふうに思っていまして、国産材資材の安定供給に林野庁としてもしっかり対応していただきたいということで、これは大臣にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(鹿野道彦君) 今の先生からの御指摘は大変重要なところでございまして、仮設住宅等につきましては、シックハウス対策にも適合したJAS国産材針葉樹構造用合板というふうなものを使用していくこと、こういうことが非常に重要であります。ゆえに、このことにつきましては関係省庁にも働きかけをいたしているところでございます。
 それから、もう一つ御指摘のいわゆる被災工場の原木等の運搬に対する経費が掛かるわけでございまして、これに対する支援というふうなものも、やはり仮設の住宅等の復旧資材というものを確保する上でもこれは大切なことでありますから、私どもとしては、この運搬経費に対する支援というものについても検討しているところでございます。

○紙智子君 よろしくお願いしたいと思います。
 今、例えば岩手県の住田町というところで、陸前高田とか大船渡から避難されてきた住民向けの仮設住宅をこれ地元産材の、あそこは気仙杉というのが有名なんですよね、気仙杉でベニヤを使わないで建てていると。町独自ではやっぱり負担が大きいということで、今県とも話し合っているということなんですけれども、ここも国としてもやっぱり国産材や地元産材の活用を積極的に推進していただきたいと思います。それも併せてお願いしたいと思います。

○国務大臣(鹿野道彦君) これは、省内の本部におきましてもできるだけ地域材を、国産材を活用していくというふうなことにつきましては私からも指示を出しておりまして、関係省庁にももちろん働きかけをして、また県なり市町村とも連携を取っていきたいと思っております。

○紙智子君 あと、仮設住宅の建設が地域の復興や雇用にも少しでもつながるように、被災各県が施工業者を公募して県内に本店や営業所のあるところの業者に仕事を回すと、それから地元中小企業の活用に取り組んでいるわけです。
 これも非常に重要で、よりこの充実に努めてほしいということで、これ、国土交通省にお聞きしたいと思います。

○政府参考人(井上俊之君) お答え申し上げます。
 仮設住宅にまず求められるのは、できるだけ早く完成させるということかと存じますけれども、御指摘のように、地元の復興支援、雇用創出という観点から、できるだけ地元の業者を活用するということも大変重要であるというふうに考えてございます。
 現在進んでおります建設は、いわゆる全国企業によりますものが多うございまして、これにつきましては、地元の事業者を、下請という形になりますけれども、できるだけ活用してくださいということで要請をしてまいったところでございます。
 また、先生が御指摘のように、地元の業者が元請といいますか、頭になって仮設住宅の取組をやっていくということにつきましては、これは各県でそれぞれ要望なり検討なりをいただいてきたところでございまして、私どもとしましても、どういう仕様でどんなものを建てていただいて、そしてアフターサービスはどうしていくのかみたいな基本的な考え方の整理、これにつきましてお手伝いをさせていただいてきたところでございます。
 先ほどもお答えしたかと思いますけれども、福島県につきましては既に今週になって地元事業者を公募するということで取組を始めておりますし、岩手県、宮城県におきましても、四月の半ば以降に同じような取組をしたいというふうに伺っておりますので、引き続き全力を挙げてお手伝いをしていきたいと、こういうふうに思っております。

○紙智子君 最後の質問の前に、一言でちょっと答えてほしいんですけれども、改正案の、法改正にかかわってなんですけれども、面的に計画を立てて集約化をして路網整備進める方向性、搬出間伐を増やすということは、これは重要だと思っております。それで、補助金も、今後は一ヘクタール当たり平均十万立方メートルの搬出間伐を行うと、搬出を増やすごとに引き上げていく方針ということですよね。
 各地で皆さんの声を聞いていますと、やっぱりとにかく地域によってすごく違いがあると、物すごく急峻のところもあればそうじゃないところもあったりするということで、集約化それから搬出間伐を進めていくためにも、地域の実情をよく聞いて事業を進めてほしいというのがありまして、一言でちょっと答えてください。

○政府参考人(皆川芳嗣君) 当然、地域それぞれ、おのずとその状況も違いますので、そういった状況をよく踏まえまして、当然に、そういった助成単価の面ですとかその当てはめということについては、地域の声をよくよく聞いて定めていくということも考えてございます。

○紙智子君 じゃ最後になりますけれども、私も、外資による森林買収の実態把握という問題をお聞きしたいと思うんです。
 修正案の中にも新たな森林所有者の届出が盛り込まれましたけれども、今その森林所有者の把握が重要課題になっていると思うんですね。北海道で他県に先駆けて、国土利用計画法の届出の情報、それから水土保全林を所有する林業以外の事業者二千社以上にアンケートを行うというようなことで、すごい精力的に調査をしているわけです。二〇一〇年末までに四十件で九百五ヘクタールが外資に買収されていることを確認をしたわけですね。
 一方、財務省が保有している外為法に基づく非居住者による本邦不動産の取得に関する報告では、北海道で二〇〇七年度から二〇一〇年末までの三年九か月の間に、六百四件で約三千六百八十二ヘクタールが取得されているわけです。この中には道が把握していない外資の森林所有が相当数含まれている可能性があるので、詳しく調査をすることでこの実態把握が一層進むんじゃないかと。
 この点では、財務省に対して情報の提供を求められているでしょうか。

○国務大臣(鹿野道彦君) 今の件につきましては、外為法、外為及び外国貿易法というふうなことについて触れられたわけでありますけれども、このことによりまして、この非居住者が本邦の不動産を取得するという場合には、氏名及び住所、取引の内容について財務大臣に対して事後報告を義務付けられておるということであります。これは外国人にも届出義務が課せられているわけでございますが、ただ、その報告につきましては土地が森林であるかどうかの情報は含まれておらないと、このようなことから、なかなか森林売買の特定には使いづらいというふうな面もございます。
 そういう意味で、今回修正によって追加された届出制度によりまして取得の状況というふうなものを新たに把握できるようになりましたし、また、一ヘクタール未満の森林売買なども含むということになるわけでございますので、他の省庁とも連携を取って、的確なる実態把握にこれからも努めていきたいと思っております。

○紙智子君 外為法の報告は値上がりを目的とした土地取得ですとかあるいは投機的な取引と見られていて、この情報も活用して実態把握を進めてほしいと思うんですよ。篠原副大臣が衆議院の議論の際に、実態把握は非常に重要だという話もされていたと思うんです。市町村や都道府県任せにせず、やっぱり政府が責任を持ってこの問題に取り組んで、それも含めて連携してやっていただきたいと思います。
 最後に、それについて一言お願いします。

○副大臣(篠原孝君) 衆議院で答弁させていただいたとおりでございまして、何よりも政策を実行してまいりますには実態把握が大切でございますので、これに全力を傾注してまいりたいと思っております。

○紙智子君 終わります。