◎米の買い上げ 政治の責任で緊急対策迫る
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
二〇〇八年度の決算の農業分野にかかわって質問をさせていただきます。
まず、この食料自給率を抜本的に高めようと思うと、米を始め農産物の価格保障、所得補償が必要だと、不可欠だということで、我が党はそれに踏み込む点で不足しているということを当時から指摘をしてまいりました。これについて、今まさにその問題点があらわになっているというふうに思うんです。
今、農村地域では、総理、米を作って飯食えないと、こういう声が広がっているんです。米を作って飯食えない。そして、百七十を超える地方議会で今のこの米価暴落に対して米の買上げを含めた緊急対策、これを求める意見書が採択をされております。そして、JA中央会も要望書を届けてきているというふうに思います。
まず、総理に対してこのことに対する御認識を伺いたいと思います。総理ですよ、総理、総理の認識を聞いているんです。
○委員長(鶴保庸介君) 事前通告ありましたか。
鹿野農林水産大臣。
○国務大臣(鹿野道彦君) 私の答弁を前に申し上げますが、今委員から言われましたとおりに、お米の価格の下落というふうなことにつきましては非常に重大な関心を私ども持っておるわけであります。とりわけ、今年のことにつきましては、概算金の設定に当たりまして農協等々堅めの設定をしたと、こういうふうなこともありまして、価格が昨年に比べて下がっておると、こういうようなことであります。
このことにつきましてはいろいろなことが言われておりますけれども、やはりデフレというようなことの基調の中で、まさしく余るような状況だけはしたくないというようなことから堅めの設定がされたと、このようなことではないかというふうな認識に立っておるわけでございます。
しかし、いずれにいたしましても、このことにつきましては戸別所得補償というような制度の中で定額部分、そして変動部分と対応するということになっておるわけでありますから、これで対処していきたいと思っております。
○内閣総理大臣(菅直人君) 今農水大臣から具体的な話はありましたが、二十二年度米の取引が、昨年の当初価格よりも低い価格で二十二年度米取引が開始され、米の主産県などで米価の動向について心配の声があることは承知をいたしております。米価の下落に対して、米戸別所得補償モデル事業に参加している農家についてはその所得が補償されることとなります。
なお、政府が米価の下支えのため備蓄運営上必要のない米の買入れを行うこと、これについては消費者の理解あるいは今回の米モデル事業の非参加者が米価上昇の最大のメリットを受けるといったような問題がありまして、ここは十分な慎重な検討が必要だと考えております。
○紙智子君 消費者にとってはやっぱり暮らしのことを考えると安い米の方が有り難いと、これはそう思うと思うんですよ。しかしながら、安過ぎれば生産者が成り立たないですよ。生産者が成り立たないということは、やっぱりお米を作る人や農産物を作る人がいなくなってしまうと。そうしたら結局、国産米で食べたいとか、国産のものを、安全なものを食べたいというそういうことがかなわなくなってしまう。結局は回り回って国民にそのツケが回ってくる問題なんですよ。
それで、今日、どれだけ、じゃ米が安いのかということで、できるだけ分かりやすくと思って持ってきたのがこれなんですね。これ、五百ミリリットルのペットボトルの水です。百二十円で買ってくるわけですよね。この同じ五百ミリのペットボトルに米を入れたら幾らになるのかと、こっちに米を入れてきました。このお米は、ちなみに八月の相対取引の全銘柄の平均価格で六十キロ当たり一万四千百六円の米ですよ。一番直近のやつですね。これを入れた場合幾らかというと、百十七円五十五銭なんですよ。だから、水よりも米の方が安いということなんですよね。
しかも、労働者の賃金、報酬と比較した場合に、最低賃金が今労働者は時給で七百三十円ですよね、最低賃金、ちょっと上がって七百三十円ですよ。じゃ、米価の場合は、この労働報酬に換算したら時給幾らかと調べると、これ、〇八年度産ですよ、それで三百二十五円ですよ。だから、労働者の最低賃金もこれでもまだ不足だと言っているのに、半分にも行かないんですよ。
こういう状態、総理、異常だと思われませんか。総理。
○国務大臣(鹿野道彦君) 基本的に、米の価格について今、水の価格とを比較しておっしゃられたわけでありますけれども、稲作農家の人たちは丹精を込めてお米を作ってもらっておると。昔から、米という字は八十八回の手入れが必要だと、こういうふうなことで大変努力をされておる。それに対してきちっとした評価がなされるというようなことでございますが、まさしくそういう中で生産者の方々の苦労というふうなものも、やはり業者の方々も理解をされ、そして消費者の人たちも理解をしていただく中で、全体としてやはりお米というふうなものは大変重要な日本の国の主食なんだなというようなことを、この共通の認識を持ってもらうというようなことも非常に大事なことではないかと。自分さえ良ければいいというようなことではなしに、お互いが日本のこの連綿と続いてきた稲作について改めて理解をしていただくということが大事なことではないかなと、こんなふうに思っております。
○紙智子君 総理、総理の感想を求めたいと思います、その安さについて。
○内閣総理大臣(菅直人君) 水を五百ミリに比べて、米五百ミリリットルというのかtというのか、それの方が、ほとんど値段が変わらない、あるいは安い。あるいは、賃金水準に比較すると、最低賃金よりも半分以下と。
私自身がその数字を確認したわけではありませんが、そういう点では非常に低い水準にあると。ただ、そのことがもちろん大規模に生産する人あるいはもっと効率よく生産する人にとって成り立つ、成り立たないということは、ちょっとその百ミリリットルだけではなかなか判断できませんけれども、感覚としてはそういう感覚を説明を聞いて受け止めました。
○紙智子君 ある農家の方が、もっと価格が下がればいいと言うわけですよ。で、びっくりして、なぜですかって聞いたら、もっと下がったらもうやめる踏ん切りが付くというふうに言ったんですよ。これは、私はもう言葉を失います。そういう思いにさせているというのはやっぱり政治の責任だと思うんですよ。
更に事態はひどくて、ちょっと見てほしいんですけれども。(資料提示)これは、農協から農家に払われる米の仮渡金、概算金ですよね。六十キロ当たりで、これ見ると七千円台が出てきているんですよ。これ、去年とおととし辺りはもう一万円とか一万一千円とかだったんですが、一万円を割って、八千円どころか七千五百円ですね、こういう値段が出てきているわけですよ。
それから、二〇〇九年産米です。この二〇〇九年産米の米価は、とにかく見て分かるように、下落の一途をたどっているということです。ですから、去年の九月の時点では一万五千百六十九円、これ、六十キロの値段ですね。それが今年の八月は一万四千百六円ですから、もう千円下がってきているということです。
これに加えて、今年の新米、今年の新米は更に下がっているわけですよ。だから、農業者も農協も地方自治体も過剰米については買い上げてほしいと一貫して求めているわけです。ところが、菅内閣は、これ、拒否してきているわけですね。総理、なぜ買取りをされないんでしょうか。総理、総理に聞いているんですよ。
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