<第173回国会 2009年11月17日 農林水産委員会 第02号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 この間、世界の食料危機あるいは世界経済危機という下で、食料輸入に依存する、そういう国づくりというのは持続不可能だということを示したというふうに思うんです。それで、我が国の農林水産業と農山漁村の再生というのは待ったなしの国民的な課題になっていると思うわけです。それから、飢餓問題や地球温暖化、この二十一世紀の人類的課題というふうに言ってもいいと思うんですけれども、この達成という点からも急務になっていると思うわけです。
 それで、食料自給率向上を中心に据えた我が国の農林水産業の再生というのは非常に切実だということで、赤松農水大臣に所信に対しての質問をさせていただきたいと思います。
 それで、まず食料自給率なんです。民主党のマニフェストを見ますと、食料自給率の向上は国家戦略目標として設置ということで、十年後五〇%、二十年後六〇%というふうにしているわけですけれども、大臣の所信の中では自給率向上を図るというふうに述べられています。詳しい中身はそこに言われていなかったのでお聞きするんですけれども、では、実際にその具体的な中身といいますか、食料自給率目標はいつまでに何%達成させるのか、そして、そのためには具体的にどのようにしていくのかということについてお聞きしたいと思います。

○国務大臣(赤松広隆君) この内閣は、社民党、国民新党との三党連立なものですから、そういう少し遠慮もございまして私自身の所信では具体的な数字を申し上げませんでしたが、ただ、農業農村の基本計画というのがございまして、ちょうど来年の三月に新たな基本計画を策定するということで今その作業を進めております。そういう中で、当然、日本の食料自給率についてもこれは触れざるを得ないということになりますので、委員の先生方の御検討の中で、多分私は十年後五〇%、二十年後まで書くかどうか分かりませんが、少なくとも基本的に私どもが今まで申し上げていたような方向がこの基本計画の中で明示をされるのではないかというふうに思っております。
 基本的な私自身の考え方でいえば、少なくとも主要な農作物についてはやはり早急に五〇%以上の、特に世界的、長い目で見れば食料が逼迫をしていくと、現在十億人の飢餓人口がいるというふうに言われている中で、食料安全保障という立場からも、特に主要作物を中心にしながら自給率を早期に上げていく必要があるというふうに考えておりまして、農水省としてもそのための取組を強めていきたい、このように考えております。

○紙智子君 お聞きしたかったのは、こういうふうにしたいと思っているということではなくて、具体的にそれをやるために、農水省がいろいろ算定されている中で、例えば一%上げるために何をどれだけ増産するかという面積の問題とかもいろいろ算定されていると思うんですけれども、そういうところに照らしてどうするのかというところをちょっとお述べいただきたいんです。

○国務大臣(赤松広隆君) 例えば、少し制度の問題でいえば、まさにそれは、今回私どもが提起をさせていただいております戸別所得補償制度がまさにそれに当たります。
 米の部分についてだけ言えば、これは生産数量目標を立ててやるわけですから、これそのものでは食料自給率は上がりません。しかし、それと併せてやります水田利活用の制度の中では、主食米からむしろ米粉あるいはその他の麦、大豆等にどんどんとこれは切り替えていただくということでやっておりますし、米粉辺りでいっても、今フードアクション何とかといって農水省もしっかり力を入れてやっていますけれども、一つの例でいえば、こういう小さなパンを月三個食べていただければ食料自給率は一%上がると、わずか月三個ですから、これで上がると。あるいは、お茶わんに本当に一かけら残った御飯を残さずに全部食べてもらう。これだけでも食料自給率は一%上がるということですから、細かなことから制度としてのこうした、先ほど言った戸別所得補償制度のような水田利活用自給力アップのこうした制度をどんどんと広げていく中で、中山間地の地域も含めて、あらゆる農業者たちがしっかりとこうした食料自給のための取組にこたえていただく。
 問題は、どんどん作っても食べてもらわなければ自給率は上がりませんので、これはパートナーであります食品産業の各分野の皆さん方とも連携をしながら、それはイコール消費に回っていく、消費の拡大につながっていくという方策を取っていきたいと、このように思っております。

○紙智子君 農水省が出している試算でいうと、例えば米などの場合でいうと、一%上げるために増産する量が三十四万トンだとか、あるいは米粉用米でいうと三十四万トンプラスしなきゃいけない、飼料用米でいうと三百十一万トンだとか、そのために必要な作付面積とか、そういうのが一通り出されてはいるわけです、試算で出されているわけですよね。
 そして、今ちょっと最後の方のお話にもありましたけれども、生産面だけではなくて、加工や流通や消費の面ということも含めて総合的にどうしていくのかということを詰めて、それを本当に現実のものにしてやっていくにはどうするかということが詰めていかれないと、なかなか自給率上げる上げるといっても実態がそぐわないということになってしまうと思うんですよ。そこは、ちょっと今お聞きした範囲ではなかなか分からないんですよね。次の、ちょっと、短く答えをいただいた上で。

○国務大臣(赤松広隆君) 今御指摘の点については、それぞれもう表を作って準備はしているんですけれども、先ほど申し上げましたように、基本計画が三月までに議論をしてそこで発表をするということになっていますので、この中で例えば米についてはどうするのか、米粉用米についてはどうするのか、飼料用米については、小麦については、大豆についてはというのは、具体的なそういう数量目標を設定をして自給率アップに具体的に分かりやすい形で発表し、皆さんの御協力で実現をしていきたいというふうに思っております。

○紙智子君 私は、この試算の結果見ただけでもやっぱり一%上げるだけでどれだけ大変かということを改めて実感しますし、そのことを本当に現実のものにするための対策、政策というのはいよいよ大事だというふうに思うんです。
 その点で、次の質問ですけれども、戸別所得補償政策についてです。
 それで、この政策の対象はすべての販売農家を助成対象にと、そして生産に要する費用と販売価格の差額を補てんするというふうになっていまして、我が党が出した農業再生プランというのがあるんですけれども、我が党の場合は所得補償、価格保障を組み合わせる中で、その価格保障の中で不足払い制度というのを提起しているわけですが、考え方でいうと、今言った二点というのは近いというふうに思うわけです。そういう意味では、前政権に比べれば積極的であるというふうには思っているわけです。しかし、よく分からないところも多々ありまして、それについて幾つかお聞きしたいんですが。
 まず、二十二年度米の戸別所得補償政策、米の補償のモデル事業について示されていて、その補償水準なんですけれども、標準的な生産に要する費用のうち家族労働費は八割だと。なぜ八割なのか、何で十割では駄目なのかということについてお聞きしたいと思います。

○国務大臣(赤松広隆君) これにつきましては多くの先生方からも実は指摘を受けております。
 じゃ、ちょっと考え方を変えて、じゃ十割で計算をした場合どうなるか。これは、例えば全中さん辺りも、民主党のこの政策は非常にいいけれども、あと八割を十割にしてくれたらもっといいなというようなことを具体的に新聞等でも書いておられます。
 もし十割にした場合は、家族労働費の全額を算入することということになるわけですので、生産性向上等の経営努力が進まなくなったり、あるいは利益が上がり過ぎて貯蓄に回ったりするなど、税金をつぎ込むわけでありますから、モラルハザードが起こるおそれ、可能性があるということで、あくまでもこの制度は農家の最低限の所得を補償する観点からということになっておりますので、だとすれば、やはり家族労働費は八割程度で見た方がよいのではないかというのが私どもの考え方でございます。

○紙智子君 根拠というんですかね、何を根拠にしてこれ出されているでしょうか。

○国務大臣(赤松広隆君) これは、具体的にもう数字も十二月になるといろいろ出てまいりますから計算していただけると分かると思うんですけれども、平均的な販売価格と生産費、その差額分を定額的な補助で埋めるんですけれども、それでさえ、今かなり土地が、土地を集積して大規模化をして、そしてやっていくと利益がかなり出てしまうと。
 建設業、製造業、運輸業の五人から二十九人規模の事業所の賃金単価ということに今農家の皆さん方の実際の労働時間を掛け合わせてみて計算してみるということをいろいろ比べてみると、これは額的にはやはり十割では少し高過ぎるのではないかと、やはり八割程度で見た方がよりすべての皆さん方に納得をしていただけるのではないかということで八割にさせていただいたところでございます。

○紙智子君 そのことを聞いたんじゃなくて、ちょっとお聞きしたところによると、雇用保険法に基づく失業・休業補償制度を念頭にというふうに聞いたんで、これはそうなんですか。

○国務大臣(赤松広隆君) 私どもは、旧来ありますように、今申し上げたそれぞれの建設業、製造業、運輸業等のこうした実態賃金を見る中で、そこから算出をしたということでございます。
 全中さん辺りは、むしろ第三次産業の分も含めて計算をしたらもっと上がるじゃないかと、それでやってくれみたいな意見もあるやに聞いておりますけれども、私どもはそうした業種を中心にして計算をさせていただいたということです。

○紙智子君 私は、やっぱり八割という話で、十割にすると努力してもらう分があるんだという話をされるんだけど、実際に現場の農家の人たちの状況というのは今でさえもぎりぎりで、もういつやめてもおかしくない状況の中でやっているというのが現実なんですよね。
 だから、更にそれをもっと努力させるんだということではなしに、やっぱり家族労賃として十割持つということを基本に据えるべきだというふうに思うし、今製造業云々かんぬんという話があって、全中さんもそういうふうに書いているということなんですけれども、私も、やっぱり他産業並みということを言うのであれば、きちっと第三次産業も含めて全体の平均でこれはやる、考えるべきではないかというふうに思うんです。
 それから、実際にその補償の中身そのものが、やっぱりみんなが期待しているのに対してやせ細ってしまうのでは、やっぱりその期待がしぼんでしまって希望が失われることになると思いますから、そこのところは、今はそれでよしとするのではなくて、是非引き続きそこのところは検討していただきたいということをお願いをしたいと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(赤松広隆君) 私は非常に柔軟でございますので、とにかく一年間モデル事業をやって、そしてそういう中で、今、紙先生が御指摘のことも含めて、いろんなまた御意見が出たり、あるいは農村現場で実際に農業に従事しておられる皆さん方からいろんなまた御意見も出ると思いますから、そういうことを踏まえながら二十三年度からの本格実施の中に生かしてまいりたい、このように思っております。

○紙智子君 それからもう一つなんですけれども、二十二年度の水田利活用自給力向上事業の単価が示されています。この根拠についてお聞きしたいと思います。
 全国統一単価ということで、麦、大豆、飼料作物が十アール当たり三万五千円、新規需要米が八万円、そば、菜種、加工用米が二万円、その他一万円となっているんですけれども、これで農家は減収にならないのかということを聞きたいんです。

○国務大臣(赤松広隆君) 正直に、端的に申し上げまして、麦、大豆に高い助成単価を設定している地域では助成単価が下がる場合もあり得ると認識をいたしております。

○紙智子君 下がる場合もあると、減収になるところもあるというふうには思っているわけですよね。
 それで、実際に麦、大豆、飼料作物でいうと、産地づくりの、今までの、現行のでやってきたのが大体五万というふうにすると、三万五千では全然足りないと、実際の水準下がるということがあちこちから出ていまして、例えば岩手県で集落営農をするために物すごい苦労をして、とにかくもう繰り返し議論してまとまってみんなでやっていこうということで落ち着いて、麦とかやっと定着しつつあるかなというふうになってきているところで今回この指標を見てがっかりしていると、これじゃもうやっていけないと、それでオペレーターの給料も払えなくなると、どうするんだということで今非常に議論になっているということなんですよね。
 それで、初めからそういうことを見て減収になるということが分かっていたら、それはやっぱり皆が作るとならないわけで、これに対しての対応策ということで考えていかなければいけないのではないかと。それで、地域の実態を踏まえた加算措置などは、全中なども政策提言の中で指摘しているんですけれども、これについてはどのように対応されるおつもりですか。

○国務大臣(赤松広隆君) 先ほど私がお答えしたのは、地域によっては単価が下がるところもあるでしょうということなんで、それはありますということを率直に答えさせていただきました。
 ただ、その前提では制度全体を見ていただかなければならないというふうに思っております。あくまでもこれは米を中心とした、あるいは水田利活用ということに限った制度でございまして、米、大豆については本事業の助成単価で主食用米並みの所得を確保できる水準であると、平均的にはですね、そういう建前、原則でやっております。ただ、今までは地域によって単価を違った形で設定できたものですから、一部高く設定しているところについては確かに低く出る場合もあるというのも事実ですけれども、この一と二両方を勘案して考えていただく。あるいは、旧来の経営安定対策費についても、これもまだ生きているわけですから、それも併せてやっていただければそれほど御心配をいただくことにはならないんではないかというふうに思っております。

○紙智子君 いろいろ考えて組み合わせればというようなお話なんですけれども、例えば八万円のところの新規需要米のところなんかも、これ期待は八万円というと高いと思うんですけれども、しかし売手が決まらないと作っても余っちゃうわけですよね。だから、売り先がちゃんと定まっているのかというと、それはもう自助努力だとなっちゃうと、これはなかなか思い切ってやれないということがあるわけで、こういうことなども含めてもっとやっぱり詰めて、本当に大丈夫だと、これでやっていこうというふうに向かえるように必要な加算措置だとかいうことを検討する必要あると思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(赤松広隆君) これについても私は、その今の八万円に該当する飼料米の、今既に実験的にかなり進んだことをやっている東京農業大学の現地も視察に行かせていただきました。そうすると、やはり通常の量の倍ぐらい収量があると。しかも、コストは、労力もあるいはそのコスト全体も六分の一で済むと。しかも、そこに八万円も十アール当たりお金がもらえるということで、是非これはやってみたい。もしここで作ってくれたら、そのときに養豚組合あるいは養鶏組合の皆さんも自主的に見学にお見えになっていましたけれども、是非こんないいものだったら自分のところで使わせてほしいと、どんどん作ってもらいたいというようなことでお話もいただきました。
 また、八郎潟、大潟村のあそこで入植をされて、今まで減反に真っ向から反対をしてやってきた皆さん方についても、今回、全部とは言いませんけれども、ほとんどの方、多くの方たちが、この制度に是非参加して、自分のところは余った水田を利用して米粉を作りたいと。米粉で今うどんももう作る工場も横に併設して、来年度からは是非この事業に参加したいと。すばらしい制度だということのお褒めもいただいておりますので、こういうことが今全国でどんどんと起こりつつあると。是非、紙委員の御心配されるように、どんどん作ったが売り先がないじゃないのというぐらいになれるようにその制度を進めていきたいと思っています。

○紙智子君 実際にどうなるかということでは、これからの話なので、いろんな場面が出てくると思うんですけれども、是非やっぱり実態にかみ合う形での修正なり必要な加算なども含めて、また今後検討いただきたいというふうに思います。
 それで、もう一つ質問したいと思ってきたのは、現場にとっては喫緊の課題なんですけれども、米価の価格下落に対する、暴落に対する対策なんです。
 それで、今年の夏に宮崎県や高知県の早場米が出始めた段階で、例えば宮崎県のコシヒカリが生産者の概算金で一万二千四百円、これ前年比に比較すると千六百円下落していると。それから、高知のナツヒカリというのが前年比で二千五百円下落ということで、これに加えて、大手の量販店などがコシヒカリの特売なんかをやって物すごく安く買いたたいていると。十キロ当たりの価格で二千九百八十円なんていう、普通四千円ぐらいするのかなと思うやつが物すごい安く売られているということで、大幅に下げている状況があって、これに不安を持って、農民の皆さんがこの後全体への影響を心配して、早い段階からこの百万トンの備蓄をルールどおりに、その差になっている十五万トンについて買い取ってほしいという対策を求めてきたんですけれども、結局全く手が打たれないまま十一月になったわけです。
 それで、これについて一体どのように考えているのか。需給と価格の動向についてどんなふうにつかんで、どう考えているのかということをお聞かせ願います。

○副大臣(郡司彰君) 米価の下落ということが一方であるではないか、政府の買入れというものも考えてみるべきではないかというような御質問だというふうに思っております。
 十月十五日現在の二十一年産米の予想収穫量、これも御案内のとおりでございますけれども、主食用米穀等生産量八百三十一万トンの見込みでありまして、二十一年七月の基本指針において見通した向こう一年間の需要見通し八百二十一万トン、約十万トンぐらい上回るような数字になるだろうというふうに言われております。
 このような需給状況を反映をいたしまして、二十一年産の米価については、全農取引の主な銘柄の相対契約価格などは若干弱含みというような数字を示していることも出ておりますけれども、まだこれも出来秋の経過の数字ということもありますので、その辺のところについては我々も慎重に見守っていくというような姿勢でおります。
 こういうような形がありながら、この買入れということと連動をさせるという考え方がそもそもよろしいかどうかということについても、今後は検討をしていかなければいけないのかなというふうにも思っているところであります。
 いずれにしましても、政府在庫の現状というものがこれはあるわけでありまして、それらを踏まえつつ適正な備蓄運営のための政府買入れについては検討を行っていこうと、こういうようにしているところであります。
 ただ、同じ買入れをするにしましても、これまでのことの反省すべきところがあれば見直しをしていこう、つまり客観的かつ透明性のあるルールに基づくことが重要なことであろうというふうに思いまして、そのような観点から具体的な方策について今検討をしているという状況でございます。

○紙智子君 全農がこの間、農家の売渡し、それから卸向けの相対価格なども昨年並みでスタートをしたんだけれども、今のお話の中で弱含みという話ありましたけれども、結局、価格下落が表面化してしまうとこれ良くないということで、懸念をして卸との相対契約を進めたんだけれども、なかなか不調に終わるという中で、結局は各県の裁量任せにしたということがあるんですけれども。
 そうすると、各県の本部が、値下げの一方では圧力が加わり、もう一方では仮渡しということの中で、結局その苦渋の選択の結果、県によっては、例えば三重とか石川とか福島とか、こういうところは各県のコシヒカリを五百円以上値下げという形でやって、東北もそれに倣って追従するという構図になっているということがあって、実際上やはり非常に厳しい状況に生産者の立場から見ればなっているというのが現実だと思うんですよ。
 それで、私も実は大分早くからこの価格暴落を防ぐメッセージを早めにとにかく農水省は示すべきなんだというふうに言ってきたんですけれども、前政権の中では全くそれは手が付けられずに来たと。
 それで、十月三十日の会見では、赤松大臣が百万トンぐらいめどに政府買入れについて言われていたということもあったんですけれども、しかし現実にはまだやられていない中でどうするのかということなんですが。

○国務大臣(赤松広隆君) これは、郡司副大臣言いましたように、備蓄の問題と、そういう買い支えるといいますか、とはちょっと問題が違いまして、備蓄については私どもは基本的に百万トンと、今八十六万トンぐらいあるわけですけれども、だからそれは八十六じゃちょっと少ないから買い増しをすることになるなということになると思います。
 それからもう一つは、若干の今下落傾向ですけれども、しかし新たな制度の下では、だからこそその辺りの需給調整をきちっとやっていく、生産数量目標をきちっと掲げて、先ほど八郎潟のお話をしましたけれども、今までそういうことに従わなかった人たちも含めて、すべての人たち、多くの人たちがこの制度にどんどんと入っていただくことによって、きちっとした、本当に必要な数量を確保していく、そのことが需給を更にきちっと引き締めていくということに私どもはつながっていくというふうに思っておりますので、今年の分は前の政権だからというような無責任な言い方はしませんけれども、それはそれとして、ちゃんと皆さん方が困らないような政策があるとすれば、それはそれで私どもまた考えてやっていかなければいけないと思っていますけれども、少なくとも、だからこそ来年度以降の問題は、やはりそういう需給バランスをきちっと取って、そしてなるべくそういう価格が乱高下しないような、そういう制度として、仕組みとしてこの戸別所得補償制度を是非実現をさせていきたいと、このように思っております。

○紙智子君 米は年に一度取れるということですよね。それが秋に相場が決まるわけだけれども、そのときに一回価格が下がってしまうと、なかなか元に引き上げていくということが難しいわけですよね。
 それで、戸別所得補償政策というのは来年、再来年の話なんだけれども、この今の米価の問題というのは、来年どう支えるかというもう直近の問題、今、今の問題なんですよね。ここのところに早く手を打ってほしいというのが現場の皆さんから出されているわけで、やっぱり十五万トン早く買い入れてほしいと言っているのに、なかなか手を付けないと。下がっているのに、結局政府の方は売りに出しているわけですよね、政府米を。古米を出しているわけですよ。
 だから、実際何となくだぶつき感があって米価が下がっているのに、それは買わずに政府米は売りに出すと。しかも、それに加えて今度ミニマムアクセスについては、いち早く十二万トン輸入してしまったわけですよ。
 これは生産現場の人から見ると何とも納得し難い話なんですけれども、これについて大臣はどうお考えでしょうか。

○国務大臣(赤松広隆君) MA米につきましては、これは御存じのとおり、ガット・ウルグアイ・ラウンドの中で、関税の大幅な引下げなどは行わないいわゆる代わり、代償措置として最低限度の市場参入機会を与える観点から、すべての加盟国との合意の下で設定をしたものでございます。
 あくまでもミニマムアクセスは輸入機会の提供でございますので、MA米につきましては国産米の需給に極力悪影響を与えないように販売するために国家貿易によって輸入を行ってきたところでありまして、通常の場合にはミニマムアクセス数量全量の輸入を行っていく、約束どおりにやっていくということについては、これは平成六年の政府統一見解から変わらない、この考え方を継承していくということで私自身は思っております。

○委員長(小川敏夫君) 紙君。なお、時間が来ていますので手短にお願いします。

○紙智子君 ええ。時間が来ましたので、ちょっと途中でやめなくちゃいけないんですけど。
 ミニマムアクセス米の問題は汚染米のことを含めて物すごい議論になって、何であんなお米を入れなきゃいけないのかという話が繰り返し出されてきたし、JAグループの政策提言の中でもミニマムアクセス米の義務的輸入は我が国農業者にとって理不尽だというふうに書いているわけで、これをやっぱり見直すということを、せっかく政権が替わったこういうチャンスのときなんだから、やっぱり論を立てて、是非これはやめる方向にしていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。