<第171回国会 2009年4月14日 農林水産委員会 第09号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 米穀の新用途への利用促進ということで、米粉、飼料米ということについて今日は聞きたいと思います。
 それで、食料自給率を引き上げていくためにも、国産飼料の増産ということや輸入麦の依存度を下げていくということ、これ不可欠ですし、水田の全面利用を行うことで国産飼料の増産を図っていくと。輸入麦に代わり得る米粉の増産を行うというのは極めて重要だというふうに思うわけです。
 私も、二〇〇六年のときに質問して、当時は大臣は松岡農水大臣だったんですけれども、このときに飼料米の問題を質問して、それ以来ずっと一貫して追及してまいりましたし、我が党の農業再生プランの中にも位置付けているわけです。
 ですから、本格的にこの飼料米ということで推進していくことには異論はないんですけれども、お聞きしたいのは、飼料自給率ですね、これをどう引き上げていくのかということで、まず、引上げの目標について、どのような目標なのかということをお聞きしたいと思います。大臣、お願いします。

○国務大臣(石破茂君) 現行の基本計画におきましては、平成十五年度、二四%から平成二十七年度までに飼料自給率を三五%まで引き上げるということにしております。
 内訳ですが、粗飼料につきましては、国内生産が可能でございますので、十五年度の七六%から一〇〇%まで引き上げる。濃厚飼料につきましては、食品残渣の飼料化を推進することなどによりまして、平成十五年度の一〇%から一四%まで引き上げるということにしておるところでございます。

○紙智子君 飼料自給率の目標を達成していくために、増産の具体的な計画ですね、それによって食料自給率がどんなふうに上がっていくのか、つながっていくのかと、その手順についてやっぱりはっきりしていないとお題目に終わってしまいかねないと思うんです。そこのところがどうなのかということについて御説明願います。

○政府参考人(本川一善君) 今大臣に御答弁いただきました今の、現行の基本計画、これは残念ながら飼料米の本格生産を想定はしておりません。したがいまして、今後、基本計画を見直していく過程の中で、飼料米をどの程度見込むかということについても議論をしていきたいというふうに考えております。
 そのときにやはりポイントになりますのは、水田フル活用元年である今年の飼料用米の作付けの動向でありますとか、あるいは流通体制の整備、確保の状況、このようなものを一つ踏まえる必要があると思っております。
 それからもう一つは、飼料米と競合すると言うとおかしゅうございますが、転作作物としての先輩であります麦とか大豆、こういったものを国民がどの程度消費をしていただき、実際のニーズがどれぐらいあり、それをどの程度作付けるかということも一つ大きな判断になろうかと思います。そういうことを踏まえながら、十分精査をして、飼料自給率の目標を設定してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○紙智子君 米のフル活用ということが言われているわけですけれども、今まで、例えば生産調整をするということで水田の中で植えない部分をつくったりということをやっていて、そこを今はそうじゃなくてフルに使っていこうということですよね。それは当然のことだと思うんですけれども、農地の利用率をやっぱり引き上げていくということでは、例えば二期作ですね、昔やっていた二期作ですとか、あとは裏作、こういうことも推進していく必要があるんじゃないかというふうに思うわけですよ。
 それで、水田、今一年に一回転するということになるわけだけれども、もしこれが一回転から二回転というふうになると農家の手取りの方も二倍になっていくわけで、非常に効果的だというふうに思うんですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか、大臣に。

○国務大臣(石破茂君) 我々が子供のころは二期作なんて習ったものでございますが、今はほとんどやっていないと。昭和三十年代前半には一三〇%の利用率があったんですが、今、耕地利用率は九三ということになっておるわけでございます。
 私どもとして、やはりこの利用率の向上はやっていかねばならぬだろうと。そのために、麦、大豆、米粉、飼料米等の需要に応じた生産拡大を図っていく、そのために水田を有効活用するのだということは極めて重要でございます。
 二十一年度予算におきましては、新規転作田あるいは調整水田などの不作付け地への作付け拡大だけではなくて、裏作への作付け拡大も支援する水田等有効活用促進交付金、これを措置をいたしました。助成単価は、水田裏作への作付け拡大は十アール当たり一万五千円ということになっておるわけでございます。このような交付金によりまして、二毛作も含めました水田等の有効活用を促進したい、耕地利用率を上げたいというふうに考えておりますが、これが二倍使われれば所得が倍になるかというと、そういうわけでもございませんで、どのように需要喚起を図っていくかということを併せて考えていかねばなりません。低コスト化というのも図っていかねばなりません。
 ただ、どんどんどんどん耕作放棄地は増えるわ、どんどんどんどん利用率は下がるわということであってはなりませんので、この利用率を上げるために、そして生産者の手取りに結び付くように私どもとして配意をいたしたいと思っております。

○紙智子君 先ほど、飼料米でもって増やすということで今計画立てられている農水省の計画でいうと、大体十万ヘクタールですか、それで計算されるところで自給率が〇・一%というふうな程度ということで、これではやっぱりまだまだ少ないということで、もっともっとそこを増やしていくということを考えなきゃいけないと思いますし、そういう点で、今大臣答弁された方向というのは積極的に推進していくという方向ではあると思うんですね。ただ、やっぱりそれを進めていくということになると、現実的には予算を伴っていくということで、そこがすごく現実問題として問われてきているわけですよね。
 先日、千葉県に委員会で視察に行った中でも共通して出されていたのが、十アール当たり十万円は最低生産者から見ると必要だ、なかったらできないという話がされていたわけで、そうすると、今十アール当たり五万五千円という話がされていて、さらに補正で二万五千円の上乗せという話も、通るかどうかという話があるわけですけれども、そういう話になってきているわけですけれども、やっぱり実際生産する側は主食用と余り遜色がない形にしたいというのは当然あるわけですよね。
 そういう水準が求められていくという中で、十アール当たりやっている今五万五千円も、結局法律上は三年という期限が切ってありますし、補正が通るかどうかということはあるけれども、二万五千円それに上乗せするとなっても、どうせこれ一年ぽっきりじゃないのかというのも現場からは声が出されているわけですけど、そこをやっぱり長期にきちっと安定させていくという点では、私たちの主張からいうと、ちゃんと継続させて、長期の展望に立って遜色のない方向にしていくということがやっぱり筋じゃないかと思っているわけですけれども、その点、いかがですか。

○国務大臣(石破茂君) おっしゃるとおりだと思います。
 先ほど郡司委員からも御質問をいただきました。選挙目当てのというような、そういうようなやましいことを考えているつもりは私どもございませんで、どうすれば本当に安定的に新規需要米が拡大をしていくかということに配意をしておるものでございます。
 ただ、ここで単年度限りだとか何年も継続しますとかいうことを断定するだけの権能を持ちませんのでそういうことを申し上げることはなかなか難しいのでございますが、やはりそれが安定的に継続的に生産をされるために、なかなか主食用米と同じということになりますと、それは政策体系として不整合を起こしますのでそういうわけにもなかなかいかぬところでございますが、そこはコストの減ということも考えていかねばなりません。安定的に継続的にこれが国家目標に沿って軌道に乗りますために、私どもとしてあらゆる政策を打っていきたいというふうに思っておるところでございます。
 どうか、議会におきましてもよく御議論をいただき、そのことが達成されるためにお力添えを賜りますようお願いを申し上げたいと存じます。

○紙智子君 今日の冒頭で視察の報告の中にも触れてありますけれども、現場でお話になったときに、畜産農家からは、トウモロコシ価格はキロ当たり四十円を切っているという中でキロ五十円だというんですよね。これでは採算が合わないと。飼料の方を作る方は採算が合わないと言うし、出す方はそれではちょっと足りないと言うし、そこのところをやっぱりどう解決するのかということは是非今後も考えて対策を出していただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。