<第169回国会 2008年2月5日 予算委員会 第5号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 最初に、中国製ギョーザの中毒問題についてお聞きいたします。
 現在、真相は究明中ということなわけですけれども、輸入食品の検査体制について、昨日この委員会で福田総理は、自民党の西島議員の質問に対して、水際でチェックする体制の必要性について答弁をされました。そのことの趣旨について改めて確認をしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○内閣総理大臣(福田康夫君) 今回のような国民の食の安全を脅かすような事態が生じたわけでありまして、この際しっかりと再発防止策を検討する必要があると考えております。
 輸入食品に対する検査、検疫体制については、これまでも輸入食品が増加する中で監視員の増員に努めてまいりました。そして、内容についても、平成十八年度に残留農薬のポジティブリスト制度を導入するなどの強化を図ってまいりました。
 輸入食品の安全性が確保されるように、人的な体制を含めた輸入時検査の在り方について、今回の事件の検証を踏まえて研究をさせなければいけないと考えているところです。

○紙智子君 二月一日の日に我が党議員団として福田総理あてに申入れをいたしました。そこで、輸入食品の検査率を、今一〇%なんですけれども、五〇%以上に引き上げるべきじゃないかと、伴って監視員の増員も必要なわけですけれども、これらについてはどのようにお考えでしょうか。

○国務大臣(舛添要一君) 輸入食料品の安全性というのは非常に大切な課題でありますけれども、検査率ということで特定するということよりも、多種多様な輸入食品につきまして、食品衛生上の状況について幅広く監視をする、そしてモニタリング検査をやる、そしてそのモニタリング検査なんかにおいて法違反が判明するときには輸入者に対してその都度検査命令をやるというようなことで、重点的に効果的な検査の実施を努めておりますけれども、更に輸入食品の安全性確保のために努力を続けてまいりたいと思います。

○紙智子君 効果的にと言うんですけれども、やっぱり輸入量が物すごく増えているわけですから、それに伴って増員するとか増やすということは考えてないんですか。

○国務大臣(舛添要一君) 今回のこの一連の事案を踏まえまして関係閣僚会議も立ち上げたところでございますので、関係省庁と協議をした上で、国民に安心できる検疫、検査体制の拡充、その中には定員の拡充ということも含まれると思いますので、鋭意検討してまいりたいと思います。
   〔理事林芳正君退席、委員長着席〕

○紙智子君 輸入加工品の方なんですけれども、こちらは二〇〇三年に食料衛生法が変わって、コーデックスの基準があるもの、それから冷凍野菜のような原形で確認できるものを除いて、それを除いて一律残留農薬基準〇・〇一ppmということが適用されているんですけれども、にもかかわらず、この間、全くこれ検査されてきませんでしたね。それに対しての御認識を伺います。

○国務大臣(舛添要一君) 今委員がおっしゃいましたように、個別に数値が決めていないのは、ポジティブリストということで〇・〇一ppmによる規制を行ってきました。
 加工食品につきましては、それを作った原料、これについて、原材料について残留農薬が適合しているということの場合には食品規格に適合するとみなすということでありますし、それから、乾燥したりボイルしているという極めて簡易な加工の場合には各検疫所において輸入時の検査を行っておりますし、輸入業者もまたこれを行っております。
 しかし、例えば今回のギョーザのように、中身に入っている材料が多様な場合に、どういうふうにして正確に農薬の量を検査することが可能であるか。これは技術的な問題もございます。しかし、この点も、ただ単に技術的に難しいからそれであきらめるということではなくて、やはり食の安全ということを第一にして何らかの検査体制を更に強化できないか、検討しているところでございます。

○紙智子君 結局やってこなかったということなんですけど、それでこのままでいいのかというと、そうじゃないと思うんですけれども、どうされるおつもりでしょうか。

○国務大臣(舛添要一君) 技術的にどうするか。一つは、モニタリング、サンプル調査というやり方もあると思います。これ、今、関係閣僚会議におきまして重要な検討課題として検討してまいりたいと思っております。

○紙智子君 福田総理は、食の安心、安全ということでこういうプロジェクトを発表されましたよね。この中でも、本当に水際の検査の問題も指摘をしているわけですけれども、まさにこのことが今やっぱり具体的に対応を求められているというふうに思うんです。日本は食料で六割外国に頼っているという中で、やっぱりこういうことを機にして、本当に抜本的な検査体制というものを強めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 次に、公立病院の再編問題ですが、総務省が昨年十二月に公立病院改革ガイドラインを発表されました。それで、自治体に公立病院の再編の改革プランの策定を求めているわけですけれども、そのねらいについてまずお話しください。

○国務大臣(増田寛也君) 私どもでお示ししたガイドラインでございますが、まず、公立病院、地域医療の確保に重要な役割を果たしているわけですが、最近経営状況が悪化している、それから医師不足の深刻化も出てきております。経営状況の関係はいろいろ要因はございますが、空床率が高かったり人件費の問題があったり、いろいろそこは複合的な要因があると思っております。
 そうした状況にございまして、その中で各公立病院が今後も良質な医療を継続して提供することができるような体制を構築していきたいと、こういう考え方に立ちまして、三点、考え方をその中で示しております。経営効率化、それから再編・ネットワーク化、経営形態の見直しと、こういう三つの視点に立った改革を一体的に推進をしていくことが必要ではないか、その考え方と方向性についてその中でお示しをしたものでございます。

○紙智子君 経営の効率化ということも言われるんですけれども、地方、特に過疎地域ですね、こういうところで採算性だけでは測れない公立病院の重要な使命があるというふうに思いますけれども、これについてはいかがですか。

○国務大臣(増田寛也君) 公立病院でございますけれども、やはり過疎地域の医療ですとか、それからいわゆる不採算医療ですとか、そういった地域に果たしている役割は大変多いものがある。特に過疎地域では、他に代替する民間病院、診療所等がない場合に、もうそこが唯一の拠点であると、こういった場合が多うございますので、そうした役割、重要な役割を果たしていることを十分に私どもも認識しながらこのガイドラインを作成したところでございます。

○紙智子君 総理にちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、北海道が国のガイドラインを先取りした形で自治体病院の広域化・連携構想案というのを出しました。九十四公立病院があるわけですけれども、そのうち三十八病院を診療所化する、九病院は規模縮小を求めるもので、この構想を実際に地図に落とすとどうなるかというと、こういうことなんですよね。ちょっと見ていただきたいんですけれども。(資料提示)
 このように、今これです。それで、白い空白のところは整備された病院がないところです。これが計画どおりにやるとなりますと、こんなふうに空白のところが非常に増えていくわけです。
 ちなみに、例えばこの辺りを比較してみますと、大阪府の面積と大体この辺りが匹敵するぐらいなんですよ。ですから、そういう広大な地域がもうあちこちに広がってしまうということになるんですよね。
 ですから、こういうことになるということは、福田総理が所信表明の中で言われていましたけれども、国民が安心できる、あるいは患者本位の医療体制というふうに言えるのかなと。この辺についてちょっと感想をお聞きしたいんですけど。

○委員長(鴻池祥肇君) 増田総務大臣。

○紙智子君 総理です。総理の感想を。

○国務大臣(増田寛也君) 北海道の個別のことも私どももいろいろお聞きをしております。
 そもそも、以前、私が知事をしておりました岩手も大変厳しい状況でございました。経営状況が悪化している、それから医師不足の深刻化、いずれにしてももう待ったなしの状況でございまして、その中で、限られたお医者さんをいかに地域の皆様方の診療に携わっていただくか。そのためには、北海道も大変苦渋の選択だったのかもしれませんが、道が中心になってそうした再編とネットワーク化ということに踏み出されたということでございます。
 今、御案内のとおり、いろいろ複合的な要因がございますが、勤務医の皆さん方を過重なままで置いておきますと、もう本当に倒れてしまってますます抜けていってしまうということがございますので、ある程度中核的な病院にお医者さん方を集まっていただいて、そして、さらに診療所なり周辺の病院の方に通いで行っていただくとか、それから、もちろんそうした地域地域の今度は診療体制が低下しないように、仮にそうしたところにお医者さんがいれば病診連携をもっと進めていくとか、様々な地域それぞれの工夫がございますので、そうしたことを含めて、私ども総務省としても、この基幹的な病院を整備しながらその他の病院から医師派遣を受けるような、そういう連携とネットワーク化ということをやっぱりここは進めていかにゃいかぬと。当然、そのほかにも医師養成とかそういったこともきちんと進めていかにゃいかぬと思います。
 ただ、これは大変時間が掛かりますし、そういうことでネットワーク化を図る、その際には一番地域の事情に精通しているやはり都道府県、こうした広域自治体がきちんと入って、この地域の、二次医療圏が中心になると思いますが、医療計画の改定と整合性を保ちながら、こうした地域の実情を踏まえた整備というものを進めていくべきと、このように考えております。

○紙智子君 総理、お願いします。

○内閣総理大臣(福田康夫君) ただいま総務大臣からお答えいたしましたけれども、大体そういうような趣旨なんでありますけれども、やはりこういう改革に当たって、地域住民に対するサービス、医療サービスというものが、これが低下しないような努力はすべきだというように考えております。

○紙智子君 実情を踏まえてというお話されたんですけれども、該当する自治体に対して事前のヒアリングも全くないんですね。それで診療所化を提案するという一方的なやり方が現場ではあると。
 これ、北海道だけじゃないんです。北海道がどうしてこういう構想を出したかといいますと、やっぱり医師が不足していて経営が大変で先行きが見えないと。それは、やはり医師抑制政策、そして医師確保ができないということがあるわけです。
 診療報酬が引き下げられましたよね。それから、地方交付税が削減されましたよね。そういう地方の財政困難さということもある。これは、やっぱり国が行ってきたことなわけですよ。そういう国の責任を棚上げにして、今この国のガイドラインの中では、地方自治体に同じように公立病院の縮小や廃止計画を作らせようということになっているんじゃないですか。こんなことしたら、本当に地域の医療体制、医療の崩壊を一層進めることになるんじゃないでしょうか。いかがですか。

○国務大臣(増田寛也君) 確かに不採算地域、離島、山間地域ですね、こうしたところの病院経営に対する経費といったものは、やはり地域で必要な経費でございますし、そうしたものに対しての支援ということが大事でございますので、私どもも地方交付税措置などを従来から行ってまいりました。
 先生の今例に出されました北海道などにつきましても、来年度につきましては大変厳しい状況があるというお話も聞いておりますので、特に過疎地の不採算地区で赤十字等が設置している病院、北海道の場合には厚生連などはあると思いますが、そうしたところまで対象を広げて、そうした病院の運営費について、特別交付税措置でございますが、そうしたものも対象にしてやはりこれを面倒見ていかなければならないと、こういうふうに考えております。その措置もしてございます。
 今後も、そうした過疎地域の医療をやはり守っていくということは大変内閣としても重要な課題であると、総務省としてもそのことは十分承知をしておりますので、こうした地方財政措置全般を今見直しておりますが、その中で特にこの地方交付税措置ですね、そうした病院に対しての地方交付税措置の更なる充実につきましては真摯に検討していきたいと、このように考えております。

○紙智子君 私が行ってきた上川町という大雪山のふもとの町です。ここは日赤病院があったんですが、なくなっちゃったんです。もう本当に病院、町立病院一つで、あとは普通の診療所といいますか、小さな病院なんですけれども。
 こういう状況の中で、町長を始め町民の皆さんと懇談しましたけれども、もう命綱になっているんですね。ここに町立病院なくなったら、旭川まで出るのに列車で一時間二十分ですよ。車でも一時間ですよ。本当に命綱を削るのかという声が上がっていて、この上川町だけじゃなくてほかのところでも、今、町村長を先頭にして、住民も含めて、それはもうやめてほしいということでの運動が広がっているんです。
 ですから、やっぱり主体者である町長を含め住民の皆さん、こういう人たちの理解を得られないまま進めることがないようにということを強く申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。