<第168回国会 2007年12月18日 農林水産委員会 第9号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 私は、先ほどもやり取りがありましたけれども、BSEの問題でお聞きしたいと思います。
 それで、更に確認をする意味でお聞きしたいんですけれども、十二月の六、七と行われました日米次官級の経済対話が行われて、そこでBSEの問題もその話題に上がったと。
 それで、山下官房審議官にお聞きいたしますけれども、先ほどのやり取りの中ででも、結局米国側からも言われたことは、月齢の撤廃という要求も出されて、そこまでは無理だとしても、三十か月齢以下という緩和のことも含めてその問題も話し合われたということで、山下審議官は現場に参加しておられたわけですよね。ですから、そこのところが確かなのかどうか、実際のところどうだったのかというところでお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。

○政府参考人(山下正行君) 日米次官級経済対話に関連したお尋ねでございますが、農林水産省からは私が出席しておりました。幾つかの話題の一つといたしまして米国産牛肉につきましても話題になりましたが、日米次官級経済対話は、先ほども外務省から御答弁があったように、本件を具体的に協議するような交渉の場じゃないことから、その際、具体的にどのような発言があったかについては差し控えさせていただきたいと思います。

○紙智子君 それじゃ全然納得できないですよね。国民の皆さんが新聞記事を読んで、それで非常に心配をしているわけですよ。現場にいるあなたがそのことに対して明らかにできないというのはおかしいんじゃないですか。
 実際に現場で見て、さっきもこのやり取りの中で幾つか確認されていることあるわけですよ。で、どういうふうに言われたのかということも含めて、農水大臣自身も恐らくこういうことだったろうというふうに言うわけですから、そのことについてどうして言えないんですか。

○政府参考人(山下正行君) 先ほども申し上げましたように、日米次官級経済対話につきましては、本件を具体的に協議するような交渉の場ではございませんので、個々の具体的な発言内容については、繰り返しになりますが、差し控えさせていただきたいと思います。

○紙智子君 あなた自身が現場にいておられて、そのやり取りを聞いていて、どのように思われましたか。ちょっとこれはまずいんじゃないかと、まだ日本の中では話もしていない、決まってもいないことを持ち出すのまずいんじゃないかなと、そんなふうに思われませんでしたか。

○政府参考人(山下正行君) その具体的なやり取りにつきましては差し控えさせていただきたいと思いますが、政府統一見解の範囲内で意見交換がされたというふうに認識をしております。

○紙智子君 それまたちょっと問題だなと思うんですけど、統一見解の中でということですか。統一見解なんていう中でそんなことのやり取りもいいということになっているんですか。統一見解って何ですか。

○政府参考人(山下正行君) 繰り返しになりますけれども、具体的な発言がどのような形でなされたのか等につきましてコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

○紙智子君 全然納得できないですよ、そんな。統一見解って何ですか。もし、今すぐ出せないというんであったら、ちょっと委員長にお願いしますけれども、後でそれペーパーで出していただくように要求したいと思います。

○委員長(郡司彰君) 後日、理事会にて検討いたします。

○紙智子君 非常に、現場にいておられながら、それに対して問題とも思わないということでもあって、非常に私は重大な問題だなというふうに思うわけです。
 それで、食品安全委員長、今日お越しいただいているのでお聞きしたいんですけれども、相手国に、食品安全委員会のリスク評価もしていない、BSEに関する輸入条件の変更を伝えること自身、この食品安全委員会でのリスク評価を経てからリスク管理をするというこの食品安全基本法に定められている原則に反することじゃないかと思うんです。食品安全委員長としては、このようなことを許しておいていいのかどうか、御発言いただきたいと思います。

○政府参考人(見上彪君) 初めまして。
 米国産牛肉の輸入条件の見直しに関する日米間の協議につきましては、これは正に食品安全委員会でなくてリスク管理機関が責任を持って対応すべき問題であるというふうに思っています。食品安全委員会に諮問を行うことを前提に日米間で協議を行うことは食品安全基本法に反するものとは思っておりません。
 それで、仮に日米間の協議を経て、輸入条件の見直しについてリスク管理機関、すなわち農林水産省及び厚生労働省から諮問があれば、食品安全委員会としましては、国民の健康を最も優先的に思うというそういう観点から科学的な知見に基づいて中立公正にリスク評価を行ってまいりたいと、そのように思っております。

○紙智子君 今の答弁はあれです。やっぱりリスク評価を食品安全委員会で得て、その上で科学的なそういうものの分析の上に立って、それからでないとやっぱり提案しちゃいけないですよね。そういう御見解ですよね。

○委員長(郡司彰君) 委員長に発言を求めてからにしてください。挙手の上、求めて。

○政府参考人(見上彪君) どうも済みません。素人なもので、よくルールが分からなくて申し訳ございません。
 今の問題点は、いろいろ食品安全委員会が評価を行う場合に、リスク管理機関から諮問が来て、それでそれに対して評価をするという一つのステップのことをお話ししましたんで、ほかに評価の方法というのはありまして、自ら評価という、要するにBSEに関する中間見直しのときにはそうだったんですけれども、そういう評価の仕方がございます。
 先ほど申し上げましたように、仮にリスク管理機関から食品安全委員会に諮問を行うことを前提にしたら、決して食品安全基本法に反するものとは思わないと、そういうことでございます。
 ですから、議員がおっしゃっていることは、何か一つの、僕が今答えたことで御不満だったら、それ以上のこと何もお話しすることできません。というのは、そういうステップを踏んで、急に例えばこういう問題が起きたとき、急に食品安全委員会に対して自ら評価を行えというようなことが仮に起きたとしても、自ら評価というのはいろいろなステップ踏んでやりますんで、急にそういうことを行うことはできないと、そういうことを申し上げているわけです。

○紙智子君 ちょっとなかなか私ものみ込めないというか、意味がよく分からないんですけれども、ちょっと時間が押してきますので、ちょっと今のやり取り、まだ納得いかないんですけれども。
 農水大臣にお聞きしますけれども、大臣は記者から聞かれて、それで積極的に提案したわけじゃないということを答えているわけですけれども、積極的であろうと消極的であろうと、食品安全基本法の十一条の中で、この食品の安全性の確保に対する施策の策定に当たっては食品健康影響評価が行われなければならないことになっているわけですよね。相手国にリスク管理の条件の変更を伝えるということ自体、それがこうなっていないような段階で、それ自体反するという認識でしょうか。

○国務大臣(若林正俊君) 今、委員長がお話しになられましたけれども、リスク管理機関としての農林水産省、厚生省の立場としては、食品安全委員会に我々は諮問をしてその意見をいただいた上で最終的な決定をするという立場にあり、これが法律が求められておることだと理解しております。そういう意味で、食品安全委員会に我々としては諮問をするということを前提とした上で、各種の検討、いろいろな意見を聴取したり意見交換をしたりするということは法律に反することではないというふうに理解をいたしているところでございます。
 そのことをまず申し上げた上で、新聞に私が積極的に提案をしたわけではないと言っているのは、新聞記事がやや短く報道をされたことだと思いますけれども、私は実はぶら下がりという形で新聞記者の皆さん方に囲まれた中で突然お話をしたわけでありますけれども、そのときの私のメモ、私がそのときにこういうお話をした後それをメモったわけでありますけれども、こういうふうに私は言っております。
 それは、その日のことですからね、何の情報も実はないまま記者諸君から聞かれて言ったわけであります。日本が、日本といいますか、日本側がそういう諮問をする、三十か月未満について諮問をするということを言ったらしいじゃないかというふうに言われたことに対して、私は何も聞いておりませんでしたけれども、積極的にそういうことを言ったということではないんじゃないですか、私の方としては、直ちにアメリカが言うように撤廃するというような、アメリカ側のそういう提案は受け入れられないわけだから、仮に、仮にこの輸入の条件を見直すというようなことであるならば、多くの国が採用している三十か月齢という線を検討するというようなことになるんでは、ということまでしかできませんよというやり取りだったんじゃないかと推定をしてそういうふうに申し上げたわけでございまして、私自身は、その後の報告を聞きながら、答弁は、先ほど来お話ししましたように、まずは日米の専門家による技術的会合の結果を取りまとめることが重要でありまして、その取りまとめの結果を踏まえた上で判断をし、そしてその判断としてこれを緩和をした方がいいという状況判断をしたときには食品安全委員会に諮問をするということになるわけで、まだまだ諮問をするということも決めているわけではありませんということを申し上げたわけでございます。

○委員長(郡司彰君) 時間が来ております。簡潔にしてください。

○紙智子君 今、諮問することを決めているわけじゃないというんですけど、ちょっと今のそのやり取りを含めて非常に私問題だなと思っているんです。相手国に月齢条件の変更を約束して、それでそのことを食品安全委員会に諮問するというようなやり方はこれおかしいと思うんですよね。

○委員長(郡司彰君) 時間が来ております。

○紙智子君 以前、プリオン専門調査会の委員からも、諮問が出てきた経緯だとか目的だとか、そこは結局はっきり言われないまま、ある意味で公然の秘密のようなことでやっていくことは結局は消費者の食品安全委員会に対する信頼を失うことにつながるという強い批判がこれまでも出ているわけですよ。さらに、食品安全委員会に諮問した後、答申が出て、それに対して消費者にリスクコミュニケーションという手続があるわけですけれども、消費者もこれだったらたまったものじゃないわけですよね。相手国に約束した中身について……

○委員長(郡司彰君) 質問時間が過ぎております。

○紙智子君 はい。
 中身について一体リスクコミュニケーションをする意味がなくなると。こういうことを続けていたんじゃ、本当に安全、安心そのものがもう偽物だということに、不信感を買わざるを得ないというふうに思います。
 そのことを最後に申し上げまして、質問を終わります。