<第168回国会 2007年11月7日 少子高齢化・共生社会に関する調査会 第2号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 もうたくさんのことがあるんですけれども、母子家庭の支援の問題に絞って質問をしたいと思います。
 それで、副大臣の先ほどの報告の中で、子育て支援、就業支援、それから養育費の確保、経済支援という四本柱という話がありました。実際のその施策の中では、給付依存型から自立支援、就労支援にということで重点を移動してきているわけです。ところが、それが実際、現実には母子家庭の生活苦や将来の不安を一層大きくしているという現実があるんじゃないかと。
 それで、母子家庭などの就業・自立支援センターで見ると、制度が始まったのが二〇〇三年の四月からですけれども、就業でいいますと、延べ一万三千人弱ですよね。それから、そのうち常勤ということだと五千人、そして七千人以上は非常勤、パートというふうになっていると。それから、常用雇用の転換の奨励金ということでいうと、制度開始以来三年八か月でその件数というのが九十二件だけなんですね。ですから、母子世帯のうちで、この制度を利用できたというのはごく一部ということになってしまうわけです。
 就労支援に力を入れるというのは確かにこれ大事なことだというふうに思うんですけれども、しかし、現実こういう状況で、就労支援というふうに、それと引換えに経済支援を取ってしまうということになると、これが果たして妥当なのかというふうにも思うわけですね。この就労支援策がどれだけ有効なのかということについては、やっぱり経済支援を取っても実際に成り立つのかどうかということについては検証すべきでないかということがまず一点です。
 三つ全部でひとつ聞きたいんですが、それで併せてもう一つ聞きますと、自立促進ということで、生活保護の母子加算は既に段階的削除、廃止を決めているわけです。今年から削除が、削減が始まっていると思うんですね。
 それで、先日、私は北海道でその母子家庭のお母さんから話を聞いたんですけど、いろんなケースがあると思うんですけど、例えばその方の場合は子供さん三人が障害を持っているんですね。上の子二人は知的障害の厚生施設に入所しているんですけど、三番目の子供さんは重度の身体障害で全部介助が必要だと。お母さんはその介護のために働きに行けないと。ですから、生活保護受けなきゃいけない、いろんな手当取れるものは取ってということでやっているんですけれども、それでも非常にせっぱ詰まった状況になっていて、自分の食べるものとか着るものはもう一切削って、それでもまだ足りないという状況になっているということなんです。
 それで、これまでの議論の中でも政府は保護を受けていない母子家庭とのバランスということが言われたんですけれども、実際、二〇〇六年の七月のOECDの発表している対日経済審査報告書の中では、我が国で働いている母子世帯の貧困率というのは五〇%以上で、ほかの国と比較してももう際立ってやっぱり大変な状況になっているということがあるわけで、そういう中で、やはり母子家庭全体の生活を貧困により一層させているんじゃないかという問題あるんじゃないかということが二つ目です。
 それからもう一つ、三点目は、自立のための就労支援の強化を名目として来年四月から児童扶養手当の削減が予定されているわけですけれども、この削減対象となる受給、五年間ですよね、五年間でこれは切れることになるわけだけれども、五年が過ぎたらじゃ状況が良くなるのかというと、そういうふうには考えにくいわけですよね。
 国立社会保障・人口問題研究所で研究されている阿部彩さんという方の調査によりますと、正規雇用、継続雇用の場合の時間がたつにつれて勤労所得が増加していくんですけれども、ところがパートなんかはほとんど変わらないということがあるわけです。児童扶養手当の所得制限三百六十五万円に五年間で到達することができるのはもう例外的なケースだというふうにこの方は指摘しているわけですね。
 母子世帯の今平均の所得でいうと、〇五年の調査で二百三十三万円、世帯一人当たりにすると八十三万ということで極めて大変な状況にあるわけで、この母子家庭の母親の八割以上が仕事に就いているけれども、しかしパートなどの低賃金で働いていると。まさしくワーキングプアの状況から抜け出せないということがあるわけで、そういう中で、五年間でこれ削減することが妥当なのかどうかと。
 この三点についてのお答えを願いたいと思います。

○副大臣(岸宏一君) 母子家庭の自立支援策につきましては、紙先生も御承知のように、福祉から自立へという方向で四本の柱を中心にして新しい施策を取り組もうと、こういうことを進めてきたわけでございます。それによってどれほどの母子家庭の所得や収入が変わったか、良くなったかと、こういう調査もしなきゃならないわけですが、たまたま十七年で、母子家庭は十七年の収入でいうと二百十三万円であって、平成十四年よりも、二百十二万ですから、ちょっと増加しているんですよね。でも、決してこれは増加した、一杯になったというふうな状況ではなかろうと思います、率直に言って。
 ですから、今後この問題につきましては、与党として今後この問題をどう扱うかということでPTをつくって検討をいたしておりますから、そういう動きと相まって母子家庭対策の万全を期していくべきだと、こういうふうに考えております。

○会長(田名部匡省君) いいですか。

○紙智子君 三点。

○副大臣(岸宏一君) トータルとして、あとは何でしたっけ。

○紙智子君 平均ということで、母子家庭の生活保護の母子加算の削減で均衡を取るというふうに言ってきたんですけれども、母子家庭全体の生活がより一層これによって困窮させることになるんじゃないのかと。段階的に母子加算を削っていくことなんですけどね、が一つと、最後は、実際には児童扶養手当の削減が予定されていて、このことが与える影響ということで、これについてということで、三つお聞きしました。

○副大臣(岸宏一君) そのことについては与党PTで検討して、それをまってやりますけれども、会長、済みません。

○会長(田名部匡省君) 発言は求めてからやってくださいよ。

○副大臣(岸宏一君) そのことについては今与党PTでやることになっていますが、生活保護よりも下になるなんということをやっちゃいけない、これはそのとおりです。