<第168回国会 2007年11月1日 農林水産委員会 第4号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 最初に、農業者戸別所得補償法案についてお聞きいたします。
 農業政策は本当に総合的なものでありまして、この法案だけで全体をフォローするというものではないと。あくまでも所得補償ということで出されているというように思います。
 そこに立ってなんですけれども、今の日本農業をここまで衰退をさせてきたその最大の原因が、やっぱり農産物の、農畜産物の輸入自由化にあるというのは周知の事実だというふうに思います。これ以上農産物の輸入自由化が進むことになりますと、これは国内の農産物は輸入農産物に価格の上でも太刀打ちできない事態になる、市場から退場することになるんじゃないかというふうに思うわけです。もちろん、負けないように競争力を付けるんだといって必死に努力されているというのもよく分かっているわけですけど、しかし、最近もテレビ、NHKでも報道されていましたように、米一つ取っても、例えば中国だとか外国でも作られていて、それも日進月歩で非常に品質も良くなってきていると。それで、余り変わらないで価格はもう破格に安いものが入ってくるということになりますと、これはもういやが応でも大きな打撃を受けることになるというふうに思うわけです。
 こういう状態で幾ら所得補償をしても、結局農業者にとっては売れないものを作ることになるんじゃないのかと、あるいは作っても売れないと、こういうことになれば生産の縮小というのが余儀なくされていくんじゃないかと思うわけです。生産が縮小になりますと、この法案見ますと、生産面積によって所得補償は計算されるということですから、そうすると生産の縮小によって所得補償も減少することになると思うわけですよね。
 そこで、民主党としてはこの農産物の輸入自由化についてどのように対応しようというふうに考えているのか、まずお聞きしておきたいと思います。

○平野達男君 御承知のように、日本の農産物の自給率、カロリーベースでございますけれども、四〇%四〇%と言われていたのが、いつの間にか四〇%を割って三九%になっている。もう先進国と言われるような国の中でこれだけ自給率が低い国はないと言ってもいいわけです。その理由が、外国から安い農産物が入ってくるということについては、今、紙委員が御指摘のとおりであります。
 私どもはこの委員会で、今日も重ね重ね申し上げましたけれども、自給率を上げたいということをまず明確に今打ち出しております。そして、まずその前提として、守るべきものはきっちり守っていくということであります。その守る手段として、関税ということもございますしあるいは直接支払ということもございます。特にもう、もし直接支払によって守るべきものが守れないという場合についてはやっぱり関税に依存するということにもなってきますし、いずれ、核としてはこれ以上の自給率の低下はさせない、農山村の疲弊というのはこれ以上深刻なものにしないと、そういう決意で臨んでいるということであります。

○紙智子君 農産物の輸入自由化はいろんな形態があります。それで、WTO協定が一番大きなものですけれども、FTAについて見ても、例えば日豪のFTAのように、日本農業にもう壊滅的な打撃を与えかねないという、こういうものもあります。それで、我が党は、この間FTAの協定についても、何でも反対の方向ではないですけれども、しかし日本農業に与える影響をやっぱり検討して、これまで例えば日本とメキシコの間のFTAあるいは日本とフィリピンの間のFTA、これについてはやっぱり影響はもう大きいというふうに考えて反対をしてきたわけですね。
 それで、民主党としては、これまでFTAについてはどうだったのか、そしてこれからどういうふうに対応しているのかということについて、次にお聞きしたいと思います。

○平野達男君 まず、これも何回も申し上げたとおりでありますけれども、自由貿易に立脚した我が国日本は、やっぱり基本的にはWTO、FTAの推進は図っていかなければならないだろうということであります。しかし、だからといってそれがすぐ農産物の自由化ということにはつながらないということであります。さっきの繰り返しになりますけれども、守るべきものは守っていくということを前提にしながら、WTO、FTAを推進していくということです。
 まあFTAのことにつきましては、今日も御紹介申し上げましたけれども、日豪のFTAの交渉につきましてはまだ何にも準備ができていないと。こういうときにFTAの交渉に入っていくことは、拙速に入っていくことは反対だということを党の方針として明確にしたということであります。
 繰り返しになりますけれども、基本の原則はやっぱり、これだけの自給率が落ちている、そして農山村が非常に疲弊している、これ以上の悪化を招かないような仕組みをきっちり構築していくということであります。

○紙智子君 今、日豪のFTAはお答えになったんですけど、メキシコとかフィリピンなどを含めて、これはこれまでどういう対応をしてこられたんでしょうか、その判断といいますかね。

○平野達男君 申し訳ございませんが、今日はその準備をちょっとしておりませんので、各国別のFTAをちょっと調べまして、後日御報告を申し上げたいと思います。

○紙智子君 当然、そういう影響なんかについても分析されているのであれば、それを是非お話しいただきたいということと、それからこの後も、とにかく軒並み並んで待っている状態といいますか、アメリカあるいは中国、それからEU、それからASEAN、こういうそれぞれのところがあるわけですけど、これについては、民主党としてはどうするのかということでは対応策は考えておられるんでしょうか。

○平野達男君 ですから、WTO、FTAについては積極的に推進する、その過程の中で農業というのはもうできるだけ守っていくということであります。
 しかし、これも午前中あるいは午後からの議論の中で御答弁を申し上げましたけれども、これは交渉事でありまして、いろいろなやり取りの中でどうしても物によっては関税を引き下げざるを得ないという場合もこれは排除できない。そういう場合には直接支払という形で生産者の所得を補てんしてやって、その再生産の持続性を確保するというような仕組みも必要になる場合もあります。そういったことも想定しながら、このWTO、FTAの交渉に臨むんだろうというふうに思っております。

○紙智子君 我が党も前回いろいろ、フィリピンの関係ですとか検討した際に、やっぱり具体的に、交渉事とは言うんですけれども、その結果どういうふうな影響を受けるのかということによって判断をするということになると、実際、じゃ受け入れざるを得ないとした場合に補償すると言うんだけれども、その補償は実際どれだけあるんだろうかということも含めてやっぱり厳密にこれは検討しないといけないことだというふうに思うんですけれども、そこのところは民主党さんとしては今言われたことで対応されるということなんでしょうか。

○平野達男君 ケース・バイ・ケースで、その時々の状況に懸かってくると思いますけれども。繰り返しになって恐縮でありますけれども、守るべきものは守る、特に日本の農山村、農業は守るということをしっかり意識しながらやっていくということだと思っております。

○紙智子君 今答弁をいただいたことというのは、実は民主党さんのマニフェストの中には書いていないことですよね。この中には書いてないと思うんですよ。各国とのFTA締結の促進を両立させますということは明記してありますけれどもね。
 それで、民主党さんとしては、我々の認識は輸入促進、推進という立場で来たんだろうというふうに認識をしているわけです。小沢党首の発言も先ほども他の党からの質問の中でもありましたけれども、今答弁された中身ということで聞きますと、民主党さんの言ってみれば、載ってないわけだけれども、どういうふうに位置付けて、そしてこの後それをじゃ実際担保していくということになるとどういうふうにするのか。政策の上できちっと明記するのか、そういったことを含めて、どうでしょうか。

○平野達男君 まず、農産物の自由化を促進するという立場、スタンスだというふうな御指摘がございましたけれども、そういうスタンスは取ってないということは、これは再三申し上げたとおりであります。ここまで自給率が落ちてきている。繰り返しになって恐縮ですけれども、農村は疲弊している、そういう状況の中で安易な農産物の自由化はこれは認めるべきではないというふうに言っているわけです。
 そして、繰り返しになりますけれども、農業を守る、地域を守るというのは必ずしも関税化の措置だけでもない。これは直接支払という形で再生産を補償するという手段もあるわけです。その影響を、例えば関税を下げて、その影響を見ながら、関税を下げた結果どういう影響が起こってくるか。その中で、直接支払についてはこれだけのコストが掛かります、この効果はどれだけですよということも見ながら、ケース・バイ・ケースによってFTA、WTOの交渉に臨むんだろうというふうに思っています。
 大事なことは、気持ちとしては、もう日本は関税はこれ以上一歩も、一%も下げたくない、できれば国内自給率を上げたいという気持ちは持っています。しかし、かつて、これも何回も申し上げたとおりですけれども、国会決議までして米は一粒も入れないといってガット、WTO、当時は何でしょうか、ガットですか、ガット交渉に臨んだ経緯もございますが、結果的に今七十七万トンのミニマムアクセス米がどんどん入ってきている、毎年入ってきていると。そういう状況の中で現実的な対応もしなくちゃならない。しかし、その現実的な対応もするんだけれども、この農業それから農村を守るということについての明確な姿勢だけは崩してはならない。そのために、その一環として、一環としてというか、そのために作った法律ではございませんけれども、そういうことが起こった場合にこの法律も発動できるということであります。

○紙智子君 私も率直な思いで言いますと、やはり民主党さんの中でも人によっては違うことを言われる人もいるもんですから、やっぱり党として、だれが見ても、それでもって動かないということでのちゃんと担保を取ることをされないといけないのではないかなというふうに思うわけです。

○平野達男君 確かにいろいろあるんです、もう党内では。だから、それは、党内の中での議論があるというのはどこの党でも多分同じだと思います。
 ただ、民主党としての考え方というのは、このマニフェストに示しているとおり、あるいは小沢代表の考え方、政権のマグナカルタでしたか、ということで示しているとおりでありまして、基本的にWTO、FTAは推進します、しかし守るべきものは守っていくんだということであったということで、これが民主党の党の方針だということは重ね重ね申し上げさせていただきます。

○紙智子君 じゃ、またもう一度後からお聞きしますけれども、ここで政府、農水省に対して質問したいと思います。
 それで、飼料価格の高騰問題についてなんですけれども、これは朝日新聞の十月二十日に載った投書なんですね。群馬県の前橋市の方、女性の方が載せているんですけれども、飼料価格が高騰して酪農が困難になっているというものです。それで、子牛を育てるために代用乳が与えられているんだけれども、一年間で六千六百円から一万円にアップと。子牛を二か月育てるミルク代は二万円、しかし二か月の子牛の値段は二万円以下ということの話ですとか、群馬では牛乳の卸値が一リットル当たり十円以上も安いために、F1という肥育牛を育てているんだけれども、農家も増えていると、しかし肥育牛の価格は安くて採算が取れないと。去年、群馬県全体で九百十四戸あった県の酪農家が今年二月の段階で八百五十戸に減っていると。六十四戸ですね、減っていると、こういう記事が載っております。
 それで、和牛の農家もこの飼料価格の高騰もあって所得が半減したという報道もされましたし、さらにこの配合飼料の価格の安定制度の民間の方の通常の補てん基金ですね、これも今底をついていて、年度末には百億円不足するという事態にもなっているというふうに言っているわけですよね。ですから、正に事態としてはこの問題はもう一刻の猶予もならないほど深刻だと。
 農水省は、このような対応、どのようなこれに対する対応をしているのかということについて明らかにしていただきたいと思います。

○国務大臣(若林正俊君) 委員が群馬県の酪農家の例を挙げ、また肥育牛の経営が大変この飼料高騰によって厳しい状況になっているというお話がございました。今、畜産農家が飼料の高騰によりまして大変経営が厳しい状況になっているということについては、我々も深刻にこれを受け止めているところでございます。
 昨年の秋以降の配合飼料価格の上昇に対応しまして配合飼料価格安定制度による補てんが行われてきておりますが、委員もお話しになりました基金残高について見ますと、仮に現在の価格水準で今後も推移すると仮定した場合には、通常補てん基金というものは不足が生じます。また、異常補てん基金についても大幅にこれが減少をするというふうに見込まれるわけでございます。
 そこで、こうした状況を踏まえまして、本年度におきましては異常補てん基金から通常補てん基金への貸付けを行う、内部での資金の対応をいたしますとともに、平成二十年度の予算については、通常補てん基金の財源不足が生じた場合には必要な基金財源の借入れに対する利子補給が行えるように予算要求を行っているところでありまして、今後の配合飼料価格の安定制度の、これ自身大事な制度でありますので、その安定的な運用に支障が生ずることがないように対処してまいります。

○紙智子君 幾ら積み増すというような金額も、もしあれでしたらおっしゃっていただけますか。

○国務大臣(若林正俊君) 先ほども申し上げましたが、今の価格水準、本年十月―十二月期の水準で今後も推移すると仮定した場合には、本年度末において通常補てん基金で約百億の不足が予想されます。また、異常補てん基金もその残高は四百億円に低下するおそれがあると、このように見ているところでございます。

○紙智子君 積み増す額を言っていただきたいと言ったんですけど。一言で。

○国務大臣(若林正俊君) 通常補てん基金の方は、その財源確保のための借入れを予定をいたしております。その異常準備基金の方からこれを融通するわけでありますが、異常補てん基金の計画的な積立てにつきましては、二十年度の予算要求額は五十億円ということを予定しております、要求しております。

○紙智子君 今そういうふうに要求しているという話だったんですけど、率直に言いまして今の対応では追い付かない、間に合わない、今の対応ではもう離農せざるを得ないというところまで現場は追い詰められているというふうに思うんですね。なぜならば、補てん基金が発動されても、農家段階でいいますと平均して五千七百八十円、これ配合飼料の価格が上がっているわけですよ。負担が増えているということなんですね。
 私も具体的に北海道の酪農の話を聞いたんですけれども、例えば厚岸町の酪農家の話を聞きますと、一トン当たり負担増で増えてるのが六千三百円なんですよ。そうすると、一頭の牛が一年間で大体三トンぐらい食べると、もっと食べるのもいますけれども、それで考えますと、もし百頭飼っていますと、これ掛け算すると百八十九万円もの負担増ということになってしまうんですね。それで、この農家の方でいいますと、農協全体で、中で見ても、結局飼料代が経営全体に占める割合が、去年までは三五%ぐらいなんですよ。それが今度四〇%にもう達しようというところまで来ていて、だから本当に経営に占める飼料代がこれだけ大変な大きな重荷になってきているということなんですよ。
 それで、これは今酪農の話しましたけど、養鶏とか養豚の場合はもっと深刻だと。それで、本当に残念なことですけれども、つい先日も一人三十六歳の後継者の方が亡くなったんですね。自らもう命を絶つということになって、背景にやっぱり大変な深刻な経済問題があったということが言われているわけです。
 農家の負担がこういうやっぱり大変な事態になっているという中で、この上がり分ですね、今補てんするといってもすぐ手元に行くわけじゃないわけですから、今すぐやっぱりそこに対する補てんをしていくということでは、増加になっている部分について、それこそ国が思い切ってやるぐらいのことをすべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか、大臣。

○国務大臣(若林正俊君) 農林水産省としましては、まずは今の制度であります配合飼料価格の上昇に対します畜産経営への影響を緩和するために、配合飼料価格安定制度から配合飼料価格の補てんを行うと、先ほど申し上げたとおりでございますが、しかし委員もおっしゃられました、そういうこの配合飼料価格の補てんだけで当該畜産経営をしている人の飼料費の増加に対してこれで賄っていくというのはなかなか厳しい環境にあると思っております。
 そこで、これらの増加に対しましては、つなぎ資金として、低利融資を行う家畜飼料特別支援資金を発動させたところでございます。この資金は、貸付利率は一・六%、償還期間は十年、据置き三年以内と、そして全体の融資枠は今四百五十億円を想定をいたして対応しているところでございます。
 こういう配合飼料価格の上昇に対しましては、こうした農家負担の激変緩和措置を一方で講じられている間に、構造的な問題として、生産段階におきましては粗飼料やエコフィード、食品残渣飼料といった国産飼料の生産や利用の拡大、また家畜の飼養管理の改善、衛生対策の徹底など、家畜の生産性を向上するその努力を推進をいたしていきますとともに、生産コストの上昇が小売価格に適切にやはり反映される、これは乳価でありますとかその他の価格でございます、この適正な反映ということは必要になってまいります。
 そのような認識をいたしておりまして、加工流通業者や消費者への理解を醸成するということが重要であると考えておりまして、ただいまこれら関係者に対します理解を求めるような環境整備を進めているところでありまして、これら各般の施策を一層推進してまいりたいと、このように考えております。

○紙智子君 実際に価格に転嫁することも含めて要請しているという話もあったんですけど、それとつなぎ資金という話あったんですけど、今すぐには手元へ行かないんですよ。それも今要請している段階ですからすぐに反映されるわけじゃないわけで、だから本当に、その一刻も猶予ならない事態ということについて、米の場合は今そういう対策を取ってやってきているわけですけれども、この畜産も同じように深刻な事態になっているわけで、やっぱりもっと思い切った、今までの枠を超えてそういう対策を打つ必要があるというふうに思いますので、そのことを是非検討いただきたいというふうに思います。
 それともう一つ、今年の予算委員会でも取り上げたんですけれども、飼料の海外依存をできるだけ避けて、日本の飼料自給率を一刻も早く引き上げていくと、それが非常に大事になっていると思うわけです。飼料米を、その意味では耕作放棄地や水張りの減反などで生産しますとこの飼料自給率を劇的に上げることができるということで、この間、日本農業新聞でも、例えば岐阜の養老町の飼料米の生産の取組の紹介もされていましたけれども、こういう取組を全国に広げることが必要だと思っておりまして、この点での農水省としての、どういう今手だてを取っているかということでお話しいただきたいと思います。短くお願いします。

○国務大臣(若林正俊君) お答えをする前に、先ほどの家畜飼料特別支援資金でございますが、もう既にこれは発動することに決めておりまして、そういう畜産農家が手続を踏みますと融資できるような対応ができるようにもう既になっております。
 それから、飼料米の生産の推進に関することでございますけれども、飼料の自給率の向上のためには水田の活用も視野に入れて飼料作物の生産を推進することは私は重要なことだと考えております。
 御指摘の飼料用米につきましては、その生産コストが、輸入飼料といえばトウモロコシと対比されるわけですが、トウモロコシの価格よりも五、六倍高いという状況になっております。そのことから、本格的にこれを普及、利用するということにつきましては、生産コストの大幅な低減がなければこれが実際に普及することが難しいわけでございます。
 そこで、現状では、飼料用米を高く買い入れるなど、畜産と密接に連携している一部の地域において限定的に飼料用米の生産及び利用が行われておりますが、その生産に対しましては、地域の判断によりまして産地づくり交付金を活用するということが行われているところでございます。
 これらに加えまして、農林水産省としては、既存の品種を上回る多種品種の育成、省力、低コストの栽培技術の開発導入、飼料用米を利用する畜産物の高付加価値化による輸入トウモロコシとの差別化といったようなことを推進をしているところでございます。このようなことで対応をしてまいりたいと考えております。

○紙智子君 飼料米については、やはりいろんな温暖化の問題ですとかいろんなことを含めても、今研究されて、いかにコストも下げていくかということをやられてきていると思うんですけど、更に力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 それで、これに続いて民主党さんにお聞きしたいんですけれども、民主党の法案で見ると、飼料の自給については量については記載されていないということがあるわけですけれども、政省令に記述するということなのかなというようにも思うんですけれども、この食料自給率向上のためには当然飼料の自給率上げなきゃいけないと。
 それで、その位置付けと、何をこれ対象にしてやるのかということと実際に引き上げる段取り、どうやって引き上げていくのか、そのために注目されている飼料米の問題についてはどういうふうに位置付けるのか。
 それから、ちょっともう時間もなくなるし、もう一つつなげて言いますけれども、それを実行するとすると、実際、予算上の見通しが必要になってくるわけですけれども、それについてはどういう見通しを持っているのかということを最後にお聞きしたいと思います。

○平野達男君 この法律では、あくまでも標準的な生産費と市場価格を基本として様々な要素を勘案して交付金を交付するということになっておりまして、今の自給飼料作物、例えばデントコーンでありますとかいわゆる多収穫米と言われた飼料向けの米についても、十分これは対象になり得るというふうに考えております。
 しかし他方、これは先ほど若林大臣からも御指摘ございましたけれども、ミニマムアクセス米から、十八年からたしか飼料に売却を始めたんではないかと思いますが、たしかトン当たり三万円だったというふうに私はお聞きしております。それを主食用との比較でやると二十五万、それぐらいのかなりのコスト差があるというのも事実であります。これを全額埋めるだけでも大変な費用が出てくるということがございまして、先ほど、正に紙委員の御指摘にもありましたように、飼料米としてやるということであればもっともっとコストを下げなくちゃならない。まだこの研究の余地は十分あると思っていますので、そういった方向で進めることが大事じゃないかというふうに思っています。
 また、ホールクロップサイレージについても、私、これ非常に、若干時間を掛けてちょっと勉強したことあるんですけれども、今大体五千ヘクタールぐらいの面積しかないんですね。ある程度水田を作って酪農をやっている農家に限ってなんですが、お話聞くと、これに、反当たりだと言っていたかな、一万か二万ぐらいの補てん金をいただければやれるんだというような農家もありまして、このホールクロップサイレージについてもまだまだ研究の余地はあるのではないかというふうに思っていまして、その方向でももう少し研究を進めていって、推進の方向で進めていくべきではないかというふうに思っております。

○紙智子君 時間になりましたので、また続きはこの次にしたいと思います。

○委員長(郡司彰君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。