<第166回国会 2007年6月12日 農林水産委員会 第16号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 最初に、政治姿勢の根本にかかわる問題として赤城大臣にお聞きしたいと思います。
 それで、大臣は、前大臣の政治と金の問題が未解明の中で農水大臣を就任をされました。農水大臣の任命の際に、安倍総理から政治と金の問題について何らかの指示なり注意があったのかどうか、最初に御答弁いただきたいと思います。

○国務大臣(赤城徳彦君) 私が大臣に就任するに当たりまして、安倍総理から、農林水産政策の諸課題についてしっかり取り組むようにと、特に今、WTO交渉、大事なときを迎えております、そのことについて、また緑資源機構の問題についてもしっかり取り組むようにと、こういうことで御指示をいただきました。

○紙智子君 政治と金にかかわっての指示なり注意があったかというふうにお聞きしたんですけれども。

○国務大臣(赤城徳彦君) 安倍総裁からの指示は、農政の諸課題についてしっかり取り組むようにということでございまして、特にその政治と金の問題でということでの御指示ではございませんでした。

○紙智子君 ちょっと驚きますね。これだけやっぱり政治と金の問題で大きな不信を、大きくその要因になっているわけですから、その問題に対して安倍総理から何も指示がないというのはちょっと驚きです。
 今現在、問題となっている議員会館に所在しています資金管理団体の事務所費の問題あるいは光熱水費、それから緑資源機構談合事件に関連した企業と政治家の関係などですね。この政治と金の問題について赤城大臣自身はどのようにお考えなのか、その見解をお聞かせください。

○国務大臣(赤城徳彦君) 御指摘の政治と金の問題について、これは私、先ほど来申し上げているところでありますけれども、この問題については法律にのっとってきちんと適正に処理するということが大事でありまして、誤解を招くことがあってはならないし、国民の信頼を裏切るようなことになってはならないと、適切な処理をしなさいということを常々秘書に申し付けておるところでございまして、私の政治姿勢、またさらに、私は政治資金の問題については、微に入り細にわたりそれを扱うというよりは、国政、国家の安全、発展、そういったものに専念をしていくということが私の与えられた職責だろうと考えております。

○紙智子君 大臣は、今月の八日の閣議後の記者会見で、先ほど話出ていましたけれども、林業関連の政治団体の林土連の懇話会からの献金四十万円と、それから特森懇からの献金二十六万円について返却したと述べたわけですけど、この二つの政治団体からの献金を返却した理由、端的にお答えください。再度聞きます。

○国務大臣(赤城徳彦君) 先ほども御答弁申し上げたところなんですが、それぞれ林土連懇話会と特森懇話会と、これは二色ございます。
 林土連懇話会については、先ほど御報告申し上げたように、林土連懇話会から自民党の選挙区支部に献金がなされて、その旨記載し公開していたということですが、ここは理由は分かりませんけれども領収書が違っていたと、そういうことがあって、正しく報告をして、正しく処理をして、またそのことを報告をいたしたわけです。そこで正しく処理をしたわけでありますけれども、その間、林土連懇話会がこれはもう善意で寄附をしていただいていたわけですけれども、御迷惑をお掛けしたということもありまして、この際返却した方がいいと、そういう判断で六月七日に返却したと、こういうことで六月七日に返却したという報告を受けているところです。
 もう一つは、特森懇話会……

○紙智子君 それもういいです。分かります。いいです。

○国務大臣(赤城徳彦君) 特森懇話会については、三年間で二十六万円のパーティー券を購入したと、こう報道があったわけですが、秘書によく調べさせましたところ、これは適正に処理されているという報告を受けております。しかし、これはいろいろ指摘をされているところもありますので、この際、李下に冠を正さずということで、そういう精神で返却すべきものは返却すべきだと、こう考えて返却をしたと、こういうことでございます。

○紙智子君 要するに、今いろいろ返したという理由を述べられているんですけれども、結局、林業関係の政治団体からの献金はこの二団体だけじゃないわけですよ。
 それで、ちょっと資料をお配りしていただきたいんですけれども。あっ、配ってありますね。ちょっと見ていただきたいんですけれども、この資料は赤城大臣の資金管理団体徳友会と、大臣が支部長をしている自民党の茨城県第一選挙区支部に対して林業関係の政治団体が幾ら献金しているかということをまとめた資料です。
 書いてあるように、林土連、三年間七十万、特森懇二十六万、全国木材産業政治連盟九十四万、全国林業政治連盟五十六万。これはどういう経緯でこれらの献金を受けたのか、大臣、明らかにしてほしいと思います。

○国務大臣(赤城徳彦君) この林土連懇話会の先ほどの件、また特森懇話会の三年間のパーティー券のことはお話ししたとおりでございますけれども、一般的にいろんな団体から御支援をいただいておるわけでございまして、それは相手方の善意によって支援、例えばパーティー券を購入していただくとか献金をいただくとか、相手方の善意によって支援してくださっていることでございますので、これ詳細にわたってどこからとか幾らということを申し上げることは、これは差し控えさせていただきたいと思います。
 なお、収支報告書に記載すべきものについては、きちっと適正に処理しなさいということで指示をしております。当然ではありますけれども、これは収支報告書に記載されるものと、こういうふうに承知しております。

○紙智子君 非常に何というか分かりづらい答弁なんですよね。それで、やっぱりこういうことについて逐一、本来秘書に任せておくんじゃなくて自分でちゃんと把握しなきゃいけないと、それが責任だというふうに思います。
 それで、この徳友会は大臣の資金管理団体と、それから自民党の茨城県第一支部というのは大臣が支部長ですよね。当然、この二つの政治団体の収支報告は把握しなきゃいけないし、責任持たなきゃいけないわけですけれども、この資料の中の全国木材産業政治連盟、これは林野庁の所管の社団法人全国木材組合連合会の会長が政治連盟の代表者ですね。それから、法人と政治連盟の住所も同じ場所にあるわけです。それから、全国林業政治連盟は許可法人全国森林組合連合会の前の代表理事会長が連盟の代表者と。事務所も同じところにあるわけです。
 これまでもKSDの問題や日歯連の事件でも、公益法人と政治団体の関係が問題になってきたわけですよ。で、林業関係の団体も同じようなことが行われていると。しかも、大臣が献金を受けたこの一つの全国木材産業政治連盟の関係団体、社団法人全国木材組合連合会は農水省から補助金の交付を受けているわけです。二〇〇三年から二〇〇五年の間の献金に該当する補助金の交付の総額は一億五百一万円余です。この補助金の交付を受けた公益法人が政治団体を通して赤城大臣に献金しているということになるわけですよ。税金が還流しているわけです。
 この資料でも明らかになっているこの林業関連の政治団体からの献金、パーティー券購入を含むすべての献金を返却すべきじゃないですか。明快な答弁を求めたいと思います。

○国務大臣(赤城徳彦君) この御指摘の全国木材産業政治連盟や全国林業政治連盟、こういう団体について、私は代表者がだれとかどういう団体であるかということはよく承知しておりません。
 先ほど申し上げたように、私の資金管理団体、これは多くの善意による支援によって成り立っておるわけでございまして、それらの方々の私に対する期待を裏切らないように適切に判断していきたいと考えております。

○紙智子君 ちょっと通用しない答弁なんですね。通告していましたよ、ほかにそういうところないのかということを、そしてちゃんと調べておいてほしいと、それで答えを求めるということを言ってあったわけで、どういうふうなことか知らないというのはこれは通用しない話だと思いますよ。
 それで、大臣、法律に基づいてということを最初言われたんだけれども、政治資金規正法の二十二条の三項で何て書いてあるか。国から補助金、負担金、利子補給金等々を受けた会社その他の法人は、交付の決定の通知を受けた日から一年間寄附をしてはならない。また、二十二条の三項五号では、補助金等の適用を受けることを知りながら寄附の勧誘、要求をしてはならないと規定されていますけれども、これ御存じですか。

○国務大臣(赤城徳彦君) 紙委員から様々な団体からの支援、献金とかパーティー券の購入、これ詳細にそれを知るべきだと、こういう御指摘でありますけれども、私は、資金の問題については適切に処理しなさいということを秘書に申し付けて、それは私が微に入り細にわたりそのことにかかわるということよりも、国政にしっかり専念をするということが大事だと、こう考えております。具体的にどこから幾らということについても、これは相手方の善意によって支援していただいていることですので、詳細にわたって私からどこから幾らということを申し上げるのは差し控えたいと思いますし、収支報告書に記載すべきものについてはこれは収支報告書に記載されているということであります。
 それからなお、その御指摘の政治資金規正法の何条何条という具体的な条文について正確なところは存じ上げておりませんけれども、公益法人と、今禁止されているとか法律的に問題になっているということと今の御指摘の団体からの資金、献金とは直接法律的な問題になるものではないというふうに考えております。これは秘書には常々適正に処理するようにと、こう申し付けておりますし、そのように処理されているという報告を受けております。

○紙智子君 ちょっと詳細について知らないというのは本当に驚きですね。大臣であるわけですから、そんなことも知らないというのは本当に情けないことだと思いますよ。
 それで、大臣のこの政党支部の収支報告書を見せていただいたんですけれども、この寄附の中に大臣が所管する農業団体からの献金も含まれているわけですよ。社団法人の中央酪農会議、これは二〇〇三年の十一月六日付けで十万円の献金を受けていますし、農水省はこの中央酪農会議に対しては二〇〇三年の十月十七日に生産振興総合対策事業推進という名目で四千九百九十六万円余りの補助金を交付決定しているわけです。それから、全国農業協同組合連合会から二〇〇三年の十一月六日に十万円受けています。二〇〇五年の九月、これ十万円更に受けていて、合わせて二十万円の献金を受けているわけですよ。農水省はこの全国農業協同組合連合会に対しては、二〇〇三年の十一月に献金、これ政治資金規正法に抵触することになると思いますけれども、補助金二千九百九十六億円ですよ。二〇〇五年の九月の献金、これも政治資金規正法に抵触するんですけれども、補助金二百七十七億円を交付を決定しているわけです。
 だから、補助金の名目というのは、名目はなたね契約栽培推進対策事業ですとか大豆作経営安定資金運営円滑化対策などですけれども、これらの献金というのは、先ほど私が紹介しました政治資金規正法の違反の疑いがあるということでは、これ返却すべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○委員長(加治屋義人君) 時間が来ておりますので、簡潔に願います。

○国務大臣(赤城徳彦君) 政治資金の問題については適法に適切に処理するようにということを言っておるわけでございますが、念には念を入れろと、こういうこともございますし、更によく調査の上、適切に処理をしてまいりたいと考えております。

○委員長(加治屋義人君) 時間来ております。

○紙智子君 答弁書を見ながらじゃなくて、今指摘されたことをちゃんとよく受け取っていただいて、どうすべきなのかということで大臣らしい答弁をいただきたいと思うんですよ。
 中央酪農会議や全国の農業協同組合連合会が農水省から補助金を受けているということを知らないはずないと思うんですね。今まで農政だったわけですし、農政通というふうにも言われているわけですから、そういう大臣として今の答弁というのはいかがかと思いますね。秘書に任せているという答弁は、これはもう言語道断と。今まで秘書が秘書が、妻がという話があったけど、もうそれは駄目ということになっているわけですから、そこはやっぱり改めていただかなきゃいけませんし、この補助金の交付を受けている法人や団体からの献金は税金の還流以外の何物でもないわけですから、これは調査して即刻返却すべきだということを申し上げまして、質問にしたいと思います。