<第166回国会 2007年3月19日 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 日ロ領土交渉について最初にお聞きします。
 この間、初めての日ロ戦略対話が行われたということです。二月末にはロシアのフラトコフ首相が来日をして安倍総理と会談をし、エネルギーや貿易投資等、経済分野を中心とした連携強化が合意をされたと。政府間及び民間で複数の文書が署名されたということなんですけれども、領土問題では進展がないというふうに報道がされているわけです。
 今年初めの参議院の委員派遣のときにも、根室市を始め隣接の地域の方々も含めて話をしたわけですけれども、なかなかこの領土問題、先が見えないと、経済的な連携などは進んでいるけれども、肝心の領土問題が後回しにされるんじゃないかという懸念が非常に出されているわけです。
 麻生大臣は今年前半にロシアを訪れる予定というふうに聞いております。領土問題をやはり継続的に話し合っていくと、そういう定期協議の場を意識的にこちらからつくっていかないと、やはり後ろに追いやられちゃうんじゃないかというふうにも思うわけです。交渉のための話合いのテーブルをつくるようにロシア側に対して要求するおつもりがあるかどうか、まずお答え願います。

○国務大臣(麻生太郎君) これまでもいたしておりますし、今後とも当然だと存じます。

○紙智子君 非常に、何というんでしょうか、地域の皆さんから見ますと、特に根室などは領土問題が未解決であるがためにこれまでも様々な問題がやっぱりのし掛かってきているわけです。銃撃事件の問題もそうですし、それから漁業をやっている方の漁具被害の問題なんか含めて、そういう不利益を受けているだけに、やはり後退することがあってはならないというふうに思うわけですね。
 それから、高市大臣にお聞きします。
 所信の中でも、先月の北方領土の返還大会の中でも述べられていましたけれども、国民世論の啓発に取り組むと、そういう趣旨の発言をされています。返還運動を担う地域がやっぱり元気でなければ、これ進まないということがあるわけで、地域がやっぱり疲弊しないための、そういう地域への対策ということと運動の発展ということとの関係についてどのように考えておられるかということが一つと、その点で、昨年根室市が発表しています再構築提言書、これについての重要性などをどのようにとらえておられるのか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(高市早苗君) やはり返還運動、より盛り上げていくためにも、お地元の地域が疲弊しないということは非常に大事だと考えております。
 それから、再構築の提言書についてでございますが、私の手元にも文書が参っておりまして、早速部局に指示をいたしまして、これは国交省等他の省と連携しなきゃいけない内容も非常に多いんでございますが、具体的な御提言一つ一つの項目につきまして、すぐにこれは対応できるもの、既に対応が始まっているもの、そしてまた多少困難な問題があるので検討しなきゃいけないこと等分類をしながら、この対応ぶりを今考え、そしてまた指示をしているといった段階でございます。

○紙智子君 再構築提言については、またそれに基づいて、その中で言われていることとの関係で、地元の要求なども含めて次回の委員会でもう少し取り上げさせていただきたいというふうに思っています。
 続いて、米軍訓練の移転問題なんですけれども、両大臣とも所信で、沖縄の基地負担軽減に取り組むということを発言をされているわけです。基地の負担は軽減されているというふうに思いますか、まずこの点。
 米軍機の訓練移転で、私は嘉手納の基地の負担軽減になるのかということで質問したことがありましたけれども、政府は騒音などの負担軽減になるというふうに答えていると。第一回目が福岡の築城基地で行われたわけですけれども、外務省のプレスリリースで、今回の訓練移転で地元負担の軽減が期待されるというふうに言っていたわけですけれども、その間、嘉手納の米軍機の訓練は減ったのかと、実際。負担が本当に軽減になったのでしょうか。これ、外務大臣にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) 基本的には、先生、沖縄の県民のこの負担の軽減と抑止力の維持という難しい連立方程式というのがそもそもの課題で、この問題は、米軍再編というのはスタートしたのはもう御存じのとおりであります。
 したがって、その中で、F15の訓練等々の一部を本土で実施するということは、その分だけ沖縄の訓練は減ることになりますんで、当然のこととして、築城の部分には騒音が増えるということを、当然のことでしょうけれども、こちらの部分は減っているのは当然ですし、また海兵隊員約八千人、家族を含めますとかなりな数になろうと思いますが、そういった方々が移転する。それに伴いまして嘉手納以南の区域等々の返還ということが実現されることになりますと、これは当然のこととして沖縄の負担は減ってくるということになろうと存じます。

○紙智子君 減ってはいないと思うわけですよね。実際にはF22が新たに配備をされていると。で、所属機は増えているわけですよ。そして、移転訓練中、残ったF15やF22が轟音を響かせて離着陸を繰り返していると。で、地元の新聞報道なんか見ましても、例えば北谷町の砂辺地区では今年二番目の騒音になったというふうに書いているわけですね。
 だから、負担が減るということであれば、この間の騒音ですとか離発着がどうなったのかということを示すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) F22のお話につきましては、これは御存じかと思いますけれども、あくまでも一時的、暫定的なものでありまして、二月から約三か月ということになっておりますんで五月までというもので、極めて暫定的なものだと思っております。
 いずれにいたしましても、訓練移転というようなものを始めまして、これは米軍の再編というのを着実に実施していきますと、先ほども申し上げたように、一時的に重なっているところもあろうかと存じますが、長期的に、中長期的に見ますと、確実に減っていくことははっきりしておると存じております。

○紙智子君 地元ではそういうふうに受け止めていないわけですね。この一回だけ見ても、負担軽減どころか逆にやっぱり騒音被害というのがあると。極めて、そういう意味では、減っているどころか負担感が大きいということなわけです。それで、訓練移転は、むしろ爆音の被害などを全国に、減らす減らすと、地元減らすと言いながら、実際にはほかの全国に対してもそれを拡大していくことになるんじゃないかということを申し上げたいと思うわけですね。
 さらに、この移転との関係でいうと、今度は千歳の問題を言いたいわけですけれども、千歳でも新たな問題が今起きているわけです。
 自衛隊の飛行場というのは、千歳は今二本滑走路があるわけですけれども、今までジェット戦闘機が主に使用していた東側の滑走路がこの間、まあ春からですね、滑走路の改修工事を始めているということですよね。しばらくそういう意味では使えなくなると。平成十五年の十月に完成ということで、この間、十二億円の改修工事をやってきたわけです。それで、その冬、ところが、この入れた骨材が膨脹して石やコンクリートの断片が浮き上がってきていると。滑走に支障を来すという事態になってきたということで、再びまた二十数億円ものお金掛けてここで改修工事をやっているということで、もうこんな無駄遣いないと思うわけですけれども。
 こういう工事自体の問題というのも非常にあるわけですけれども、今度は、こういう工事をやりますと、少なくとも二年から三年の間は結局、東側の滑走路というのは使えないということになると、一番市街地に近い方の、より近い方の西側の滑走路を使うことになるんじゃないかと、一体どうするんだということが出ているんですけれども、これ、いかがでしょうか。

○政府参考人(渡部厚君) お答えいたします。
 千歳基地におきましては、自衛隊あるいは米軍機につきまして、同基地の東と西、二本の滑走路があるわけでございますけれども、この両方を使用できる場合には主として東側滑走路を使用するということとしております。ただ、東側滑走路は老朽化が著しいこと等から、平成十八年度から二十一年度にかけまして改修工事を行うこととしております。このため、この当該年度におきます工事期間中につきましては西側滑走路を使用せざるを得ないと考えているところでございます。
 その場合、どれぐらい騒音が増加するのかということにつきましては、確たることを申し上げることはできませんけれども、従前に比べまして、千歳基地の北東地域、東側滑走路の側でございますけれども、この北東地域の騒音区域が若干狭まるということになるのに対しまして、西側滑走路に近い北西地域の騒音区域が広がるということが予想されるわけでございます。こうしたことから、工事の実施に先立ちまして、地元の御理解と御協力を得るべく御説明をしているところでございます。
 他方、米軍再編にかかわる訓練移転でございますけれども、平成十九年度計画につきましては、先般、一月三十一日に公表しておりますけれども、まだ個々の共同訓練の実施時期あるいは場所、期間等につきましては現在日米間で調整を行っているところでございまして、千歳基地につきましてはいつどのような訓練が行われるのかということにつきましては決まっていないところでございます。
 いずれにしましても、千歳基地におきます滑走路改修工事期間中に共同訓練、移転訓練が行われる場合につきましては、米軍につきましても自衛隊と同様に西側滑走路を使用せざるを得ないと考えているところでございます。

○紙智子君 最初のころのお話と違ってきていると思うんですよ。西側だと東側より騒音が大きくなって市民生活に更に重大な影響を与えるということでは千歳の市当局も言っているわけですね。
 それで、私は、去年十一月に質問主意書を出したわけです。政府は、米軍機を含めて東側を主として使うんだと答弁していました。それから、騒音対策でも、これまでも市が申し入れますと、自衛隊は東側を使うんだということで、その規制措置を遵守するという説明をしてきたわけですよ。市はこの米軍機の訓練移転の受入れを表明しているわけだけれども、東側の滑走路を主として使うということが前提になっていたわけです。この前提が工事期間中崩れることになるわけで、これで市民が納得するというふうに思うんでしょうか。
 もう一度、これは米軍訓練の受入れをめぐって自治体とも住民とも話すべきじゃないんでしょうか。いかがですか。

○政府参考人(山崎信之郎君) 御指摘のとおり、まだ千歳基地におきます訓練の詳細については決まっておりませんが、仮に訓練を行うということになりましたら、地元の御理解を得るべく御説明をしてまいりたいというふうに考えております。

○紙智子君 いろいろ訓練はもう受け入れて一緒にやることも考えるという、そのことを話し合うというふうには言っていますけれども、実際に騒音の被害が出てくるということになるわけで、米軍が来てこの市街地に近い西側の滑走路を使用すると、それではもう理解は住民としては得られないというふうに思うわけです。
 東側の滑走路の工事が三年掛けてこういう改修工事に入るということになっているようですけれども、最初のころの話と住民や市との関係でも違っているわけですから、これは米軍の千歳の移転そのものを再考すべきだということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。