<第164回国会 2006年6月13日 農林水産委員会 第13号>


○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日は、この法案が審議をされる最初のときにお聞きした食料自給率の問題、この法案と食料自給率の問題についてお聞きをしたいと思います。
 六月八日の参考人質疑の際に、参考人の方から、政府の農業政策というのは反省もなく進められてきたという指摘がございました。私も全くそのとおりだというふうに思います。この担い手に農地を集約していこうということで最初に政策として打ち出したのが、一九九二年にスタートした新政策でした。この政策の下で認定農業者制度も生まれました。それだけではなくて、様々な農業制度がこの政策の下で政策変更をされました。
 当時、食料自給率が四六%であったわけです。政府は、この新政策を実施すれば食料自給率は二〇〇〇年には五〇%にする、この目標は達成できるんだというふうにしていたわけです。しかし、二〇〇〇年の食料自給率は結局四〇%まで下がりました。ですから、上げるどころか六%下がったわけです。
 まず、このことに対する反省があったのでしょうか。

○国務大臣(中川昭一君) 反省があるから、この法案の御審議をしていただいているわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、新しい基本法を作って基本計画で四五%を目指そうというふうに思って設定をしたわけでございますけれども、自給率というのは供給サイドだけではなかなか決まらない、消費者の皆さん方のニーズというものもあるわけでございますから。そういう意味で、今回の法律で消費者に好まれるようなものを作ればもうかる、そういう農業を目指そうということでございます。
 時々、くるくる猫の目行政なんていう御批判をいただくわけでございますけれども、我々は反省をして評価をして、そして新しい政策に取り組んでいくということでございまして、猫の目行政でもございませんし、反省もきちっとして、これからの農政をきちっとやっていくという対応を常にしていくということも大事だというふうに考えております。

○紙智子君 今、反省をしたからこそ、この法案があるんだというお話がありました。私は、反省をしたということであれば、どういうことが反省されたのかという中身が非常に問われると思うんですね。反省した中身が間違っていたら、出てくる方向も違ってくるというふうに思うわけですけれども、大臣が反省した中身というのはどういうことなんでしょうか。

○政府参考人(岡島正明君) 前基本計画の下での取組の検証と課題ということで現基本計画の中にも書いておるんですけれども、大きく分けますと、消費面と生産面に分けられると思います。その中で、消費面につきましては、まず食生活の見直しという面、この面が一つの課題だろうと思います。それから二つ目には、国産農産物の消費拡大という面でどうだったかという面。それから三点目といたしましては、品質、安全性などについての情報提供等がどうだったかといったようなことについて課題だというふうに考えたところでございます。
 それから、生産面につきましては、やはり消費者や実需者のニーズに対応した生産の推進でありますとか、加工・業務用需要への対応が的確だったかどうか、あるいは効率的な農地利用がどうだったかと。特に担い手の育成確保等についてどうだったかというような点について検証し、課題として取り組んでいるところでございます。

○紙智子君 結局、反省したと言うんですけれども、言われるのはいつもそこなんですよ。消費者、消費面と生産面なんだということで、じゃ、出した政策そのものがどうだったのかということについてのその分析や見返りということがいつも言われないんです。私はそこが問題だというふうに思うんですね。
 結局は、自給率が達成できなかったというその責任というのは、じゃ消費者が食べ方が変わったからなのかと、じゃ生産者がニーズに合わないような生産をしてきたからなのかって、そういうところに行ってしまうわけです。でも、もっと本当は出した政策そのものがどうだったのかということの見直しが必要なのに、そこがされていないんじゃないでしょうか。
 大臣、いかがですか。

○国務大臣(中川昭一君) 反省はしておりますけれども、国民にこれを食べなさいと言うことも言えないわけです。例えば、米はほぼ一〇〇%近いわけでありますが、消費量は一人当たり半分以下に減っているわけで、もう六十キロを切っているわけであります。消費者に私や総理大臣がお米を食べなければ駄目だなんていうことは言えないわけで、できればお米を食べてくださいと。
 ですから、需要と供給というものがあるわけでありますから、我々は生産サイドから今までいろんな施策をやってまいりました。最近は消費サイドにも、六月は食育月間でございますけれども、こういう形で、牛乳あるいはまたバランスのいい食事を取りましょう、日本型食生活がいいですねということを言っておりますけれども、これは共産国家じゃないんですから、命令できないんですから、是非ともその辺も御理解いただきまして、我々としても自給率向上のために努力をしていきたいというふうに思っております。

○紙智子君 だれもこれを食べなきゃいけないというふうに押し付けろということをやれと言っているわけじゃありません。
 やっぱり現在の食料・農業・農村基本法のこの審議をめぐって、これは一九九九年の通常国会のときに、先ほども大臣も言われていましたけれども、当時、大臣は中川大臣であったと。そのときに、審議の経過については自分がかかわっているわけですからよく御存じだと思うわけですけれども、ここでも食料自給率の問題が議論になって、この中で結局、食料自給率の目標の達成にどう責任を持つのかということに対して、大臣はこう答えているわけですね。「我々は責任転嫁はしません。」と。「最終責任は政府、そして、政府の中でだれだといえば、農林水産大臣たるこの私であります。」というふうに言われているわけです。そして、農水大臣である私自身が責任を取るということを申し上げ続けておると、こういうふうに言っているわけですよね。我々が責任を持ってこの基本計画を作り、自給率を設定していくわけでありますと。
 こうやって二〇〇〇年にできた基本計画で、食料自給率の目標というのは二〇一〇年までに四五%ということで打ち出したわけです。しかし、五年間で食料自給率は上がらずに結局横ばい、四〇%のままで推移をしたと。この責任というのはどのようにお取りになるわけですか。

○国務大臣(中川昭一君) 私が最終責任だということは申し上げた記憶ございます。ただし、新しい法律あるいはその法律をできる前の審議会、食料・農業・農村審議会の議論、私は一番印象に残っているのは、消費者の皆さんと生産者の皆さんが同じ方向で長時間御議論をいただいたことだと思っております。あの法律の中には、生産サイドの責任あるいは消費サイドの責任、中間段階の責任、自治体の責任、そして国の責任と、みんなで自給率と安定供給のために頑張っていきましょうというふうに書いてあるわけでありますから、責任逃れをするつもりは毛頭ございませんけれども、みんなでやっていきましょうというのがあの法律の趣旨であります。最終的には食料政策は私が責任を負っていることは言うまでもございません。
 そういう中で、四〇%を四五%にしようという目標を立てましたけれども、これは我々にももちろんやるべきことがもっとあったのかもしれません、それからほかの要因もあったのかもしれません。現実問題、上昇しなかったということでございまして、だから今度はこの法律でもってプロの農業者に消費者により好まれるようなものを作ってもらおう、で、もうけてもらいましょうというインセンティブをつくって、自給率向上にもカロリーベースで上げていきたいというふうに考えております。

○紙智子君 だから、結局、じゃみんなでやりましょうと。しかし、その法案の中では政府自身の責任ということも当然言われているわけですよ。
 もうちょっと具体的に見てみますと、新基本法ができた九九年と二〇〇四年までのこの期間を比べてみますと、品目別の目標自給率でいいますと、米が九五%から九五%です。これは動いていないわけです。小麦がこのとき九%から一四%に上がったんです。それから、芋類は八三%が八三%。大豆が四%から三%に下がった。それから、野菜が八三%から八〇%に下がりました。果実が四九%から三九%に、これ一〇%下がっているわけです。そして、肉類が五四%から五五%に、これは一ポイント増と。鶏卵が九六%から九五%。牛乳及び乳製品が七〇%から六七%にこれ減少しているわけです。
 この中で目立つのは、小麦が五%上がっているということ、それから、肉類を除きますとあとは全体が、横並びのもありますけれども、全体は下がってきていて、特に果実が一〇ポイントも減少しているわけです。肉については米国産牛肉がこのとき輸入禁止になったということが大きいわけですけれども、牛肉だけ見ると三六%が四四%にこのとき上がっているんです。
 大臣、小麦以外の大体ほかの品目というのがこの自給率を下げていると、これについてどのように受け止めますか。

○国務大臣(中川昭一君) 今、紙委員御指摘のように、牛肉については二〇〇一年の日本でのBSE、あるいは二〇〇三年のアメリカのBSE、いろんな問題、あるいは鳥インフルエンザ等々がございます。野菜がどの程度カロリーベースに貢献しているか私はよく分かりませんけれども、いずれにしても、我々は自給率向上しましょうと、国民の意識も自給率に対して不安があるというコンセンサスがあるわけでございます。他方、消費者の好みもあるわけでございますから、是非とも国産をより食べていただくようにする、またそのために生産者も努力をしていくということが自給率向上の一番の私はポイントではないかというふうに考えております。
 個々の状況についてはいろいろとそのときのアドホックな事情もあると思いますけれども、やっぱり生産者と消費者が協力して、つまりマッチングして自給率向上に努めていく、そのための政策を我々は推し進めていきたいというふうに考えております。

○紙智子君 小麦以外が全体が下がっているということについてどうかということは、ここはおっしゃらなかったわけですけれども、じゃこれからということで、この法案が成立した場合に、大臣は二〇一五年の食料自給率目標四五%、これ達成できる具体的な年次別のステップ、どんなふうにして具体的に実現していくのかということについてお示しいただけますか。

○政府参考人(岡島正明君) 前回の基本計画の反省点といたしまして、やはり自給率向上の取組をできるだけ関係者が一体としてなってやる、その中で取組を迅速かつ着実に実施して、できるだけ早期に向上に転じるように施策の工程管理を適切に実施するということでございまして、そのために地方公共団体、農業者、農業団体、食品産業事業者、消費者、消費者団体、もうとにかく関係者の方々皆様の役割を明確化した上で、関係者から成る食料自給率向上協議会を設置して、工程管理を実施しているところでございます。それに基づきまして十七年度の取組を実施し、十七年度の取組についてそれぞれがどうであったかというのを検証して、先般、十八年度の行動計画も立てたところでございまして、こういった工程管理をきちっとしながら関係者が連携して食料自給率の向上に取り組んでいくというふうにしているところでございます。

○紙智子君 目標がいきなりできるわけじゃないと思うんですけど。やっぱり段階踏んで実際にこれだけの引上げのためにこういうことをするということで示していただきたいんですけど、その具体例というのはお示しになれないんですか。

○政府参考人(岡島正明君) 先ほど御説明しました食料自給率向上協議会においてかなり詳細な行動計画を立てて、それぞれの主体がどういうことをこれから取り組んでいくかということを工程的に示しているところでございます。

○紙智子君 結局、みんなで作っていろいろ話合いをしようというだけであって、全く具体性も何もないというふうに思うわけですよ。担い手が形成されれば、先日も厚く形成されれば達成されるというふうな話の範囲なわけですから、これは何の説得力もないと思うわけです。
 新基本法が成立して以降、唯一自給率が五ポイント上がった麦について見ますと、これ今回のこの制度で、この担い手にならない場合は生産費を大きく下回った価格しか得られないということですよね。担い手から外れた場合は今まで出ていたものが出ないわけですから、作れば作るほど赤字になるということになって、これは生産費を大きく下回った価格しか得られないので生産を継続できないことになってしまうと。この担い手になるのは、例えば北海道でいいますと三割程度、都府県でいいますともっと少ないと思われるわけです。せっかく自給率五ポイントを努力して上げてきた小麦の生産が、そうなると結局大きく打撃を受けることになるんじゃないのかと。そうすると、小麦の自給率はこれ確実に下がることになる、そしてこれはカロリー自給率の引下げにつながっていくというのは必至じゃないかと思うんです。同様に、大豆の場合もこれ同じ状況になるんじゃないのかと思うわけですけど。
 先日、北海道で公聴会やった際に、四人の出てきた公述人の方は、この今度の政策で自給率が上がると思うか下がると思うかという質問に対して、四人が四人とも下がるというふうにおっしゃったんですよ。そういう実感があるからなんですよ。これでどうして食料自給率が上がるんですか。大臣。

○政府参考人(井出道雄君) 今回の経営安定対策の導入によりまして、この生産性の高い担い手が生産の相当部分を占めるようになると、生産コストが下がり品質の向上が図られる、あるいは消費者や食品産業の需要に的確に対応して農産物を安定的に供給できる体制が確立すると、そういう中で国内農産物の生産拡大等自給率の向上が図られると、こういうふうに考えているわけでございます。

○国務大臣(中川昭一君) なぜ小麦の自給率が上がったか。私は、幾つかの要因があるのかもしれませんが、最大の要因は実需者に好まれるものを生産をしたからだというふうに思っております。
 このように、この法律、今御審議いただいている法律におきましても、メリットがあると思ったら是非対象農家あるいは対象集団に入っていただきたい、メリットありますよと。黙って何もせずにいたら、それは対象から外れるというのは言うまでもございませんけれども、是非入ってくださいと。こういうことがメリットにあるわけでございますので、それを前提にして自給率は向上していくというふうに理解しております。

○紙智子君 入ってくださいと言うんですけど、それができればだれもその苦労しないと思いますよ。実際には入れないような状況があるわけじゃないですか。だって、先ほどからのやり取りで聞いていても、結局その全体を、じゃ集落営農に入れるということでそれは認めるのかといえば、全部は対象にするつもりはないという話がされるわけですし。そうですよね。だれでも入りたい人は入ってくださいということじゃないわけじゃないですか。どうなんですか。

○国務大臣(中川昭一君) 個々の農家にいたしましても、集落営農にしても、もちろん数さえそろえばいいとか、面積さえそろえばいいということじゃございません。逆に言うと、面積だけの要件ではないということを重ねて申し上げなければいけないと思います。つまり、もうかる農業、消費者にいいものを供給しようというやる気と能力のある方は対象になりますよと。やる気と能力のない人で、今までと同じようにしていて、いや外れたというのは、業としては私は、国民の税金を使わしていただいて対象にするということにはならないわけで、どうぞ入ってくださいと、いろんな要件がございますのでどうぞ入ってくださいということを我々としてはこれからも強く訴えていきたいというふうに考えております。

○紙智子君 私はやる気と能力というのは皆さん持っていると思いますよ。本当に必死になって頑張っておられると思います。
 前回も質問したんですけれども、担い手を絞り込むことによって、例えば転作の大豆や麦などのブロックローテーションもこれ回していくのが困難になると、対象から外れた農家というのは米生産に走らざるを得なくなるんじゃないかという懸念が参考人の方からも出されました。結局、生産調整も機能しなくなっていくんじゃないかと。米価は下落を一層強めて、農業生産現場ということでいいますと、多くの混乱を招くことになるということですよね。
 それから、米価の下落ということでいいますと、規模拡大農家に一番打撃を与えて、ナラシ対策ということを言われるんだけれども、これがあっても下がっていくと。これこの前も、昨日、おとといですか、質問でやり取りしましたけれども、結局は価格が下がればそれに合わせてどんどんどんどん下がっていくという仕組みですから、そういう中で影響は防ぐことはできないと思うわけです。
 一体どこにこの食料自給率の向上の具体的な根拠があるのかというふうに思うわけです。食料自給率の低下につながるむしろマイナスの要因の方が今回のこの政策から見てもはるかに多いんじゃないかと。これで本当に食料自給率が上がるということで言うのであれば、その具体的な根拠を再度明らかにしていただきたいと思います。

○政府参考人(井出道雄君) 委員の御指摘の中で、ブロックローテーション等が崩れていくんじゃないかという御指摘がありましたけれども、私どもは生産調整をより確実に実施していただくという観点から、今回も生産調整を担っております転作集団、こういうものについては規模要件等を大幅に緩和をするという形で、ブロックローテーション等の担い手についてはこの対象にしていくという考え方をはっきり示しております。
 ただ、地域によって、先ほど来御議論、御意見がございますように、どうもその特例部分についての政策浸透が十分でないという点もあろうかと思いますので、その点については、私どもも残された時間、真摯にそれを受け止めてその周知徹底に努めていきたいと思いますが、あくまで生産調整の現場の現状を乱さない、あるいは生産調整から、近い将来には米も含めて集落全体の集落営農へ発展していっていただきたいと、そういったものについても対象とすることとしておりますので、それによって生産調整が緩んだり崩れたり米が過剰になったりするということは、その観点からは防ぐべく努力をしているということでございます。

○紙智子君 希望的な観測では物事が進まないと思うんですよ。実際にやっぱり具体的な根拠ということでは、いろいろお話はされるんだけれども、あくまでもそういう努力をするということを言われるだけであって、何らやっぱり示されていないというふうに思うわけです。
 この法案が仮に実施をされて、その結果、食料自給率が下がった場合、大臣はどのような責任をお取りになるつもりなんでしょうか。

○国務大臣(中川昭一君) 自給率の向上は基本計画に基づいておりますので、基本計画どおりにいかなかったときは、更に自給率の向上に向けて努力をしていかなければならないというふうに思っております。

○紙智子君 もうそれでは全然納得できませんね、はっきり申し上げまして。結局みんなが納得するような何ら説得力のある説明がされていないというふうに思いますよ、この間。繰り返しそのことは指摘をしてきましたけれども、これではとてもやっぱり食料自給率達成ということにはならないというふうに言わざるを得ないわけです。
 やはり、このような内容について、私は今回のこの審議で採決をして次に進むということはすべきでないと、もう一回やっぱりちゃんと検討し直すべきだというふうに言わざるを得ません。そのことをちょっと指摘して、あとちょっと時間もわずかになりましたので、あと二点お聞きしたいと思います。
 農地・水・環境の向上対策についてです。
 この対策については、地方自治体がこの間、危機感を持っております。農水省はこの対策の全体の予算規模について、おおむね四百億円というふうに伝えられているわけですけれども、国と地方の負担割合がおおむね一対一ということになりますと、まあ仮に四百億とした場合に、地方負担というのは二百億になるわけですよね。地方としてみればこれ大変な負担なわけです、金額なわけです。それも、東京や大阪などの大都市の県ではほとんどこの負担額が出てきませんけれども、特に農地面積の多い過疎地域を抱えている自治体の負担は大変重いものがあるというふうに思うんです。
 この新たな負担に対する地方自治体の財源について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

○副大臣(三浦一水君) 地方自治体から地方財政が厳しいとの声があることは承知をいたしております。
 農地・水・環境の保全と向上を図る取組は、国、地方のそれぞれが適切に役割分担を行いながら、それぞれの視点に立って実施すべきものでありまして、国の支援と併せ地方にも応分の負担を求めていくことが適切かと考えております。
 今後、平成十八年度のモデル支援での検証を踏まえまして更に地方の裁量を尊重する枠組みにつきまして検討をし、地方の負担について理解が得られますように努力をしてまいりますとともに、地方からの要望もきちっと勘案をしつつ、具体的な予算規模につきまして平成十九年度の概算要求に向けまして検討をしてまいりたいと考えております。

○紙智子君 これについては、当初非常に期待があったと思うんですよ。ところが、実際に具体的な話になってきますと非常に不安の声が出されていて、先日の公聴会もやっぱり全額国負担でやってほしいというような声も出ておりました。
 先日、農業委員会の大会があって、その参加者の皆さんも今度のことをめぐって訴えがありましたけれども、農業委員会に対する例えば補助金などの場合も一般財源化されると、具体的に言えば地方交付税に一本化されてきているわけだけれども、その結果として、農業委員会に渡るべきお金が渡っていないような事態も起こっていると、農業委員会の運営に支障を来しているということなんですね。それほど、やっぱりこの間、地方自治体に対しての三位一体改革によって、地方交付税の削減ということの中で非常に財政が逼迫しているわけです。そのしわ寄せが農業関係の予算に出てきているわけです。
 加えて、結局財政措置されずに新たに二百億円の地方負担ということで今回の対策で求めたとしても、本当に地方にそれを受け入れていく条件があると思われているのかどうか、もう一度お願いします。

○政府参考人(山田修路君) 先ほど副大臣からお答えをいたしましたけれども、この対策につきましては、国、地方それぞれが利益を受けるということでございますので、地方におきましても応分の負担をしていただきたいと考えているところでございます。
 なお、地方財政につきましては、例えば地財措置なども一つの課題かと考えておりまして、十九年度の予算編成に向けて地財措置等についても検討してまいりたいというふうに考えております。

○紙智子君 全体通じて私は、最初に大臣の答弁にもありましたけど、反省はしたんだと。しかし、その中身は、本当にこれまでの政策の打ち方がどうだったのかということの反省に立たない中身として打ち出されているし、今回のこの最後に聞いたことについても、要望は聞いてということですから、先ほどのやり取り聞いても、その中でもっと実際にかみ合うように変えるということであればそのことは是非ともやってほしいことですけれども、やっぱり本当に多くの皆さんから出されている不安に、懸念にこたえるものでないというふうに思います。
 その意味では、今回のこの法案については、私はやっぱりいったん取り下げるべきだということを強く申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

○委員長(岩城光英君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。
 この際、中川大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川大臣。

○国務大臣(中川昭一君) 委員の皆様方には、長時間にわたり熱心な御議論を賜り、誠にありがとうございました。
 議論の過程でもありましたが、農政の大転換として導入されるこの新しい経営安定対策は、その実効性に未知の部分も少なくないことから、今後、その政策効果をしっかりと検証し、必要に応じて適切な見直しを検討してまいりたいと考えております。よろしく御承認のほど、お願い申し上げます。

○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律案及び砂糖の価格調整に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する等の法律案及び主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案に対する反対討論を行います。
 まず、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律案についてですが、この法案は、対象農産物の価格支持制度を廃止するとともに、品目横断的経営安定対策の実施法案として小泉構造改革を推し進めるものであります。そして、経営安定対策の対象を担い手に限定することによって担い手以外の農家を切り捨て、日本農業を一層荒廃させ、食料自給率を低下させるものであり、決して認めることはできません。
 さらに、この法案は、WTO農業交渉での上限関税の導入などの関税障壁の大幅削減の事態を想定し、それに対応するために関税引下げを直接支払でカバーするという仕組みを導入するものであり、関税障壁なしのWTO体制に日本農業をはめ込むことを前提とした法案であり、強く反対するものであります。
 次に、糖価調整法等一部改正案ですが、この法案は甘味資源作物、でん粉原料用芋のすべての生産者を対象とした最低生産者価格制度を廃止し、一部の担い手に限定した直接支払に転換するもので、原料作物生産から多くの農家を排除し生産縮小に追い込み、地域経済に大きな打撃を与えるものであり、認めることはできません。
 また、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律案につきましては、一九五二年から続いてきた政府買入れ価格による国内産麦の政府無制限買入れ制度を廃止するというもので、麦の生産流通への政府の責任を放棄するものです。とても認めることはできません。
 日本共産党は、大多数の農家の経営が成り立ち、国内生産の拡大を保障する農政こそ国民の願いにこたえる道であることを確信し、法案の撤回を強く求めるとともに、併せて危機的事態にある農業と農村を守るために関係者が力を合わせることが緊急に必要であることを指摘し、反対討論といたします。