<第162回国会 2005年3月7日 参議院予算委員会 第6号>


平成十七年三月七日(月曜日)
   午前十時二分開会

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本日の会議に付した案件
○派遣委員の報告
○平成十七年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成十七年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成十七年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)

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○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 最初に、町村外務大臣にお聞きいたします。
 日米外相会議でアメリカに行かれて、牛肉の輸入再開についてライス国務長官からどのような要求をされたんでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) この問題につきましては、日米間でいろいろなレベルでのいろいろな話合いが行われてきております。委員御承知のとおりであります。
 先般の二月十九日の日米外相会談の席では、ライス長官の方から、主として、この問題は米国議会、そしてアメリカ農業者にとって早急な解決を要する大きな問題となってきている、貿易の再開に向けて日本側の一層の努力をお願いをしたいと、こういう要請がございました。
○紙智子君 それに対して、外務大臣は日本政府の立場をどのように説明されたんでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 日米間、特に日本側のこれまでの取組、また、現在国内措置について食品安全委員会で審議をされている実情について話をし、さらに、その後輸入牛肉問題についても議論をする予定であるという現状の話を先方に説明をいたしました。
○紙智子君 ところが、アメリカではどんどんエスカレートをしていて、議会で日本への制裁決議まで飛び出すような状況になっているわけですね。これ、おかしいと思うんですね。食の安全をめぐる問題で日本は科学的な検討をやっているところなのに、一方的に制裁を持ち出すというのは不当じゃないんですか。いかがですか。
○国務大臣(町村信孝君) まあ、日本は日本の考え方がある、先ほど来の議論でも農水大臣からもるるお話があったとおりでございます。
 日米BSE協議というものを昨年来からずっとやってきております。そういう中で、お互いの理解の下にどういう条件が満たされれば米国産牛肉の輸入再開が可能であるかということを日米間の専門家でも実は話合いをしてきているところでございます。で、二月八日、牛の月齢判別に関する検討会というものが開かれまして、A40は、今回の結果がリスクの観点から許容されれば基準として採用可能であるという専門家同士の話合いがある種の合意を見たところなんであります。
 ところが、日本はまだ食品安全委員会というもう一つの専門家がいるということで、またその専門家の検討に相当時間を要する可能性があるということで、アメリカ側からすると、専門家同士の話合いで合意に達したものが、また別の専門家がいるのかねというある種の驚きを持ってきっと受け止めているんではなかろうかと、こう私は思っておりまして、国内の措置の検討自身も、これは食品の安全にかかわることですから慎重審議することは当然のことであろうと思いますが、大体一か月に一回ぐらいしかこのプリオン専門調査会というものが開かれないということも、いかに慎重審議をやるといっても、いかに難しい問題であるにしても、一か月に一度しかこの専門調査会が開かれないというのは、これはなかなか国際的にも対米的にも説明が難しいところなんですね。
 普通、いろんな審議会等々でも急ぐ場合は一週間に一回とかやれるであろうに、一か月しか、一か月に一度しかやれないというのは率直に言って理解に苦しむところでありまして、私は、食品安全委員会の方に、どうしてこんなに時間が掛かるんですかという説明を求めているのですけれども、残念ながら私の方には、それに対する食品安全委員会の回答は返ってきていないという状態であります。
 いずれにしても、これは食品安全にかかわることでありますから、私は、食品安全委員会も大車輪で作業をしていただいて、その作業結果を私どもあらかじめ云々しているつもりはございません、それは専門家の議論をしていただくのは結構ですけれども、少なくとも月に一回とかいうのんびりしたペースは何とかならないかねというようなことは、私自身、棚橋大臣にも申し上げたところでございます。
○紙智子君 いや、もう驚きますね、本当。そういう発言をされると思わなかったですけれども。
 私は、それは掛かりますよ、専門家でも、ただ集まってきて話し合うわけじゃないんですから。いろんな新しい状況が出てきていると、研究も進んでいると、そういうことを専門家ですからしっかり研究してやるわけですから、時間は掛かるわけですよ。
 それで、これは結局、今のお話聞きますと、アメリカの言っていることを肯定的なんですよね。じゃ、日本が悪いのかと。これは私、率直に言って内政干渉じゃないかと思いますよ、今やっているわけですから。
 官房長官にここでお聞きしたいんですけれども、政府の方針というのは、この間、小泉総理も答弁されていますけれども、あくまで科学的な知見に基づいて安全、安心を重視して、そして判断するということですよね。お願いします。
○国務大臣(細田博之君) この牛肉の問題については、外交面でいえば今答弁されました外務大臣、そして個別の問題では農林水産大臣、厚生労働大臣それぞれに関係が深いわけですし、それに食品安全委員会担当国務大臣の、安全担当ですね、棚橋大臣とおられまして、また、内閣官房としてはそれらをまた調整をしていかなきゃならないと、こういう立場でなかなか苦労が多いわけでございますが。
 他方、アメリカ側が、先ほど外務大臣が紹介されたように、非常に強く、端的に言うと、今の前の大使であったべーカー大使辺りは、二億五千万人の人が安全に今全部食べているんだから何とかならないのかというような端的なことを言われまして、こちらもそうはいかないんで、国内法制等々、いろいろな経緯があって全頭検査があり、その今全頭検査を、それではもう統計的に見て絶対に大丈夫な線がどこかという検討をして、ようやく終盤に掛かっており、ある程度の結論が出ればパブリックコメントをしなきゃいけないし、まだ時間が掛かるわけですね。そして、かつこの輸入問題もあるということでございます。
 そこの中で、今御質問のように、少なくとも我が日本国政府、日本国民の健康に対して大きな責任がございますので、やはり健康、安心、安全、そういった観点からどういう政策を取っていくかということを考えなきゃいけない。
 他方、外交的な世界の要請というものもあり、世界における基準というようなものと今相当フリクションを起こしているわけで、大きな摩擦にもなりかかっておるような面もございますので、その点をしっかりと調整をしていきたいと思っております。
○紙智子君 前回、私が予算委員会で総理に質問したときも、やっぱり私は専門家じゃないから分からないと、やっぱり専門家がきちっとやって判断をすべきだということを言われました。科学的知見に基づくということを繰り返し言われているわけです。
 ところで、町村大臣は、今もお話しになりましたけれども、仙台でも講演の中で言っていますし、五日の東京都内でも、要するに遅いと言って食品安全委員会を批判しているわけですね。これは科学的な立場で今進めている食品安全委員会に対しての圧力になると。これ、政府の立場と違うんじゃないですか。
○国務大臣(町村信孝君) 私は、食品安全委員会の結論を白にしろ黒にしろと、そういったことを先取りして申し上げたことは一度もございません。ただ、一か月に一度しか委員会が開かれないのはなぜですかねと。いろいろ御検討することもあるんだろうが、なぜそんなに一か月に一度しか開けないのか、そこについて私どもだってよく理解できないし、それを理解した上でないとアメリカにだってきちんと説明できないんだから、なぜそれだけの検討期間が必要なのか教えてくださいということを食品安全委員会の方に私どもはお願いをしているのですが、今のところその答えが返ってきていないという実情にあるわけであります。
○紙智子君 だから、それが圧力になるわけですよね。あなたはアメリカから帰ってきたらそういうことを言い始めたわけですよ。それまで言っていなかったんじゃないですか。
 そして、今度は島村農水大臣にお聞きします。
 大臣はさきの非常識の発言については撤回をされましたようですけれども、で、大臣も来年まで持ち越すようなことがあれば国際常識からおかしいというふうにおっしゃいました。食品安全委員会に要するにこの期限を切って結論を出せということなんですか。
○国務大臣(町村信孝君) じゃ、ちょっと一言だけ。済みません。御指名なくてちょっと申し訳ありませんがね。
 私は、この問題は私が訪米する以前から棚橋担当大臣には、あるいは細田長官にもお話をしておりまして、別にアメリカに行って帰ってきたから急にこういうことを言い始めているわけじゃなくて、前から言っております。
○国務大臣(島村宜伸君) 町村大臣に私の方の連絡が十分でないので一か月に一回とおっしゃいましたが、三週間に一回ぐらいの検討である。ただ、この全頭検査、実は御承知のように平成十三年の九月に起きまして、その翌月から言わばこの全頭検査という世界に例を見ない思い切った手を打ったわけです。このとき私、賛成でして、これは英断であったと思うし、結果において国民、消費者のやっぱり安心をかち取るためには非常に良かったと思っています。
 ただ、既にもう三百五十万頭と前にお話ししていたら、もう四百二十万頭ぐらいになりますが、その間に二十か月未満の牛においてその問題が全く起きておらないということと、またいろいろ御検討いただいた結果、言わば中間取りまとめも出たところでございますから、その後、言わば御審議願うといっても常識的にはやはりもうそろそろ結論が出るのか、もうそろそろ結論が出るのかという立場を外国の人たちは感じるのもこれまた当然なんだろうと思います。
 ただ、私は、私自身に対して、当初、要するに大統領選挙があるとか、あるいはベーカー大使の帰任だとかいろいろありましたけれども、やはり我が国には我が国のルールがあるので、日本に言わば肉を輸出する以上は我が国の国内措置に準じてやっていただくと。それから同時に、我々はあくまで科学的知見に基づいて食の安全、安心を大前提にして輸入をしていきたいので御理解を願いたい、きつくそのことを申しまして、それ以後、私に対してはやっぱり政府、アメリカ政府から何ら圧力めいたもの、一切ないわけです。
 ただ、向こうがそういうふうに紳士的にしていたらこっちはいつまでも時間を取っていいのかというものではないように思いますので、一つの例として、これ一体いつになったららちが明くんだろう、もしこれが来年まで持ち越されるようなことになったら日本は何か誠意がないんではないか、本気で審議をして輸入を再開しようという誠意があるんだろうか、こう思われても仕方がないと。私流の、やっぱり相手の立場に立って考えればそのぐらいの判断に立つのかなと、こういう例として申し上げたわけです。
○紙智子君 先ほどのやり取り聞いていまして、早く早くとは言っていないというふうに言ったというふうに言うんですけれども、しかし来年まで持ち越すようなことがあったら国際常識からおかしいとおっしゃったんですよ。これは結局、期限を切って早くやれと言っていることと同じじゃないですか。
 外務大臣も、そして島村農水大臣もアメリカから言われて、そしてやっぱり言っているわけですよ。あくまで科学的な知見に基づいて、政府の立場は知見に基づいて専門家の意見を聞いて判断すると。こういう立場を取っているわけですけれども、これと違うことをあなた方はもう言っているわけですよ。アメリカの都合を優先するのか、それとも日本の国民の安全や安心のためにやるのかということでは、これ国民も注目しているわけです。是非、国民の安全を優先させるという立場でやっていただきたいし、私は強く全頭検査を堅持すべきだということを申し上げまして、次の質問に移らしていただきます。
 さきの2プラス2で、共通戦略目標に向けて日米の防衛体制の強化、一体化が強調をされました。それで、大野防衛庁長官はそのときの記者会見で、基地の共同運用、共同使用はお互いの利益のためになるということで、早く結論を出したいというふうに述べておられます。
 米軍再編によって共同使用基地を拡大するということなんでしょうか。
○国務大臣(大野功統君) まず、二月十九日に行われました2プラス2でございます。世界的な安全保障環境を踏まえつつ、共通戦略目標を立てた。で、我々の最終的な米軍の再編成の問題の最終着地点は、やはり一つ一つの米軍の基地をどうするかと、こういう問題であります。
 しかし、それを考える場合に、やはりこの共通戦略目標、続いて第二段階目としてどういう考え方に基づくのか。それは役割の分担であり、任務をどうするか、それからケイパビリティーという言葉で、その力をどう判定していくか、そしてまた、話題になりました、今の先生の御指摘の基地の共同使用と、こういう問題があると思います。これは一つの切り口です。
 で、共同使用ということについて、これまでそういう認識の下に確たる議論をしたことはありませんし、そういうことをこれから本格的に協議していこう、こういう意味合いでありまして、じゃ、なぜそういう問題を議論するんだと、協議するんだと。そういう理念、つまり基地の共同使用という理念の下で議論をするんだ。
 これは、我々は米軍のトランスフォーメーションを考える場合に、大きな大きなテーマがございます。そのテーマは何かと。一つは米軍の抑止力を維持していく、そしてまたもう一つは日本の地元の負担、特に沖縄を中心とする地元の負担を軽減していく、こういう大きな大きなテーマがあります。この二つのテーマ、この二つの問題、抑止力と負担の軽減、正にこれ相反するような概念であります。一方を立てれば一方立たないような感じでございますが、この解決の道が、やはりこの米軍の方も言っております例えば軍事面における技術、科学技術力の飛躍的向上、つまり展開力が増した、爆発力が増した、あるいは精密誘導兵器が発達した、こういうことであろうかと思います。
 それから、もう一つの切り口、かぎがやはりお互いの共同作業、こういうことがかぎになろうかと思います。
 したがいまして、そういう問題考える場合には、やはりこれまで、具体的なことを今申し上げることはできないんでありますけれども、これからは今申し上げたような共同作業をすれば、つまり基地を共同で使用すれば、例えばですけれども、例えば米軍基地で雇用されている、働いているアメリカ兵の例えば護衛の役割を担っている兵、兵士ですね、そういう兵士は要らなくなるのかなということも一つのアイデアでしょうし、そういう意味で負担の軽減も図られていくのではないか。
 今後の問題でありますけれども、まず、我々はやはり政治的に説明責任を持っておると思います。地元の皆様に説明をし、調整もしていかなきゃいけない。私はそのことも、昨年十一月、ラムズフェルドと会ったとき説明をして、時間が掛かるかもしれないよということも言っておりますが、まず説明責任をある段階で果たさなきゃいけない、どういうふうにやっていくかということについて説明責任を果たさなきゃいけない。それからもう一つは、今申し上げましたような負担と抑止をきちっと、本当に抑止力は維持して、そして負担を軽減していく、この命題を解決していかなきゃいけない。その糸口が共同使用であり、大変これ政治的なリーダーシップが要る話でありますから、政治的リーダーシップの下でこれらの仕事に取り組んでいきたい、このように思っております。
○紙智子君 そこで、その米軍と自衛隊が現に共同で使用している矢臼別演習場と東富士演習場の使用条件についてどうなっているか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(横山文博君) お答えいたします。
 まず、東富士演習場につきましてお答えしますが、平成十五年度におきまして、米軍は単独で実射射撃を含む訓練のために約百四十日間使用しております。日米共同訓練及び沖縄県道一〇四号越え実弾射撃訓練は実施しておりません。日米共同訓練あるいは一〇四号線の実弾射撃訓練につきましては、平成十四年度にいずれも十日間使用しております。なお、自衛隊は同演習場を三百五十日間使用しておるところでございます。
 次に、矢臼別演習場でございますが、平成十五年度におきまして、米軍は、県道一〇四号越え実弾射撃訓練のために約三十日間使用しておりますが、その他の訓練は実施しておりません。なお、過去五年におきまして、一〇四号線実弾射撃訓練以外の訓練では、平成十二年度に日米共同訓練のために約二十日間使用しているのみでございます。
 以上でございます。
○紙智子君 富士演習場は事前に調整して決めるんじゃないんですか。
○政府参考人(横山文博君) お答えします。
 東富士演習場を米軍が使用するに際しましては、事前に米軍から演習場使用申請というものが出てきておりまして、具体的な日時等につきまして調整を実施しているところであります。
○紙智子君 済みません、資料をお配りしてください。
   〔資料配付〕
○紙智子君 私も共同使用ということについて調べてみたわけです。そうしたら、こういうものが出てきたわけですね。これはアメリカの外交機密文書を公開した後、冊子にしたアメリカ統合参謀本部資料。実は、これがその元なんです。この中にある部分を印刷して出したということです。
 ここに、一九六二年三月二日付けの富士演習場解放に関する協定案というのがあるわけです。この了解合意覚書というのは、日米合同委員会のグループによってつくられたこと、そしてその後、同年四月二十一日に承認したというふうにあります。この中で、米軍は毎年最大で二百七十日間に及ぶ優先使用を認めているわけですね。こういう協定をしているんですか。
○政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。
 東富士演習場に関連してでございますが、昭和四十三年七月、それまで米軍が専用使用していましたこの演習場でございますけれども、自衛隊が管理する演習場として使用転換されたわけでございます。その結果、地位協定第二条第四項(b)の規定の適用のある施設及び区域として米軍の一時使用が認められているところでございます。
 この使用転換の際に、米軍が演習場を使用する場合には事前に防衛庁に通報すること、演習等の実施に当たっては五百キログラムを超える爆発物は使用しないなどの使用条件が日米合同委員会で合意されたところでございます。
 以上であります。
○紙智子君 質問に答えてないんですよ。二百七十日にも及ぶ優先使用を認めているんですかと聞いたんです。
○政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。
 当庁からお答えすることが必ずしも適切かどうか分かりませんが、お許しいただいて御説明させていただきたいと思います。
 東富士演習場は、先ほど申し上げましたように、四十三年、合同委員会で使用転換が合意されたわけでございます。その際に、先ほど申し上げたような日米間の使用条件についての取決めがあるところでございます。
 合同委員会におけますこの使用条件につきましては、閣議決定して御説明させてもらっているもの以上のものはございません。
○紙智子君 当時、富士演習場の返還は事前にでき上がっている協定に基づいているということで、ライシャワー大使が国務長官にあてた公電があるんですよ。それはこの中に入っているわけです。
 それで、もし、しかも当時のその国会の審議の議事録を見てみますと、機密にわたるとか協定そのものは出せませんというようなことで、協定の存在そのものは認める答弁をしているわけですね。このような協定が存在しているわけですよね。答えてください。
○政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。
 当東富士演習場におけます米軍の使用条件についての再三のお尋ねでございますけれども、私どもの承知している限りにおきましては、合同委員会において、昭和四十三年七月十八日でございますけれども、先ほど申し上げた内容が取り決められたものと承知しておる次第でございます。
○紙智子君 全然分かんないですよ。ちゃんとあるかないか答えてください。
 あるのかどうか、はっきり答えてください。
○政府参考人(戸田量弘君) 防衛施設庁の立場におきまして、御指摘の文書がいかなるものであるのか当庁として確認しているわけではございません。一々のコメントについては差し控えさせてもらいたいと思います。
○紙智子君 ちょっと角度を変えて聞きます。
 なぜこれを問題にするかといいますと、地位協定の二条四項(b)に基づいて米軍が日本の施設を共同使用する基地について、一九七一年当時の中曽根防衛庁長官の解釈をめぐるのがあるんですよ。一時、一応時間的にいえば一年のうち半数以上を向こうが使うというのでは主客転倒になるというふうに答弁しているわけです。これに照らしても、二百七十日優先に使えるというのはおかしいんじゃないですか。どうですか。
○政府参考人(戸田量弘君) 御指摘の、中曽根当時防衛庁長官の答弁があることにつきましては承知しておるところでございます。中曽根当時の長官の答弁につきましては、一定の期間を限って使用する施設及び区域についてのお答えでございました。その類型について、例えば年間何日以内といったような日数を限定して使用を認めるものであるとか、日本側と調整の上、その都度期間を区切って使用を認めるものといったような類型を挙げた上で、いずれにしろ主と従の関係、主と客の関係という整理であったと記憶しております。
 先ほど施設庁、防衛本庁施設参事官から答弁申し上げましたけれども、当該演習場、自衛隊においては日数におきましては年間約三百五十日程度使用されております。それに対しまして、米が百七、八十日程度と承知しております。こういった関係で、この主客というような関係、特段変わっているわけではないと承知しております。
 以上であります。
○紙智子君 協定のこと、どうですか。
○国務大臣(大野功統君) 協定の性格その他につきましては、防衛庁としては答える、必ずしも答える立場にございません。しかしながら、もしその辺を十分に調べろといえば、外務省と十分相談をいたしまして御報告申し上げることがベターではないかと思います。
 それから、このペーパーは四十二年前の問題、ものでございます。立場がそれぞれ相当変わってきているんじゃないか。今、私どもは、町村外務大臣も私もそれぞれの立場で、きちっとアメリカと同じ、イコールパートナーとして頑張っているところでございます。
 それからもう一つは、日本とアメリカが別々の訓練をするということでございますが、今、私は、今の時代の要請というのは統合、共同でございます。統合、共同、つまり共同してやっていこう。しかし、これは日本を防衛する場合と、(発言する者あり)いえ、それは日本の、日本の使用日数が長いとか短いとか、そういう議論なさるから私は答えているわけであります。今や統合、そういうキーワードが変わってきていると思います。したがって、この歴史の変化も見極めていただきたい、このように思います。
○紙智子君 今、調べてそして出すということを言われました。
 私は、今指摘してきた点ですけれども、一つは二百七十日の優先権という協定の存在について、一方ではないことになっているわけですよ。片や秘密にあったということになるわけですから、これをきちっと調べて出すと。
 もう一つは、二4(b)の見解については今も当時の解釈が生きている、生きているのかどうかということを明らかにすると。そして、富士演習場にかかわる日米協定内の内容をすべて明らかにすべきだと思いますが、どうですか。
○国務大臣(大野功統君) 私たち政治家というのは説明責任があると思っています。公開できる限りにおいてそれを公開し、説明していくべきだと思います。そういう意味で、できる限りのことはさせていただきたいと思います。
○紙智子君 調べた結果、公開できないということになったら、それはとてもじゃないけれども承諾できませんよ。非常に重大な問題なんです。
 なぜならば、初めに長官が話されたように、今後、日米の基地の共同使用を拡大していくという方向であれば、こういう問題を明らかにすることは国会の責任として当たり前だと思いますよ。
 今回の2プラス2は、こういう共同使用の名において日本じゅうの自衛隊基地を米軍基地として拡大強化することになるんじゃないかとみんな心配しているわけです。私の地元の北海道の矢臼別でもそうですし、どこでも基地のあるところは非常に心配しているわけです。ですから、現状を明らかにしてこの国会に出していただきたいと。
 最後に委員長に、この二点について資料を要求を求めます。御検討ください。
○委員長(中曽根弘文君) 理事会において協議したいと思います。
○紙智子君 終わります。