<第161回国会 2004年10月29日 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号>


平成十六年十月二十九日(金曜日)
   午後二時六分開会

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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査
 (普天間飛行場代替施設に関する件)
 (SACO最終報告の進捗状況に関する件)
 (宜野湾市における米軍ヘリ墜落事故に関する件)
 (日米地位協定の見直しに関する件)
 (沖縄における観光・リゾート産業振興に関する件)
 (我が国の北方領土返還交渉に関する件)
 (北方四島での自然災害時における我が国の対応に関する件)
 (北方領土隣接地域の振興に関する件)
 (矢臼別演習場での米軍射撃演習と米軍再編問題に関する件)
 (沖縄の自立型経済発展に関する件)
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○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 米軍の再編問題、で、基地移転問題で質問をしたいと思います。
 沖縄の海兵隊基地の本土への移転がまないたに上がって、北海道でも矢臼別などへの移転が報道をされ、住民やまた自治体の不安の声が高まっています。私も、先日現地に訪問いたしまして、関係する四つの町の町長さんともお話をしてまいりました。
 まず、八年前から行われています矢臼別での米軍実弾射撃演習のことですけれども、地元はこの問題で毎年要請を上げていますね。
 道と四町で作る連絡会議があるんですが、今年の六月にも五項目の要請をしています。その第一に、将来にわたって在沖縄米軍による矢臼別演習場での実弾射撃訓練が固定化されないことと、在日米軍基地全体の整理、縮小に向けて国において最大限の努力を払うことと上げています。
 これに対して、札幌防衛局が文書で、防衛施設庁としては従来から米軍の運用上の所要及び地元の要望等を踏まえつつ、施設・区域の整理、統合、縮小の実現を図るため鋭意努力を払ってきたことであり、これまでと同様引き続き努力してまいりたいと、こういうふうに回答しているわけですけれども、ちょっと確認します。間違いありませんね。
○政府参考人(土屋龍司君) 先生今お話ししたとおり、そのように回答しております。
○紙智子君 そこでなんですけれども、この演習場に米軍基地移転ということになりますと、演習がそこで常時行われるわけです。実弾射撃訓練の固定化になって、この北海道と四町の要請の立場に反することになるんじゃないでしょうか。いかがでしょう。
○国務大臣(町村信孝君) 矢臼別に米軍の基地が移転をするという前提のお尋ねと受け止めましたが、日米間でそういう具体の話をしたことはございませんので、多分施設庁としてもそういう仮定の問題には誠にお答えできないんだろうなと、こう思います。
 今、日米間では、この米軍再編成の絡みで、そもそもどういう目的でこの再編成をやるのか、また、日本としてアジア太平洋地域、極東地域全体の平和をどうやって作っていくのか、そのために自衛隊が、あるいは米軍がどういう役割を果たすことを期待するのかというような、かなり基本的な議論のすり合わせをやっている最中、ただ、抽象論ばかりではあれですから時として具体論もその中には入ってまいりますが、それはここにします、これをこうしますという話ではございませんで、そういった総論を議論する際の一つのたたき台としてそういう素材をお互いに出し合っているということでございます。
 したがいまして、今、矢臼別等々のお話ございましたが、矢臼別に移転をするということを日米間で合意した事実は全くございませんので、念のために先に答弁をさせてもらいました。
○紙智子君 今そういうお答えで、それは、話し合っているということは私も聞いています。その上で、実際には、でもいろんな案が出されて話し合われているということは間違いなく行われているわけで、そこで、もし今のように、そこに演習場が移転するということになればやっぱり固定化ということにつながるんじゃないですかということを、もしですよ、来た場合はそうなるんじゃないですかと、その御認識を聞いたんです。
○国務大臣(町村信孝君) この問題、日米間でこれからもっともっと話し合っていかなければならない問題であろうかと思います。その基本的なスタンスは、一つは日米安保条約による平和維持機能、抑止力というものをどうしっかりと維持をしていくのかということと併せて、沖縄の基地の負担軽減ということを一つの大きな目的にしております。
 沖縄の負担を軽くする際のいろいろなオプションがあり得ると思います。もちろん米軍が本土、米本土の方に、本国の方に引き揚げる、あるいは海外に移転をする、あるいは演習を海外に移転する、あるいは沖縄にある基地を沖縄県以外の日本国内に移転をすると、いろいろな沖縄の負担軽減に当たってのオプションがあるということでございまして、じゃ、今具体にじゃ沖縄県以外のどこにということを全く議論しているわけじゃございませんが、頭の整理としてはそういうことがあるということを議論をしている段階でございます。
○紙智子君 でも、可能性としては全くないというふうに言えますか。
○国務大臣(町村信孝君) 論理的な可能性としてはゼロとは申し上げません。ゼロから一〇〇%でございます。
○紙智子君 ですから、その全くないというふうには言えない中で、移転ということになりますと、当然これ演習の固定化になるという、これ、だれが考えても常識的なことだと思うんですよ。だから、どうしてこの質問に答えられないのかというのが私は不思議なんですけれども。
 それで、この矢臼別への基地の移転というふうにもしなるとすれば、そこの基地拡大になって、地元の要望を踏まえて米軍の施設や区域の整理や統合、縮小の実現を図るように努力すると国が回答している、この趣旨にも反することになるんじゃないかと、もし移転した場合ですよ。どうですか。
○政府参考人(土屋龍司君) 札幌の施設局長から回答をした中身は先生先ほどおっしゃったような、今もお述べになったとおりでございますけれども、これは現在行っております北海、矢臼別演習場におきます訓練につきましての申入れでございまして、それに対しましては、特定の演習場に集中することなく、五か所の持ち回り計画に基づき分散実施すると、することというふうに回答しております。
○紙智子君 質問している趣旨が違うんですよ。持ち回りでやってきて、それで地元から要望が上がったと。その要望というのは固定化しないでほしいという要望なわけですよ。それから、整理、縮小に努力をしてほしいんだと。そういう言わば自治体からの要請にも、それから国が回答したことにも、に対しても、この矢臼別移転ということ自身がまだはっきり決まっているわけじゃないということですけれども、しかし、そういうことが情報としても新聞報道などでもされているわけですから、そういう動きがあるということ自体がそういう反することになるというふうに私は思うんです。やっぱり、そうした自治体の要請や国が答えた趣旨からいっても矢臼別への移転というのは絶対あってはならないというふうに思います。
 それから、町村大臣、お立ちになったんでお聞きしますけれども、毎日新聞の十月これは十七日付けなんですけれども、この中で町村外相は、再編の日米協議が停滞してきたことに対し、これまでの経過の説明をした同省の北米局幹部に対し外相が、今まで何をやってきたのかと詰問したというふうに書いているわけですね。
 大臣が外相になってこの基地移転の動きに拍車が掛かると予想されるわけですけれども、私がお訪ねをした自治体やあるいは住民は、国からは何にも言われていないというふうに言っています。全く情報がないと。実際にはこう報道でどんどん出されて、名前が出されているわけですけれども、全く何も言われていないと不満を言っておられるわけですね。
 一体全体、政府内で候補地の一つに構想として上がっているのかないのか、検討がされているのか、それとも全くないのか、情報についてはないんだったらないと知らせてくれるべきじゃないのかと。関係町長さんは、防衛は国の専管事項だというふうに言って地元を無視してやるというのは困るというふうに言っておられるんです。
 やっぱり決まるまで地元に情報を流さないで、決まってからもう動かない状態でやるということなんでしょうか。いかがでしょう。
○国務大臣(町村信孝君) 毎日新聞の記事云々というのは私はあいにく見ていなかったんでありまして、私はどちらかというと温厚な人間でございますから、余り役所の人を詰問をしたりとか、まあ全くないとは言いませんけれども、余りそういうことはしないわけで、今記憶にないわけでございますが。
 いろいろな記事が出ます。誠にいろいろな記事が出るんで、私もその一つ一つを見て、まあよく書けているな、よくここまで記者さんの筆の力でここまで書いてくれるなと、唖然とすることも再三でございます。したがいまして、今、地元の自治体の首長さん方が連絡がないと言われても、一々の新聞記事に、いや、これはうそですよ、これは本当ですよというふうなことをこれ対応していると、これはとてもではないけれども、身がもちません。
 そして、現実に、先ほど申し上げましたように、日米間で例えば矢臼別という名前が挙がったか、挙がったことがあるかというお尋ねについては、それはないと先ほど申し上げたわけでございますから、それ以上、地元の皆さん方に説明のしようがないわけでありますね。
 で、しかし、さはさりながら、ある段階でやっぱり一定の案をまとめます。すると、当然いろいろな自治体に影響してまいります。私どもは、きちんと説明をし、きちんと御理解を得る努力もなしに、もうこれは国の専決事項だから、もう国が決めたことはびた一文変えられませんと、そういう姿勢を取るつもりはもとよりありません。それは最大限、地元の御理解を得ながら進めていくという基本姿勢であることは是非御理解をいただきたいと思います。
○紙智子君 それじゃ、ちょっと確認の意味でずばりお聞きしますけれども、町村大臣の頭の中には矢臼別とか、それから先日も産経新聞で報じられましたけれども、東千歳、これは候補地としてはその一つにありますか。
○国務大臣(町村信孝君) 先ほどお答えをしたように、ゼロから一〇〇%でございます。
○紙智子君 全くないわけじゃないということかなというふうに思うんですけれども。
 我が党が道議会でも明らかにしたんですけれども、そういうふうに全く今ないと言われるようなことも出ているわけですけれども、しかし現地ではアメリカ陸軍の特殊作戦部隊心理作戦グループ、こういう名刺を持って、これ道議会で明らかにしたんですけれども、ジェフ・クリント・ヒルという人物がこの間、矢臼別で住民の意識調査に歩いているわけです。で、いろいろとその話をして、海兵隊についてどう思うかというようなことをやっているということで、地元では、非常に何か嫌な感じだと、スパイされているような気持ちだというようなことなんかも出ていまして、やっぱり水面下では着々と準備がされているんじゃないかという不安を持っているわけです。
 やはり、私は、米軍の再編というのは、やはりブッシュ大統領や政府の高官の発言からいっても、在日米軍を太平洋から中東まで、非常にこの広大な地域に機動的に展開をさせると。そのために自衛隊と一体化をして、この基地を新たに使い勝手の良いように再編強化するものだというふうに思います。海兵隊のこの一部の矢臼別移転の動きも、海兵隊の基地を新たに本土に作る基地の拡張そのものだというふうに指摘したいと思うんです。
 そして、やっぱりイラク戦争のように、これ本当に無法な根拠も道理もない、それがもう実際にはなくなったわけですし、無法なやっぱり侵略であり、そして相手国への先制攻撃を行うと、こういう最前線基地にするものであって、もう私は絶対に反対だというふうに思います。
 米軍の基地はやっぱり日本には要らないんだと、本国に持って帰るべきだということを強く主張すべきであるということを申し上げまして、時間となりましたので、私の質問を終わらせていただきます。
 小池さん、済みません。通告していたんですけれども、終わります。