<第160回国会 2004年10月21日 予算委員会 第3号>


平成十六年十月二十一日(木曜日)
   午前九時開会

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本日の会議に付した案件
○予算の執行状況に関する調査
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○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
BSEの問題で質問させていただきます。
 厚労省そして農水省は、二十か月齢以下の牛について全頭検査の対象から外すということを食品安全委員会に諮問いたしました。これは、感染牛を食物連鎖から排除すると、こういう全頭検査の意義からいいますと、これを否定するものだと、そして検査継続を求めている大多数の国民の声を無視することになると思います。
 総理は、この国内の措置を見直しをするということをおっしゃっていますけれども、この諮問どおりに実施されることになりますと、店頭には検査済みの牛肉とそうじゃない牛肉が並ぶことになります。混乱あるいは偽装ということもこれ否定できないと。これまで生産者の皆さん始め、本当に大変な思いでこの信頼を回復するということで、ようやっとこの回復されてきている、それをまた信頼を失墜することになるんじゃないかと。そういうことはないということを総理は否定できるでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 牛肉に関してのBSEの問題ですが、これはまず食の安全、こういう問題については専門家の意見をよく伺わなきゃいけないと。この問題については科学的知見に基づいて安全か否かを判断すべきだと考えております。
 もとより、安全基準については日本と諸外国と違う点があるのは承知しております。また、日本の牛肉がほとんど全部と言っていいくらい人工授精と。アメリカはほとんどが自然放牧。そういう日本と外国との違いもあると思いますが、安全確保についてはやっぱり国際基準、これが大事だと思っておりますので、私は科学的知見に基づいて適切な判断をしなきゃいけないと思っておりますので、厚労省、農林省が過日諮問、その調査、食品安全委員会、諮問したわけでありますので、その結果を待って適切に判断すべき問題であると考えております。
○紙智子君 私がお尋ねしたのは、混乱が生じるんじゃないかと。また、この失墜する、信頼が失墜するんじゃないか、そういう心配ないのかということを申し上げたんで、もう一度お答えください。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 一般消費者が心配することないように、科学的知見に基づいて判断しなきゃならないと思っております。
○紙智子君 やはり、今現場ではそのことが非常に心配されているわけです。やっぱりそのことを総理は御承知ないんでしょうか。御存じないんでしょうか。私は、やはり混乱ある程度予測されるということであれば、そのことを前提にして考えるならば、やはり今無理に強行すべきでないということを申し上げておきたいと思うんです。
 今日から輸入再開に向けての局長級レベルの会議が開かれております。その焦点になる問題というのは、牛の月齢判定方法です。専門家や担当課は、米側が主張している肉質とか骨格でこれ判定できるということについては科学的根拠がないというふうに言っているわけですね。
 総理は科学的に判断することが大事だと今も言いましたけれども、この米側の主張に対して、科学的で受け入れることができるとお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、素人の政治家が判断するよりも、専門家、科学的知見に基づいて安全か否かというのは判断するのが妥当ではないかと思っておりますので、だからこそ食品安全委員会に諮問をしているわけでございます。
○紙智子君 通告していたわけで、それを調べるために日本からわざわざ出したわけじゃないですか。それでその行った担当課の農水省自身が科学的知見はないと言っているわけですから、これは報告受けていないんですか。
○国務大臣(島村宜伸君) 報告は受けております。
 前々からこの種の御質問には繰り返し申し上げているんですが、農林水産省といたしましては、何より食の安全、安心を大前提にして、国内はもとより国際交渉に当たってもきちんとその趣旨を貫いておりますし、今アメリカとの交渉が始まりますが、この際にも、我が国と同じ国内措置をまず基本として求めているということが一つであります。
 それから、全国の話も出ましたけれども、全国七か所で言わばリスクコミュニケーションを実施いたしましていろんな御意見を聴取したところでございますが、私たちはあくまで、総理もおっしゃったように、科学的知見に基づいて、言わばこの肉の安全、安心というものを基本に置かないと、これはアメリカのためを思って我々仮にやろうとしても、それはかえってアメリカの肉を毛嫌いされることにもなりますから、それらについては十分このことを主張していくつもりであります。
○紙智子君 科学的知見がないという現在ですから、これは今どのような合意も受けてはならないということを私は強調いたしまして、私の質問を替わります。