<第156回国会 2003年9月10日 災害対策特別委員会 第1号>


平成十五年九月十日(水曜日)
   午前九時三十分開会
   ――――― ◇ ――――――
本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○災害対策樹立に関する調査
(派遣委員の報告)
 (平成十五年宮城県北部を震源とする地震に関する件)
 (平成十五年台風第十号による被害状況に関する件)
 (工場等の大規模火災事故対策に関する件)
 (平成十五年台風第十号による被害の復旧対策等に関する件)
 (三宅島噴火災害対策に関する件)
 (平成十五年宮城県北部を震源とする地震の復旧対策に関する件)
 (被災者の生活及び住宅の再建支援策に関する件)
 (学校施設、医療機関及び住宅の耐震化に関する件)
――――― ◇ ―――――
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 それで、私も台風十号に関連して御質問させていただきたいと思います。
 八月十日に現地に行きまして、まだその時点では水も引かないで寸断されていて行けない状況であったわけですけれども、それから再び行ってまいりまして、門別、そして平取、新冠ということでぐるっと回ってまいりました。
 その上に立って、やっぱり今すぐにやらなきゃいけない、急がなきゃいけないことは何かという問題と、それから、やっぱり被害を拡大させたその要因にかかわる問題と、それから、今の制度の中ではなかなか救済できない問題ということで御質問させていただきたいと思うんです。
 それで、今直ちにやらなきゃいけない中身としては、既に北海道のお二人の方も言われていますように、流木、土砂が流れ込んで、来年からの営農をやらなきゃいけないと。いかにこれをつなげていくかということでいいますと、早くその除去をしなきゃいけない、種まきもしなきゃいけないと、その期限もあるということで、そこが急がれているわけですね。
 私も、もう一か月たつわけですけれども、現地を見ますと、その流れ込んだ、最初は泥だったと思うんですけれども、もう乾いてしまっていて固くなっているわけですよね。その土砂が固くなったところに流木が刺さったような状況になっていて、だから、ちょっとスコップでやるなんという、そういう簡単なことではないなということを思ったわけですけれども、これをやっぱり取り除いて、それで営農に間に合わせるということが本当にできるのかということが心配されていて、それで、先ほども出ていましたけれども、その査定前に着工を認めてほしいという要望が上がって、それを先ほどやり取りをされたら、査定前の着工を今やるようにしているということでもありました。
 それで、これとして、このことをやる結果として、確実にやっぱり来年の営農を続け、やれることができるようになるのかどうか、そこのところをもう一度、北村農水副大臣、端的にお答えいただきたいと思います。
○副大臣(北村直人君) 委員から御質問のまず一つ目は、査定前でもそれぞれ災害地、被災地等々の事業をやれるのか。それは先ほど北海道の中川委員からの御質問にも担当の方から答弁したとおり、査定前であってもこれは認められているわけでございます。しかし、認められているといっても、今多分、委員が心配されているのは、来年の正しく営農に間に合うかどうか、これだけ広大な被害が出ている中で、それが時期までに間に合うかという御心配だと思っております。
 我が省においても、査定前に認められているこの事業等々を速やかにやることによって、来年の営農にいささかもこれに劣ることのないように万全を期してまいりたいと、このように思っておりますが、まずは北海道と十分な連携、協議を進めさせていただいて、どこからこれらを着工していけばいいのかということも含めて、北海道の考え方を、お考えを聞かさせていただきながら、我が省として万全の対策を取らさせていただきたいと、このように思っております。
○紙智子君 是非、現地の皆さんも安心するように、それがやっぱり大きな励みになると思いますので、進めていただきたいというふうに思います。
 それから次に、これも先ほど質問でも出されていたんですけれども、やはり、自治体が早く仕事の設計をやるということになりますとやっぱりお金が掛かると。それで、査定の設計委託のこの委託費ですね。新冠、門別、平取町、それぞれ本当にどこでも何億というお金がそのために掛かるということなんですけれども、このやはり負担ですね。激甚災に指定をされたとしてもこの部分についての国の補助というのは三割あればいい方だと。そうすると、残りはあとすべて自治体負担になるということで、町の財政が大変圧迫されるという話があります。
 それで、なぜなのかということですけれども、結局、今、設計委託費というのが高くだんだんなってきているわけですよね。ところが、国の方の、この国の補助限度額ですか、ここはこの間ずっと変わらないままで来ているということがあると思うんです。それで、ちょっといろいろ聞いてみたんですけれども、委託費というのはどのぐらい掛かるものなのかということで聞きますと、いろいろ様々ではあるんだけれども、大体例えば一〇%ぐらい掛かるとすると、そのうち国の補助分というのは高くても二・七%ということですから、そうするとやっぱりそこの差額のところが自治体の持ち出しになると。そうすると、やっぱり規模の小さな自治体としては、これは額で見ても相当大変なんだということだったわけです。
 それで、この査定の設計委託費などの要綱を決めているものがありますけれども、これについて、昭和五十一年ですか、改定でもって国の補助率を引き上げたことの経過があったということなんですけれども、そのときにはやっぱり実際に委託する委託費とその実態とがかみ合っていないというのか、かなり差があったということの中でそこを改定した経過があったということを聞いたんですけれども。それからもうしばらくたっていまして、やっぱりいろいろ状況も変化してきている中で、この見直しといいますか改定を、実際に自治体の皆さんの話もよく聞いて、今の実態に合うように変える必要があるんじゃないかというように思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
○政府参考人(清治真人君) 今お話のございました国庫負担申請のための査定設計書の作成等に要する費用でございますが、これらは基本的に地方公共団体の負担ということになっているわけでありますが、非常に大きい災害を受けた場合には、これは自治体の処理能力ということもあろうかと思いますが、被災箇所が非常に多くなると。それから、一般的な工法でないような、特殊な工法等も使っていかなければならないというようなこともありますので、これらに多額な費用を要するということが出てきているかと思います。
 これらにつきましては、一定のものにつきましては、調査、測量等に、委託に出さなければならないものにつきまして、これらについて補助できるということになっているわけでありますが、これらの今までの制度の見直しの経緯も今、委員から少しお話がございましたが、拡充していくという取組はこれまでもやってきているわけでありますが、これからその実績、実際に設計、調査に掛かったものがどのぐらい掛かるのかというようなことでありますとか、あるいは地方公共団体が抱えている現在の実情、こういうものにつきましてよくそれを踏まえた上で制度の活用というのを図ってまいりたいというふうに思っております。
 そのことによりまして、地方公共団体の財政負担の軽減に資するような努力は今後も講じてまいりたいというふうに思っております。
○紙智子君 新冠町の場合ですと、その予算規模というのは大体、町全体の予算規模ですけれども、五十三億円くらいであるわけですよね。それで、そういう中で今回の総被害額が百六十億円になっているわけですよ。で、設計委託費に六億、予算を組まなきゃいけないと。そうすると、持ち出しが四億何がしということを言っていましたけれども、既に住民の住居の問題ですとか生活にかかわる問題で、もう一億はそのためにいろいろ対策で使っているということなんですね。
 そうしますと、本当に地方財政も今厳しい中で大変だということなんですけれども、交付税ですとか、それから起債許可などを含めていろいろ方法を駆使していただいて、自治体への財政支援をやっていただけないかということで、これ、鴻池担当大臣にお聞きしたいと思いますが。
○国務大臣(鴻池祥肇君) 災害からの復旧につきましては、公共土木施設災害復旧事業、あるいはただいま農林水産副大臣がおられますけれども、農林水産業施設等災害復旧事業など、様々な支援制度があるわけでありまして、これらの事業はできるだけ早期に行う必要があるということから、通常の事業の場合に比較いたしまして高率の国庫補助が適用されているという現実がございます。
 また、先ほど来の御議論の中に甚大な被害の及びました災害に対して地方財政の負担を緩和すると、こういう観点から激甚災害という特別の財政援助があるわけでありまして、これが適用されれば国庫補助率のかさ上げ等が行えるわけであります。
 政府といたしましては、これらの制度によりまして災害の復旧・復興事業の実施について十分な対応が可能であると考えております。
○紙智子君 激甚災に指定されてやられる分、で、その掛からない部分といいますか、それでもなおかつやっぱり大変だということでもありますので、各省庁と連携しながら何とかひとつ考えていただきたいというふうに思います。
 それから、早急にやらなきゃいけないというふうに思うもう一つの問題は、やっぱり海岸に来ている流木の問題ですね。
 ちょっと小さくて見えないんですけれども、実際に写真を幾つか撮って、今の段階で苫小牧の岸壁のところにテトラポットの上だとか一杯たまっているわけですけれども、これ、しけが来ますとまた海に出ちゃいますから。そうすると、先ほどもお話があったように、網に掛かったり、あるいは苫小牧の漁協なんかでは船にぶつかってスクリューが傷んだりとか、そういうことも出てきているんですね。二次災害になる心配があると。すぐこれは撤去しなきゃならないということなんです、また海に出ていく前に。
 すぐやっぱりやらなきゃいけないわけですけれども、港があるところは管理する人たちが撤去しているんです、今。ところが、胆振海岸に打ち上げられたものというのは、大体、苫小牧から白老川、北村大臣なんかはよく御存じだと思いますけれども、のところに上がっているものがそのままになっているんですけれども、ここは直轄海岸事業ということで採択されている国の管轄でもあると思うんですね。それで、国としてどうするのかということについて、急いでやらなきゃいけないということなんで、その対応についてどうなのかということでお聞きしたいと思います。
○政府参考人(清治真人君) 今お話のありました胆振海岸は、侵食が激しいということで昭和六十三年から直轄の海岸保全施設整備を行っているところでありますが、今回のような流木がたくさん漂着したときにどうするかということにつきましては、海岸管理者であります北海道の方が、制度としてございます災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業というのがございますので、それによって除去するという方針を立てられた場合には、今回漂着しております流木の規模等からいきましてそれに合ってくるものだというふうに考えておりますので、北海道の方からそういうお話がありました場合には、国の方としましても最大限の御支援をしてまいりたいというふうに思っております。
○紙智子君 今はそういうふうにお答えになるわけですけれども、要は、ボールの投げ合いをやっていると片付かないわけですよ。ですから、やっぱり急いでやるということでは、そこのところはボールの投げ合いじゃなくて早く処理を、相談するならするということも含めて処理をしていただきたいということなんです。
 それから次に、被害を増幅させた原因になっている問題ですけれども、日高地方の被災地域を回って、改めてぐるっと回って、そのすさまじさということを私も実感いたしました。とにかく、本当に流れ込んだ流木といいますか、根っこの付いたままのものがごろごろとその辺に散らばっているということですし、そこには根の付いたものもあれば、さっきもお話ありました柳のようなものもあれば、切った跡のあるそういう、恐らく切ったものが落ちてきたんだろうというものもあれば、様々なんですけれども、混じり合って、本当に橋の欄干のところに詰まったりということで、これがやっぱりびっしり詰まったわけですから、こうなればもう水は流れないということははっきり分かるし、それからその塊が流れていってどれだけの破壊力を持ったかということも容易に想像できるわけです。
 ずっと回った中で、テレビにたくさん出た傾いた家があるんですね、今にもつぶれそうな家があるんですけれども。ここはもう水がずっと来て、それで最後は屋根の上に上って助けを待っていたわけですけれども、もう最後の瞬間に流木が流れてきて、このままだったら家がもうそのままぶつかって壊れてしまうと、助からないというふうに思ったわけですけれども、寸前のところで電信柱が立っていまして、そこに引っ掛かって危うくもう命を取り留めたということでもあったわけです。
 それで、改めて今回、この水害を拡大したり災害を拡大するということでは、この流木が被害を増幅させたというのが私自身も、さっきも出されていましたけれども、同感なんですよ。本当にそうだなということを実感しているわけです。土木学会の調査団もそういう見解を出しているわけですけれども、そこで鴻池大臣の認識ですね、この災害についての認識についてお聞きしたいと思います。
○国務大臣(鴻池祥肇君) 政府といたしましても、先ほど申し上げましたように、視察団を出しましてその報告を十分聞かせていただき、承知をいたしているところでありますが、本委員会の御議論を通じまして、更に私自身も認識を新たにいたしたところであります。
 そういう経緯の中から、今後の施策あるいはいわゆる復旧復興につきましては、各省庁連携をより強くいたしましてできる限り御期待に沿えるように努力をするつもりであります。
○紙智子君 流木が本当に大きくしたという問題が大きいわけですけれども、じゃ、この流木というのは一体どこから流れてきたのかということが次に問題になると思うんです。
 それで、今日、ちょっとこれ、できるだけ大きい方が見えると思って大きい地図を用意したわけですけれども、(資料を示す)これ、門別町と新冠町の地図なんですね。それで、こっちの方が太平洋で、大体この黒い線が走っているところに、厚別川です、被害の大きかった厚別川が流れていて、そしてその周辺に被害の大きかった地域がずっとあるわけですね、集落が。それで、この赤で塗ったところは実は国有林なわけです。それで、やはりこの状況で、ここがそれで先ほども資料で、写真回っていましたけれども、林道の、相当あちこちで崩壊がある林道がある場所がこの辺なんですけれども、こういう全体のちょっと位置を知ってほしいと思いまして持ってきたんですけれども、こういうことなわけです。
 それで、この図から見ても、やっぱり大量の土砂、土砂と流木がどこから来たかということでいいますと、これはやっぱり国有林から流れてきているということが間違いないというふうに思うんですね、もう上流部分は一〇〇%国有林ですから。それで新冠と門別で合わせると、国有林の林地崩壊が五十九か所で、林道が五十二か所と。これはやっぱりそういう国有林のところから来ているという問題について認めざるを得ないというふうに思うんですけれども、この点いかがでしょうか、北村大臣。
○副大臣(北村直人君) 先生からのその地図のとおり、国有林、そしてまた民有林も入ってございますけれども、今回の被害全体の中では大体ほぼ半々にはなっておりますけれども、特に大規模林道を含めた林道も災害が大きいところについては国有林があるということは承知をしておりまして、この国有林の今後の管理、あるいは、先ほどもほかの委員の方にも答弁をさせていただきましたけれども、京都議定書の三・九%分の二酸化炭素を森林が吸収をしていくということになれば、この管理自体についても、今回の確かに一年間に降る量の三分の一がこの一日に降ったという異常気象ということがあったにせよ、今その異常気象にも耐え得るそういう対策として、北海道ともよく連携をし、そして専門家の方々の御意見を聞かさせていただく検討会を早急に立ち上げて、来週にはその検討会を立ち上げてこの中で議論をさしていただいて、それを基にして我が省における国有林の管理というものについて改めてもう一度考えてみたいと、このように思っているところでございます。
○紙智子君 今、その専門家も入れた合同委員会でというお話もありました。
 それで、やはりその作業道を造る場合に、機械を、起重を入れて、それでその木を伐採して引っ張ったりすることも含めて、造ったところがそのままに放置されているところが今回例えば流れてくる道になってしまったという現場もあるわけですよね。
 そういう、やっぱり北海道でもそうですけれども、国としてもその国有林の責任を考えて、やっぱりこの後の総合的な対応策でしっかり組んでいただきたいということでは、今お答えもいただきましたけれども、是非そのとおりやっていただきたいというふうに思います。
 それからもう一つ、これはまた別の問題なんですけれども、実は沙流川という川が、もう一つ大きな川があります。この沙流川の河口の近くに加工場、水産物の加工場があるんですけれども、加工場を含めてずっと一帯が住宅地にもなっているわけですけれども、ここが非常に水量が増えて浸水したわけですね。それで、ここに、加工場に行きましたところが、実は今回で三回目だということで、ここは沙流川の方が水面が水が増えると高くなって、こっちの方が低くなるわけですね。そうするといつも雨が、大雨が降ると内水がはんらんしてしまって水浸しになっちゃうと。ところが、沙流川の方が水面が高いものですから、そこに流れ出すために水門も開けるわけにいかないわけですね。そうすると、逃げ場がない水が全部そこにたまってしまうということで、排水機場を造ってほしいという要望を以前から出していたということなんですけれども、十年間全然この対策が取られていないということでもあるんですね。
 これは多分聞いておられるんだと思うんですけれども、やはり対応策をきちっとしてほしいということが出されていまして、この点について、これ国土交通省かと思いますけれども、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(藤本保君) この先生御指摘の区間につきましては、住宅地や農地に降った降雨が沙流川に流れ込めなくなります、いわゆる内水はんらんが発生いたしまして、地元の門別町長からも大きな浸水被害を受けた地区への排水ポンプの設置について、私ども現地に参りましたときに要望を受けたところであります。
 北海道局といたしましても、対策の検討の必要性については十分認識しておりまして、現在、北海道開発局におきまして内水はんらんの状況について現地調査を進めますとともに、どのような対策を取り得るのかについて検討を行っているところであります。
○紙智子君 それでは次に、今の制度の範囲ではなかなか救済されていかない問題についてですけれども、これも先ほど来お話に出ていましたけれども、住宅の再建費用を補助する支援制度、全壊、半壊などの住宅損壊世帯への財政支援を含めた支援の問題です。
 それで、今回内閣府として制度を創設して来年度の概算要求に盛り込むということになっているわけですけれども、被災者の立場からは、さっきも議論があったように、まだ十分ではないけれども、しかしそれでも一歩前進だというふうに評価はすることができると思うんですが、問題は、来年度ということですよね。
 それで、せっかくそういう考え方を確立しているだけに、今この目の前で起こっている宮城の災害ですとか、それから熊本、それから北海道ですね、こういう被災者をやっぱり見殺しにするわけにいかないというふうに思うわけです。そういう宮城や熊本、北海道、やっぱり同じ思いでいるわけで、その救済の手をやっぱり何とか差し伸べていただきたいというふうに思うんですけれども、この点、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(鴻池祥肇君) 委員から一定の評価をいただきましたように、居住安定確保支援制度というものを新たに作ろう、これを含めて被災者生活再建支援の充実を図っていこうと、こういう方向でございます。
 現時点のイメージといたしましては、全壊した住宅再建にかかわる経費に関しましては、最大限でありますが、二百万を支給をしていこうと、こういう具体的な考え方もあらわにいたしておるところであります。
 また、来年度からの新制度の導入を目指して成案を得ると。これも非常になかなか難しい状況下でありますが、まずこの要求を実現させることに努力を傾けたいというふうに思っております。
 そして、それを、それが成った時点で遡及というんですか、ただいまのこの被災者に当てはまらないかということでございますが、お気持ちは痛いほどよく分かるわけでございますけれども、今回の要求にかかわる制度拡充につきましては、これ、委員よく御承知のとおり、長年の経緯がございまして、検討するに、事項が大変多岐にわたっておりますし、また全国の知事会が新たに設置をいたします基金につきましても、これが具体的な決定ということには今のところ、ほぼ把握をいたしておりますけれども、具体的な決定ということがまだいまだに見えておりません。
 これが前提となりますので、十二月からの予算編成過程を通じて検討を行って具体化を図っていかなければならないということであります。その後、法改正等を行う必要がありますから、平成十六年度からの適用を実現すること、実現をしていくということだけでも大変な努力が必要でございまして、したがって仮に平成十六年度から制度拡充が実現いたしたといたしましても、それを今回の台風被害、地震被害者に適用するということは今のところ難しいとお答えせざるを得ないということであります。
○紙智子君 遡及するのはなかなか難しいというお話なんですけれども、現実にやっぱり救える、そういう実質的な措置を各県でもいろいろ工夫、努力をされているわけですから、そこのところを是非相談して、取れるようにしていただきたいというふうに思うんです。
 それから、あと、ちょっと時間の関係もありますので、あとは北村副大臣への質問なので、まとめてちょっとお聞きしますので、まとめてお答えいただきたいと思います。
 それで、一つは営農に対しても大きな支援が必要だというふうに思うんですけれども、共済制度がないとか、それから共済制度があるんだけれども入っていないというときには融資でとにかくやるしかないということですよね。しかし、既に前に借りているということの場合はなかなか更に借りることができないと。特に、日高の主産業の軽種馬の関係でいいますと、牧さくとか牧草地、パドックとか厩舎とかですね、こういうのは保険制度、ないわけですよね。
 ほかの農家の場合もこの十年間で三回、実は被害に遭ったんだと。その最初に、被害のときに借りたものがまだ全部返し切れないでいるという場合もあるわけです。それで、そういう場合はやっぱり借りることがなかなかできないわけですね。農協も、今、自己資本比率を高めなきゃいけないということでもう締められているわけですから、そういう中で貸出しについても相当慎重になっているわけです。
 その中で、やっぱり借りられない人が出てくると。そうすると、もう離農しかないということになりかねないわけですね。やっぱり融資で救済するということでいいますと、やっぱり限界があるわけですけれども、最低限営農を保障する特別の支援策を取れないかどうかと、打つ必要があるんじゃないかということがまず一つです。
 それからもう一つは、最近、やっぱり被害対策ということでいいますと、本当に後れた分野じゃないかというふうに思うのは、やっぱり海の問題なんですね。それで、補助があるのは、漁港などの復旧については、施設なんかはこれはあるわけですけれども、あとは何もないと。それで、共済制度なんかも、結局、度重なる被害があると、もう出てこないわけですよね。
 それで、今回、シシャモ漁が鵡川の辺りではちょうど時期になるということなんですけれども、そのシシャモの漁のためにも、とにかく何もないから自分たちでとにかくやるしかないということで、自力で今は漁業者の皆さん、やっているわけですけれども、結局、陸上で起こった被害が全部、最終的には川を伝って海に来ちゃうわけですね。終末処理場みたいになってしまっていると。そういうやっぱりいろんなことの犠牲というのが最終的に海に来るという、そういう状況だと思うんです。
 それで、海の災害対策をやっぱりいろんな形で打ち立てていく必要があるというふうに思っているんですけれども、その点について、二つお答えいただきたいと思います。
○副大臣(北村直人君) 委員から御質問の一つは、確かに金融支援対策はあるけれども、それだけでは非常に経営が難しいのではないかという御質問がございました。
 委員御指摘のとおり、この災害が発生したときに、我が省の方は八月十二日付けで、今までお借りをしていたそういう返済をする、そういったものについては繰延べ等々ができるようにそれぞれの金融機関等々にこれは指示をさせていただいたところでまずございます。
 しかし、まだそのことについては、この貸し付けされた返済の猶予等の申入れがまだ実績としては九月の十日現在では北海道からの報告にはないということでございますが、今後、北海道等々との協議の中でそれが出てくる可能性はあるというふうに思っております。
 さらに、引き続き経営をしていきたいというそういう方々のためにも、例えば、農業の経営維持安定資金あるいは農林漁業施設資金等々で長期低利の制度というものがございまして、その制度を活用させていただくということが現時点では非常に肝要ではないのかなと、このように思っております。その上で、何ができるのかということを北海道とも相談をしながら考えていくことについては、これはやぶさかではないというふうに感じているところでございます。
 もう一点、流木によって、海にその流木等々が出ていったことによる漁業者の方々あるいは漁場等々への被害等々について、先ほど事務方の方からの説明の中にありましたとおり、災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業というのは、これは一つにございます。
 しかし、これも漁港等々というこの一つの枠の中でやっていかなきゃならない。そういうことについては、なるべくこの事業が少し拡大解釈をしてでもやれるようなことを水産庁に指示をしておりまして、何ができるかよく考えてみてほしいということが一点。
 それとは別に、先ほどシシャモのお話がございましたとおり、流木が、これが海の中で漂っているというふうなことについては、一義的には漁民の皆さん方が、例えば白糠漁組ですと、約十トンを超える流木を漁民の方々が船の上にこれを引き上げて、これを陸に持ってきて、漁民の方々が設置をした場所に置いていると。これらについては、先ほども中川委員からも御指摘がございましたが、こういった、ある面では海を大切にしようという事業の中で、平成十五年度通常の事業としてこの事業がございまして、それらをこれらに対応をしていきたいと。
 しかし、限られた財源ということがございますので、まずはこの事業の中でいろんなことを考えて、財源も確保しながら、漁民の皆さん方がまずは浮遊しているそういう流木について自分たちの手でこれを港等々に引き上げた場合等々についても二分の一の補助等々の事業に拡大解釈ができるような、そういう対策を取らさせてもらいたいと、こういうつもりで対応をしていきたいというふうに思っているところでございまして、あとは、我が省には直接ではありませんけれども、特別交付税等々で、そういった地方自治体がそれに携わったときのものは政府全体でまた考えていかなければならぬ問題であろうと、このように認識をしているところでございます。
○紙智子君 終わります。