<第156回国会 2003年6月3日 農林水産委員会 第13号>


平成十五年六月三日(火曜日)
   午前十時開会

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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、地方農政事務所及び北海道農政事務所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案(内閣提出、衆議院送付)
○農林水産に関する調査(食品の安全性の確保に係る農林水産関係法律の施行に関する決議の件)
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○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 農林水産省設置の改定と地方農務事務所、北海道事務所の設置に関しての承認を求める件ということの議論なわけですけれども、それに先立ちまして、カナダ産BSEの問題、トレーサビリティーの問題について最初に質問をしたいと思います。
 それで、大臣は先週の委員会の中で、カナダ産牛のBSEの発生を受けて、アメリカ大使館に対し私の責任で申入れを行うというふうに言われました。それで、実際にどのような内容で申入れをするのか。その中身について、まず御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(亀井善之君) そのように申入れをするということを申し上げました。それは、先ほどもちょっと御答弁を申し上げましたが、この委員会、それぞれの委員の皆さん方の御発言、このことを踏まえて申入れをするということが私は一番大切なことだと、こう思っております。それにはいろいろ今回の問題、やはり食の安心、安全と、そして安全な、安心して食べていただくことができる輸入ということを図らなければならないわけであります。
 そのようなことから、安全な牛肉が輸入されると、こういうことが必要でありますし、さらには、我が国におきましては、国産牛のトレーサビリティーシステムを導入すると、こういう、そしてこの法律もあるわけでありまして、このような問題、これらを説明すると同時に、やはり何といっても安全な牛肉が輸出されるように要請をすると。また、先ほども申し上げましたが、本委員会でのいろいろの御審議の状況というものも十分先方に伝えて、そして安心して輸入牛肉を消費していただけるようなことができるように申入れをしたいと、こう思っております。
○紙智子君 今のお話聞いていますと、余り鮮明じゃないように思うんですね。
 この前、先週ですね、責任を持ってというふうに強調されていたわけですけれども、その安心を求めると、安心な肉が入ってくるようにというようなことをお話しされるんですけれども、どういう認識でアメリカ大使に対して会って話をするのかということでは、今現在、じゃ実際に、現在のアメリカで安全な肉といった場合に、アメリカの中でのカナダ産のこの牛、どこからどこまでがカナダ産で、あとそうじゃないのかということをしっかりと識別する、そういう能力といいますか体制というのがおありだとお思いでしょうか。
○国務大臣(亀井善之君) 先ほど姿勢のことをお話をされました。私が行く以上、私はこの間申し上げましたとおり、何回か申し上げておるわけでありますが、委員会の皆さん方の御発言と、このことをずっと聞いておるわけでありますから、このことを、私は私の政治家としての信念で申し上げるわけでありますから、今最初に私が申し上げたことでどうこうお話をされましたが、私は私の責任において、農林水産大臣として大使館に行く以上、それは日本の国を代表して行くわけでありますから、そのことは私の全責任において、私の姿勢として、私の人間性としてそのことをしっかり申し上げてくるつもりでありますから、是非御心配のないように、私は私の責任でやりますから、是非ひとつ御心配のないようにお任せをいただきたいと、このように申し上げます。
 そして、米国産の牛肉の中で、カナダ産、原産の牛肉が含まれる、こういう可能性はこれ否定できないわけでありますので、これらも踏まえて、この問題につきましてもしっかり申し入れてくるつもりであります。
○紙智子君 そういう委員会の議論の真剣な中身をとらえて、そして相手の国に対して言うということなんですけれども、やっぱりどういう認識で臨むのか、そして中身はどういうことを要求するのかということが大事だというように思うんです。
 それで、今お話がありましたけれども、アメリカの中で実際に、じゃこれはカナダ産牛だと、そういうふうに識別できるのかどうかということについては、これははっきりお述べになりませんでしたけれども、二〇〇〇年の七月のEUの米国に対するリスク評価、このリスク評価の中で、家畜が州と州をまたいで移動する場合、このときには許可が必要になっているけれども、しかし同じ州の中でこれが移動する場合には一切データベースに記録されないということなんですね。そして、追跡するということになると、文書があればいいですけれども、ない場合はその所有者の記憶に頼ることになっているわけですよ。ですから、この実際にチェックできる仕組みそのものに欠陥があるということを、当時のEUのリスク評価の中でも指摘をしているわけですね。
 実際に、八〇年から八九年に、アイルランドとイギリスから輸入していた牛が全部で当時四百九十六頭あったわけですけれども、結局これ、追跡していって最後まで分からなかったと、三十二頭が分からなかったわけですよ。そういう事態があってEUの評価があるわけです。
 ですから、本当に心配のないようにということを相手国に対して要求するのであれば、やっぱり、アメリカからの牛肉の輸入については、カナダ産でないということがはっきり証明されるもの以外はやっぱり入れないとか、あるいはBSEの検査が終わっているもので、これはもう安全ですと、BSEじゃありませんということがはっきりしている牛肉以外はやっぱり輸入は許可しないということを措置として取るべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○国務大臣(亀井善之君) いわゆるカナダ原産の牛肉をアメリカが日本に輸出しないように、こういうことは今、書簡でいろいろ申し入れておるわけでありますから、これらのことにつきましても、私の言葉ではっきりそのことも申し上げなければこれは当然ならないことだと、こう思っております。
 そのほか、いろいろ動物検疫の問題、そして特定部位の問題等々につきましても口頭でしっかり申し上げる等々、やはり今、日本でこうしてBSEの発生と、そしてそれに伴うトレーサビリティーの問題等々につきまして、このような法案を御審議いただいておるわけであります。そういうことを踏まえていろいろ御発言等々を申し上げて、そして安全な肉、こういうものが輸出されるようなことにつきまして申入れをするつもりであります。
 これはもう、皆さん方の御意見、こういうものを十分踏まえて申し上げるわけでありますので、私の先ほど来申し上げておりますとおり、この立場、大臣として国を代表して、安全な肉ということのためになお一層、先方に申し上げて、そして安心が得られるようにしてまいりたいと、こう思っております。
○紙智子君 一般的に安全な肉をという形ではなくて、やっぱり具体的に、今私申し上げたような形できちっとやっぱり申し入れるということをやっていただきたいというように思うんですけれども、その点はいかがですか。
○国務大臣(亀井善之君) 先ほど来申し上げているとおり、今御発言のことを踏まえていろいろ整理をいたしましてそれを申し上げるわけでありますので、この委員会の委員の皆さん方の御発言、これを逐一全部ということにはなかなかいかぬわけでありますけれども、それを総括をして、安全、こういうものが確立できるような申入れをしっかりやりたい、やらなければならないと、こう思っております。
○紙智子君 検疫での水際の対策が一方でちゃんとやられるかどうかということも先週以来議論になりました。
 それで、やっぱり水際の検査についても私一言言っておきたいと思うんですけれども、日本は今、決して水際のところでの検疫というのはできているというふうには言えない状況だというように思います。水際というのは、やっぱり輸入されてくるものが安全なのかどうかということを検査をするときに、いったん検査の結果が出るまでは止めておいて、通関させないで、そしてやっぱり結果が出て安心だというふうに、安全だということが分かった時点でやるということが、これが水際の検査だと思うんですけれども、今、日本がやっているのはそれじゃないですよね。結局、入ってきたものを検査して、それで、それもモニタリングだけですよね。これでやってサンプルを抽出して、そして横浜だとかそういうところに送ると。そして、その検査をする結果を待たずにもうこれは通関通すということを認めているわけですから、どんどん流通はしていると。
 だから、もし異常があったとか結果が出て大変だということが分かった時点では、これはもう食卓にのっているか胃袋に入っているかというようなやっぱり問題点があるし、その検疫の体制にしても、大変な膨大な量が入ってくる中では非常に不足だということも議論されてきたわけですし、モニタリング検査だけによっても全体の二・四%しかカバーできないという事態があるわけですから、やっぱりそういう意味では、しっかり輸入のところできっちりとした歯止めを掛ける必要があるというふうに思うんですよ。だから、トレーサビリティーのシステムをやっぱり輸入に対してもやるべきだということを申し上げているわけで、輸入牛肉についてトレーサビリティーの対象にすることについて拒む理由ですね。
 この間の大臣の答弁からずっと追っていきますと、結局いろいろ言われているんだけれども、最終的に出てくるのはTBT協定に反するというようなお話ですし、結局貿易障壁といって批判されるじゃないかというようなことが出てくるわけで、いろいろ取り除いて、これしか結局は残らないというふうに思うんですよ。
 それで、野党で修正案をこの間出しています。この内容がもし仮に修正されたというふうに仮定して、大臣は、じゃそういうふうになった場合に一体どこの国からそれに対して貿易障壁だということで批判、抗議が来るというふうにお考えですかね。
○国務大臣(亀井善之君) ちょっと仮定の話につきましてはなかなかお答えにくいことでありまして、この問題につきましては、もうずっと申し上げておるとおり、我が国におきましては、BSEの発生を踏まえてこの安全性、全頭検査による安全性を確保されているわけでありますが、また、一連の虚偽表示の問題、こういう国産牛肉に対する牛の追跡・検証の可能になるシステム、これを消費者の皆さん方もお求めになっておるわけでありまして、この法律を、個体識別情報の伝達を義務付けるわけでありまして、どこの国からどういうということにつきましては、輸入牛肉についての問題は、そのことにつきましては、どういうことになるか、これ、それぞれ、そういうことを言ったときに、その関係国からそういう話が出てくることなのか、若干、国際協定、それぞれ関係する国からそういう問題というのは、そういうことを我が国で決めた、輸入牛肉についてそういうようなことを決めた段階では、やはりその関係当事者の国々からその問題が指摘をされるんではなかろうかなと、このように想像されるわけであります。
○紙智子君 抽象的な話をしているんじゃないんですよね。実際に日本が外国との関係で牛肉を入れているというのは三か国ですよね。アメリカにカナダにオーストラリアですよ。一体この国のどこからそういう抗議が来るのかということですよね、これ、トレーサビリティーやると日本が言った場合に。だって、この間の答弁では、貿易障壁だというふうに、それに違反することが予想されるということを答弁されているわけですから、だからこの三か国のうちどこから来るのかと。
 そうしたら、例えばオーストラリアでいいますと、オーストラリアでは、既にビクトリア州というところでは、これはトレーサビリティー義務化していますよね。それからほかの州も含めて、今、これ任意で導入が始まっていると。特にEUとの関係でいいますと、EUはもうオーストラリアとの関係では早くから言っていて、EU向けの牛肉についてはこれはもう義務化というふうになっているわけです。
 じゃ、カナダはどうかというと、今カナダはBSEが発生して輸入がストップしているわけです。しかし、生産現場から屠畜場までのトレーサビリティーということでいえば、カナダもID制度という形でこれ作っているわけですね。
 そうすると、残りはアメリカしかないじゃないかと。じゃ、アメリカから抗議が来るのが怖くて、これについて、断固としてトレーサビリティーやらないという話をしているんでしょうか。そのことについてはいかがですか。
○国務大臣(亀井善之君) それぞれの国、アメリカ、カナダ、豪州、今お話がされたわけでありますけれども、それぞれの国、私の承知している範囲では、豪州では加入率が二割ですとか、米国におきましてもやはり違うわけでありまして、ですから、それらの国々が、今、アメリカだけと、こういうお話をされたわけでありますけれども、それぞれの国の状況と、こういうことによって違うんではなかろうかと、こう思います。
 また、それら、私ども、輸入業者やあるいは販売業者、あるいはまた生産情報公開のJAS法の活用など、いろいろこれらの取組、各国のそのような生産履歴の情報をどう提供と申しますか、外国のそれらにつきましていろいろ研究する必要は私はあると、こう思います。しかし、どこから国際協定上問題と、これはどこと、こういうことは、まあこれ想像できないことであります。
○紙智子君 ちょっとおっしゃっていることが余りよく分からないんですけれども、いろいろおっしゃるんだけれども、やっぱり結局はアメリカの圧力に屈しているということだと思うんですよね。
 私は、やっぱりEUとこの日本との対応の姿勢ということでいいますと、本当に大きな違いがあるというふうに思うんです。国民の命や健康を守る立場かどうかということでは、本当に大きな開きがあるというふうに思うんです。
 それで、EUは、米国から貿易障壁だというふうに言われようと、WTOで提訴されようと、断固としてこの立場を貫いて、自国の国民の安全を守るんだという立場を貫いていますよ。BSEの問題について言っても、EUでは、米国やカナダからの輸入牛の製品について米国から再三抗議されているわけですよね。されているわけだけれども、しかし二〇〇一年の三月には、もうその時点で、特定危険部位については、これは輸入製品については除去ですね、これを義務付けるということをやっているわけです。なぜかといえば、さっきもお話ししましたけれども、EUはリスク評価した際に、かつてイギリスやアイルランドから入っていると、牛が。そして、もしかするとそこにBSEの病原体が入っていたかもしれないと。それがレンダリングに回って肉骨粉になってアメリカの国内の中にも広がっている可能性があるという、そういう評価をしていたからですよ。そういう下で、はっきりしない中ででは、やっぱりどうしても最低限これのことはやらなきゃいけないというようなことで、もう二〇〇一年の時点で危険部位の除去ということを義務付けているわけです。
 我が国はどうかというと、今回カナダでBSEが発生して初めて、ようやっと今回検疫で特定危険部位については除かせる措置を取らせるということですから、それまではだから全くやっていないわけですから、どんどん入っていたかもしれないということが言えるわけですよね。
 EUは、もうこれだけじゃないですよね。発がん性のホルモン剤の問題なんかも、これは提訴をされて、それで負けているわけですよ、EUは。負けていても断固として継続しているわけですよ。
 私は、どちらが本当に国民の安全や健康のために真剣な姿勢で臨んでいるかどうかと、一体どっちがそういう目から見れば正しいのかということが問われていると思うんですよ。この点、大臣、いかがですか。
○国務大臣(亀井善之君) 我が国は我が国の考え方、そしてまた水際での、先ほどもお話し申し上げましたとおり動物検疫の問題等々、今回のこのトレーサビリティー、それはいわゆるBSEの発生、この蔓延防止、こういうことからこの法律をお願いをしておるわけでありまして、未発生国と、こういうことと、さらには、今回のまたカナダの問題等々によりましていろいろ御心配をされるわけでありますので、なお一層、この輸入牛肉の問題につきましては、水際での問題、先ほども御指摘がありましたが、動物検疫の問題等々につきましても、やはりさらに今回のことを十分わきまえて、不安のないように、安全な牛肉が輸入されるように、また一方、輸出国におきましては、そのようなことが今の中でできるように一層努力をしてまいりたいと、こう思っております。
○紙智子君 アメリカから何と言われようと、今度大臣お会いになって話をされると思うんですけれども、そこのところはもう断固として譲らないで、是非私は、トレーサビリティーの対象もこういうことで議論になっているんだから、是非させてほしいという話を要求していただきたいというふうに思います。
 ちょっとこれ、繰り返しばっかりやっているとあとの時間がなくなるので、次、設置法の問題について質問をさせていただきます。
 それで、最初に、地方事務所の設置、そして北海道農政事務所ができるわけです。しかし、土地改良の農業公共事業については、依然農水省としては指導監督はするわけですけれども、実際には国土交通省の北海道開発局がこの土地改良などの公共事業についてはやるということになるわけですね。それで、この点で農水省の指導と事業者である開発局との間でのそごや食い違いが生まれる心配といいますか、そういう問題について私少し話をしたいと思うんです。
 それで、今例として挙げるならば、北海道の網走管内で国営農地の改良事業が行われています。工事今継続中で、新たな計画の変更ということで手続の段階にあるんですけれども、実は先日、私の事務所に、ところにこの関係する三町の町長さんがお見えになりました。農協の組合長さんもお見えになりました。そしてそこで、平成十六年度中に工事を完了させなければ担い手育成支援事業、これが適用されなくなると、早く計画変更の法的な手続が必要だというふうに言われているんだという話だったわけです。
 担い手育成支援事業というのは、これ償還金が、利息が若干安くなるということだと思うんですけれども、ここの管内の小清水町の地区というのは、平成十二年度にこの担い手支援の事業の認定をされているわけです。
 そこで、農水省にお聞きしますけれども、適用の要件ですね。この要件というのは、工事の完成、早期完成云々ということではなくて、これから担い手に対しての農地集積が計画どおりに進むかどうかということが要件になっているんじゃないかと思うんですけれども、確認の意味で、いかがでしょうか。
○政府参考人(太田信介君) お尋ねの担い手育成支援事業でございますけれども、土地改良事業を実施した農家の負担の軽減等を図るために、償還金の利息相当分の一部を助成する事業でございます。その適用につきましては、平成五年度以前に土地改良事業が採択された地区におきまして、担い手への農用地集積要件と償還金の額についての金額要件、この両方を満たす地区であるということを条件にしております。
 具体的に申し上げますと、農用地集積要件につきましては、本事業の認定から起算いたしまして五年以内に担い手への農用地の集積の増加率がおおむね二〇%を超えることなど、金額要件につきましては、償還のピーク時の十アール当たりの合算年償還金が一定額を超えることなど、複数の要件の中から地域の実情に応じて選択できるという仕組みとなっております。
 これらの要件を満足する地区でありまして、該当する土地改良区又は市町村が平成七年度から十二年度までに本事業の認定を申請し、それが認められた地区を対象といたしまして、当該土地改良事業の完了後の負担金の償還に利子助成を行っているという仕組みでございます。
○紙智子君 今、要件ということでお話しいただいて、そのお話、ここに要領ですね、担い手支援事業の実施要領ということで確認をさせていただきましたけれども、それが農水省の通達で指導だったというふうに思うんですね。
 ところが、現地の説明では、工事を十六年度に完了しないと適用されないんだと、早く進めないと利子が安くならないんだと、だから早く計画変更に同意せよということでの乱暴な指導がされているわけです。文書でも、実はもう一つここに、網走開発建設部の網走農業事務所が出しているものですね、この文書は。これ見ますと、平成十三年度の小清水地区国営畑総事業計画概要ということなんですけれども、これによりますと、早急に法的手続を進めないと平成十六年度完了が困難になり担い手育成支援事業の助成対象から外れる可能性があると書いているんですよ。これちょっと農水省の言っていることと違うんですね。困難になって外れる可能性があるんだと。
 こういう間違ったことを言って工事の完成を急がせるやり方というのは、これは私問題だと思うんですけれども、これ、是正させる、そういう意思はおありになりますか。
○政府参考人(太田信介君) 平成十二年度に担い手育成支援事業の事業認定がなされております国営小清水地区の例だと思いますけれども、助成金の交付に当たりまして、認定から五年以内の平成十六年度までに担い手への農用地集積に係る要件、これは達成いただかなければならないということになっております。
 昨年三月の紙先生からの御質問を受けて別途御説明もさせていただきましたが、助成を受けるためには、平成十六年度までに国営事業が完了するという意味ではなくて、本地区の事業完了を予定する平成十六年度までには担い手への農用地集積が必要となるということでございまして、いずれにいたしましても、担い手への農用地集積に係る要件を達成するためにも、まずは国営事業を早期進捗させ事業効果の早期発現を図るということが、これはまた重要なことも事実でございまして、そういった意味で早期事業完了に向けて適切な事業実施に努めたいというふうに考えておりますが、御指摘の点につきましては、現地の方にも確認いたしましたが、この助成を受けるための要件と国営事業の完了予定ということを混同して説明した部分があるやに確認をしておりますので、その点につきましては早急に周知を図るような指導をしてまいりたいというふうに考えております。
○紙智子君 そこを是非是正させていただきたいと思います。
 現地はやっぱり努力してやっていますし、それから、期成会が出している資料の中にもそういう説明を受けているものですから、間違ったまんま、その期成会の資料にも十六年度完成しなければ大変なんだということが書いてありまして、これはやっぱり是正させていただきたいというふうに思います。
 それで、やっぱり農家は事業をやってきているわけだけれども、償還することができるのか、本当に払えるのかと、それから自治体についても、負担を本当に返していけるのかと、そういうやっぱり悩みを抱えているわけで、そういう状況の中で、十分な理解と納得が得られるんであれば別に、そういう事業を進めるということはあるんでしょうけれども、得られない状況の中で工事だけ急ぐということはやっぱりやるべきではないというふうに思うんです。
 北海道は歴史的な経過もあって、この公共事業については各省がばらばらじゃなくて、今も北海道開発局が総合的に所管をしているわけです。それで、農水省のこの土地改良事業というのは、北海道に当たっては国土交通省北海道開発局が所管ということで、そういう仕組みでずっと長い間来ているわけですけれども、やっぱりそういう今の状況や変化の中で、そうした仕組みのままでいいのかどうかということも一つこれからの検討課題ではないだろうかというふうにも思います。
 是非そのことを最後、問題提起として指摘をさせていただいて、時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。