<第156回国会 2003年5月22日 農林水産委員会 第11号>


平成十五年五月二十二日(木曜日)
   午後一時一分開会
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○林業経営の改善等に必要な資金の融通の円滑化のための林業改善資金助成法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○森林法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○食品の安全性の確保のための農林水産省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案(内閣提出、衆議院送付)
○地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、地方農政事務所及び北海道農政事務所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
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○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 まず、森林法の一部改正について質問いたします。
 森林白書では、この十年間の中で熱帯林を中心に大幅に森林が失われていっていると、我が国の国土の二・五倍ということが指摘をされています。その一方で、我が国の現状はどうなっているかというと、木材の価格が低迷をする、そういう中で、この林業の生産活動が停滞をしている、そしてそういう中で森林が十分利用されないあるいは必要な整備がされないという状況があって、我が国の森林自身が劣化をする、このままでいえば劣化するということで、その問題点が指摘をされているわけです。
 この中にも書いてありますけれども、我が国は世界有数の木材輸入国と。そういうことで、輸入国であることから、成熟する国内の森林資源を十分利用することも国際社会の一員としての責務であるというふうに述べているんですね。この指摘というのは本当にそのとおりだというふうに思うんです。
 それであるだけに、やはり今までの施策の延長線ではなく、抜本的にやっぱり我が国の森林の資源を活用するあるいは整備する、そこのところを本当に取り組んでいく必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、まずこの点での大臣の認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(亀井善之君) 今、委員御指摘のとおり、今回の森林・林業白書にも分析しているとおり、世界の森林は、平成十二年まで十年間に日本の国土の二・五倍に当たる面積が減少している。我が国では木材供給の八割を海外に依存をしておるわけであります。この結果、森林生産活動の停滞により、国内の森林は資源として十分に利用されず、このままでは森林の持つ多面的機能の発揮に支障を来すおそれがあります。このような状況を踏まえまして、平成十三年に森林・林業基本法を制定したわけでありますし、従来の木材生産を主体とした政策から、森林の多面的機能の持続的発揮を目的とした政策へ抜本的な転換を図ったところでもあります。
 この基本法に基づきまして、森林・林業基本計画に即して、重視すべき機能に応じ、水土保全林、森林と人との共生林、資源の循環的利用林に区分し、これに応じて多様で健全な森林整備を実施するとともに、地球温暖化の防止に向けて、昨年十二月に策定した地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策に基づく取組を重点的に推進し、また、さらには、緑の雇用等を通じて担い手の育成、バイオマスエネルギーとしての新たな需要を含めた地域材の利用推進等を図り、林業・木材産業を通じ構造改革を図る施策を展開するわけであります。
 これら新たな森林・林業政策を総合的に推進することによりまして、国際社会の一員としての責務を果たしてまいりたいと、このように考えております。
○紙智子君 これまでの延長線じゃない、抜本的な対策という立場に立って、以下の質問にお答えいただきたいと思います。
 まず、住宅建設への地域材の活用の問題ですけれども、都道府県の助成の制度がありますね。それで、この制度、林野庁の方からも資料をいただきました。これを見ますと、本当にほとんどの道府県が取り組んでいて、例えば低利融資、低利融資ということでいいますと十五道府県、それから利子補給ということでいいますと十九県、そして補助金等ということで、そういう助成は十二県ということで、本当に全国的にというか、各都道府県でこうした何らかの取組、助成制度をやっているわけです。
 それで、地域材、国土交通省さんからも資料をいただいていて、大体重なるものになっているわけですね、各都道府県の取組について。地域材の活用に関する基準のあるものということで、そのことがきっちり書かれているわけですけれども、こういう努力がされているわけです。この努力に対して国としては、国はどういう支援をしているのかということについてまずお聞きしたいと思います。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 今言われましたことにつきましては、地財措置として各県にお願いをしているところでございますが、そういったことにつきましては、我々として、総務省との間の調整を図るとともに、本措置が十分に活用されるということが必要でございますので、各都道府県に対しまして当該措置に係る情報提供と優良事例の紹介というものを行って、より効果のある形で都道府県で行っていただくようにしたいというふうに思っているところでございます。
 あと農林水産省としましては、この地財措置そのものとのかかわりということではございませんけれども、例えば森林所有者から住宅生産者までの関係者が一体となって取り組む、顔の見える木材での家造りというようなことも支援をしているところでございまして、そういった地財措置と林野庁で行っています支援とを併せながら、できるだけ国産材の住宅ができていくという形になればというふうに思っているところでございます。
○紙智子君 そうしますと、いろんなところのいいところの情報を提供すると、そして利子補給などに地方財政の地財措置ということでお願いしているということなわけですよね。
 実際にどれだけそういう地財措置ということでやっていることが現場にバックされているかということなんですけれども、補助制度の場合、国からその分についての交付税というのは支援があるんでしょうか。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 地域材を利用した住宅建設のための利子補給等に要した経費については特別交付税措置として五十億円の枠をいただいておるわけでございまして、そういったもので総務省の方で判定をされているんではないかというふうに思っております。
○紙智子君 五十億円の交付税措置、特別交付税措置ということなわけですけれども、実際に具体的にどれだけ、じゃ、バックしてそこに行っているのかというのはつかんではおられないですか。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 最終的にはまとまった形で行くというようなところがありまして、これに幾らというような形で我が方では把握できておりません。
○紙智子君 ということは、やっぱり補助金とか助成金の、こういうものに対しては交付税措置の対象には実際にはなっていなくて、つまり、全額、自治体でやった場合はそれが自治体の負担ということになっていると思うんです、実態はね。
 それで、ある県の担当者の話ですけれども、大手メーカーの住宅については外材中心に流通していると。この自治体がやっている補助制度ですね、これは普通の工務店が造る木造住宅に適用されていると。年間で、ここの担当者が言うには、六千五百戸ほどの木造住宅のうち約一%、だから六十七戸ほどがこの補助制度を使っての実績なんだと。今、経済状況が非常に良くないので住宅建設が減っているわけだけれども、この補助金がもっと増えれば申込みも増えるんじゃないかというふうに言っているわけですね。
 そこで、大臣、今こういう担当者の声もあるわけですけれども、国としてこの補助制度を設けて、自治体の助成額をかさ上げできるように充実すべきでないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(亀井善之君) 国産材、そして木造住宅建設に当たりまして国産材を、また地域材を使っていただくと、こういう面でいろいろの形で私ども努力をすることは必要なことだと、こう思います。
○紙智子君 今、私質問したのは、それぞれのところで独自の努力がされているわけですよね、補助制度使っているんだけれども、実際上は、やっぱり地方も大変だからなかなかそれが進まないと、だから、国として補助制度を設けて、かさ上げできるようなことを、仕組みをやったらどうかということを聞いたんです。もう一度お願いします。
○国務大臣(亀井善之君) いろいろ話は理解できることでございまして、ただ、地域材を使った住宅建設に対して国が助成する、この辺の問題につきましては、国際貿易ルール、WTO補助金協定をクリアできるかどうかと、若干このような問題があるんではなかろうかと、こう思います。
○紙智子君 ちょっとその辺はよく分からないんですけれども、最初のところでやっぱり抜本的対策をやる必要があるんだということを述べられているわけで、やっぱりそういう国際的な状況の中で、今それぞれの県段階でもそのやっぱり重要性を受け止めて努力しようとしてきているわけです。
 現に県ではやっているわけで、私も先日、北海道の森林の町と言われている下川町に行ってきたんですね。この下川町というのは、旭川のもう少し北側で本当に山奥なんですけれども、こんな山奥には恐らく工場を誘致するといってもなかなか企業も来ないだろうと、本当に森林という自分たちのところにある資源を生かして町づくりを進めようということで、この下川町では、地域資源循環型の町づくりということで、もう総ぐるみで取り組んでいるんですね。町役場もそうだし、それから商工会、それから森林組合ですね、もう一体となって、いかにしてこれを生かしていくのかということで、もう知恵も出しながら必死に頑張ってやっているところなんですよ。それで、全国からもたくさんの方が視察に来ているんですね。
 そういうところなんですけれども、ここでいろいろお話お聞きしましたら、やっぱり必死の努力をしていまして、それで、地域材を利用を促進するために、町独自です、町といっても今人口が、かつては一万以上あったんですけれども、四千数百人ですよ。そういう町で独自に住宅建設者に四十五万から百十万出して、やって、促進しようということでやっているんですね。ところが、やっぱり交付税が今どんどん少なくなってきている、非常にそういう中で地方財政も厳しい、これ以上厳しくなったら今やっているこの助成の制度もこれ検討しなきゃいけなくなるという話をされていたんです。
 ここに、例えば道と国からそういう底上げできるような支援があったらもっとやっぱり元気になれるし、うまく回っていくということで、やっぱりやり方としてはいろいろ工夫はあると思うんです。やっぱり県に対して還元する、補助でもってやるとかいうことで、そこから先のいろんな工夫の仕方はあると思うんで、是非大臣、これ検討するということで考えていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(亀井善之君) それぞれ、今の制度、そしてまた関係機関とも一層連携を図りながら、住宅への地域材の利用、この促進に努力をしてまいりたいと、こう思います。
○紙智子君 国としての補助制度、検討するということでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 実は、今の地財措置の話は、国として国産材をもう少しそういう形でやれないのかという話がございまして、その中で、国として一括国産材を差別的に取り扱うといいますか、国産材を優遇するといいますか、そういうような形をするとどうもWTOの問題に関係してくるんではないかというようなことから、これはやはり地財措置でお願いするということが必要ではないかというところから、実はこの問題が、総務省の方へお願いをしたわけでございまして、そういう点でいくと、かなり難しい問題を含んでおるわけでございます。
 そういう点では、今言われましたようなことで、すぐやれるのかということでいきますと、今言いましたような経緯の中にあるということでございまして、そういう点を踏まえて我々としては考えていかざるを得ないんではないかというふうに思っているわけでございます。
○紙智子君 国際的にもそういうこれからの地球全体の環境問題含めてどうするかということが議論されているだけに、やっぱり、いや、WTOがということでこれを壁にしてしまうんじゃなくて、やっぱり工夫して、何らかの形でそういうことでもってやれないかということでやっぱり考えるべきだと思うんです。そうしなければ、今のままではやっぱりいい方向に向かっていかないというように思うんですね。
 それから、続きまして、公共施設、公共事業に地域材、国産材を活用することについてなんですけれども、農水省として木材利用拡大アクションプログラムということで出しています。この中で、各局庁に数字的な目標を定めさせるというふうにしていますね。そして、その上に立って農水省全体では、じゃ今後何倍にするのかと、そういう目標はお持ちでしょうか。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 今回の農林水産省のアクションプログラムにつきましては、一つは、農林省のそれぞれの事業の中で重点的に木材を利用する施設としてどんなものがあり得るだろうかと、そういったものについては原則木造として考えられないだろうかということが一つございます。そういった中で、そういった施設についてどれぐらい拡大できるかという目標を設定していきたいということでございます。それからもう一つは、これまで余り木材を使用してこなかった施設についてモデル的に取り組んでもらうということをできないだろうかということを考えているところでございます。
 そういう点で、今も申し上げましたように、重点的に木材利用の拡大に取り組もうという施設につきましては数値目標をできるだけ作っていきたいというふうに思っておりますが、全体として農林水産省でということでまいりますと、なかなかそこが難しいんではないかということで、今申し上げましたように、まずは実施をするというところの中で具体的な目標を作っていくということで考えていきたいというふうに思っているわけでございます。
○紙智子君 この中にもありますけれども、森林・林業基本計画の中でも、国産材の利用計画でも、自給率を現在の一九%から二五%に高めようという計画を持っているわけですね。それで、公共事業関係で農水省としてもやっぱり今の何倍にするというような積極的な目標を持つべきじゃないかと思うんですよ。大臣、どうですか、これ。
○国務大臣(亀井善之君) いろいろ全体としての数値目標を設定する、なかなか難しいところもあるわけでありまして、これから重点的に利用拡大する施設の種類などを特定するとか、いろいろ施設等につきましても数値目標の自主的な目標を定めると、こういう形で努力をしてまいりたいと、こう思っております。
○紙智子君 衆議院でもこの議論がありました。それで、衆議院の審議の中でも、公共事業等でいろいろ事業があるものを、まず国産材を使ってもらわなければ我が省としても採択はしないぐらいの覚悟で取り組んでいますというふうに北村副大臣が答えているんですけれども、そのとおり実行すべきだと思うんですね。
 そこでお聞きしますけれども、農林水産のこの補助事業施設、補助事業施設ですね、これは採択に当たって、地域材を使ってできるものは原則木造、内装の木質化、木製品の導入を要件にするというようなことで、それをやるつもりはないかどうかということについてどうでしょうか。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 農林水産省の補助事業施設につきまして、今、木材をできるだけ使っていただきたいというお願いをしているわけでございまして、例えば林野庁の林業・木材産業構造改革事業では、事業の運用通知におきまして、施設等の設置に当たっては原則として木造とするという規定を設けているところでございますし、また実はほかの事業につきましても、施設等の設置に当たっては地域の実情や施設の構造等を勘案しつつ、木材の利用促進に配慮すると、これは経営構造対策事業でございますけれども、そういった規定を持っていただいているところでございます。
 そういう点で、規定上は、今申し上げましたように、重点的に進めるというものを特定をしまして、そういったものには原則木造というような形を打ち出していくということの中で、更に見直すべき点が出てくるのではないかというふうに思っておりますが、いずれにしても今の段階でもそういうような形で木材を使って、木造としていくということを打ち出していただいているものもあるということでございます。
○紙智子君 ちょっと紹介したいんですけれども、熊本で、熊本県が出している基本方針なんですね、これ。その中を見ますと、基本方針の中でまず、一、公共施設における木造利用の推進と。県が行う公共施設整備は、法令の規定等により木造にできない場合を除き、原則として木造とする。木造以外の施設にあっても、木質化が可能な床や壁等においては、別表のとおり目標を定めて木質化を促進する。二、公共事業における木材利用の推進。県が行う公共事業については、木材又は木製品を用いた工種、工法を検討し、木材の利用によってその目的が損なわれない場合には積極的な利用を図る。三、市町村等への木材利用の要請。四に木材業界や県民への波及というようなことで、こうやって具体的にしているわけですよ。
 ここのところを非常に、そういう点も受け取りながらといいますか、各種公共事業のやっぱり具体的にするためには、設計基準にそういった中身を、可能な限り地域材や国産材の活用という指定を明示するというのが、これが結構大事だというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。大臣。──じゃ、両方で。まず答えてください。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 今申し上げましたように、農林水産省でこのアクションプログラムの今回アクションプランを作ろうということにつきましては、農林水産省としてまずどういうことができるかということをきちっと検討し、それを実行に移していこうということでございまして、その結果を踏まえまして各省庁に同じような取組をお願いをしていくということをしたいというふうに思っているわけでございます。
 そういう点では、今回の農林水産省が作りますアクションプログラム、それをきちっと実効あるものにしまして、各省にお願いができるという形を作っていきたいというふうに思っております。
○紙智子君 大臣、設計基準に入れ込むかということについてどうですか。
○国務大臣(亀井善之君) 設計基準に入れるかどうか、これいろいろ森林土木木製構造物の暫定設計指針や施行歩掛等を作るわけでありまして、これらの農林水産省所管の公共事業における木材の利用を促進する面におきましては、今、長官からもお話し申し上げましたとおり、木材利用推進関係省庁連絡会議の場を通じ、アクションプログラムの内容について説明するなど、木材利用の推進を要請しているところでありまして、今後とも木材利用の可能なところは木材を積極的に利用していただくなど、関係省庁との連携を強化し、とりわけ地域材の利用の促進を図る努力をしてまいりたいと、このように考えております。
○紙智子君 各地に行きますと、こういうふうに、じゃ、どういうふうにしたら具体的に進むと思いますかというと、必ず出てくるんです、やっぱり書き込んでもらうといいんだけれどもなと。当然のこれは要求なんですよね。ですから、是非これは基準の中にきちんと書き込むということ、これやるだけでも違うと思うんですよ。是非それはやっていただきたいというふうに思います。
 それから、国土交通省さんにお聞きしたいんですけれども、国土交通省としては、最大の公共事業をやっているところなわけです。それで、公共事業において地域材それから国産材活用、これについてどう図っていくのかということについてお話しいただきたいと思います。
○政府参考人(門松武君) 国土交通省の公共事業におきます地域材の活用状況につきましてお尋ねがありました。
 我が省で行います公共事業に関しまして、木材の具体的な利用例を御紹介いたしますと、まず河川工事におきます護岸、あるいは公園、港湾それから道路、こういった工事におきます植栽の支柱、それから営繕工事におきます庁舎等の内装材、これら各事業において地域材、木材の使用を推進しているところであります。
 特に間伐材につきましては、平成十三年四月に施行されましたいわゆるグリーン購入法に基づきます基本方針におきまして特定調達品目として位置付けられておりまして、我が省におきましてはこの間伐材を使用する公共事業を積極的に推進しているところであります。また、平成十三年度の我が省の直轄工事におきます間伐材の利用実績は約一万八千立方メートルに及んでおります。平成十四年度以降につきましても、調達実績を把握して、その利用の推進に努めてまいる所存でございます。
 今後とも、間伐材などの木材の利用の可能なところには木材を積極的に利用していくこととしております。
 以上でございます。
○紙智子君 環境面での配慮に立ってのそういうこともやっているというお話で、それ自体は大事だと思うんですけれども、もう一つ、我が国の国土交通省なわけですから、やっぱり我が国の木材の振興の視点も入れていただいて、やっぱり実態としては間伐材ということでも入ってもいるわけですけれども、国産材利用の視点を入れていただいて、この公共工事の設計に当たって、この木材にできる部分は切り替える見直しを検討するなど、今の何倍にするというような目標も持っていただいて取り組んでほしいというふうに思います。
 ちょっと時間が押してきていますので、次の質問に移ります。担い手の対策です。
 現在行われています緑の雇用対策、これは一年間研修の後、就業者として定着を図ろうということですね。それで八十か所で二千四百人を目標にしているということなんですけれども、この目標実現の見通しとしてはどうでしょうか。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 十四年度補正予算によりまして、今回の緑の雇用担い手育成対策を認めていただき、今四十四都道府県、八十地域で実行に取り掛かろうというふうになっているところでございまして、見通しということで申し上げれば、二千四百人研修することができるであろうというふうに考えております。
○紙智子君 せっかくこうやられている制度なわけですけれども、現場では既存の補助事業に使えないと、それでなかなか使い勝手が悪いという意見があるんですね。補助事業で実際に施業をやっているフィールドで先輩の労働者から教わって、体でも覚える、技術も習得するということで研修するわけですけれども、ところがこの制度というのは、補助を受けていない別のフィールドでやらないといけないと、既存のでは駄目だというふうになっているんですね。
 これはやっぱりその辺は、現場では、実際に実効力が上がるということでいえば、直接慣れた人から見よう見まねで覚えるということも含めてやるということになると、弾力的な運用ということが、そういうことがあっていいんじゃないかというふうに思うんです。
 ちょっと続けて言いますけれども、一年間就業した後、本格的な就業者として雇用される、そういう見通しはどうでしょうか。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 今、補助事業との関係でございますけれども、今回の緑の雇用対策ということにつきましては、雇用担い手育成対策につきましては、おおむね十分の十で考えておる事業でございまして、そういうことでいけば、それを利用しながら、今まで補助事業の対象になっていないようなところで、どちらかといいますと市町村有林であるとか県有林であるとか、公的なところの森林整備を進めていくというようなことも念頭に置きながらやっていただくというようなことで考えてきたところでございます。
 そういうようなことで、今まで補助事業で実行されていなかったところが整備をされていくと、雇用の研修と同時に整備がされていくというようなことで考えていきたいというふうに思っているわけでございます。
 それから、一年間の期間の問題でございますけれども、我々としましては、緊急雇用対策を受けた方々の中で森林作業に定着をしたいという方を選んで研修をしているということでございまして、そういう点で、一年間の間で一応林業事業体から求められる技能は習得されるというふうにしていきたいというふうに思っているわけでございまして、一年後には林業事業体に定着されるというふうに我々としては持っていきたいというふうに思っております。
○紙智子君 一年の講習で山に入って一人前にやるというのは、これはなかなか大変だということなんですよね。
 それで、森林組合の方も、余裕がない、財政的にも非常に厳しい面があるということで、研修後、やっぱり雇用を援助できる制度があればいいということなんですよね。少なくとも、例えば一年講習を受けたと、だけれども、まだ十分身に付いていないし、引き続き講習を受けたいという場合に、引き続き二年とか三年とか続けて講習できるようなこういうことというのは考えられないのかという問題と、それからもう一つは、実際に一年たって雇用されたという場合に、実際にはなかなかまだ未熟ですから、使う方も、ほかの人と同じだけの給料を払って使うというふうにならないという側面があるわけですよね。だから、そこを本当に、熟練して技術を身に付けながら本当に働いてもらうということでは、そういう雇用した場合に、その人に対して生活できるだけのやっぱり補てんといいますか、そういう雇用を援助するような制度というのはないんだろうかと。森林の組合長さんなんかは、少なくとも三年間はそういうのがあったらいいということで強く要請が出ているんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 今まで林業労働としまして、新規雇用については千五百人ベースから実は二千三百人ベースぐらいのところまで新規雇用が上がってきているわけでございます。それはやっぱり山の作業に就いてみたいというような希望も一方では出てきているというようなことでございまして、そういう中で今回この緑の雇用というものを打ち出したわけでございまして、我々としては、先ほど申し上げましたように、特別に一年間ほぼ事業費を国の負担で行っていくということで考えているわけでございますので、やはりそれについては効果的にきちっとやっていただいて、一年後には事業体の中で更に定着ができるという形に持っていきたいと。
 また、事業体の中でも、今までもやはり新規で林業労働に就かれた方々は作業をしながら覚えられるというところもあったわけでございまして、それをすべて、二年、三年という形で面倒を見るということにはなかなかなり得ないのではないかと。それは今までもそういう形で育ってきていただいたというところがあるわけでございますので、今回、一年間の事業という中で林業事業体の方で求められる技能は身に付けていただいて、それは確かにベテランの方から見ればまだまだということはあろうかと思いますけれども、さらにそこは雇われる中で磨いていっていただくということではないかというふうに思っております。
○紙智子君 時間になりましたけれども、やっぱり現実を見ない発言だというふうに思うんですね。
 それで、実際に高校でそういう林業関係の学科というのはどんどん減ってきている。それから、熟練された森を守っていく労働者の方たちもだんだん高齢化してきて少なくなっていくと。そういう中でいかにして守り手をつくるかということを真剣に考えるならば、やっぱり現場の声として出ているわけですよ、今のままじゃ大変だと。いかにしてつくるのかということで真剣に考えるならば、やっぱりここをもっと本格的に強化してほしいという声がありますので、それ以上のことは考えないということじゃなくて、是非前向きに検討いただきたいということを最後に述べまして、質問を終わります。