<第156回国会 2003年2月18日 予算委員会 第13号>


平成十五年三月十八日(火曜日)
   午前十時開会
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  本日の会議に付した案件
○平成十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成十五年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)
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○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
まず初めに、大島農水大臣に質問いたします。
 三月十一日の予算委員会で、我が党の大門議員の質問の中で、大島大臣が談合した企業から三千七百万円の献金を受け取っていたことを指摘しました。そして、その返済を求めました。過去に森元総理大臣、小泉総理も談合企業からの献金を返還したことも示しました。皆さん、道義的に受け取るべきものでないと判断をされて返還をされている。あなたも返還すべきではないかというふうに申し上げたわけですけれども、これに対して大臣は、献金と談合の因果関係を調べてみたいと、その事実があった月日を調べてみたいというふうに答弁をされました。
 さらに、三月十四日の八田議員に対する答弁の中で、談合企業からの献金問題について、私自身もしっかりしなければならぬ、今そのための勉強をしていると、そして御指摘をいただいて謙虚に耳を傾けなければならないというふうに答弁をされておりますけれども、お調べになりましたか。
○国務大臣(大島理森君) 因果関係、つまり、その談合と言われるものによって、まあその献金との因果関係ということについては、これはなかなか、そこを把握するとか、そういうことは不可能に近い。
 ただ、お答えを申し上げたように、道義的問題としてどのようにこれを処理すればいいか。こういうことについては私なりに今勉強を、勉強というか、どのように考えていったらいいだろうかということは真剣に悩みながら、何せ金額も金額でございます。
 ただ、一つだけ委員に申し上げさせていただきたいことは、委員も道義的というお話がございましたが、企業から私どもが献金をいただくこと、そしてそのちょうだいした浄財を政治資金規正法にのっとりその事実を資金収支報告書に記載する、その行為自体は違法ではないということだけは、これは私のみでは、私のみというか、いわゆる法の一つの考え方としてきちっと改めて申し上げ、御理解いただいた上で、そして私個人がいただくということよりは、もちろん私がその支部の支部長であることは事実でございます。事実ではございますが、一存で全体をやっぱり動かすという、そこには相談も必要であろうと思っております。さらに、相手方というものもあろうかと思っております。
 そういうことで、現在、関係者ともどもとも協議して、一気にそういうことを御返済できないのであれば、どこからどこまで返済をし、自分のやれる範囲のものをどうしたらいいのか、総合的に判断をしてそれなりの対応の協議をしております。
○紙智子君 返済をするということなんでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) もちろん、そういう方向について協議をしているのは事実でございますが、政党支部として、どのように、どういう形で、そしてどの範囲でどう考えるべきかということを今協議をしておるところでございます。
○紙智子君 あなたへの献金が談合が行われた期間に行われたものであるということは、これは先日の委員会に提出した資料の中でも明らかになったことです。
 森首相のケース、元首相のケースの場合も、例えば、地元の石川県の小松市の排除勧告を受けた配管事業者が森元首相の資金団体に五年間、九五年から九九年まで政治資金をしていたと。献金を受けていた期間は、この業者が談合を繰り返した時期と重なったと。その時期に、森当時の首相は建設大臣でもあったと。そういう立場にも配慮してすぐに返却をした。小泉総理のケースもお話ありましたけれども、いずれも献金を受けた時期と談合が行われた時期が一致する。返還していると。
 ですから、いつまで悩んで考えるのかということにもなるわけで、時間を掛けて調べるようなことでもないと思うんですよ。私は即刻返還すべきだと思いますよ。いかがですか。
○国務大臣(大島理森君) 即刻お返しできる人はお返しするかもしれませんが、それぞれの事情が私はあると思いますし、私自身も、今言ったように、即刻といってもなかなか即刻それが準備できるかどうか、そういうことも実際問題としてあると思うんです。したがいまして、どのようにしたらいいか、また、お返しをさせていただく相手方の方の思いというものも聞かなきゃならぬのだろうと思うんです。
 ですから、そういうことで、私自身、政党、私にと今、委員がお話しされましたが、第三選挙区支部という党の存在でございますし、そういうこと等々も協議しながら結論を出したいと、このように思っております。
○紙智子君 いろいろお話しになるんですけれども、やはりこの期に及んでそういうことをいろいろ言われることではないと思うんですよ。やっぱり、本当に事の重要性がお分かりになっていないと思います。私は、この問題は、政治資金規正法に、報告書に載せているからとか、あるいは善意の献金とか、そういう問題ではないんですね。もう談合で公共事業の受注額を決めるということが、実際には高く金額をつり上げていくということなわけです。
 それで、あなたが受け取った八戸市の談合でも、結局、公取の勧告で、違反行為の中身として、受注価格の低落防止を図るために談合したと、こういうふうにはっきりと指摘をしているわけです。金額を上げるために談合したということなわけですから、結局、談合で浮いたお金がその企業に入っていくわけですけれども、そういう中から業者が献金をし、あなたが受け取ったというふうに思われても仕方がないわけですよね。
 ですから、元々そのお金というのは何なのかといえば、八戸市の市民が出しているお金であったり、国民の税金なわけですよ。こういう灰色のお金というのは、やはり即刻に返還すべきだと、それが政治家としての最低のモラルじゃないでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) 何も先生のお話の結論を私は否定するのではございません。ただ、談合で浮かした金が、それで上前だった金額が、それが献金に回っていると断ずるというのは、私は必ずしも正確ではないんではないかと思うのです。
 ただ、政治的、道義的責任としてどのようにその問題を果たすかという意味で、先ほど来申し上げましたように、即刻と先生が申し上げますが、おっしゃいますが、即刻といっても党は党の資金環境というものもございます。したがって、どのようにしていったらいいか、様々な形で協議して、そういう方向で検討をしていこうと、このように思っております。
○紙智子君 一遍には無理だったら、分けてでも返すということで理解してよろしいんでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) そういうこと等々も含めまして様々に協議して、先ほど申し上げましたように、党というのは私一人が、確かに私は代表でございますけれども、会計責任者もおれば、あるいは自民党の議員の皆さんもいれば、そういう中で党活動として、既に善意でいただいたお金を党活動として使っているわけでございます。そういうこと等々を考えますと、どういう方法があるのか。そして、どうしたらいいのか。相手方の私はお気持ちもあると思うのです。そういうことを考えながら協議してまいりたいと、こう思っております。
○紙智子君 私は農水委員会に所属しておりますけれども、今、やっぱり農業をめぐる状況や農家の皆さんの御苦労を考えたときに、それを真っ先になって解決のためにやらなければならない大臣が、こういう形でいつまでもこの疑惑を持ちながら解決できないということは本当に情けなく思います。
 そして、やはりこういう大臣の下ではまともな審議はできないというふうに思いますから、是非ともお辞めになっていただきたいということを申し上げて、これに対する答弁は結構です。
 次の質問に移らせていただきます。
 それで、資料を最初にお配りしていただきたいと思います。
   〔資料配付〕
○紙智子君 配っていただいている間に質問いたしますけれども、今、北海道で公共事業の、問題になっている公共事業の一つであります日高横断道の問題について質問します。
 まず、これがどういう計画であるのか、その概要について説明をしていただきたいと思います、国土交通省。
○政府参考人(村岡憲司君) 日高横断道の計画概要につきまして御説明申し上げます。
 御指摘の道道、静内―中札内線は、静内町を起点といたしまして、峠の部分で日高山脈襟裳国定公園内を通過をいたしまして中札内村に至る延長約百キロメートルの主要道路でございます。このうち約八十キロメートルが未整備でございまして、二車線道路として整備する計画となってございます。
 本路線のうち、峠付近の未開通区間約二十五キロメートルにつきましては、長大トンネルなどを含むことから、地元の御要望を受けまして、開発道路制度を活用して昭和五十六年度に国が事業化をいたしまして順次工事に着手してまいりました。これまでに完成しました約四キロメートルを道に引き継ぎまして、残る二十一キロメートルについて現在工事を実施しているところでございます。
 一方、北海道が管理をいたします区間につきましても順次その整備を行ってまいりましたが、約三十キロメートルが未改良でございまして、その中で、現在約四・四キロで事業を実施しておりますが、残り二十五キロメートルにつきましては工事が未着手の区間として残されているのが現状でございます。
 以上でございます。
○紙智子君 お配りした資料の@を見ていただきたいんですけれども、この図のように、日高山脈襟裳国定公園のちょうど、この日高横断道というのはど真ん中をぶち抜く道路です。道道なわけですけれども、北海道の管理区間とほぼ真ん中の部分が国の管理区間なわけですけれども。
 そこで、環境省にお聞きしますけれども、この国定公園のほかにはない特徴、優れた特質というのはどういうことでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 御指摘の公園は日高山脈と襟裳岬一帯から成る山岳公園でございます。その特徴は、原始性豊かな自然が残っていることから、ヒグマ、エゾシカなどの大型哺乳類を始め、高山帯ではエゾナキウサギやエゾオコジョなどの哺乳類が多数生息しております。また、植物もヒダカミネヤナギやヒダカゲンゲなどの固有種、ミヤマシオガマなどの希少植物が分布しております。
 環境省としては、このように自然豊かな公園を保全していくことは極めて大切であると認識しておりまして、公園の約七〇%、約七万ヘクタールを原則として開発行為を禁止する特別保護地区、第一種指定地域に指定するなど、その保護に努めているところでございます。
○紙智子君 環境大臣にお聞きしますけれども、大臣は、こういう今説明のあった特質を持った日高山脈の自然を保全し、継承していくというお考えでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 環境省の仕事といたしまして、自然の保全、これは大切な分野であります。
○紙智子君 北海道では、今、世界遺産への登録への願いを持っています。世界遺産の候補リストを作成する作業を進めているということを聞いていますけれども、そういう候補地として検討に値する自然だという認識でしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 環境省で、今、国内に新しい自然、世界自然遺産として推薦できるような地域があるかどうか、それについての学術的な検討というのをいたしております。これは林野庁と共同で行いまして、世界自然遺産候補地に関する検討会ということで三月に設置をしたところであります。
 この検討会では、既存の国指定の保護地域など重要地域データというのが、元々既存のがございますから、そういうものを活用いたしまして、具体的な検討対象地域を抽出した上で推薦可能と思われる地域を学術的な見地から絞り込んでいこうと、こういうことでございます。
 今、先生が、この日高山脈が世界自然遺産に値するその候補地となるかどうかと、こういうことでございますけれども、先ほど局長が答弁をいたしたように、日高山脈は、特別地域等として自然性の高い、北海道の中でも良好な自然環境が存在する地域と認識はいたしておりますが、この世界自然遺産の登録基準というのは大変これ厳しいものがありまして、そう簡単なものではないと認識をしております。したがいまして、今検討を始めたばかりでございますので、この日高山脈を含めまして特定の地域が今の段階で推薦候補地として位置付けられるかどうかということについては、まだ言及できない段階であります。
○紙智子君 今御説明がありましたけれども、そういうリストに載って検討されている地域ではあるということで、そういうやはり大変大事な重要な地帯に、写真、資料の写真を見ていただきたいんですけれども、ここにこういう形でトンネル、それから橋ですね、道路、日高横断道路が計画をされて工事が行われてきたわけです。
 この道路は、国定公園として利用する計画道路には入っていないんじゃないかと。この区域は基本的には開発してはならない特別保護区域であり、第一種特別地域ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(岩尾總一郎君) 道路の計画地は、特別保護地区、第一種特別地域、第二種特別地域及び第三種特別地域などにまたがってはございますが、特に自然の保護上重要な特別保護地域及び第一種地域にはトンネルで計画されていると聞いております。
 本道路は、国定公園を利用するための公園利用道路ということでは位置付けられていないというように理解しております。
○紙智子君 そういうところで道路が造られてきたということはいかがなんでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 先生も御存じかとは思いますけれども、経過をお話をさせていただきますと、この日高山脈横断道路、これは昭和五十九年に一部国定公園内を通過するものとして北海道が全体計画を策定をいたしたものでありまして、既に一部着工がなされ、今回、北海道の政策評価委員会の意見等を踏まえて、未改良区間においては当分新規改良工事は行わないと、こういうようなものでございます。
 この道路につきましては、今後、日高山脈全体について北海道知事から自然環境保護の観点から環境省に相談があった場合には、これは環境省としての立場もございますので、積極的に北海道に協力してまいりたいと思っております。
○紙智子君 今お話ありましたが、北海道からもこの道路について、優先性が低下したということで、新規工事をしないということで、二月の特定政策評価会議で結果を出しているわけです。自然公園として掛け替えのない特徴を持つ国定公園で、そしてこの自然環境への影響が指摘されていると。日高山脈の地形や地層など、地盤そのものが非常にもろくて崩れやすい特徴があると。そして、お話もありましたけれども、日高山脈には氷河期の生き物だと言われるナキウサギの生存も確認されていますし、アメマスやサクラマスやそのほか様々な貴重な動植物も発見をされていると、それらへの影響も心配をされていると、そういうことで、新たな時点、情勢に立って環境省としてのこの計画について対応するおつもりなのかどうか、その点もお願いします。
○国務大臣(鈴木俊一君) 北海道道路のことについて凍結をしたということを伺っておるわけでございますが、今後、自然環境保護の観点から北海道からまた御相談があると思います。先ほどの答弁の繰り返しになりますが、そういう自然環境保護の観点からの御相談については、これはもう積極的に対応してまいりたいと考えております。
○紙智子君 それでは、国土交通省、大臣がちょっとまだお見えになっていないんですけれども。
 北海道はこの特定政策評価結果で、日高十勝ネットワークにおいて道路全体の優先性について低下したと、そしてこの日高横断道路の道管理区間の新規の改築工事は行わないと、事実上の凍結を決めているわけですけれども、この道道であり、その一部を国が言わば開発道路に指定して直轄工事を行ってきたわけです。その道路について北海道が出したその結論について尊重するのは当然だと──参りましたね、思いますけれども、いかがでしょうか。
○副大臣(吉村剛太郎君) 委員おっしゃいましたように、この日高横断道路については概略は先ほど局長の方から話をさせていただきました。
 そして、本路線の北海道施工区間を対象とした、昨年九月からの条例に基づく政策評価委員会を設置し検討を行いましたが、その意見を踏まえ、本年二月に管理者である北海道知事が、北海道管理区間の整備については事業費増加により工期が三十五年ないし四十年に大幅に延びること、周辺の幹線道路の整備が進んできたことなど、本路線を取り巻く環境が着工時とは大きく変化をしてまいりましたので、当分新規改築工事は行わないと判断をしたところでございます。
 今、委員がおっしゃったとおりでございまして、国交省といたしましても、北海道管理区間と開発道路区間が密接に関連することから、北海道と十分相談をしながら今後の進め方を検討してまいりたいと思っております。
 以上です。
○紙智子君 検討していくということだと思うんですけれども、それで、どういう方向で検討するのかということが大事なわけですけれども、それで、資料の三枚目を見ていただきたいと思います。
 それで、この表を見ていただくとお分かりのように、この事業は今後更に三十五年から四十年の工期、期間が掛かると。費用についても一千億近く掛かることが予測されております。それで、北海道で実施されている道道の建設と比べても、この表のとおり、下の方の、表の下のところは北海道、道道の平均的な金額と期間なわけですけれども、それと比較しても日高横断道路はけた外れに大きいわけですね。厳しい財政状況の中で、自然破壊に加えて、道路の優先性、ネットワークの役割が下がっている中で、これだけの言わば金食い虫道路といいますか、そういうことは無駄遣いになると思うんですけれども、これはやっぱりきっぱりと中止の方向で検討すべきではないでしょうか。いかがですか、大臣。
○政府参考人(村岡憲司君) 御説明いたします。
 道路事業につきましては、国土交通省所管公共事業の再評価実施要領というのがございまして、一定期間が経過しているなどの要件に該当する事業につきまして、これを対象にしまして事業再評価を行い、継続若しくは中止の判断を行うことといたしております。
 今回の道道静内―中札内線も、事業着手しましてから十年以上経過をしておりますために、平成十年度に最初の事業再評価を行いまして、その時点では継続との判断をいたしました。今回、平成十五年度には、前回実施しましてから五年を既に経過をいたしておりますので、事業再評価を今後速やかに実施する予定というふうに考えておるところでございます。
○紙智子君 いつまでにおやりになるんでしょうか。少なくともその期間というのは新規の事業はやることはないですね。
○政府参考人(村岡憲司君) 先ほど申し上げましたとおり、平成十五年度には五年を経過するということでございますので、十五年度に入りましたら、実は道の部分につきましても先ほど御説明申し上げたとおり四・四キロにつきまして事業を行っておりますので、道の事業再評価もございますので、これと併せまして、十五年度になりましたら早急に速やかに実施をするというふうに考えておるところでございます。
 また、十五年度の予算ということでお話があったかと思います。
 予算配分につきましては、予算成立を待って実施計画で定めるということになっているわけでございますが、先ほど北海道の知事からのそういうお話もございますので、特にこの静内―中札内線の事業の取扱いにつきましては、先ほど申しましたように平成十五年度が事業再評価の時期に当たっておりますので、その結果を見て決定したいというふうに考えておるところでございます。
 以上でございます。
○紙智子君 それでは、こういう公共事業が一方で進められていると。一方で、生活関連がどうなのかということで少し大臣にもお聞きしたいと思いますが、地元の日高管内の静内町、ここでは例えば築四十年になる公営住宅の古い部分から今建て替えをやっているわけですけれども、年間で四十戸しか枠がない、なかなか改築が進まない。建て替えたところも新規の申込みで競争率が二十倍、三十倍ということで入れないと。空き家は古くても申込みが七、八倍というような状況で、おふろのない住宅がいまだ残されているような状況もあります。こういう寒い時期に町の銭湯まで歩いて三十分ということでお年寄りなんか本当に大変だと。たまに車で、温泉があるんですけれども、そこまで行ってお金を払って入らなきゃいけないというような事態にもなっている。町道の修復も遅れた、がたがた道がなかなか直らなくて、配管の工事と一緒に、ついでにやる程度になっている。結局、住宅の生活道路も国の補助枠が少ないということの中で、自治体の財政がなかなか大変なので、やりたくてもやれないというのが現状です。
 一方で金食い虫の道路工事を進めながら、一方では地元の生活関連がこういう事態ということでは、このやっぱりアンバランスな状況について、大臣、どのように思われますか。感想をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(扇千景君) 先ほど来、ちょっと衆議院に引っ張られておりましたので失礼をいたしておりましたけれども、紙議員の今おっしゃった北海道の話、これは北海道の話でございまして、道がどう判断するかということでございます。
 それと北海道の公共事業の総費、少なくとも私は、北海道の公共工事の総費用というのは、対前年度〇・九六倍なんですね。これは、公共空間のバリアフリー化は一・一九倍、それから沿道の環境対策は一・一〇倍、水辺の環境の保全は一・〇九倍とするなど、すごくめり張りが利いたものとしておりまして、国全体の三%減ということに対しては、北海道は特別に、今おっしゃったようなあらゆる面で私はまだまだ公共工事が必要とするということで、めり張りを利かせているところでございます。
○紙智子君 道の問題と言いましたけれども、開発道路は国の道路でありまして、国がどうするかということの判断が必要だと思います。そして、やはりこの莫大なお金を使って自然を破壊する道路を造るよりも、やっぱり本当に切実で身近な生活に関連するところに公共事業を生活密着型で切り替えていくということが大事だと。だから、横断道路をもしやめれば、一定の財源ができて北海道の開発予算の中でのやりくりでできるわけですから、そこのところは是非、国としてもはっきり指導していただきたいというふうに思います。
 最後になりますけれども、財務大臣にお聞きしたいと思います。
 元々、この日高地域というのは農林漁業で発達してきたところです。しかし、この農業も漁業も非常に厳しい今、現状にあります。農業の六七%が軽種馬の競走馬を育てる産業ですけれども、かつて、今、馬も売れないんですけれども、賞を取ったようなそういう牧場を、有名な牧場なども倒産するという事態になっていて、最近も一家心中という本当に痛ましい事態になっています。
 本当に、この日高支庁の推計で、今後、軽種馬で言えば三千人の就業者のうち八百人が減る見通しも出していると。林業について言っても、この林業は最盛期には静内、六か所あったんですけれども、木工所が、今ゼロですよ。だから、本当に無駄だと分かっているけれども、生きていくために道路建設などをして、漏れた、土砂崩れなどの土を拾って生活しなきゃならないという、そういう背景もあるわけですよね。
 しかし、私、財務大臣にお聞きしたいのは、こういう経済状況を続けていいのかどうかと。やっぱり地元に役立つ地域の資源を生かした方向に切り替えるべきではないかということを最後にお聞きしまして、私の質問を終わらせていただきます、関連に移らせていただきたいと思います。ちょっと最後に一言だけ。
○副大臣(小林興起君) 現在、財務省といたしまして、公共事業について小泉総理の大方針の下に徹底的に見直しを大臣、先頭にさせていただいておりまして、したがいまして、予算を効率的に使うという観点から、これはというように一般に考えるものについてはばさばさと切っているということでございます。
 そういうことの中で、また必要なところにつきましては予算を付けると、めり張りの付いた予算、つまり構造改革型の予算でやっておりますので、どうぞ何なりと直接言ってきていただきたいと思います。