<第155回国会 2002年11月27日 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号>


平成十四年十一月二十七日(水曜日)
   午後一時開会
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○独立行政法人北方領土問題対策協会法案(内閣提出、衆議院送付)
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○小泉親司君 北方領土問題対策協会の独立法人化の法案について質問をさせていただきたいと思います。
 まず、細田大臣にお尋ねをいたします。
 今回の法案は、特殊法人から独立行政法人になると。この法人は、元々、御承知のとおり、千島列島の、千島領土の旧島民の様々な支援策を講じる団体でありますが、先ほど坂巻さんがおっしゃっている話は、例えば、非常により自由になって、必要があれば緊急に対策が取れるんだというような、何か訳の分からないお話をされましたが。
 私、まずお尋ねしたいのは、この特殊法人から独立行政法人によりましてどのような旧島民の方々にメリットがあるのか、一体どこに今度の法案で行政法人化するメリットがあるのかと、この点についてまず大臣にお尋ねしたいと思います。──いやいや、大臣。あなたのは先ほど聞きましたから。
○国務大臣(細田博之君) 政策的には、旧島民等の方々に対する予算の実行、事業の実施あるいは貸付業務等、これを変更することにはしておりませんので、この独立行政法人化による直接のメリットというのは特にございません。
○小泉親司君 私たちは、これはやはり特殊法人から独立行政法人という、いわゆる看板を掛け替えただけであるというふうに指摘をしておりますが、大臣の御答弁はこのことを大変実証されたと私は思います。この協会が本来果たすべき千島領土元島民に対する様々な支援策を後退させるおそれがあるんじゃないかと、こういう点を大変私たちは懸念をしております。その意味で、私たちは今度の法案は、これは反対であります。
 その点で、今回の法案に関連をしまして幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず、千島領土問題と元島民への支援策の問題であります。
 私はこの間、元島民の方といろいろとお話をしました。先ほども出ましたが、元島民の方は、やはり宗男疑惑の問題があって大変国益を損ねた、これは千島列島の領土の二島先行返還論の問題、様々ありまして、大変心配をされておる。多くの方は、例えば日朝首脳会談が行われ、朝鮮半島の問題については言わばこれまでの対立から協調の関係に進み始めたということになると、この戦後政治の中で残された問題というのは、もう沖縄や小笠原が返還され、朝鮮半島の日朝首脳会談は、紆余曲折がありますが、その方向が取られたと、そうなったら、残るのは戦後政治の中で領土問題だけだと。
 実際に、この領土問題もいろいろと考えると、方向性が全く見えない、元島民も大変高齢化している、その展望がますます薄くなっていく中で今不況がある、この不況の中で島民の生活も苦しいと。特に、漁業をやっておられる方は、御承知のとおりの領土の状況の下で漁業区域が大変狭められている、こういう様々な問題があって大変やはり深刻な状態に置かれていると。地方自治体の元島民に対する生活関連事業も、かつてない経済及び財政危機にあって深刻な事態を迎えているということを大変指摘しておりました。
 私もこの点は大変重要な問題で、一体こういう元島民の現状というものを、細田大臣それから川口外務大臣、どういうふうに認識をされているのか、この点をお聞きしたい。
 もう一つは、細田大臣に対しましては、今年度は例の千島列島、いわゆる北方領土の周辺自治体の振興計画の最終年度であります。つまり、来年からは新しい計画になるわけでありますけれども、この点でどういうふうな改善策を取る必要があるのかということを考えておられるのか、これを細田大臣に。
 以上、二点についてお尋ねをしたいと思います。
国務大臣(細田博之君) まず、元島民等の方々が、本当に戦後長い時間を今経過しておりまして、一日も早い返還を願っておられるということを非常に痛感するものでございます。そしてまた、国際的な状況としては、まず旧ソ連、今のロシア側にも非常に大きな政治情勢の変化等もございまして、向こうの判断も変わってきたり、政治情勢も変わったということで、むしろ流れが遅延しております原因は向こうにもかなりあるというふうにも認識しておりますので、このたびの小泉総理の訪ロが一層の促進のきっかけになり、解決へ向かう糸口がはっきりされますように私自身も心から願っておるようなわけでございます。
 それから、元島民に対する援護措置につきましては、北方四島への自由訪問の実施、衛星画像を活用した北方四島の土地利用分析、北方領土関連の資料保存・整備、元島民に対する研修・交流等の様々な事業。元島民の方々は返還要求運動の中核となって活動を行っておられるわけでございまして、島民の方々の平均年齢、七十歳になっておられることは承知しておりますので、これらの援護措置を着実に実施してまいりたいと思っております。
 振興策につきまして、更に十分にそういった方々に対する配慮をしてまいりたいと思っております。
○国務大臣(川口順子君) 私は、今年の八月に北海道の札幌で北方領土問題についての政策等を中心にタウンミーティングを開きまして、その翌日に根室に参りまして、納沙布岬にも足を延ばしてまいりました。そのときに、札幌であるいは根室で旧島民の方とお会いしてお話をじっくり聞かせていただきました。旧島民の方とはその前にも、そしてその後にも、合計三回お会いをいたしました。私としては、十月にロシアに行く前に直接に自分の目で北方四島、全部は見えませんが、を見、そして島民の方とお話をして、それをその心の中に置いてロシアに行きたいと思ってそういうことをいたしました。
 それで、地元の旧島民の方とお話をさせていただきました際に、旧島民の方から、ふるさとに寄せる思い、あるいはどういう状況で戦後引き揚げてきたか、非常に身につまされるお話を伺いました。現在、旧島民の方がお考えのことについても伺いました。こういったことをきちんと心の中に置いて、十月のときにもそういたしましたけれども、今後も平和条約の問題について考えることをやっていきたいと私は思っております。
○小泉親司君 私はこの間、この委員会でも、細田大臣が就任される前の尾身大臣のときにも、その前の大臣のときにも繰り返し要求してまいりましたけれども、やはり私たちは、今の北特法、この枠組みでは今の現状を打開することはできないと、やはり新しい振興計画を作る前にして新しい枠組みが必要なんじゃないかというふうに考えております。
 例えば、通常国会では沖縄振興法の改正が行われましたが、この沖縄振興法は、国が償いの精神を持って沖縄県民の生活支援や振興に当たることを明記している。私たちは、なぜこういう立場が取れないのかと。お隣におられる紙議員もこの前の通常国会でこの問題を取り上げました。
 私たちは、この振興法と同様の枠組みができないのかと。政府はこれまで議員立法だからということを最大の理由にしておりますけれども、国に責任がある以上、政府の対策として考える余地があるんじゃないかというふうに思いますが、この点は吉村国土交通副大臣の担当だということでありますので、一体そういう検討するお気持ちはあられるのか、この点をお聞きしたいと思います。
○副大臣(吉村剛太郎君) 御案内のように、国土交通省といたしましては、昭和五十八年の四月に北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律の施行に伴いまして、北方領土隣接地域の安定振興を図るために種々の施策を積極的に図ってきた次第でございます。
 ちなみに、平成十二年度事業費として四百四十五億円、国費が二百七十五億円、平成十三年度が四百六十五億円、国費が二百九十九億円、平成十四年度、四百三億円に対して二百六十七億円と種々の施策を図ってまいったわけでございます。
 ただ、今、委員申されましたように、議員立法に基づく法律でございまして、これは国土交通省の直接の所管と、この法律に関しましては所管というわけにはまいりませんが、実績はこのような実績を残しているつもりでございます。
 以上です。
○小泉親司君 私たちは、この千島領土問題は、一つは、領土不拡大の原則を破ったいわゆるスターリンの大国主義の横暴だという点が一つ、二つ目は、やはりそれと、国際的な道理をもって毅然として対処できなかった日本政府の誤った、その二つの問題が重なり合っている問題で、その犠牲になっているのが、この国策の犠牲になっているのが北方領土の隣接地域だというふうに思います。その意味で、国が全面的な支援を行うべきだと。
 私、その沖縄振興法の枠組みに近づける努力が必要だと思いますが、例えば具体的には、北特法では十五の事業が規定されておりますが、これらは沖縄振興法のように固定した補助率を設定していない。つまり、通常の補助率を算定式でかさ上げする方式だと。そのために根室市や別海町などでは国が定めた適用条件の下でかさ上げの恩恵にもあずかれないというような状況があるわけで、この点については、地元からも沖縄振興法並みに固定の補助率を設定する必要があるんじゃないかというふうな要望が出されておるというふうに思います。
 こういう点は、国土交通省は何にもお聞きになっていないですか、それとも、そういう点については検討するお気持ちもないんですか。
○副大臣(吉村剛太郎君) 補助率のかさ上げについて、それぞれの、確かに委員おっしゃるように、根室、別海町につきましてはそのような実績を残しておりませんが、その他、中標津、標津、羅臼等々につきましては、昭和六十年以降、種々の実績は残してきております。
 以上です。
○小泉親司君 いや、私、実績をお聞きしているんじゃなくて、国土交通省としてそういうことを耳にも挟んでいないんでしょうか。要するに、検討する対象にもならないというふうな見解なんですか。それは、ちょっと議員立法云々の問題じゃなくて、やはり政府全体の北方領土隣接地域の振興策の大変重要な課題だと思いますよ。
○副大臣(吉村剛太郎君) そのような要望については、地元からもいろいろと承っております。
 ただ、何度も申しますように、議員立法でございまして、国土交通省としましてはその法律に基づいて今まで仕事をしてきたということでございます。地元の声は何度も耳にしております。
○小泉親司君 耳にしておるのであればよろしいんですが、問題は、そこから先の検討という問題を国土交通省として私、本気にやるべきだというふうに思います。
 例えば、もう一つ。地元では、例えば自治体の単独事業のうち、消防ですとかへき地教員住宅、老人福祉施設、港湾改修、こういう事業は北特法の七条の対象にもならないということで、現実に根室や別海町やその他の隣接市町村で見ると、へき地教員住宅だとか老人福祉施設だとか港湾改修なんというのは大変大事な事業になっていると。この点でも、こういうやはり対象にするよう改善してほしいという要望が出されていると。そうすれば、十三億円から十四億円の補助が増えて、現実には振興策に大変大きな力を与えることになると。
 だから、こういう点も私は検討すべきだというふうに思いますが、その点ちょっと、国土交通省としても、よく内閣府とも相談の上、検討にやはり着手すべきだというふうに思いますが、もう一度お願いいたします。
○副大臣(吉村剛太郎君) この法律につきましては所管ではございませんし、法律に基づいて我々国土交通省としましてはいろいろな仕事をするわけでございます。
 ただ、そういう声があるということは十分に承知をしておりますので、内閣府ともよく相談をしながらこれから検討していきたいと、このように思っております。
○小泉親司君 もう一つ、北特法の十条の関係では、この委員会でも再三、自民党から私ども日本共産党まで広く指摘をされているところでありますが、いわゆる基金の運用益の目減り問題が問題になっている。この問題については細田大臣もお詳しいと思いますが、内閣府の方は二〇〇三年度の概算要求で北方領土隣接地域啓発経費を二千七百万円計上している。私、これは大変前進的な面で、大変立派な仕事だと思います。
 ただ、その運用益の方を、啓発事業ばかりじゃなくて、これを振興事業、要するに振興開発事業、この点についてもこういった目減り対策の予算措置を私は取るべきじゃないかというふうに思いますが、この点は国土交通省とも関係しますが、細田大臣に、こういう点の検討もする用意があるのかどうなのか、その点をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(細田博之君) 今、大変お褒めをいただいた部分がありますけれども、予算査定も、予算案が決定するまでにあと一月ほどでございますので、できるだけ確保をしてまいりたいと思います。
 それから、先ほどちょっと答弁いたしましたけれども、独立行政法人化というのは、組織として柔軟になりますし、いろんな法人としての運用が合理化されるという行革一般のメリットはありますので、そのことだけは申し加えたいと思いますが、お申し越しの今の事業目的の拡大等につきましては、関係省との関係もございますので、よくまた勉強してまいりたいと思っております。
○小泉親司君 私は、今お話をしましたが、この点の要求については、是非、当委員会におきましても、それぞれ委員の方との十分な議論もして、旧島民の方々の生活改善に資するような方向での検討を強く呼び掛けたいと思います。
 次に、私は支援委員会の問題についてお尋ねをさせていただきます。
 十一月二十日に会計検査院は支援委員会に百四十二億円の滞留金が存在することを明らかにいたしました。私もこの問題については当委員会で取り上げましたが、そのときには百三十億円ちょっとだと言ったので、また十億円増えてしまいましたけれども、こういう滞留金が存在した。この点は宗男疑惑と密接に関連した問題で、この問題については不正不当な資金運用の疑惑があるというふうに思います。
 今回の会計検査院の報告はこの疑惑を改めて裏付けたものだというふうに思いますが、外務省はこの支援委員会の廃止を既に打ち出しておりますが、一体どういうふうな、これについて責任は外務省にあるのか、どういうことをお取りになるのか、この点、外務大臣にまずお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(齋藤泰雄君) お答えいたします。
 支援委員会の繰越金についての御指摘でございましたけれども、会計検査院の方からの報告もいただいておりますけれども、十三年度末時点では確かに百四十二億円という繰越しがございます。それから、今年の十月末時点では百三十七億円というふうに暫定値をはじいておりますけれども、支援委員会はこれまでこういった繰越金も含めて運用を行ってきたわけでございますけれども、この委員会を始めいろいろなところで繰越金が多額に上っているという批判をいただきまして、我々としては、これを謙虚に受け止めまして、支援委員会を本年度末までに廃止するという基本方針を打ち出しているところでございます。そういったことで、今、各締約国と廃止の方向で協議を行っているところでございます。
 支援委員会廃止後の対ロシアあるいは対北方四島住民支援に当たりましては、適切な予算の支出を行う方向で是非やってまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
○小泉親司君 先ほども申し上げましたが、外務省は支援委員会の廃止を既に打ち出していますが、もうそうなったら責任は全くないと、こういうことなんですか、外務大臣。
○国務大臣(川口順子君) 先ほど欧州局長も言いましたけれども、この支援委員会をめぐって、その予算の支出について会計検査院からも指摘をされ、あるいは今年の初めごろから国会の中でもいろいろ御指摘をされた点があったということについては、私は大変に遺憾なことだったと思っております。
 これについては、今年の春の時点で、この支援委員会の業務の在り方等について、よその、ある委員会を作りまして、そこで議論をしていただきました。そして、監査法人にもお願いをして監査の事情についてもチェックをしていただきました。そうしたことを受けて、この問題については既に外務省の中で適切な処分をさせていただいたわけでございます。
 今回、会計検査院が検査をして、そしてその結果が発表になるということでございますが、実際にその責任ということについてはこの春に既に処分をいたしております。
○小泉親司君 私、なぜこのような膨大な滞留金が生まれたのか、この点を明らかにすることは今後の外務省の改革の上でも大変大事だというふうに思います。
 そこで、私、外務省に、百四十億円の滞留金がどういうふうに、どういう事業に対して出たのかというふうなことの資料要求をいたしました。出てまいりましたのはこの紙ぺら一枚で、例えば、色丹島桟橋補修工事、択捉島向け自航式はしけの供与、宿泊施設の色丹島、択捉島への設置、日本センター拡充、極東航空管制設備の近代化支援、極東ロシアにおける感染症対策支援、日露投資会社設立構想立ち上げ運営経費、国後島燃料パイプライン補修工事と。これ、全部足しますとどのぐらいになるかといいますと、四十四億円、約四十五億円であります。あと百億円程度残っているんですが、私たちが資料要求したのにこれしか出てこない。この百億円、一体どうなっているんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 今回の会計検査院の報告でも指摘されておりますけれども、平成五年以降の委員会を通ずる活動において、案件によっては執行率が低かったり執行されなかったものもあるということは事実でございます。予算要求と予算の執行に乖離が見られたことはもとより望ましいことではございませんで、私どもといたしましては、今次報告書における指摘を重く受け止めまして、支援委員会廃止後、より適正な予算要求及び執行に努めたいと考えているところでございます。
○小泉親司君 私は、事実でありますと言われても困るので、問題は、こういうふうな工事が実際に予算化されながら何もやられないと。今挙げましたのは全部繰越しだということで、例えば色丹島の桟橋補修工事十三億一千六百万円、それから国後島燃料パイプライン補修工事、二億一千五百万円、こういうふうな事業が実際に予算化されながらそれが実行されないと。
 それが、支援委員会といういわゆる国際機関だからそういうことがあったんだと言われても、今、先ほど私、旧島民の方のお話をしましたけれども、そういう方からすれば、こんなところに金が眠っていて我々のところには全然回ってこないと、一体どういうことかと問われるのは、これは私は国民的な心理としては当然のことだというふうに思うんですよ。その点で、これが一体何でそうなったのか。
 じゃ、一つ聞きますが、例えば国後島燃料パイプライン補修工事というのは二億一千五百万円あった。この国後島燃料パイプライン補修工事というのはもう既にコンサルタント会社も決まっております。何でこれ、できないんですか。
○政府参考人(齋藤泰雄君) 国後島のパイプラインについて御答弁申し上げます前に、この支援委員会につきましては、毎年度の拠出金に加えて繰越金とその運用益によりまして機動的に緊急人道援助ですとかあるいは改革促進支援を行っていくということを目的として設立されたということでございまして、当時の事情として、一定額の繰越金を保有することが言わば前提になっていたということは是非御理解賜りたいと思います。
 他方で、繰越金が多額に上っていたということにつきましては、いろいろな事情がございますけれども、反省すべきところがあるということを先ほど申し上げたわけでございます。
 この国後島の燃料パイプラインでございますけれども、平成十三年度に二億一千五百万円を計上した経緯はございますけれども、その後、これは前にも御答弁申し上げたと思いますけれども、クラスノヤルスク合意を踏まえまして、平和条約締結交渉のモメンタムを一層高める観点から支援が拡大していったということで、そういう中におきましてこのパイプライン事業も検討され、一部調査も行われたわけでございますけれども、その後の状況等を踏まえまして、この案件につきましては実施を今の段階では見送ることにしたというのが実情でございます。
○小泉親司君 例えば、この事業は、パイプライン新設の調査などを担当するコンサルタント会社に、東京中央区の日本オイルエンジニアリングというのがやっていたと。その関係者によりますと、報告書で提案している工法では施工できる業者が新日鉄などの大手企業に限られる、鈴木宗男議員の地元北海道の業者は施工できないため鈴木容疑者が怒ったんだ、これによって止まったんだというような説明をしておる。
 私たちは、こういう点で、この支援事業の問題というのは大変密接な関係があるんですが、例えば、先ほど外務大臣がお話しになった支援委員会の活動に関する調査報告書、いわゆる新日本監査法人が作ったものとこの会計検査院が報告書の中で言っていることと若干やはり食い違うことが出てきている。
 例えば、私がこの間、当委員会で取り上げているディーゼル発電所の問題についても、会計検査院報告は、これまでの外務省の説明では今の様々な国の規則には合わないというような趣旨の報告を出しておられる。ところが、この新監査法人にはない。この点についてはやはり食い違う部分がたくさんあるわけで、この点については外務大臣はいかがお考えなんですか。
国務大臣(川口順子君) その新日本監査法人につきましては、外務省としては資料を渡して調べてもらったということですけれども、あくまでこれは民間の一企業、そういうことを仕事にはしている企業ですけれども、一企業の任意のベースで調査を行ったということでございます。
 そういう意味で、会計検査院の会計検査というのは、正に国の機関が会計検査院であるということで行ったものですから、それなりに新日本監査法人がやった調査よりは、データのあるいは資料の把握、あるいはより資料を多く出してもらえる等々でプラスの面があったと。特に、新日本監査法人は相手の企業から話を聞くということが難しかったわけでございますけれども、そういう点について協力の度合いが全く違うと、そういったことが背景にあると思います。
○委員長(本田良一君) 簡潔にお願いします。
○小泉親司君 そろそろ時間が参りましたので、例えば会計検査院報告では、国後島のディーゼル発電所問題については、元々支援委員会では物品などの物品役務の提供だけなのに、いつの間にか箱物ができていたと。その箱物については、ディーゼル発電については、既存設備の改修等により電力不足は解消可能であるなどと報告されているにもかかわらず外務省がこれをやったんだというような指摘がされておりますので、この点について私は、会計検査院の報告が非常に正しいということを今、外務大臣がおっしゃいましたので、この点について私たちの主張は裏付けられたというふうに思います。
 そして、私は、予算決定されながら全く使用されない事業ほか中止となった事業、予算決定された事業で途中で中止になった事業、その予算の執行率、この点を九三年度から以降のを表にして当委員会に提出をしていただきたいと思います。
 この点を委員長に御要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
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○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人北方領土対策協会法案に反対の討論を行います。
 その最大の理由は、小泉内閣の特殊法人改革が看板の掛け替えにすぎず、改革の名に値しないからです。
 独立行政法人北方領土対策協会法案を見ても、協会の目的、業務の範囲は基本的に旧協会と同じであり、独立行政法人化されることで協会の業務が大幅に改善、充実されるわけでもありません。
 独立行政法人化によって中期目標を立て、それを推進していくこと、政策評価・独立行政法人評価委員会の評価を受けることになりますが、北方領土対策協会、北対協が行う啓蒙啓発活動、旧島民、旧漁業権者への融資事業などに対する評価基準に対しては大きな懸念があります。
 そもそも、啓蒙啓発活動や旧島民、旧漁業権者への融資事業など、生活援護を目的とする事業に効率化という観点を導入しようとすること自体、無理があると言わなければなりません。
 国民の願う特殊法人改革とは、無駄を思い切って削減し、国民生活に必要な部分は拡大、拡充させること、官僚の天下りをなくして利権と癒着の構造にメスを入れることです。
 同法案にはこうした内容はなく、見せ掛けの組織再編で国民の目をそらす政府の特殊法人整理合理化計画の一環をなしています。
 日本共産党は、国民の願う真の特殊法人改革を目指す立場から、同法案に反対するものです。