<第155回国会 2002年11月26日 農林水産委員会 第5号>


平成十四年十一月二十六日(火曜日)
   午前十時開会
  ――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○独立行政法人農畜産業振興機構法案(内閣提出 、衆議院送付)
○独立行政法人農業者年金基金法案(内閣提出、衆議院送付)
○独立行政法人農林漁業信用基金法案(内閣提出 、衆議院送付)
○独立行政法人農業技術研究機構法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○独立行政法人緑資源機構法案(内閣提出、衆議院送付)
○独立行政法人水産総合研究センター法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農水産業協同組合貯金保険法及び農水産業協同組合の再生手続の特例等に関する法律の一部を 改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
  ――――――――――――
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今回、六法案それぞれ重要な法案ですけれども、私は緑資源開発機構について質問をしたいと思います。
 この緑資源開発機構の事業の中で、重要な柱の一つであります大規模林道事業、これ一九六九年の新全総、新全国総合開発計画をベースにして大規模林道圏開発構想ということでそれをそのまま引き継いで、現在まで進められています。
 北海道では、北海道開発庁とそれから林野庁と北海道が一体になって、第三期北海道総合開発計画と、一九七〇年の七月ですけれども、この先導的開発事業ということで取り組まれました。自然保護団体や、あるいは林業の専門家などの反対運動や、その後オイルショックなどもあって、その後の情勢の下でこの大規模林道圏開発計画そのものが問題になって、一九七八年の六月に、北海道として長期構想検討調査報告書というのを発表、公表しました。それで、五路線から三路線に縮小いたしました。それで、その後も中止や休止をしながらも、この林道だけは続いてきているということです。
 そこでなんですけれども、この当初の大規模林業圏開発計画そのものは、そもそもどういう計画であったのか。そしてまた、現在までのこの大規模林道事業の国全体と北海道の進捗状況について御報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 大規模林業圏開発計画でございますが、今、先生お話ございましたとおり、昭和四十四年に閣議決定された新全国総合開発計画において、大規模開発プロジェクトの一つとして大規模森林地帯の総合的開発が提案されたということを受けまして、昭和四十八年度に林野庁が関係道県の協力の下でまとめたものでございます。
 計画といたしましては、過疎化等厳しい状況下にある条件の不利な森林・山村地域を七つの大規模林業圏に区分をいたしまして、木材需要への対応及び森林の公益的機能の高度発揮というような観点から、当該地域の森林の整備や山村振興を中心とする総合的な開発に取り組むということでございまして、緑資源公団の前身であります森林開発公団法に基づく林道の路線ごとの基本計画の策定の資料になったものでございます。
 今、大規模林業圏開発林道の国及び北海道における進捗状況ということでございましたが、十三年度末現在におきまして国全体では計画延長二千百六十七キロに対しまして、千百七十一キロが完成をしているということでございまして、進捗率で五四%ということでございます。また、北海道につきましては、計画延長二百十九キロに対しまして、七十九キロが完成をしているということでございまして、進捗率は三六%となっております。
○紙智子君 今お答えをいただきましたように、大規模林道開発でスタートをして、この林業の生産もそれから他の分野の産業振興も大きく状況が変わったわけですけれども、それにもかかわらず、大規模林道について造る基本は変わらないでいるということだと思うんです。
 それで、今後何年間で完成する見込みなのか、その予算総額がどれぐらいになるのか、それから当初の計画から変更した事業の概要ですね、この辺についてお答え願います。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 今お話し申し上げましたように、五四%の進捗率になっているということでございまして、逆に残りは四六%、延長で申し上げまして九百九十六キロメーターが残っているということでございます。
 これらにつきましては、今回の特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、既着工区間については事業評価システムによる徹底的な見直しを引き続き行うということでございますし、建設予定区間については、第三者委員会を設置をいたしまして、補助林道等の仕分も含め今後の整備の在り方を検討するということにいたしているところでございます。
 そういう点で、今後どういうふうになっていくのかということについては変わる点が出てくるわけでございますけれども、現行の林道事業実施計画によりますと、すべての路線を完成するまでの期間ということで申し上げますと、おおむね十七年、事業費といたしましては約四千九百億円というものを予定をいたしております。
 ただ、今申し上げましたように、今後、全事業の完成までに要する年数であるとか事業費につきましては、これらの見直しなどによって変化するものというふうに考えているところでございます。
○紙智子君 普通、林道というふうに言ったときに思い浮かべるのは、やはり森林の手入れですとか伐採したり、そういうために必要な道路と。ですから、尾根まで行ったらそれで行き止まりという、こういうのが林道だというふうに思うわけですけれども、この大規模林道は、元々大規模林業圏開発林道事業ということでもって、幅員については七メートルと非常に広い幅で、そしてコンクリートやアスファルトで固めて、側溝も付いて、沢筋から尾根まで一気に駆け上がって山越えをする大型の道路です。それで、自然破壊の道路だということで、当然のことですけれども、各地でこの事業に対しての大きな批判がありました。
 北海道では、その後、大きな反対運動で大幅な見直しをしながらも工事は進められて、現在、北海道全体で、さっきお話しありましたけれども、三路線で三六%とおっしゃいましたね、そこまで進んできていると。
 現場では、今までやってきた工事というのは比較的、地形的に言えば平地といいますか、やりやすいところだったんじゃないかと。これから進めるところはだんだん山の険しいところに入っていって、それで、土質も土砂崩れがしやすい場所で、工事するんだけれども、また崩れてきて、また工事して、また崩れるというような、こういうことがかなり出てきているわけです。
 それで、更にのり面を含めた道路のためにつぶされていく森林というのもかなりのスペースがある、面積があるということが専門家からも指摘されているわけですけれども、果たしてこういう状態で、さっきどのぐらいの予定かということも変わっていくという話もしましたけれども、できるのか、技術も含めて本当にできるのかと、可能なのかという心配の声が上がっているんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 大規模林業圏開発林道自体は、国道でありますとか地方道を結びましてネットワークをできるだけ作っていこうというような考え方を持っているわけでございますが、そういう中で、先ほどから話が出ておりますように、当初計画につきましては、それぞれの森林の状況の変化等々を踏まえまして見直しをしてきたところでございます。
 延長を短縮したものもありますし、幅員を縮小したというようなものもあるわけでございまして、要は、そういったそれぞれの地域の実情に応じて技術的な調査もしながらどういう開設の仕方をしていくのかということを検討してきたところでございまして、我々、実施計画を作成する段階からそういった検討をしながら進めていくということで考えているわけでございまして、そういう点ではできるだけの技術的な配慮をしながら進めるということで思っているわけでございます。
○紙智子君 技術的には何とかやればできるんだという話もあるわけですけれども、そもそも、やっぱり大規模に森林を伐採をして林道を造るというのは矛盾しているんじゃないかというふうに思うことと、それから、産業に役立てようとか、住民の生活にも役立つんだとか、自然環境も配慮しているんだということもあるわけですけれども、しかし、もし仮に今この道路ができたとして、北海道だけじゃなく雪の降るところはみんなそうですけれども、雪が降ればやっぱり除雪しなきゃいけないと。それで、実際にできて移管された場合に、自治体が補修や修繕や維持管理というのをやらなきゃいけないと。それで、積雪の地帯では、結局、雪が降っている間というのは除雪もできないというようなことで通行止めになったりするわけですけれども、そういう意味では必ずしも生活道路として役立っているわけでもないという実態があるというふうに思うんです。
 それで、やはり山村が活性化してということもいろいろ説明の中で言われているんですけれども、大規模林業圏の開発林道事業の効果ということで言われるんですけれども、現実には、やっぱり山村の過疎化やあるいは林業の衰退の歯止めというふうになっていると言えるのかというのは、相変わらずやっぱり疑問点というのは出されてきているわけです。やはりそういう大きな道路は必要ないんじゃないかというのが率直な声として上がっていて、むしろ森林の健全な造成にこそもっとお金を掛けるべきじゃないかと、こういう声が上がっています。
 それで、今回この特殊法人等合理化計画に基づいて設置をされた大規模林道検討委員会、これについてお聞きしたいと思うんですけれども、従来も林野庁は、自然保護の反対に、ずっと出てくると、それに対して一時的に休止をしたり、あるいは公団としては、動物がどうするんだという話になれば、小動物の保護のためのスロープ付きの側溝の工事などをPRしたりして、それも実際には本当に短い区間だけなんですけれども、そういうやり方でこれまでしのいできたと。その都度確かに評価委員会や第三者委員会で検討して見直しし、中止や休止ということでやってきているわけですけれども、しかし、環境破壊があって、林野庁がようやく、決めたものを追認して終わるという状況になっていると思うんです。
 大規模林道事業の整備のあり方検討委員会も、その実施体制でいいますと、検討は林野庁長官が行う、そして森林利用学などの学識経験者等の第三者の意見を聴くというふうにしていますね。六名の委員がおられるということで、六人の中には肝心の林業のことで携わっている方や、林業者ですね、それから全国的なネットワークの取組を熱心にやっている専門家の方も入っていないし、道路が完成した場合に移管される自治体の代表の方も一人も入っていないと。これは私はやっぱりちょっと問題じゃないかというふうに思います。是非そういう人も入れる必要があるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 今お話しございました大規模林道事業の整備のあり方検討委員会というものにつきましては、これからの建設予定区間について今後の在り方を検討するために設けたものでございまして、今お話がございましたとおり六名の委員の方々を選定させていただいているわけでございます。
 森林経理学であるとか森林利用学というような林学関係者はもとより、地域政策であるとか自然保護問題等に対する有識者であるとか、あるいはジャーナリストであるとかというような方々を委員として選ばせていただいているところでございまして、幅広い見地から議論が行われるということを期待をいたしているところでございます。
 ただ、今、地方公共団体であるとか地元の方々ということでございますけれども、実は建設予定区間については、今回取り上げるのは二十区間にわたっておりまして全国に散らばっているわけでございまして、委員会における検討に当たりまして、地方公共団体であるとか地元受益者の方々であるとか、あるいは自然保護団体などの御意見を聞くというような形で、そういった様々な立場からの意見を踏まえた検討を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○紙智子君 そのやっぱりメンバーの中に含めたらいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、これからそういうふうに検討する計画はありませんか。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 今申し上げましたように全国二十区間について検討するということでございますから、やはりそれぞれの場所場所でお話をお伺いするということの方がそれぞれの立場の御意見を把握できるんではないかということもあろうかなというふうに思います。
 そういう点で、今申し上げましたようなことで、地方公共団体、地元受益者、自然保護団体等々の意見をそれぞれの場所でお聞きしたいというふうに考えているところでございます。
○紙智子君 やっぱり検討会自身が本当に公平にいろんな人たちにいろんな角度から反映されるものになるのかというのは、やっぱり心配があるわけですよね。
 それで、例えば林野庁でお出しになっている資料なんかも、公団の負担はないからそういう費用の問題なんかも問題がないという説明なんかが書いてあるわけですけれども、確かに公団としてはでき上がった道路は自治体に移管して身軽になるわけですけれども、やっぱり維持管理は地元の自治体がずっと、いったんできたものはもうずっとやらなきゃならないということでは、非常にやっぱり財政も厳しい中で大変なものがあると思うんですね。
 かつては、地元でもそのことによって土木の仕事ができるだとか、自治体の負担割合もそのときは少ないのでやむを得ないということでもあったわけですけれども、今でいいますと、やっぱりそれだけの余裕ない実態があるということなんですね。それで、やはりそういうところを本当にきちっと押さえて、ちゃんと反映して中身をはっきりさせていくということが必要ではないかというふうに思うんですよ。
 それと、この大規模林道事業に係っての法案の中身なんですけれども、緑資源機構の目的についてこの法案の中で、ちょっと長いんですけれども、目的のところでは、この「農林業の生産条件、森林資源及び農業資源の状況等からみてこれらの資源の保全及び利用を図ることが必要と認められる地域において、豊富な森林資源を開発するために必要な林道の開設、改良等の事業を行うとともに、水源をかん養するために必要な森林の造成に係る事業及びこれと一体として農用地、土地改良施設等を整備する事業等を行い、もって農林業の振興と森林及び農用地の有する公益的機能の維持増進に資することを目的とする。」というふうに書いていますね。
 それで、その後、一方で、この目的達成のための「業務の範囲」について、大規模林道事業を規定して、第十一条のところなんですけれども、ちょっと全部読むと長いんで途中省略しますけれども、「当該地域の林道網の」云々ということで、「かつ、その事業の施行が当該地域における林業以外の産業の振興の見地から相当であると認められるものを施行すること。」というふうになっているんですね。
 それで、法制局の担当者の方は、この「林業以外の産業の振興の見地から相当であると認められるものを施行すること。」というのは、その前段の部分の範囲を限定するというふうに説明しているわけです。
 この条項は結局のところ、この大規模林道事業の仕組みを維持するということにあるんじゃないのかなと。だから、実際にはもう本当に必要なのかなということが議論になっていて、やっぱり無駄じゃないかと言われているにもかかわらず、それをやっぱり引き続き手直しをして、あくまで推進するということで、そのために付いている条項なんじゃないのかと、これは削減していいんじゃないかということも思うわけですけれども。
 ここはやっぱりとにかく推進ということではなくて、真剣に検討が求められているというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 今十一条のお話があったところでございますけれども、この大規模林業圏開発林道自体は地域の中核になる林道でございまして、その林道の利用というのは、林業的な者が利用するということだけではなくて、やはり農業者も見えますし地域のそれぞれの方々もおるわけでございまして、そういったことも振興の見地から配慮をしていくということで、この「林業以外の産業の振興の見地から相当である」ということを記述をしているところでございまして、今回の見直しでこれを入れたということでは実はなくて、今までの大規模林業圏開発林道そのものをそういった考え方の中で進めてきているということだというふうに思っております。
○紙智子君 林業以外のというか、生活も含めてということを言われるんですけれども、例えば生活道路であれば実際には道路予算でやっていけばいいことだというように思うんです。
 それで、しかも高知県の橋本知事が言われているんですけれども、地元に役立つ規格でいいんじゃないかと。つまり、道路が細いので車が擦れ違えないというときには、そこの擦れ違うところについてはちょっと膨らませて造る規格だとか。だから、最初から太い道路でずっと上まで行かなくても、そういう形で地元の身丈に合うといいますか、そういう形でやればいいんじゃないかというふうに言われていますけれども、そのとおりだと思うんですよね。
 それで、今やっぱり大事なことは、思い切って発想も変えて、例えばそういうところの事業に使うお金があるんであれば、本当に生物の遺伝子、資源の保存など、森林の多面的機能を維持するために、例えば国有林自ら、今民間でモデル的にやっておられると思いますけれども、認証森林ですね、こういうところに求められているような林業経営を目指して、森林の資源を丸ごと活用できるバイオマスエネルギーの利用を全国に広げるために普及するようにするですとか、それから、これもずっと言われていますけれども、国産材活用の抜本的な対策のためにもっと予算を回すとか、各地でやっぱり今努力、実践されているわけです。
 そういうことで、やっぱり作業道なんかも、もっと簡便な作業道を普及して、ずっと奥地まで入れるような、林業の手入れができるような、そういうことのために役立てるとか、やっぱり何よりも国民の林業や森林に期待している自然環境の維持など、将来を見据えた二十一世紀にふさわしい施策にこそ予算を回すべきじゃないかというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(加藤鐵夫君) 今、先生が御指摘になりましたような事業については、我々も森林・林業・木材産業が振興されていくということのためにこれ大変重要な事項だろうと。バイオマスの問題もしかりでございますし、木材利用の問題もしかりでございまして、そういったことについては我々も施策の充実を図っていかなければいけないというふうに考えているところでございますが。
 一方で、森林の管理・経営をきちっとやっていくということで考えますと、何といいましても今の状況の中でやはり道が要る、道路が要るということが実態ではないかというふうに思っております。また、その道路も、作業道だけがあればいいということではなくて、やはり幹線的にある程度円滑に走れる道があり、そこから作業道が出ていくというような路網を形成していくということが必要でございまして、そういう点では、大規模林道、大規模林業圏開発林道につきましても、やはりそういう森林の管理・経営のために大変大事な林道ではないかというふうに思っているところでございます。
 ただ、事業実行に当たりましては、先ほどから話をさせていただいておりますし、また地域の実情によっては幅員が何も二車線でなくていいではないかというお話も今いただいたところでございまして、我々もそういった形で、例えば七メーター道路ではなくて五メーター道路を造るというような、地域の実情に合わせてそういった見直しはしていくということで考えているところでございまして、我々としてはそういう方向で進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○紙智子君 五メーターにしたからいいんじゃないかという話なんですけれども、やっぱりそこはもっと縮小していいということも実際出ているわけで、やっぱりそこを合理的にするということで直してきているということなんだけれども、思い切った、やっぱりもっと思い切った見直しということをやって必要なところに回すというふうにしていただきたいというふうに思うんです。
 それで、次に、緑資源機構法案以外の法案にも共通する問題ですけれども、この役員の問題についてお聞きしたいと思います。
 独立行政法人の通則法で、農水大臣が理事長と監事を指名すると。それから、設立委員を命じて独立法人の設立に関する事務を処理させる。組織的には、新組織ができて人事も新任されるということでこれは間違いないですね。大臣にお願いします。
○国務大臣(大島理森君) 手続の問題でございますか。そういう手続に間違いはないかという御質問ですか。
○紙智子君 そうです。
○国務大臣(大島理森君) そのとおりだと思います。
○紙智子君 それで、また大臣にお聞きしますけれども、中には優秀な人に残ってもらうという判断も場合によってはあるだろうと。しかし、やはり過去にも度々特定の幹部の職員の天下りや渡り鳥や渡りということが問題にされてきました。
 例えば、ある元農蚕園芸局長について言いますと、一九八六年に退官をして、八九年までは水資源開発公団の副総裁をやって、その次に八九年から九四年までは緑公団に統合する前の旧農用地整備公団理事長をやって、その次に九四年から九八年まで日本食肉流通センターの理事長をやられて、その後、今度九八年から現在まで日本食肉協議会会長と。特殊法人を二つ、その後、農林水産の関連の事業を行う公益法人を二つ渡っているわけですけれども、今回、こういう点というのは改善されるんでしょうか。これ、大臣にお聞きします。
○国務大臣(大島理森君) 今の事例を伺いまして、なかなか渡り歩いているなという感じはいたしました。
 そこで、私は、やっぱりいわゆるたらい回し、内々のたらい回しとか、そういうことについては本当に厳しく、本当にやむを得ないもの、そういうふうなことに限る、そしてそういう場合でも一回とする、そういう方針で、これはもう閣議決定でございますが、しなきゃならぬと、このように思っております。
 いずれにしても、先ほど各委員の皆様方から、特殊法人から独立法人にしたけれども、逆にそのことが非効率を生んだり、あるいは膨れたり、あるいは今御指摘あったようなことがあったりしてはならぬよという厳しい委員の先生方からの御指摘というのは、私どももしっかり受け止めて独立法人の所期の目的を遂行させるようにしなきゃならぬと、このように思っております。
○紙智子君 特定の幹部が渡り歩きで高額の役員給与や退職金を得るということも問題だと思うんですけれども、やっぱり基本の構造が問題だというふうに思うんですね。
 それで、改善しているというふうにいっても、退職金については報酬月額掛ける在職月数掛ける三六%と、これは変わっていないですよね。緑公団の理事長が月額で百何十万、十三万ですか、報酬、賞与も含む年収でいうと二千万超えていると。これはごく一般の国民から見ると非常にやっぱり高過ぎるという、常識から懸け離れているというふうに思うんですけれども、これはいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(大島理森君) 特殊法人の現状の理事長の月収、年収一覧を私、見ました。それぞれの今までの経過からあって、それなりに決まってきたことだと思います。
 人間というのは、人の月給が高いか低いかということを考えるときに、いろんな判断をされる方があると思いますが、国会議員と比べてどうだろうかとか、あるいはいろんな考え方があると思いますが、なかなか頑張っている給料だなという感じは持ちました。しかし、そういうことも含めて、仕事に見合った、逆に言うと、その給料に見合った仕事をしてくだされば国民の皆さんが御理解いただけるものと私は思いますし、また私どももそうだと思います。
 要は、独立法人化して、その法人の目的に理事長並びに役員が率先垂範をし、そして全力を尽くして働いていただく、そういうふうな方向に向けていくことが私は今大事なのではないかなと、このように思っております。
○紙智子君 仕事に見合ってやればという話がありましたけれども、一九九九年当時、同じ時期の比較のためにですけれども、九九年当時の総務庁の行政監察局の調査報告で見ますと、九七年度の森林開発公団の理事長の給与月額が百三十三万九千円と。ところが、職員は平均勤続で二十・五年、これでもって五十三万八千円なんですね、半分以下なんです。だから、仕事の中身としては本当に変わらないわけですけれども、大変大きな差があるというふうに思いますし、そういうところはやっぱりちゃんと是正すべきじゃないかというふうに思うんですね。
 それで、やはり民間への天下りということについても規制しても、公益法人については今何ら規制がないと。それで、これでは公益法人に一時天下りをして、工事や調査研究など国や公団の仕事を実施する企業にまた天下りをして、そこに発注のお土産を持っていくという構図は変わらなくなってしまうと。これを変えるためには、やっぱり国の機関と密接に関係する営利企業や業者団体や特殊法人、認可法人、外郭団体、こういうところへの高級官僚の天下りをやっぱり無期限に禁止しなければならないんじゃないかと。そのことは、その気になればできることだというふうにも思うんですね。
 我が党は天下り禁止法案を提出しているんですけれども、このことについて大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(大島理森君) 共産党さんが提案している天下り禁止法案は、原則としていわゆる幹部の方は天下りしちゃいかぬと、そうじゃない人は割と自由な形になっているという内容であったと承知しております。
 私は、問題は、公務員の方々も退職した後の職業へ就く自由というものがあるんだろうと思うんです。また、あらゆる組織が広く人材を求めて、そして登用するということは自由ではないかと基本的には思うんでございます。ですから、公務員の皆様方の再就職のルールを決めるときは、私はある意味では慎重に考えてやらなければならないことではないかと思いますけれども、今、紙委員から御指摘されたような、そういうふうなことを国民が思わないようにルールを作ることが大事なのではないでしょうか。したがって、そういう観点から、私どもも昨年十二月に閣議決定された公務員制度改革大綱において言わばルールを定めたところでございますし、そのルールに従ってしっかりやっていただくことが大事だと思います。
 改めて申し上げますが、公務員の皆様方全体についても、再就職の道というものに対しての規制というものはある意味では本当に慎重に考えてやらないといけないという思いの中での、しかし国民から指摘されるようなことがないようにするルールを作ってやる、また環境を作ってやるということが大事だと思っております。
○紙智子君 時間になりましたが、いずれにしても、やっぱり看板だけの書換えというふうにならないようにしていただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。