<第154国会 2002年3月29日 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第7号>


平成十四年三月二十九日(金曜日)
    午前九時開会
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○沖縄振興特別措置法案(内閣提出、衆議院送付)
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○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 昨日、参考人質疑で本当に貴重なお話も聞きまして、私は北海道なんですけれども、北海道とやっぱり本当に事情の違う状況の中で、沖縄の振興にとって本当に何が、どういう形で進めることが求められるのかということでは非常に考えさせられもしました。
 私は、今日はまず、農業の振興と、特に農産物の輸送コストの削減の問題でお聞きしたいと思います。
 今回の法律は、沖縄において農林水産業が基本的な産業であるという位置付けを行い、振興計画を立ててそれに基づく支援措置をうたっています。
 農業は、サトウキビに加えて、亜熱帯の気候を生かした果樹、野菜、花卉と、生産が多様に営まれていますが、これらの生産拡大が沖縄の農業の発展とともにやはり我が国の食糧供給にとってもとても重要だというふうに思うんです。ところが、その発展を阻害する大きな要因になっていることの一つに輸送コストの問題があると思うんですね。
 JA沖縄中央会のこの中にも、沖縄の農産物の物流についてということで、ゴーヤーの場合でいうと、鹿児島から東京までは毎日出荷できてキロ四十四円と。これに対して、沖縄からは、週二便の船舶で五十八円ということで一・三倍掛かる。毎日出荷できるけれども、船舶、鉄道でやった場合には九十五円ということで二・二倍になると。これが航空便だと百五十三円ということで三倍以上ということですね。インゲン、ゴーヤー、菊、マンゴー、こういう生鮮品というのは連日出荷が必要だということで、高コストの航空輸送に依存しなければならないという状況だということなんですね。
 大臣、そこで、輸送コストが沖縄の農業にとっても本当に大きな問題だと思うんですけれども、この点での御認識、お伺いします。
○国務大臣(尾身幸次君) おっしゃるとおり、沖縄の特色あるゴーヤーとかマンゴーとか、そういうものを沖縄以外に出荷しようと思ったときには、輸送コストが高いということは非常に大きな沖縄の農業のハンディキャップになっているということは否めない事実であるというふうに考えております。
 そこで、私ども、そういう状況の下で極力輸送コストを下げるような対応をしていかなければならない。そのためには、いわゆるシステムとしての流通を合理化すると。できるだけ空船とかあるいは空の飛行機がないような形での対応をするということをしていかなければならないわけでございまして、これは一人の業者とか一つの会社ではできないわけでございまして、全体として協力をしながらそういう方向をしっかりと実現をし、トータルとしての流通コストを下げるように努力をしてまいりたいと考えております。
○紙智子君 いろいろコストを下げるためにということで考えられているというのは聞いているわけですけれども、例えば、クールコンテナの利用だとか、それから冷蔵施設の整備とか、船舶、JR複合輸送体系、このやり方でやりますと時間も掛かるし、あるいは県関係者の施設設備の負担も伴うと。航空輸送のコストをやっぱり軽減してほしいとか、運賃の軽減の要望というのはとても強いものがあると思うんです。
 私の知っている農民連という農業団体がありますけれども、沖縄の完熟パインの産直をやっているんですね。私も食べさせていただいたんですけれども、とてもおいしいんです。味が全然違うということで非常に喜ばれていると。ところが、一日、二日でとにかく運ばなきゃいけないということで、航空を利用して、ゆうパックで少しは安くしてもらっているんですけれども、それでも三個入りで二千五百円ということなんですけれども、その半分が大体運賃だということなんですね。それから、五個から八個入りでは三千五百円で、四割ぐらいを運賃が占めるということになっていて、もしこれ運賃がもっと安くなりますと、もっと消費が増えるし沖縄のパインが売れるようになるんじゃないだろうかと。もちろん民間の契約でも安くする努力はされているんですけれども、やっぱり限界もあるということで。
 この本法案の中でも、沖縄島と沖縄以外の本邦との間を行き交っている航空機燃料税について軽減をし、さらに、一年間、宮古島や石垣島、久米島にもこの制度が適用されるということになっていて、旅客には運賃軽減が適用されるわけですけれども、この農産物貨物には適用されないと。どうして法案にこのことを盛り込まれなかったのかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(武田宗高君) 本法案に盛り込まれております航空機燃料税の軽減措置でございますけれども、これは沖縄の観光振興に資するという目的で行われているものでございます。航空運賃の引下げ効果ということで、観光客の増大に貢献をいたしているところでございます。
 本土―沖縄間の貨物輸送でございますけれども、その大部分は旅客機の貨物室に搭載をして行われているということで、その意味では間接的な波及効果が一部は期待されているところでございます。ただ、直接的な運賃引下げに結び付いているということではないと思います。
 農産物の出荷の拡大を図りまして、また沖縄の農業の振興を図るという上で輸送コストの低減というのは、先ほど大臣の方からも申し上げましたとおり大変重要な課題であるという認識でございまして、そういう前提に立ちまして、平成十三年度それから十四年度の両年度にわたりまして所要の予算を確保して、輸送コストの低減のための方策の検討と、先ほど委員御指摘のように、クールコンテナを活用したり、あるいは連日出荷ということを織り込みましたそういった輸送方法の検討というものを現在進めておるところでございます。
○紙智子君 この振興法の中でも、やっぱり自立といいますか、経済の自立ということを本当に促しながらやっていかなきゃいけないと、そのために必要だということでこの法案そのものが作られているというふうに思いますので、その意味では、やはりその施策を本当に推進するためにもこの問題というのはやっぱり具体化していただきたい、具体化すべきではないかというふうに思うんですね。
 それで、その点、農水省も今日来られていると思うんですけれども、どうでしょうか。
○政府参考人(坂野雅敏君) 沖縄の流通コストの問題でございますけれども、沖縄農業の振興を図る上でいろんな支援策、例えば農業の育苗施設とか集出荷施設、また鮮度保持施設ですか、そういったものについて支援をやって、生産性の向上とか流通の合理化ということでやっています。
 特に、お尋ねの流通コストの低減につきましては、荷をどれだけうまく集めるかというロットの問題とか、それから鮮度保持がどのくらいもつか、その期間の問題、それから先ほどお話しの連日出荷するもの等ありますから、そういったような問題も併せて検討することが必要と考えております。
 このため、十三年度から、沖縄特別振興対策調整費によりまして、航空便よりも安価でかつ毎日の出荷が可能な船便と、それからJRを組み合わせた低コスト流通体系を利用した輸送試験というのを行っています。あわせて、輸送試験の際に、鮮度とか日もちというのも重要な要素でございますので、そういったような試験も実施していまして、そういったことを通じまして輸送コストの低減方策というのを検討しているところでございます。
○紙智子君 今のお話をお聞きしますと、法案に今回その形では具体的に入っていないんですけれども、これは何らかの形で対策というのは考えられるということになるんでしょうか。
○政府参考人(武田宗高君) 先ほど農水省の方からも御説明がございましたけれども、私ども、調整費を使いまして具体的な施策に結び付くようなそういう検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
○紙智子君 本当に島に対してのいろいろな取組ということで、例えば東京都の場合でも、離島航路への国の補助制度があって、そのほかにも都独自に、地理的な特殊性を持つ伊豆諸島などへの貨物の運賃補助ということで、物価の抑制、それから島内産業の振興ということで島の特産物なんかも対象にしていろいろ取組がされていると。独自に、例えば特産物で三〇%の補助率なんかも付けて、競争条件の悪いところに対しての、やっぱり振興させようということでのそういう取組もされているというふうに思うんですね。
 やっぱり、離島航路路線に対する航空会社への補助の制度ということもありますし、電話料金や郵便料金で、一定の遠隔地で不利な条件を補っていくということで沖縄から鹿児島まで実質上免除されているということもあるわけですから、そういう意味では、是非積極的な中身で御検討いただきたいというふうに思います。
 それから、続きまして、政府の沖縄の振興審議会が行われていて、第六回の審議会の中ではこういう意見が出されています。
 物流コスト減への取組が産業振興にとっても大事だと、それで、沖縄物産公社のような、沖縄県の物流公社といったものを設立して、こういうところに対して国が支援して引き下げられるようなやり方というのも一つの手段ではないかというようなことでの審議会の意見なんかも出されているんですけれども、これについてはどうでしょうか。
○政府参考人(武田宗高君) 沖縄産品の東京等本土への出荷につきましては、県の方でもいろいろ、いろんな組織体あるいはいろんな施策として取り組んでおられるところでございます。
 私どもとしても、どういうことができるのか、どういうことが可能なのか、よく県等とも相談をしながら取り組んでまいりたいというふうに考えております
○紙智子君 続きまして、社会資本整備の問題でお聞きします。
 沖縄における交通渋滞の解消という問題で、私も何度か沖縄にはお邪魔させていただいているんですけれども、渋滞の問題は乗ったタクシーの運転手さんなんかも非常に大変だという話されていまして、この解消の問題ということでは道路の整備、拡充ということがあると思うんですけれども、一人当たりの道路の延長率とか、それから自動車の一台当たりの延長率ということで見ても、全国平均で五割、六割ということで、その面では整備、拡充は必要だということなんですね。
 しかし、米軍基地が県土の中に占める割合が一〇・五%、本島だけでも二〇%を占めているという中で、車が増える量に伴ってといいますか、どんどん道路も作り整備するということでもって本当に交通渋滞が解決されていくのかどうかというのは、これは本当に考えなきゃいけないことだというふうに思うんです。
 それで、やはり交通渋滞の問題のポイントになっているのが那覇市だというふうに現地の方はおっしゃるわけですけれども、結局、那覇市に集中してくる車両をいかにして減らすのかと。そういう交通渋滞の解消を本当に解決するということで考えなきゃいけないということで、道路の整備はかなりこの間も那覇市でいえば進んできているわけですけれども、これらの問題についての政府の御認識をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(武田宗高君) 委員御指摘のとおり、沖縄におきます陸上交通というのは専ら道路に依存をしておるわけでございまして、道路の交通渋滞が県民生活であるとかあるいは産業活動といったものに与える影響というのは大変大きいものだというふうに認識をいたしております。
 ちなみに、沖縄県の交通渋滞というのは、例えば混雑時の旅行速度という指標がございますが、これで比較をいたしますと、東京都二十三区の時速十六・四キロというのに対しまして、那覇市内では時速十二・一キロということで、とにかく全国一位という渋滞の状況でございます。また、これによりまして、一キロメートル当たり渋滞の損失額といいますか、こういうものについても、東京、大阪に次いで二千三百万円という、三位という状況でございます。そういう意味では、全国的に見ても大変厳しい状況になっているというふうに考えております。
 この解消のための取組でございますけれども、一つは、もちろん那覇都市圏を中心にしました道路交通の渋滞を解消する、緩和するというために、例えば主要幹線道路としまして高規格幹線道路、那覇空港自動車道という、これは空港へ行く場合に那覇を回避して南から入るということになりますが、あるいは地域高規格道路ということで、沖縄の西海岸道、これは港側を通るということになりますけれども、そういった整備を鋭意進めております。
 ただ、これに加えまして、やはり定時定速性のある公共交通機関ということで、那覇都市圏におきます交通渋滞の緩和に資することを目的に沖縄都市モノレールというものを現在導入を進めておるところでございます。
 それからさらに、これも御指摘にございましたように、やはりハードだけではございませんで、ソフト面的な取組が必要であろうということで、交通渋滞を緩和するために、総合事務局を中心に、例えばバスレーンの規制であるとかあるいは時差出勤の推進といったソフト面の施策にも取り組んでおるところでございます。
 今後とも、交通渋滞の緩和に向けまして、総合的に施策を講じていく必要があるだろうというふうに認識をいたしております。
○紙智子君 今お話のあったモノレールは二〇〇三年から開通するということになっていると思うんですけれども、本土のことを想定しますと、住民の生活圏が駅を軸に展開していくことになる、だから、駅に向けてバスや自転車などが行って、そこから移動するということになると思うんですけれども。
 それでもって、那覇市にもう一極に集中していた状況が緩和されていくというふうになることを願うわけですけれども、実際に、沖縄の場合、そういうふうにうまくいくのかどうかといいますか、周辺の自治体からの那覇への集中が本当に変わるのか変わらないのか、その辺りのところというのはどのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(武田宗高君) おっしゃるとおり、モノレールが完成いたしましても、それが利用されるということが大事であろうと思います。
 この点につきましては、例えば沿線の土地区画整理事業であるとか、あるいはパーク・アンド・ライドといいますか、そういった車との乗り継ぎのための広場を設置するとか駐車場を設置する、そういった周辺整備的な、環境整備的な事業を行っておりますし、また、県におきましても、こういった利用を促進するためにモノレールの利用促進協議会というものを設置して取り組んでおられるというふうに承知をいたしております。
 内閣といたしましても、こういった取組に対して支援をしてまいりたいというふうに考えております。
○紙智子君 この交通渋滞を解消するためにも、モノレールについては南北にももっと延ばしてほしいという要望が出ているということなんですけれども、そのほかにも、軌道交通システムあるいは鉄軌道の導入などの要求も出ていて、住民の中でも運動にもなっているというふうにお聞きしています。この要望の大きなポイントというのは、やっぱり定時で定速性というところが大事だというふうに思うわけです。
 九四年に沖縄県が発表しています沖縄県の総合交通体系基本計画、この中で、本島の北部における拠点都市名護を始めとした北部地域の振興を図る観点から、定時性、定速性のある大量輸送交通機関として本島を南北に縦貫する軌道交通システムの導入を検討するということで掲げているわけです。
 お話、聞くところによりますと、沖縄県では、戦前、那覇を中心に、北は嘉手納から南は糸満まで軽便鉄道というのがあって、非常に輸送機関となっていたというふうにお聞きしました。ところが、戦争でもって、沖縄戦で破壊されて、全国唯一鉄道のない県になって今日に至っているということをお聞きしました。
 沖縄にバスとかタクシーなどの整合性を持たせた南北に縦貫する定時性、定速性のある大量輸送機関が確立されるということになると、本当に沖縄の社会生活というのが変わっていくんじゃないかというふうに思うんですね。やはり、北部地域から南部の方にも会社に通ったり学校に通ったりということでは、東京、今首都圏で一時間とか一時間半掛けて通ってくるわけですけれども、そういうくらいの時間の規模で移動できるということになりますと、これは、例えば家族、今は別々に住まなきゃいけないのが、そうじゃなくて一緒に住めるとか、そういった意味では非常に住宅問題も含めて経済や文化の面でも沖縄本島が一体となって変わり得るんじゃないかということで、そういう将来の構想について政府としてはどのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(武田宗高君) 今、正にモノレールが平成十五年の開業ということで準備を進めておりまして、このまず利用促進を図るということで今一生懸命取り組んでおるところでございます。このモノレールの延伸といった御希望、あるいは鉄軌道についてのいろんな御要望等が地元にあるということは私どももよく承知をしているところでございます。
 いずれにしましても、今後、まずモノレールの開業後の利用状況であるとか、あるいは収支の状況というものを見極めながら、周辺の開発計画等を踏まえた上で検討されるべきものだろうというふうに考えておるところでございます。
○紙智子君 次に、社会資本整備の問題で、福祉、医療の問題にかかわってですけれども、昨年の二月に内閣が実施している沖縄県民の意識に関する世論調査というのがやられていて、ここで次期の沖縄振興計画で特に何に力を入れてほしいかという問いに対して、廃棄物処理という問題が出ていますけれども、次に福祉施設とそれから医療施設というのがそれぞれ四〇%を超えて要望が高いわけですね。
 この県民の福祉や医療、教育施設の充実を求めていることに対しての政府の受け止めといいますか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(武田宗高君) 御指摘の沖縄県民の意識に関する世論調査というもの、昨年の二月に出されておるものでございます。この調査におきまして、社会資本の整備におきましてどういった分野が必要かということで、委員御指摘のとおり、廃棄物あるいは福祉施設、医療施設といったものが非常に高いウエートを占めているということは重々承知しております。
 国といたしましては、沖縄におきましてこれまでも現行の沖縄振興開発特別措置法に基づきます負担補助の特例措置等に基づきまして、道路、下水道等の公共事業と同様な形で、福祉、医療の分野におきましても特別の高率補助を行っておるところでございます。
 例えば、社会福祉施設や医療施設、保健衛生施設に対する補助率という点では、原則四分の三ということで、本土の二分の一ないし三分の一といった点に比較して大変高い補助率を適用してきておるということでございまして、こういった措置につきましては、現在御審議いただいております沖縄振興法に基づきまして更に継続をするということにいたしておるところでございます。
 国といたしまして、各種の社会資本の整備を図っていく、そういう上ではやっぱり県民の様々なニーズというものを十分踏まえた上で行うことが重要であるというふうに認識をいたしておりまして、今後もこれらの調査の結果等については大いに参考にさせていただきたいというふうに考えております。
○紙智子君 沖縄振興新法の制定を求めていくに当たりまして、昨年の一月、沖縄県が実施しました各団体からの意見交換会というのがやられています。
 その記録を見てみますと、沖縄県の社会福祉協議会から、社会福祉施設の整備に関する高率補助制度を存続してもらいたいということで、特にその中で保育所の待機児童数、待機率が七・〇%ということで、これ全国一なんですね、それで、復帰後整備して作った保育所ももう築二十五年以上ということで、百か所そういうところがあって改修してほしいという要望も出ていると。
 待機児童の問題では、三月の二十七日付けの沖縄タイムスで、新おきなわ子どもプランというので沖縄県として策定していて、二〇〇六年までに三千五百の待機児童を解消する計画を考えているわけです。
 それで、沖縄の保育問題では非常にいろいろな問題といいますか、離婚率が高いと。北海道も離婚率、一番とか二番とか高かったんですけれども、沖縄もやっぱり離婚率が今一番高い方で、そして母子家庭が多くて、母親は働きに出ているという状況が多くて、子供が独りで置かれているという状況が非常に多いということの中で、やはりこういう振興法に基づいての社会資本整備でそういう要望にもこたえていく必要があるんじゃないかというふうに思うわけですけれども、この点、どうでしょうか。
○政府参考人(武田宗高君) 沖縄県におきまして、保育施設につきましては認可外の保育施設が非常に比率が高いとか、あるいは待機率が非常に高いということは私どもも重々承知をいたしております。
 保育所の整備につきましては、従来から沖縄振興開発特別措置法におきまして国庫補助のかさ上げを行っております。それとともに、また具体的な施設整備につきましては、担当省庁である厚生労働省で大変御尽力いただいているところでございます。
 内閣府といたしましても、施設整備を担当している厚生労働省やあるいは振興計画の原案を作成いたします沖縄県ともよく連絡を取りながら、保育所の整備が円滑に行われるように、新振興計画において必要な記述を盛り込むなり、そういった形で取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○紙智子君 今日は厚生労働省の方にも来ていただいていると思うんですけれども、沖縄県の社会福祉協議会からの要望では、この振興計画に対する要望として、一つは保育所の多様化に対応して一時保育、地域子育て支援センターそれから乳幼児健康支援デイサービス、それから多機能化保育所、学童保育の整備と。それから二つ目に、児童虐待が全国一と、これも非常に深刻なんですけれども、そういうことの中で、児童家庭支援センターそれから情緒障害児短期治療施設などの整備を要望しているんですね。
 この点についての見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(岩田喜美枝君) 沖縄県の子供をめぐる状況でございますが、なかなか厳しいものがあるというふうに思います。
 県におかれましては、保育所施策その他、子供の支援策について、現在、先生お触れになりましたが、新おきなわ子どもプランを策定中であるというふうに聞いております。平成十四年度から十八年度までの五か年計画、数値目標を含めた五か年計画でございまして、この中で保育所の量的な拡充ですとか多様な保育サービスのニーズへの対応など盛り込まれるというふうにお伺いしております。
 厚生労働省といたしましては、沖縄県が策定される新しいおきなわ子どもプランに基づいて様々な取組をされると思いますが、そのことに対して最大限の配慮をしてまいりたいというふうに思っております。
 また、児童虐待の問題ですけれども、これは全国的に大変深刻な問題ですが、沖縄県についても同様でございまして、児童虐待の相談件数が大変増えてきております。
 そういうことで、県におかれましては、児童相談所の専門職員であります児童福祉司の増員を図りましたり、また地域レベルで、児童虐待の対応というのは関係機関多数が連携を取って対応しないといけないということで、地域レベルで関係機関の連絡のネットワークの整備などもされております。
 新しい子供計画に基づいて更に沖縄県におかれまして、こういった体制整備ですとか、更には児童家庭支援センター、情緒障害児短期治療施設の整備など、総合的に児童虐待防止対策に取り組んでいただきたい。これに対して厚生労働省、最大限の支援をさせていただきたいというふうに思っております。
○紙智子君 医療の問題ですけれども、先ほどと同様に、沖縄県が実施しました各団体からの意見交換会の記録の中で、沖縄県の看護協会からの要望で、看護教育の問題で、教育及び卒業後の研修は各勤務施設で行って、特定テーマについては県及び看護協会で実施しているけれども、県内の看護従事者一万一千人を対象と考えた場合にまだまだ十分ではないと。それで、看護研究や研修センターの設置が必要だということで要望していますけれども、これに対しての政府の見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(武田宗高君) 沖縄県看護協会から看護研究研修センターという御要望が出されているということは私どもも聞いております。
 沖縄県では、現在、医療従事者の研修の場ということで、沖縄県医療福祉センターというものを無償で提供し研修等を実施しているというふうに伺っておりまして、十三年度の看護婦に対する研修会は、年六回、参加人員三百八十五名というふうに聞いております。沖縄県の方に伺いますと、当面、この施設が活用できるというふうに考えておられるようでございます。ただ、改築時期等が来た段階で、医師会や看護協会などの関係団体と調整の上、整備の検討を行うという考えであるというふうに聞いております。
 内閣府といたしましては、こういった県の対応を尊重しまして、将来、必要に応じ、協力をしてまいりたいというふうに思っております。
○紙智子君 終わります。
 ありがとうございました。