<第152国会 2001年9月20日 農林水産委員会 閉01号>


平成十三年九月二十日(木曜日)   午後一時開会
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (平成十四年産米の政府買入価格に関する件)
 (米政策の総合的な見直しに関する件)
 (牛海綿状脳症問題に関する件)
 (第四回WTO閣僚会議に関する件)
 (ねぎ等三品目のセーフガード措置に関する件 )
 (北方四島周辺水域のさんま漁をめぐる日露・日韓協議に関する件)

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○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 私は今回初めての質問になりますので、余りなれないところもあると思いますけれども、どうかよろしくお願いいたします。
 今回の事態をめぐりましてやはり多くの国民に大変不安が広がっていると。私は実は九月の十三日の日に千葉県の白井市に参りまして、生産者の方やそれから自治体関係者の皆さんからお話も聞きました。本当にその時点では困惑している、本当に驚いて、そして非常に困惑しているということと同時に、やはり口をついて出てきたことの中には、口蹄疫の場合もそうだったんですけれども、やはりこういう問題が起こる背景の問題として、飼料が輸入の飼料、これに多くを頼らなければならないという畜産のあり方についても、やっぱり見直しをしてもっと自給できるようにしてほしいんだということを訴えられましたし、それから大臣の出身地ということですけれども、北海道の佐呂間の方も、実は先日、我が党の児玉衆議院議員が訪れたんですけれども、町長さん初めやっぱり関係者の皆さんが本当に強い憤りといいますか、結局、佐呂間の牛が問題なんだと、千葉の牛が問題なんだと。報道ではやっぱり局地のところでもって過熱するという状況がありまして、そういう問題じゃないんじゃないかと。その意味では、本当に農水省の水際での対策の問題じゃないかということを厳しく言われていたということも聞いています。消費者の皆さんの中にも不安があるという中では、一日も早くこの問題に対しての正確な解明と、そしてやっぱり不安を解消していくということでの対策が必要だというふうに思います。
 そこに立って、まず一つ目なんですが、この狂牛病の発生で、フランスでもイギリスでも大変なパニックの状態になりまして、畜産業が大きな打撃を受けたと。今回、日本でも狂牛病であることが確認されますと、これは本当にアジアで初の発生という大変な重大な事態で、その意味では関係省庁が危機意識を持って対応しなければならなかったというふうに思うんですが、しかしその後の対応は、先ほど来、話になっていますけれども、やっぱり余りにも安易じゃないかというふうに思うわけです。
 当初焼却されたというふうに説明されていたものが、疑似患畜の牛が実際には飼料などの原料としてもう流通してしまっている。そして、徳島の業者からの通報で発覚したわけですが、もう一部販売されていると。もしそれが、通報がなかったならばどうなっていたかということで考えますと、汚染されたものがまたさらに広がっていくという状況になったわけで、そう考えますと本当に私は背筋が寒くなる思いがするんです。
 やはり、今回の牛は狂牛病の疑いがある神経症状が示されたということで、牛海綿状脳症サーベイランスのいわゆる調査の対象となって脳についての検査を実施することになっていた。それが検査の結果も出ないうちにもう流れてしまっていたということになったという責任ですね、責任の所在を明確にすべきだということでは、私も改めてそのことをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(武部勤君) 先ほど来お答えしておりますように、まず八月六日にこの牛が発生して起立不能ということで、牛海綿状脳症のサーベイランスに基づいて処理されたはずなんですね。そのサーベイランス要領には、疑いを否定できないという項目と、その他中枢神経症状という二つの項目があるんです。具体的にそういう表題のついたサーベイランスなんですから、これはもうだれが考えてもBSEの疑いありと、真っ白ではないということだから出ているわけですからね。限りなくシロに近くてもシロではないという前提で一番最初処理していれば今度のようなことにはならなかったという意味において、こうしたマニュアルが徹底していなかった、つくられていなかったと。
 また、現場に対して、先ほどいろいろ御議論ありましたけれども、厚生労働省と農林水産省の、屠畜検査の方は厚生労働省、家畜保健衛生所は農林水産省というような、そういう縦割り行政の問題も新聞等で指摘されるようにあるわけです。また、屠畜場の管理はこれは県なんですね。
 そういうような問題がありまして、今、紙先生、責任はどこにあったんだということでございますが、私はそれはまず、農林水産省として責任ある立場の私としては責任の重大さというものを甘んじて受けなきゃならないと、このように思っておりますが、しかしそれだけで解決できたのかなと。その後の問題についてどうあるべきかということについて、内部で上司に対する報告がなかったとか、そういう連絡が遅かったと、さまざま、やっぱりいろいろな責任問題がある、このように認識しておりまして、そういった問題をもう早急に解決していこうということで先ほど来、きょう付で、この牛海綿状脳症のサーベイランスの一も二も焼却ですよと、そういうことを徹底させることにしているわけでございます。
 なお、私の地元の佐呂間のことについては、町長さんは獣医師ですね、でありますから、本当にあの牛は佐呂間から出ていった牛なのかと、こういうふうに思うほどに大きな衝撃を佐呂間の皆さん方は受けているわけでございます。
 でありますから、我々のこれからの責任というのは、一日も早く同居牛を追跡調査して、その経路を明らかにして、そしてこれをきちっと処理することですね。そして検査することです。で、佐呂間の牛が全部シロだったということになれば、この間の牛は何だったんだと、どうしてだということになる。また千葉の牛も、全部検査した結果、これも全部シロだったんだ、じゃ何なんだと、また次に行くと思うんですけれども、そういったことをきちんと追跡調査するということが、今、厚生労働省と連携して調査するということが我々に課せられている一番大きな責任だと思っております。
 また、レンダリングに回されたえさの経路でございますが、私も、いつのえさだと。これはもう絶対シロとは言えないけれども、これ参考までに申し上げます、参考までに申し上げますが、八月二日までに工場に入っていった牛だろう、こう言われているんですね。だけど、じゃ二日ということを証明しなさいと言われてもその証明ができませんから、我々はこれは絶対シロだということは言えませんと。それからまた、化製工場に行きました。これは先入れ先出しと言うんだそうです。最初に入ったものから出ていくんだそうです。ですから、その観点からも、工場に行ったえさが、二つの事業場に行っているわけですけれども、そこへ行っている可能性は少ないと。参考までにこれは申し上げているんですよ。しかし、そういう絶対シロだと言い切ることが実証できませんので、我々は全部家畜防疫員を立ち会いにつけて焼却処分にするという決定をしているわけでございます。
○紙智子君 今、責任の問題ということで述べられているんですけれども、「サーベイランスの実施について」ということで、私もこれ見させていただいていますけれども、やはり本当に、マニュアルがなかったというところの問題というのは、本当に行政の責任という問題でもありますし、やはりこれに基づいて実際に取った頭以外の本体はどうするのかということが書いていなかったわけですから、そこのところのやっぱり責任の問題ということでははっきりさせていただきたいと思いますし、それからもう一つ、一応検査はすると。しかし、その中で、狂牛病の陽性が出る可能性がない、実際にはほとんどないというふうに思って対処していたんじゃないかという問題もあるんじゃないかと思うんです。日本は、FAOとかEUなどからも日本も狂牛病の発生の危険性は高いんだということで警告を受けていたわけですよね。ところが、そういう中でも、いや日本はそういうことはないんだ、安全なんだということを、そういう立場でやってきたという問題がやっぱり背景にあったんじゃないかと思うんです。その点では、やっぱり農水大臣自身の責任の問題ということも私は大きい問題じゃないかというふうに思います。
 その上に立って次の質問に移らせていただきますけれども、屠畜場への搬入から解体まで、やはりそういう問題点を踏まえて、すべての段階で、疑われる牛については、やはり検査が終了するまで、胴体というんでしょうか、そこのところの保管義務についても法的に整備すべきではないかというふうに思うんですが、そのあたり農水大臣、それから厚生労働副大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(武部勤君) EUのステータス評価のことだと思うんですが、ことしの五月にOIEで、国際獣疫事務局というところで新しい基準をつくったんですね、まだこれは実施されていませんけれども。それから、EUの評価については、これは化粧品と医薬品の貿易に影響を与えるという問題で出したというんですけれども、それも、そういう心配はなくなったということで日本はおりましたと。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
そして、新しい国際基準が五月にできましたから、我が国としてはそれで対応していきたいという事務局の報告を聞いて、私も余り詳しくありませんから、新しい国際機関の基準でやるというのがもうすぐ新しくできたならそれはそれでいいなと、こういうふうに受けとめていたんです。その後こういう問題が発生したわけですから、私は、どうあろうとEUの評価も受けるべきであったのだろうと、このように思っております。そういう面については私は専門家でないから詳しくはわからないといっても、結果的にこういうことになっているということは、その責めを甘んじて受けなければならないなと、このように思っております。
 それから法整備のことですが、厚生労働省がもう三十カ月以上の牛については全頭、百万頭と言っていますけれども、全頭脳髄をとって検査するという体制をとることにしたんです。つまり、四、五時間でわかるテストをすることになったわけです。ですから、今後、絶対ということは言えないかもしれませんけれども、そういう心配がなくなったということが言えます。まだ、十月中旬からそれは実施するというんですから、それまでの間は農林水産省としては生産者の御理解をいただいて出荷をおくらせてもらうと。しかし、その間のえさ代その他は支援しなきゃならぬということでやることになりましたから、いずれにしても屠畜後の速やかな検査ということになれば五時間ぐらいですか、そういうことで、厚生労働省から御答弁いただいた方が正確だと思いますので、今後、いずれにしましても相互の連携を一層強化して再発防止に努めてまいりたいと思います。
○副大臣(桝屋敬悟君) 今、委員の方から検査結果が判明をするまでの間の保管のお話をいただきました。今、農水大臣の方からもお話がございましたけれども、やはり先生おっしゃるように、それは極めて大事な視点だというふうに私どもも考えております。
 私どもの方では、屠畜場を所管しておりますのは私ども厚生労働省でございます。と畜場法においては、肉とかあるいは内臓等は検査を終えた後でなければ持ち出しをしてはならないというふうに規定をされておるわけであります。検査結果が判明するまでは、牛屠体、牛屠体というのは、牛の頭、四肢を取り、剥皮したものでございますが、あるいは内臓を屠畜場内に保留するというふうにされているわけであります。
 こうした制度を本当に現場において実効あるものにしなければならぬということで、今回、この事態を受けまして新たなサーベイランスの強化を図るというふうにしたところでございます。検査結果が出るまでの間、屠畜場内での保管場所の確保についても、先ほども議論がありましたが、努めるようにしているところでございます。
 こうした対応をとることによりまして、さらに今回の反省も踏まえまして、家畜保健衛生所とそれから食肉衛生検査所の緊密な連携ということも、現場における緊密な連携ということも含めて徹底をし、双方の検査結果が判明するまでは確実に保留をされるということに万全を期してまいりたいと、このように考えております。
○紙智子君 次に、肉骨粉の問題について御質問いたします。
 狂牛病に汚染された可能性のある英国産の肉骨粉については、九六年の三月末に輸入を禁止したと。EUからの肉骨粉についても一月、禁止したわけですが、それまでの間、我が国ではこの牛に対する肉骨粉の使用禁止はされてこなかったわけで、これが感染源になった可能性は大きいと。
 この点について、最初にお話もありましたが、NHKでの報道がされていて、英国では九〇年以降、日本に肉骨粉が三百三十三トン入っていると。私もいろいろ入手した、資料で取り寄せているのがあるんですけれども、それを見ましてもやはり同じような数字をあらわしていると。ところが、我が国の統計では輸入されたことになっていないということでの食い違いの話が先ほどもありました。
 それで、汚染された可能性のある肉骨粉がどの程度入っているのかということはやっぱり重要な問題だと思いますし、その点ではこの食い違いについては、調べるというふうにさっきおっしゃったんでしょうか、これから問い合わせもしてはっきりさせるということなんでしょうか。
○政府参考人(小林芳雄君) EUからこういった輸入の経過があるということを示されまして、私どもの統計にはそれはないと、そういった事態が判明して、イギリスの家畜衛生当局に対し照会を行って、どういった根拠のデータなのかというふうなことを照会しております。
 なかなかまだそういったところでお互いにきちんと突き合わせるようなデータも来ておりませんので、引き続き私どもとしては、二つの統計、関税の際の税関でやる統計と私どもの動物検疫の両方の統計で存在しないわけですので、そういった点、よく向こうの根拠がどういうところにあるのかということを引き続き十分聴取して、実態を調査していきたいというふうに考えております。
○紙智子君 いずれにしても、汚染されたイギリスの肉骨粉が入ってきているということは否定できないのではないかと思うんです。鶏、豚の飼料としての肉骨粉の使用について、やはり汚染された肉骨粉の輸入と流通ということでは、実態がやっぱり例えば第三国を経由しただとか、それからいろんな形で不明確になっている中で疑問の声が多いと。
 英国は報告書で、この汚染の可能性のある肉骨粉を大量に輸出したと言っているわけで、現在清浄国であるアジアにも感染が広がっている可能性が高いという指摘もあります。日本でも毎年二十万トン程度の輸入があるということでは、生産者、消費者が不安に思うのは、これは当然のことだと思うんです。
 汚染されたこの肉骨粉が国内に入る可能性が否定できていないという中では、やっぱり輸入もとめることも検討するべきではないかというふうに思うんですが、そのあたりどうでしょうか。
○政府参考人(小林芳雄君) 輸入骨粉は、先ほど来申し上げております形で、イギリスとか、そこもあるわけでございますが、ほかの国の関係のお尋ねだと思います。今、清浄国といいますか、オーストラリアとかニュージーとか、そういうことでございます。
 それで、今こういったものについてどういうふうに評価していくかということでいきますと、私どもも各国のBSEの状況を見たステータス評価というのを進めております。その中で、それぞれの国がこのBSEの対策としてどういった措置を講じているかということをベースにした輸入上の対応、こういったことは検討していかなくちゃいけないと思っているところでございます。
 ただ一方で、当然SPS協定とか、そういった国際ルールもございますので、そういったものを踏まえながら、これからどういった評価をするかということを進めていくといった今途上でございます。
○紙智子君 汚染の危険が少しでもあるものについては、やはり徹底して排除していくようにするべきだと思うんです。今、鶏や豚への使用を認めているわけですけれども、飼料工場や輸送中に牛のえさに混入する可能性という問題も先ほど来出されています。
 農水省はことし六月にこの混入防止のガイドラインを出したということなんですけれども、これも完全に牛と豚、鶏を別ラインにするということも含めて、混入防止が完全に実施できる保証があるのかということになりますと、そこのところも、やっぱり幾ら指導で徹底するといっても本当に担保できるのかという問題があると思うんですね。
 ですから、そういう状況があるからこそ、EUでは、鶏や豚用のえさが牛に与えられることを根絶するために、ことしから感染源と見られる動物の肉、骨を原料とした家畜用の飼料を六カ月間全面禁止と、ここまでやっているわけで、そういう意味では今回、我が国でも大手の配合飼料メーカー、こういうところも肉骨粉の使用の中止を決めているわけですから、その意味では、生産から使用現場に至るまで混入防止が一〇〇%できる保証ということでは、期限を区切ってでもこの肉骨粉の輸入や使用の禁止について思い切った措置が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(小林芳雄君) ただいまのお話は、国内での体制をどうしようかということだと思いますが、まず飼料安全法に基づく、今まで指導でやってきておりましたものを今度は法律に基づく、規制の根拠のあるものにしたということで、こういったものを踏まえて十分飼料メーカー等におきましても的確な対応をしてもらうというのが一点でございます。
 それから、これからこのBSEの関係といいますか、厚生労働省さんの方でも屠畜場での三十カ月齢以上の牛の全頭検査、これが始まるわけでございます。そういったことが徹底されていきますれば、牛肉であれ、あるいはその肉骨粉といったそういったものであれ、非常に危ないもののそういった流通といいますか、それは非常に、何といいますか、心配なくなってくるわけでございまして、そういったところでの万全の対応をしていくということが一つの対応であろうかと思っています。
 それから、今、鶏ないしは豚等といった飼料には肉骨粉が使用されておりまして、これは今までのいろいろな、世界保健機構等のいろいろな実験結果でもそれは安全であるということでございますから、そういった安全なところに安全な肉骨粉を使っていく、それをきちんと的確にどうやって担保していくかということでございますので、そういうことを、今までに申し上げたようないろいろな飼料安全法の規定でありますとか、あるいは肉を食料とするときの対応でありますとか、そういうことを十分対応することによってその安全性を確保していきたいというふうに考えているところでございます。
○紙智子君
 次の問題に移らせていただきます。屠場での全頭検査の実施の問題です。
 これは、厚生省が三十カ月以上の牛の全頭検査の体制ということで、このこと自体、非常に重要だというふうに思います。それで、年間百三十万頭の牛が処理される中で、この検査体制の整備というのがやっぱり急がれているわけですが、現在、と畜検査員の数は全国的に二千三百七十三人ですね、それで対応できるのかという問題、それから体制強化、そのことも含めて全体をどういうふうに考えているのかということについてお聞きします。
○政府参考人(尾嵜新平君) 先ほども御質問にお答え申し上げましたが、御指摘のように、年間ベースで申し上げますと、これまでの実績から考えますと、三十カ月齢以上の全頭ということになりますと、私どもの推計では百万頭ぐらいではないかと。ただ、今年度は十月の下旬ということで考えれば、若干、それよりも半分ぐらいかなという推定はしているわけでございますが、御指摘のとおり、検査体制に当たりましては、一つは人的な関係、一つはシステムの問題、一つは設備の問題、そういった事柄で十分対応できるようなことを考えていかなければいけないというふうに考えているわけでございます。
 そういうことで、先ほどもお答え申し上げましたが、来週にも都道府県の担当課長会議を開きまして、そういった対応をするためにまずシステムをつくっていただきたいというふうに考えておりまして、検討をお願いしようと思っております。
 同時に、十月に入りまして早い時期に、こういった導入いたしますスクリーニング検査の技術を習得していただくということで、そういった研修を実施したいということで、できるだけ多くの方、県が希望なさる体制をつくる上で必要な人員の研修というものを受け入れて実施を行いたいというふうに考えております。そういった検査のための機材につきましても設備整備を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
 いずれにしましても、そういったスタートをする時点で人員、設備等、十分体制を整えた上で全国一斉にスタートをしなければならないというふうに考えておりますので、今後とも農林水産省の方の御協力も得ながら、最大限の支援を都道府県等にしながら体制を整えたいというふうに考えておるところでございます。
○紙智子君 と畜検査員が獣医さんの資格を持たれているんですよね。九七年のときには二千四百六十七人だったわけですけれども、だんだん減ってきていまして、今、二千三百七十三人ですから、九十四人この間減っていると。しかも、食品衛生監視員も併任している方もいるということでは、専任で見ますと千三百四十一人なんですね。
 ですから、保健所の職員なんかも動員するとかということも言われているわけですけれども、今、緊急の体制として取り組むということもあるんですが、いつまでも保健所の職員を動員するというわけにもいかないというふうに思うんです。ほかの業務も影響も出てくるということでは、やはりこのと畜検査員の増員というのは私は不可欠だというふうに思いますので、ぜひその点も考えて対策を打っていただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。
○政府参考人(尾嵜新平君) と畜検査員の数については御指摘のとおりでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、今回十月からスタートするというふうに考えた場合に、緊急の対応からまずスタートせざるを得ないというふうに考えているわけでございまして、御指摘の保健所の職員あるいは私ども地方衛生研究所なりも検査の能力があるわけでございますから、そういったところの職員、今のそういった現に資源としていらっしゃる方たちを十分活用しながら、県の中でそういった検査体制に必要な人員というものの御検討をいただきたいというふうに考えておるところでございます。
 こういったものが、それ以降も続けて体制を整えていくということが必要でございますので、そういったときには都道府県の状況をよく聞きながら適切な判断をしてまいりたいというふうに考えております。
○紙智子君 それじゃ、最後になりますけれども、やはり生産者への補償問題と、それからやっぱり関係自治体への支援の問題です。
 それで、風評被害の問題も出されていますが、佐呂間で、さっき大臣の話もありましたけれども、佐呂間ブランドについてはストップするというような話が出ていたり、あるいは先日は、千葉の白井市では、今まで契約していた業者の方から、もう牛乳はうちは引き受けないよということで言われるとかいうような事態も実際に出ている。
 これから後の風評の問題も心配されています。関係自治体の負担の問題もあります。その意味では本当に万全を期す必要があるというふうに思っていまして、去年は口蹄疫が発生したときに、北海道の本別町ですね、ここの担当者の方からもお話聞いたんですけれども、本当に大変な御苦労をされているというふうに改めて私も思いました。
 病気の中身は違いますけれども、消毒体制の問題なんかも含めて、朝本当に早くから夜遅くまでたくさんの人たちを確保してやりくりしなきゃいけないということでは、全体では四千人ぐらいの方を動かしたそうなんですけれども、そういった人的な体制の問題とか、それからお金も相当かかったそうなんですけれども、この担当の方はもう本当に点滴を打ちながら事に当たったという話もされていましたけれども、そういった意味では、やっぱり国がもっとそういう点では主体となってこうしたことについても財政面、人的な面で責任を持って対応してほしいんだという声も出されておりました。
 生産者が安心して営農を継続するためにも、そしてこの感染が拡大して生産者への損害が出た場合の補償問題とか、自治体への支援ということではぜひ万全を期していただきたいということを言いたいと思います。
○国務大臣(武部勤君) 紙委員は御承知で言っていると思うんですけれども、口蹄疫は空気伝染もするんですね。牛がくしゃみしただけでうつるんです。牛舎へ入っていった人の長靴にそのウイルスがつけば、その長靴を履いたまま自分の牛舎へ行ったらまたうつるんです。だからあれは全部、六百頭余りだったと思いますが埋設したんです。それはもう悲惨なことですね。私も知っていますから、その悲惨さというものはそんな言葉に尽くせるものじゃありません。
 そしてあのときも、そういう徹底した対策を立てているにもかかわらず、どんどん人の口から口へ、もう完全に村八分みたいになるわけですから、本当にもう精神状態もおかしくなる。そして、その町全体が蔓延しているかのようで、伝染病にみんな侵されているかのような話が次から次と伝わっていくんです。あのときも、マスコミ報道の報道ぶりに地元の人たちは本当にもう泣かんばかりに、悔しさで怒っておりました。
 今度のこのBSEの感染がどういう経路で行われるかというのは、もう御承知のとおり、BSE感染牛を材料にして肉骨粉をつくった、その肉骨粉をえさとして口から入った場合にうつるということがはっきりしているわけですね。ですから、今四千人とかなんとかとおっしゃいましたけれども、佐呂間町ではそんな状態になっていますか。生産者は、この事実関係だとか技術的なことだとか専門的なことを知っている人たちは、みんな冷静になってくださいということを皆さん方言っているんですよ。ですから、私は、そのことを我々は一番気を使わなくちゃいけないと思うんです。
 先日も記者会見で、十日に対策本部を置いて、きょう十八日ですと、それで私は、五千八百人の獣医師さんたちが全国四万五千頭の牛なども今追跡調査しているんですと、そういう話をして、それを一遍に、北海道は全部、北海道はもう行き先だけで報告ですから、今度は農林水産省はその報告を受けて全部裏をとっていかなきゃならないんですよ、各県通じて。ですから、一週間、十日で何もかも全容を解明するということは、それはなかなかできませんと。農林水産省の職員も不眠不休ですよ。厚生省だってそうでしょう。それから各県も、北海道だとか千葉県だとか大変な状態なんです。
 ですから、むしろ私どもお願いしたいのは、そして私は失言、失言と言われているんですからね、そういうことを言うと。全体のことを言わないで、まだ十八日じゃないですかと言ったところだけばっとテレビで大きくとらえて、そして失言と、こういう表現なんです。
 一番私ども心配しているのは、正確な情報を我々自身も迅速に発表させていただきますし、そして対策についてもきょう相当お示しさせていただいたと思います。EU並みに、もう三十カ月以上の牛については全頭数検査するという体制もとります。さまざまな支援策をとらないと、お金もかかります。しかし、それもやっていきますし、これからどんなことが出てくるかわかりません。それに対しても徹底したことをやっていかなきゃならぬという、そういう決意で今臨んでいるわけでございまして、責任追及は結構でございます、甘んじて受けますが、今の紙さんの御発言を、佐呂間に行ってきたと、四千人がみんなあのときは総動員したと、本別ですね。それと同じようなふうにとられると、本当にそれは大変なことなんだなと、こういうふうになりまして、かえって佐呂間の皆さん方もそういうことについてもう少し冷静な対応をお願いしたいと。もう佐呂間の皆さん方はそうですよ、町長さんは獣医なんですから、だから我々も怒られるんですよ。
 そういうふうなことをちょっと、私も地元ですから、地元ですから地元の立場でちょっと紙さんの今の御発言について感想を述べさせていただきましたけれども、これはお願いですから、事実を事実としてとらえてください。もう徹底してやるんですから、しかもなお絶対ということはないと思って我々はやるんですから、何が起こるかはわからないと、予期しないことが起こるんだと。
 同時に、そういうことで我々やりますので、問題は、こういうようなことが二度と起こらないようにすること、原因を解明すること、そして風評被害などで苦しんでいる人たちに安心してもらうように、生産体制に入れる、消費者の皆さん方にも大丈夫なんだなと、そういうふうなことをどうやって我々伝えていくかということで苦労しているわけでございまして、そのことを御理解いただきたいと思います。