日本共産党参議院議員 紙智子
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2005年9月19日
介護保険シンポジウム
日本共産党十勝地区委員会主催
とかちプラザ(帯広市)
〔紙智子参院議員〕(発言大要)
 法律は通ってもこれから現実の問題になる。実際現場で苦労されている現場のみなさんの問題意識を、このあと政治に反映させて改善していきたい。
 5年経って利用者は増えた。しかし保険料、利用料が高く、低所得者の利用量が減ってきている。深刻な施設不足で待機者も増えている。介護労働者の労働条件も大変な問題です。北海道は一人暮らしの世帯が69万世帯、全体の30.9%と他の都府県よりも多い。北海道は雪も降るし寒いし、遠距離でサービス提供しなければいけないという困難さがある。こういう問題の解決が必要なのに、「法改正」では、ますます利用者の負担が高まる方向になった。
 一つは、要支援、要介護1の軽い方を対象に、筋力トレーニングなどを導入する。国会審議を通じて厚労省は、家事援助が軽度の状態を悪化させているという理由をもちだしたが、実際に過剰介護があるのか、介護をすればするほど悪化させたのかが議論の焦点になった。この中で、厚労省の根拠ははっきりしないことが明らかになった。厚生労働省自身が138万人におこなった調査結果では、軽度の人で水準の維持、改善が8割にのぼった。
 予防することは大切だが、筋力トレーニングが即、予防につながるかどうかは証明されていない。一律に議論はできない。パネリストのご発言にも合ったように、その日とその人で状態も気力も違う、どこのケアが必要かも違う。こうした議論のなかで、厚労大臣も「家事援助を一律カットするわけではない」と答弁せざるを得なかった。しかし、現場では適正化ということで計画作りの段階で一律、制限することが起きている。それはなぜかというと、現場でケアマネージャーが必要だといっても、保険者が切ってしまうからで、厚労省が介護給付費を1%削ろうとしていることが問題です。
 二つ目に、施設の居住費、食費の全額自己(利用者)負担の実施です。村上さんからわかりやすく話が合ったとおりですが、平均で1人当たり入所者約40万円の負担になる。相部屋で8万7千円、個室で13万4000円になり、もらっている年金額を超えてしまう。軽減措置がない場合は、ほとんど自己負担になる。
 三つ目は、健康診断など福祉事業として国が国庫負担をしてやってきたものを、地域支援事業として介護保険事業に切り替える。
 そのほかに保険料の徴収の開始年齢を40歳から20歳まで引き下げる問題。今回延期になったが、参議院厚労委員会の付帯決議では、2006年度末には検討して結果を出したいとしている。なぜか。持続可能な制度が必要というが、介護保険の財源抑制で国民に負担してもらおうということです。
今回法律は通ったが、現場の実態で変えさせていくことが大事だと思います。
 第1に、軽度者の必要なサービスを削らせないことです。私も6月に具体的な事例を示して質問したが、尾辻大臣は「個々のケースはなんともいえない」といっていたが、度々の追及に「現場の判断が大事だ」「必要なサービスは削らない」ということは答弁した。しかし、厚労省の文書は「サービスの内容は、単に生活機能を低下させるような家事代行型については原則おこなわないものとし」「例外的におこなう場合でも、必要性について厳格に見直した上、期限や提供方法等を限定する」、原則というのは基本的に削ることになっている。一律にやってしまったら孤独死にいたるケースもでるということで、私も含めて党の議員はくりかえし質問し、尾辻大臣の答弁にみられるように厚生労働省としての正式な答弁を引き出せた。この答弁を、現場の実態に移して、機械的な適用は許さない、削らせない、と闘っていかないといけない。
 施設利用の実効ある軽減措置を講ずる問題でいいますと、施設入所者の負担増に対する新たな緩和措置ですが、生活保護、市町村民税非課税の世帯には上限枠が設定されていた。年金80万円以下には、負担軽減措置を適用。社会福祉法人への減免措置については、減額割合の利用者負担額の4分の1。特別養護老人ホームを運営するすべての社会福祉法人で減額措置を実施できるように国の支援が必要。実際に施設の持ち出しが多くなれば、人件費を削る、食事は弁当に切りかえるなど、結局負担が利用者にいかざるを得ない。こうした党の指摘に対する国会での政府答弁は、「社会福祉法人の大きな負担にならないように道とか市町村が重層的に支えなくてはいけない」ということなので、行政にたいして要求していかないといけない。地域支援事業ということについても公的支援を国に担わせることが大切です。
 介護労働者の労働条件の改善では、いま平均賃金が64500円、10万円以下が7割というのが中央社会保障推進協議会の調べです。ヘルパーでは、移動時間や報告書を書く時間も賃金が支払われていなかったので、厚労省は、利用者を病院に連れて行ったときの待ち時間などは働いている時間として賃金を支払うように通達を出した。しかし、改善されていない。なぜかというと、介護報酬がいまの水準では無理だというのが現場の実態になっている。労働者の生活の安定なしにいい介護はできないのでこの改善も必要です。

以上

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