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酪農・畜産問題に関する申し入れ

2015年12月8日

農林水産大臣 森山 裕殿

日本共産党国会議員団


酪農・畜産問題に関する申し入れ

 TPP交渉大筋合意の発表は、「離農が波を打って押し寄せる」など、酪農・畜産の生産現場に大きな衝撃を与えている。今でさえ乳用牛の飼養戸数はこの五年間で3,300戸減少し、肉用牛でも1万5,200戸減少するなど、酪農・畜産の生産基盤は崩壊直前ともいえる深刻な状況にある。
 こうした酪農・畜産の現状は、生産者の必死の努力にもかかわらず、日豪EPAにともなう輸入乳製品・畜産物との競合や円安による輸入飼料価格の高騰、光熱費、燃料代の増加等による生産コストの上昇が、酪農・畜産経営を厳しい状況に追い込んでいるからに他ならない。加えてTPP交渉の大筋合意による広範囲にわたる関税削減・撤廃は、先行きの不安を一層強め、離農に拍車をかけざるを得ない。
 TPP協定の全文も明らかにされず、参加各国の署名や批准の見通しも不透明である。にもかかわらず、政府は早々に「TPP関連政策大綱」を発表し、重要五品目に対し経営安定対策の充実等の措置を講ずるとしている。しかしその内容の一部は、生産者が長年にわたって要求してきた最低限の内容に過ぎない。
 日本の酪農・畜産が直面する困難な現状を打開するためには、TPPからの撤退が不可欠である。わが党は、輸入飼料に依存し大規模化に偏重した現在の酪農・畜産政策を、日本の大地に根差した循環型の畜産経営へ転換するため、以下申し入れる。

  1. 交渉内容や交渉経過の国会への報告も国民へ十分な情報提供も行われないまま、米、乳製品の輸入枠拡大、牛肉・豚肉の関税大幅引き下げ、撤廃等について合意したTPP大筋合意が、国会決議に違反することは明白である。政府は直ちにTPP協定書作成作業から撤退すること。
  2. 加工原料乳生産者補給金を大幅に引き上げるとともに、需要増大の見込める生クリームまで対象を拡大すること。生産費を保障する仕組みを構築すること。
  3. 肉用子牛生産者補給金制度や牛・豚肉の経営安定対策は、生産者の負担金を軽減するとともに、単価や補填水準を引き上げる等、再生産が可能になるよう改善・充実すること。また、牛・豚肉の経営安定対策を恒久対策として法制化すること。
  4. 飼料生産型酪農経営支援事業の交付金単価の引き上げや基準面積などの事業参加要件の緩和等、輸入飼料に依存しない自給飼料型の酪農経営にたいする支援を拡充すること。また、飼料作物の増産を支援するため、水田・畑・採草地への直接支払を拡充すること。
  5. 飼料価格の高騰による畜産経営の破たんを防ぐため、配合飼料価格安定基金からの補填を安定的なものにするために万全な財源を確保すること。
  6. 畜産クラスター関連事業について、規模拡大要件をはずすこと。後継者や新規就農者を支援する観点から、家族経営への支援、採択要件の弾力化、上限単価の引き上げなど、実情に応じた多様な運用が可能となるよう改善を図ること。
  7. 酪農経営安定化支援ヘルパー事業については、必要な予算額を確保するとともに、要員の確保、人材育成の取組への支援等を拡充すること。

以上

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