日本共産党参議院議員 紙智子
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北海道/『「食と農」を考えるシンポジウム』 紙智子報告要旨

05年3月12日

 参議院の農林水産委員会に所属して4年目になります。改めて食と農は、国民みんなが考えなければいれない課題だと思っています。
 自給率40%の日本は、食料超輸入大国です。農産物輸入額では346億ドル。アメリカに次ぐ二位。輸出入差し引きでは、世界第一位、二位のイギリス倍以上です。輸入先の一位はアメリカ、二位は中国、三位はEUです。穀物の自給率は日本は28%、173国・地域の中で日本は124番目、OECD加盟国30カ国の中で27番目です。
 日本の畜産物自給率では、牛肉で39%、鶏肉は67%、輸入先は、牛肉でアメリカから輸入ストップ前の数字で51・9%、鶏肉はタイから41・8% 、トウモロコシはアメリカから89・4%、大豆もアメリカから74%です。
 農民連の食品分析センターの分析で、中国産の冷凍ほうれん草から残留農薬が検出され、アメリカ産ブロッコリーからも検出されています。輸入食品の九割以上は検査されないで入ってきています。輸入食品の検査は、輸入届け168万件(2001年)の6・8%、その内日本国内での検査は2・8%。しかも検査結果がでる前に流通していますから、結果がでたときには国民のお腹の中に入っているという状況です。検査結果がでるまで水際で止めておくという命令検査は、2000年で2・4程度。さらに、295人の監視員で168万件の輸入と3416万トンの検査をしている現状です。アメリカの7000人体制と比べ、いかにも危うい体制です。
 フードマイレージと言う考え方があります。輸入農産物が環境に与えている負荷を数値化したもので、農産物の輸入量(トン)に輸送距離(km)をかけて計算します。日本は五千八百トンの輸入農産物(2001年)で、九千億トン・キロメートルです。韓国とアメリカの三倍以上、イギリス、ドイツの五倍、フランスの九倍です。世界の石油消費量の八分の一を商品の輸送に使っており、それだけ廃棄物や汚染をつくりだしている。地産地消、国産で消費するということの大事な側面があるます。
 政府の農政構造改革について、白石さんから現状がリアルに話されました。
どうしてこういう状況になのか、国産の農作物の自給率を高めてほしいと日本人の八〜九割が願っています。自給率を45%に引き上げると閣議決定しても、未達成になると「消費者の食べ方が変わった」「生産者がやっていないからだ」と責任を転化し、原因を真剣に分析、議論することなく、自給率引き上げの課題を棚上げ、先送りにするという状況です。
 財界の要求で自給率を金額ベースで表すことさえ言い始めました。金額ベースでは70%台の自給率となるわけで、国民の目を誤魔化すものと一斉に批判があがりました。結論二本立てですが、「基本はカロリーベースです」とあえていわなければいけない状況です。 各党派の自給率引き上げの目標も、45%〜50%とそろい、その気になって本気になれば、達成できるはずです。
 自給率の向上を達成するためには、食料主権という問題も大事です。各国とも連帯しながら日本の自給率は異常な低さだと主張して、日本が自分たちの考え方で確立できるようにしていく必要がある。
 ヨーロッパ、アメリカでおこなわれている価格、所得保障を日本でも確立し、再生産以下に下がった分を補填するようにしていくことです。価格支持をやってはいけないとなっているWTO協定を、改正することはもちろんですが、今の枠の中でもできることはある。農業予算約三兆円の三割しか価格、所得保障に使っていない日本の現状を、ヨーロッパ並の六・七割に切り換えることです。そうすることで条件不利地への所得保障もできます。
 食の安全で焦眉のアメリカ産の牛肉の輸入再開で、アメリカのブッシュ大統領は「いつ再開するんだ。早く期日を決めろ」と迫ってきました。ライス国務長官も来日します。
 いま、国会の議論が世論と相まって変わってきている。
 衆議院で農水大臣が「全頭検査は世界の非常識」だと発言し、批判が上がりました。「どういう経過を踏まえて、全頭検査をやるようになったのか」という批判に、大臣の発言もが変わりつつあります。
 私も、参院予算委員会で外務大臣と農水大臣と官房長官と3人に対して、「政府の方針は、科学的知見に基づいて安全委員会で議論と結論を踏まえてやらなければならないのに、それがでていないうちから急げ急げとは、圧力ではないか」と追及しました。
 外務大臣は「圧力をかけるつもりはない」などといいわけに回りました。
 圧力をかけることが、あたり前のような中で、国民みなさんの世論と運動で押し返しているわけです。
 こうしたやりとりを通じて、農業の問題にとどまらず国の姿、政治の姿が浮き彫りにされている今の状況だと思います。アメリカの都合で決めたことを曲げてしまうのではなくて、当たり前の姿に変えていくのは消費者、国民みなさんの力、カギを握っていると思います。
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