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筑波研究学園都市の公務員宿舎への入居と整備に関する要望書
財務大臣 野田 佳彦 殿
2010年9月30日
日本共産党参議院議員
紙  智子
                      衆議院議員 塩川てつや
                    茨城県議会議員 山中たい子
                    つくば市議会議員 橋本 佳子
                        同     田中サトエ

(1) いま、地球的気候変動や経済危機など深刻化する世界と日本の情勢のなかで、国際的連携・協力が求められるとともに、日本の国際競争力の強化が叫ばれています。科学・技術は、その遂行のカギと位置付けられ、政府の「新成長戦略」では、若者が希望をもてる「研究環境とキャリアパスの整備」と、世界中から優れた研究者を惹きつける「魅力的な環境の構築」が謳われています。
しかし、近年、筑波研究学園都市では、正規職員が削減される一方、公務員宿舎への入居を強く希望しながら入居できない非正規職員が激増しています。さらに、研究学園都市の概成から30年以上たち、建物の老朽化がすすみ、住環境が悪化しています。こうした研究学園都市の現状は、情勢が求める研究開発の環境整備に逆行する事態であり、一刻も早い改善が求められています。

(2) 現在、非正規研究者・職員数が拡大し、正規職員に匹敵する人数を抱える研究機関も生まれています。その人たちは、研究機関の研究の中枢的役割を担っているにもかかわらず、公務員宿舎への入居条件が厳しく制限されているために大多数が入居できないでいます。08年に入居が認められたポスドク研究者も、今中期計画期間のみという制限がかけられ、来年3月には宿舎をでなければなりません。また、長年公務員宿舎に入居してきた正規職員であっても、定年後に再雇用された直後には宿舎を出なければなりません。こうした実態は、正規職員が大半を占めていた時代の入居基準が現状に合わなくなっていることを示しており、早急な改善が求められます。
また、つくばの宿舎は、短期間に集中的に建設されたため一気に老朽化がすすみ、急速に住環境が悪化しています。とくに、宿舎が法人の所管となった筑波大学や高エネルギー加速器研究機構では予算が不足し、必要な修繕もできず、入居者が別の棟の浴場を利用せざるを得ない例も生まれています。こうした老朽化対策にたいしても、つくばの特殊事情を考慮に入れた特別の財政措置が求められています。
さらに、この間の「国有財産の有効活用」を理由にした公務員宿舎の廃止・売却計画の規模は全戸数の半減にまで達し、それは中心地区の公務員団地の空洞化と荒廃を生み出し、職住近接の研究環境を奪いつつあります。「有効活用」と言いながら、研究学園都市の本来の目的を失うことは、まさに本末転倒だと言わなければなりません。筑波研究学園都市は、地元の人々の協力をはじめとする、多大な労力とお金を投じて建設された国民の財産であり、その条件は一度失われてしまえば二度と取り戻すことはできません。いまこそ、空き家の原因となっている入居条件や老朽化対策の改善に正面からとりくみ、研究学園都市の再生をめざすべきです。

(3) 筑波研究学園都市は、国策として建設され、その基盤整備については、国の責任が法的にも明確に定められています。多くが非公務員型の独法研究機関になった今でもその基本は変わりません。さらに、現在、世界的な研究開発拠点の整備や新たな研究開発力の強化が俎上にのぼり、世界からの優秀な人材の確保が大きな課題とされ、研究学園都市の生活環境の整備はいっそう重要な国家的事業となっています。
 つくばの宿舎問題は、公務員宿舎一般の枠組みで考えるべきではなく、「国際的人材争奪競争」が現実になるなかで、日本の科学技術政策全体の位置づけから対応すべき問題だと考えます。ここは大局的な立場に立ち、これまでの様々な条件や制約にとらわれることなく改善を図ることが大事だと考えます。

 以上のことを踏まえて、次の点を要望いたします。


1、ポスドクの公務員宿舎への入居継続と新たな入居募集をはかること。
  • 今中期計画終了後も08年に入居したポスドクの入居継続を認めること。
  • ポスドクの住居への需要の大きさに鑑みて、来春の新規採用に際して、ポスドクの新たな入居募集をおこなうこと。
2、合同宿舎の今後の修繕・老朽化対策に十分な予算措置をおこなうとともに、筑波大学と高エネルギー加速器研究機構所管の宿舎についても、老朽化対策・修繕をおこなうための十分な予算措置をおこなうこと。

3、研究学園都市の整備・再生の観点から、公務員宿舎の廃止計画を中止し積極活用をはかること。
  • 公務員宿舎の廃止・売却計画を中止し、宿舎の整備と積極的活用による「国有財産の有効活用」に方向転換すること。
  • 入居対象の枠をポスドク以外の契約職員にも新たに広げ、筑波研究学園都市の公務員宿舎の整備を積極的計画的にすすめること。
以上
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