<第211回国会 農林水産委員会 2023年5月18日>

質問日:2023年5月18日 農林水産委員会

漁場資源 魅力生かす 紙氏「地場産の活用進めよ」 改正整備法成立

 漁港漁場整備法改正案が19日の参院本会議で可決、成立しました。日本共産党は賛成しました。改正案は、漁港施設や漁港区域内の水域等を活用し、地域の水産物の消費拡大や交流の促進を図るものです。
 漁村では、豊かな自然や地域資源の価値と魅力を生かした海業(うみぎょう)を推進し、働く場や所得を増やす取り組みが進められています。
 日本共産党の紙智子議員は18日の参院農林水産委員会で、海業を進めるために、漁港施設を活用した飲食店が想定されているが、地元で取れた水産物の活用が進むのかと質問。
 神谷崇水産庁長官は「地場産の水産物を提供することが原則だ」と答えました。
 紙氏は、漁港施設を活用して事業を展開したい企業が、漁港の漁業上の利用を妨げる行為を行った場合の対策を質問。野村哲郎農水相は「漁業に支障が出れば本末転倒だ。市町村が調整するが、改善されなければ勧告し、それでも改善されなければ(参入企業の)計画を取り消す」と答弁しました。
 紙氏は、漁港で陸上養殖施設の設置を認める理由を質問。安東隆水産庁次長は、「水産資源が減少するなかで、(同施設で)安定的な生産と出荷が可能になる。漁業者等による共同利用施設を考えている」と述べ、一つの企業経営ではなく共同施設になると答えました。(しんぶん赤旗 2023年5月27日)

ゲノム編集フグ不安 紙氏 ふるさと納税返礼採用に 参院農水委

 京都府宮津市が陸上養殖施設で育てたゲノム編集トラフグ(22世紀ふぐ)をふるさと納税の返礼品に採用した問題で、日本共産党の紙智子参院議員は18日の参院農林水産委員会で、食の安全・安心への不安が広がっているとして、疑わしきは流通させない対応を求めました。
 紙氏は安全性への不安があるのに返礼品として妥当かと質問。総務省の鈴木清審議官は「宮津市が返礼品の基準内だと判断した」と述べ、安全性への見解は示しませんでした。
 ゲノムトラフグは、食欲を抑える遺伝子を破壊し短期間で成長させる技術。紙氏はエサを大量に食べ内臓疾患を抱えた魚を食べても大丈夫かと質問。厚生労働省の鳥井陽一審議官は、遺伝子組み換え食品等調査会で問題がないと確認されたので「安全性の審査は必要ない」と答えました。
 紙氏は、陸上養殖施設から液体やトラフグの精子が排出されているが、生物多様性に影響しないかと質問。森健消費・安全局長は「精子は、海水に暴露された時点で受精の能力を失うことから、生物多様性への影響は想定し難い」と答えました。
 紙氏は、モニタリング検査は行われず、厚労、農水両省の調査会審議は非公開で、ゲノム編集水産物の返礼品が広がれば不安もさらに広がりかねないと指摘。野村哲郎農水相は「コメントする立場にない」と述べました。(しんぶん赤旗2023年5月31日)

◇法案について/ふるさと納税の返礼品になっているゲノム編集トラフグについて

○漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 法案について質問をします。
 地域のお宝を発見して、ブランド化したり商品化する取組が各地で行われていると。先ほどもイワシやホヤの話がありましたけれども、北海道の苫小牧では、地域の資源であるホッキガイを使った漁協のお店が大変人気です。
 法律を改正するに当たって、漁港における海業の推進によって、水産業の発展及び漁業地域の活性化を図ると説明をされています。今回、この漁港施設等活用事業制度が創設されるわけです。漁港施設、漁港区域内の水域、公共空地を活用して、水産物の消費増進や交流促進を進めるというものです。
 消費を増やすために、レストランなど飲食店が想定されるんですけれども、地元で捕れた水産物の活用割合、どんなふうに進めるんでしょうか。

○政府参考人(水産庁長官 神谷崇君) お答えいたします。
 漁港施設等活用事業は、当該漁港に係る水産業の発展及び水産物の安定供給に寄与する事業と定義されておりますので、基本的には地場産の水産物を提供していただくということが原則でございますが、一方で、消費者などを呼び込むために、品ぞろえなど戦略的な工夫も必要でございますので、一律に地元で捕れた水産物の販売割合を要件化することなどは考えておりませんが、地域の水産物の販売促進といった基本的な考えの下で制度が適切に運用されるよう、水産庁といたしましてはこうした事業の趣旨をしっかりと周知してまいりたいと考えております。

○紙智子君 漁業法の改正のときにも、沿岸地域への企業参入の在り方が議論になりました。
 それで、改正案は、漁港施設等活用促進事業制度、これを新たに創設するものなんですけれども、この事業に参入した企業が、例えば、漁港の漁業上の利用を妨げる行為やトラブルを発生させた場合にどのように対応するのか、端的に御説明願います。大臣、大臣、お願いします。

○国務大臣(農林水産大臣 野村哲郎君) お答え申し上げたいと思います。
 漁業施設等の活用事業は、漁港の事業、漁業上の利用の確保に配慮しつつ、当該漁業に係る水産業の健全な発展及び水産物の供給の安定に寄与することをこれは目的としているわけでございますから、このために、本事業が原因で漁業に支障が出るようなことになれば、これは本末転倒でありますので、事業実施の前提に反しますので、漁業管理者、これは地方公共団体、県なり市町村は、事業主体と事業内容について、これは調整をすることになります。
 さらに、調整がうまくいかなかった場合には、漁業管理者は事業者に対して、改善のための必要な措置をとるべきことを勧告することができるようになっておりますので、この勧告をいたします。必要な措置がとられなかった場合は、これは計画の認定を取り消すこともこれは可能でありますので、これはもう取消しをするということで大なたを振るっていただきたいと思っておるところでございます。

○紙智子君 今、四十三条、四十五条のところをおっしゃられたと思います。
 それで、漁港施設等の活用事業を行う者に対して権利とか地位が付与されます。行政財産であるこの港湾施設の貸付けは最大三十年だと。で、漁港水面施設の運営権は最大十年で更新が可能で、水面などのこの長期占用は最大三十年ということになっています。
 それで、漁港水面施設の運営権ということについてお聞きするんですが、運営権とは何なのか、そして、設定に当たって漁業そして水産業関係者とこれ調整されるんでしょうか。

○政府参考人(水産庁次長 安東隆君) お答え申し上げます。
 漁港施設、あっ、漁港水面施設運営権は、漁港における遊漁、漁業体験活動など水面を利用する事業を実施する場合において、漁港の水面に必要な施設を設置して運営することができる権利でございます。この権利は物権とみなされ、期間は先ほど委員から御指摘のあったとおりでございまして、事業者がこれによって長期安定的な事業運営が可能となるものでございます。
 この漁港水面施設運営権の設定を受けて事業を行う場合には、権利の設定の前提となる活用推進計画の策定の段階で漁港管理者が漁業者や水産関係者などの漁港利用者からの意見聴取を行い、水域を管轄する都道府県知事が海区漁業調整委員会からの意見聴取を経て同意するということが要件になってございますので、漁業者や水産関係者との調整を十分に図った上でこの権利を設定する仕組みとなってございます。

○紙智子君 漁港施設に活気が出てくるというのは、これはいいことだと思うんですね。しかし、その漁港の周辺に元々ある商店街とか市場にお客さんが来なくなってしまうとか、漁港に人が集まっても漁村全体の活性化につながらないというふうに思うんです。
 漁港周辺の商店街との調整というのを、これちょっと質問しようと思っていたんだけど、後ろの関係で要望にとどめておきたいと思うんですが、是非その調整をしっかり図っていただきたいということであります。
 次なんですけど、漁港施設の見直しについてお聞きします。
 漁港施設に陸上養殖施設を追加した理由について説明いただきたいのと、民間企業だけが参入するということもあるのかどうか、これをお答え願います。

○政府参考人(水産庁次長 安東隆君) お答え申し上げます。
 近年、水産資源の減少などを背景に増養殖の需要が高まっている中で、陸地での養殖は気象、海象条件に影響されず安定的な生産、出荷が可能であるといった理由から、陸上養殖のニーズが高まっております。また、漁港は、陸上養殖に必要な取水・排水設備が整備され、冷凍冷蔵施設や加工場が集積し、鮮度保持に必要な保存や加工を近接地で迅速に行うことができるため、陸上養殖に適した環境が整っていると考えております。
 このため、今回、陸上養殖施設を漁港施設に位置付けることにより、行政財産である漁港施設用地への設置や他の漁港施設との一体的な管理を可能とし、漁港において安定的な養殖水産物の生産供給体制を構築することとしてございます。なお、今回、陸上養殖施設を漁港施設として追加する陸上養殖施設については漁業者等による共同利用施設を想定してございます。

○紙智子君 共同施設を想定しているということですよね。はい、分かりました。この点も非常に大事だというふうに思っています。
 それから次に、ちょっとゲノムフグの問題を質問したいと思います。
 それで、漁港が軸になって水産業と地域が発展することは歓迎なんだけれども、企業が地域に不安と混乱を与えているケースもあるんですね。天橋立で有名な京都の宮津市なんですけれども、陸上養殖施設で育てたゲノム編集トラフグを宮津市の特産物としてふるさと納税の返礼品に採用したんです。
 それで、ちょっと総務省来ていただいています、総務省に伺います。
 名称は二十二世紀トラフグなんですけど、これ一つ、宮津市の特産物なのかということと、それから返礼品に採用された経過と、それから安全性への不安があるのにこれ返礼品にすることが妥当なのかということについて御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(総務省大臣官房審議官 鈴木清君) お答えをいたします。
 ふるさと納税につきましては、令和元年度に対象となる地方団体を国が指定する制度を導入し、返礼品を三割以下かつ地場産品とすることなどの基準を定めたところでございます。
 お尋ねの二十二世紀フグにつきましては、令和三年十二月より宮津市がふるさと納税の返礼品として提供している旨、承知をしております。宮津市におかれましては、これらの基準の範囲内において返礼品として選定することを判断されたものと認識しております。

○紙智子君 特産品ではなく地場産という話は聞いたんですけど、そういうことですよね。
 それから、安全性ということは問うてないわけですか。

○政府参考人(総務省大臣官房審議官 鈴木清君) お答えをいたします。
 ふるさと納税の返礼品の基準といたしましては、三割以下かつ地場産品とすることなどを定めております。
 以上でございます。

○紙智子君 安全性は余り問うていないということだと思うんですね。
 それで、ちょっと次に厚生労働省にお聞きするんですけど、二十二世紀トラフグは、どういう技術を使って、どういう性質のトラフグをつくったのか、御説明ください。

○政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官 鳥井陽一君) お答えいたします。
 御指摘のゲノム編集食品である高成長トラフグにつきましては、ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領というものに基づきまして、令和三年十月二十九日に事業者から厚生労働省に届出が行われております。
 その内容によりますと、このトラフグは、ゲノム編集のツールとしてCRISPR―Cas9というものを使用し、食欲抑制因子であるレプチンと結合するレプチン受容体の遺伝子に変異を生じさせることで食欲が抑制されず、摂食が促進されることによって成長率や飼料利用効率を改善したものと承知をしております。

○紙智子君 それで、資料をお配りしたのでちょっと見ていただきたいんですけど、これ厚生労働省と農林水産省のゲノム編集トラフグの届出受理に至る経緯です。
 厚生労働省の遺伝子組換え食品調査会は、公開というふうに書いてありますよね。これ一回目から五回目までは個別案件じゃなくて一般的な議論をしているので公開なんですけれども、令和三年十月二十九日は個別案件としてトラフグを議論しているんですけど、個別案件になるとこれ非公開なんです。ですから、どういう議論があったのかというのは分からない、まあ秘密会でやられていると。それから、農林水産省の検討会は非公開と。
 そこで話をちょっと戻すんですけれども、食欲を抑える遺伝子を破壊すると、フグであっても、食欲が進んで胃腸の許容範囲を超えて餌を食べ過ぎていくと。太らせていくということなんだけど、そういうやり方すると内臓に負担が掛かって病気を抱えたフグになるかもしれないというふうに、人間であっても、油脂や塩分の取り過ぎをやると、これ病気になるわけです。食べ過ぎて内臓疾患を抱えた魚を食べても、人間の健康には影響はないのでしょうか。

○政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官 鳥井陽一君) お答えを申し上げます。
 御指摘の高成長トラフグにつきましては、薬事・食品衛生審議会の遺伝子組換え食品等調査会におきまして、外来遺伝子はその一部の残存がないこと、新たなアレルゲンの産生や既知の毒性物質の増加が生じていないことが確認をされてございまして、取扱要領に基づく届出の対象であって安全性審査の必要はないものと判断をされております。これはすなわち、自然界で起こり得る程度の遺伝子変化を伴う食品でございまして、安全性もそれらと同程度のものと整理をされているというところでございます。また、たんぱく質や脂質等の一般組成につきましては、従来系統と比較したところ、両者の間に差異は認められなかったものと承知をしてございます。

○紙智子君 安全性に問題はないということを結論だけ言われても、その経過で実際にそういう安全性の審査がどう行われているのかとかということが全然分からないわけですよ。どんな議論をされているのかというのもよく分からないというか、見せてほしいって言っても出てこないというのもあって、釈然としないということがあるわけですよね。
 それで、陸上養殖施設についてお聞きするんですけれども、施設でどういう薬剤が使われているのか、これも説明がないんです。しかし、水産庁に確認したところ、養殖で使った液体は施設外に排出されていると。フグの精子の排出も認めているんだということを聞きました。これって生物多様性に問題はないのでしょうか。

○政府参考人(農林水産省消費・安全局長 森健君) お答えいたします。
 ゲノム編集技術を使いまして作られました農林水産物につきましては、農林水産省として、生物多様性の確保の観点から、外来遺伝子等が含まれていないこと、意図しない変化が生じていないこと、個体等が陸上養殖施設の外に逸出しない措置を講じること等により、生物多様性への影響は想定されないことなどについて専門家に意見を伺い、確認をしているところでございます。
 今回の御指摘のゲノム編集トラフグの養殖施設につきましては、施設外への個体の逸出を防ぐための網の設置でございますとか、施設外への卵の逸出を防ぐための二重のトラップの設置等によりまして、施設外への個体や卵の逸出を防止する措置が講じられているところでございます。また、ソフト面でも、設備の点検でございますとか、問題があったときの対応手順などについて定めた管理マニュアルが整備されているというふうに承知をしております。
 さらに、御指摘のこのトラフグの精子につきましては、施設外に逸出したとしても、海水に暴露された時点で急速に受精能を失うと、受精の能力を失うということから、生物多様性への影響は想定し難いというふうに考察されておるところでございます。

○紙智子君 海水に出ていってしまった後は力がなくなるから危険はないっていう話なんだけど、それって実際にモニタリングされたのかどうかって聞くと、モニタリングされているわけでもないわけですよね。やっぱり、ゲノムっていうこの技術そのものが、まだそんなに古い歴史が重なっている技術でもなく、新しい技術だと思うんですよ。
 それで、私、資料の中にありますけれども、注一ってあって、何でこの公開になっていないかというと、開発企業の知的財産権等が開示され特定の者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがあるためっていうふうになっているわけなんですよ。確かに、その知的財産権というか、これは大事ではあるんだと思うんだけど、その観点からだけでなくて、やっぱり食の安全、安心とか、多くの人たちが心配していることに沿って、そういう観点もちゃんと見なきゃいけないし、慎重に扱う必要があるんだというふうに思うんです。それで、施設を調べたり視察させてほしいというふうに現場の人たちが要請しても、これ認められないということなんですよね。それで、食や環境への不安が実際に出ているのに、ゲノム水産物が既成事実化されかねないんじゃないかと。
 宮津市の市民団体の宮津麦のね宙ふねっとワークってあるんですけど、ここが返礼品の採用はちょっとやめてほしいということで一万を超える署名を集めて議会に出していて、議会でもこれ議論になっているんですよね。
 陸上養殖施設で育てたこのゲノム編集水産物が、例えば、全国各地でそういうことがされるようになっていって、地域の特産物として流通をすると、で、ふるさと納税の返礼品に採用されるということになったら一体どうなるのかなというふうにも思ってしまうんですけれども、これ食の安全、安心への不安が広がる状況というのをそのままにしていいのかなって思うんですけど、これについて、大臣、最後にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 野村哲郎君) 今、紙委員からお話がございました、ゲノム編集技術で得られた農林水産物をふるさと納税の対象品目としていいのかというお話だったと思うんですが、ただ、これに、農林水産物につきましては、厚生労働省は食品安全の観点から、それから我が農林水産省は、先ほど答弁申し上げましたが、生物多様性の確保等の観点から、科学的知見に基づき問題がないことの確認はできておりまして、そして流通をしていると、こういうふうに理解をいたしております。
 このような確認を経たゲノム編集トラフグを地元企業の産品としてふるさと納税の返礼品で取り扱うか否かについては、我が省としてはなかなかコメントする立場にはないということは御理解をいただきたいと思いますが、参考までに、この市議会の方では、当該トラフグのふるさと納税の返礼品からの取下げに関わる請願書について現在協議中だということは伺っておるところでございまして、これはまたこの市議会の方でお決めいただくお話になってくるんだろうというふうに思います。

○紙智子君 時間になりましたけれども、かつてBSEが初発生したときに、やっぱり疑わしきは流通させずということで、全頭検査やって危険な部位なところは取り除いて、危ないものは全然流通しませんということをはっきり確保してやったということを考えると、やっぱりちょっと慎重に対応する必要があるということを申し上げまして、質問を終わります。
(略)

○委員長(山下雄平君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

○委員長(山下雄平君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、徳永君から発言を求められておりますので、これを許します。徳永エリ君。

○徳永エリ君 私は、ただいま可決されました漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会及び日本共産党の各派並びに各派に属しない議員須藤元気さん及び寺田静さんの共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。

    漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  我が国の水産業は、国民への水産物の安定供給を担い、漁村において雇用を生み出す等地域の産業として重要な役割を果たしているが、主要魚種の不漁、漁業者の減少、気候変動による海洋環境の変化等厳しい状況に直面している。これらに対応するため、科学的知見に基づく資源管理を適切に実施し、新規就業者等の担い手の就業・定着促進を進めるとともに、漁業の根拠地である漁港について、その有する価値や魅力を活かした海業の取組を、漁業利用との調和を図りつつ推進し、豊かで住みよい漁村の振興を図るべきである。
  よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。

 一 漁港施設等活用事業の推進に当たっては、漁港の漁業上の利用を阻害するおそれがないことを十分に確認した上で実施計画の認定が行われるよう必要に応じて助言又は勧告を行うこと。
 二 漁港施設等活用事業の推進に当たっては、漁港管理者、認定計画実施者、漁業者、漁業協同組合など幅広い関係者の間で利害調整が円滑に行われるよう環境整備に努めること。
 三 認定計画実施者が経営破綻して活用事業施設の撤去等の原状回復が不能となった場合等には、原状回復を円滑に進めるために必要な措置を講じること。
 四 海業は、商業、観光業、環境保護等とも密接な関係にあることから、関係省庁との連携を強化し、施策の展開を図ること。

   右決議する。

 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

○委員長(山下雄平君) ただいま徳永君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

○委員長(山下雄平君) 全会一致と認めます。よって、徳永君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。