<第211回国会 決算委員会 2023年5月10日>

質問日:2023年5月10日 決算委員会

新幹線延伸で道民負担 紙氏、国の責任で在来線守れ 参院決算委

 日本共産党の紙智子議員は10日の参院決算委員会で、北海道新幹線工事と在来線の切り捨て問題を取り上げ、株主である国の責任で道民の足を確保するよう求めました。
 紙氏は、JR北海道が公表した新幹線延伸工事費の6445億円増加による道民負担について質問。国土交通省の平嶋隆司鉄道局次長は「財源を示したのは2992億円で、(道民負担は)332億円。残り3523億円は今後検討する」と答弁しました。
 紙氏は、工期ありきで工事費用が膨らんだ北陸新幹線の二の舞いにならないかと追及。鈴木俊一財務相は「過去の反省を踏まえ対応するよう国交省に求める」と答えました。
 紙氏は、根室線の富良野―新得間が豪雨災害で不通のまま廃止されようとしており、地元、新得町の「根室本線の災害復旧と存続を求める会」が国に要請しても、「富良野鉄道未来の会」「石北沿線ふるさとネットワーク」が北海道知事に要請しても、いずれも聞く耳を持たなかったと指摘。平嶋鉄道局次長は「根室本線対策協議会で議論を重ねた」と答えるにとどまりました。
 紙氏は、2011年の石勝線脱線・炎上事故後、政府が主導した「JR北海道再生推進会議」が「線区の廃止」を含む「選択と集中」を求め、18年の国交省の「監督命令」はバス転換等を迫っていると指摘し、鉄路を守るため国が責任を果たすよう求めました。(しんぶん赤旗 2023年5月21日)

◇北海道新幹線と財政制度審議会の指摘について/費用対効果について

○令和三年度決算外二件 財務省、経済産業省、金融庁、株式会社日本政策金融公庫及び株式会社国際協力銀行の決算について

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 北海道新幹線についてお聞きをいたします。
 二〇二二年の四月の財政制度等審議会の歳出部会は、北海道新幹線の新函館北斗から札幌間の事業費や工期について指摘しました。事業費がどの程度膨らむと見込んだのか、また国土交通省にどのような対応を求めたのかについて御説明を願います。

○政府参考人(財務省主計局次長 前田努君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のございました財政制度等審議会におきましては、現在事業を実施中の北海道新幹線新函館北斗―札幌間につきまして、まず費用増加の可能性ですが、北陸新幹線金沢―敦賀間よりも工期が長く、物価上昇の影響が懸念されるなど事業費の増加の可能性があること、具体的には、これあくまで機械的な試算ではございますが、事業費の増加率を金沢―敦賀間と同程度と仮定した場合〇・七兆円程度、工事単価が九州新幹線武雄温泉―長崎間並みになると仮定した場合は〇・三兆円程度増加する可能性があること、それから、工期の柔軟化につきまして、金沢―敦賀間の経験も踏まえ、工期や事業費の見通しについて速やかに現状を踏まえた分析を行うとともに、必要に応じ今後の工期の柔軟化の検討をも行うべきこと、これらの点について御説明を行ったところでございます。

○紙智子君 それでは、国土交通省にお聞きします。
 財政審議会の今の指摘を踏まえて事業費の増加分の方針を出しました。追加費の増加分が六千四百四十五億円だと、そのうち二千九百二十二億円のこの分の財源は決めたんだけれども、残りの三千五百二十三億円というのは未定です。
 二千九百二十二億円のうち、これ地元負担は幾らになるのか、負担増をこれ札幌市や関係市町村は受け入れたんでしょうか。

○政府参考人(国土交通省鉄道局次長 平嶋隆司君) 北海道新幹線新函館北斗―札幌間につきましては、平成二十四年の着工以降に発生しました予見できない自然条件、また着工後の関係法令の改正、関係者との協議、資材価格等の高騰などの諸課題に早い段階で対応するため、昨年、有識者会議を九月に立ち上げまして議論していただきました。
 この有識者会議におきまして、一定の仮定を置いた上でのものとなりますけれども、事業費が六千四百四十五億円増加するとの試算を含めた取りまとめがなされたところでございます。このうち二千九百二十二億円につきましては、既に契約済みの工事に関するものとなっており、令和五年度予算決定過程におきまして、国、地方の負担も含めた財源措置を確定しているところでございます。
 六千四百四十五億円から二千九百二十二億円を引きました残りの額につきましては、試算が一定の仮定を置いたものであること等も踏まえて、今後の工事の状況を見ながら判断していくという必要があることから、具体的な財源措置につきましては一定の期間経過後に増加の程度が明らかになった段階で検討することが適当であるというふうに考えております。
 国土交通省としましては、引き続き関係地方自治体の皆様方と協力しながら北海道新幹線の着実な整備に努めてまいりたいと考えております。

○紙智子君 幾ら出されているんですか、金額的には、地元負担が。それから、納得して受け入れたかどうかということを聞いたんですけれども。

○政府参考人(国土交通省鉄道局次長 平嶋隆司君) 先ほど申し上げました予算の編成過程におきまして財源を確定しております二千九百二十二億円の分でございますけれども、こちらにつきましては、地方の部分としまして三百三十二億円となっておるところでございます。そちらについても、こちらの取りまとめ、また予算編成過程の話というのを御地元の方にお話ししておるところでございます。

○紙智子君 地元の方にお話をしたということなんですけれども、国土交通省は十二月末に提示したときに異論はなかったというように言うんですけれども、しかし、札幌市はこの増加分の詳細は説明されていないというふうに言っているんですね。
 二千九百二十二億円の財源の提示というのがありましたが、残りの三千五百二十三億円の財源というのはまだ決まっていないわけです。もしかすると地方負担分が更に増える可能性もあるということですよね。
 財務大臣にお聞きするんですけれども、増加分の詳細は札幌市にも説明されていないと。北陸新幹線の金沢―敦賀間は、工期ありきの無理な工程、事業費の管理に陥りやすいという指摘がありました。この北陸新幹線の二の舞になるんじゃないかという心配があるんですけれども、いかがですか。

○国務大臣(財務大臣 鈴木俊一君) 新幹線の整備の、新函館北斗―札幌間についてのことにつきましては今国土交通省からも御説明があったとおりであります。国土交通省の下でこれから整備が進んでいくものと、こういうふうに思っております。
 そして、先例として御指摘がありましたその北陸新幹線金沢―敦賀間につきましては、平成三十年に約二千三百億円、令和二年に約二千七百億円と、二度にわたりまして大幅な工事費の増加が生じたものであります。この工事費の増加要因といたしましては、工期を短縮するために生じたものも一定程度含まれていたところでありまして、令和三年夏に取りまとめられました国土交通省の検証委員会の報告書では、工期ありきの無理な工程や事業費管理に陥りやすく、工期や事業費を適切に見直していくべき旨、指摘がされたと承知をいたしております。
 そして、北海道新幹線新函館北斗―札幌間については、昨年末に六千四百四十五億円の工事費の増加が明らかになったと、そのように承知をいたしております。
 財務省といたしましては、北陸新幹線の工事費の増という過去の反省も踏まえまして、新函館北斗―札幌間についても、必要に応じて柔軟な工期設定も検討しつつ、無用な工事費増加につながることがないよう、引き続きまして国土交通省に強く求めていきたいと思っております。

○紙智子君 事業費で六千四百四十五億円の算出根拠という説明もないんですよね。あるのは道民負担があるということなんです。
 それで、国土交通省は、北海道新幹線の費用対効果が〇・九であると公表しました。税金を投入する公共事業というのは、投資に妥当性があるかどうかを判断する目安が費用対効果なんだろうと思うんですね。その目安が一を下回ると事業の見直しが必要になるということなんです。
 今回、事業全体が〇・九になっても、残事業と、まだ全部終わっていないということで残事業が一以上だったら事業は継続するんだということなんですね。しかし、残事業費が、例えばですね、どんどん膨らんでいって、あと四千三百二十三億円増えるということになるだけでも、これ費用対効果というのは一以下になるんじゃないかと思うんですけれども、国土交通省、いかがですか。

○政府参考人(国土交通省鉄道局次長 平嶋隆司君) 本年三月、前回再評価を行いました平成二十九年度から五年間が経過したこと、また昨年末に有識者会議、先ほども申し上げました有識者会議におきまして取りまとめられました北海道新幹線の新函館北斗―札幌間の整備に関する報告書、こちらに基づく事業費の見直しと、こういったことございました。これを踏まえまして、昨年度末に、三月末に再評価を行ったところでございます。
 再評価につきましては、費用便益分析、いわゆるBバイCのような定量的なものに加えまして、貨幣換算が困難な効果等も含めて総合的に評価を行うこととなっております。そのうち、事業継続による投資効率性を評価します残事業BバイCにおきましては、再評価時点までに発生した既投資分のコスト、それから既発現便益、それまでにもう発生しておるコストと便益というのは両方とも考慮せずに、事業継続した場合に今後追加的に必要となる費用と、それから追加的に発生する便益を対象して算出することとされているところでございます。
 先ほどの有識者会議の報告書におきましては、現時点で合理的と考えられる一定の仮定を置いて見通せる範囲での事業費の影響を精査しているところでございます。非常に事業期間長いところでございますので、現時点での見通しをしているところでございますが、平成三年、本年の三月末に公表いたしました再評価におきましては、その事業費の増加分も加味して計算を行っているところでございます。そちらの残事業BバイCについては一・三となっているところでございます。
 また、今御質問いただきました、仮に更にというところにつきましては、仮定の数字の話になってまいりますので、ちょっとお答えはちょっと控えたいと思います。

○紙智子君 費用対効果を示した資料を見ますと、再評価の視点というところには、土木工事についてはトンネル区間の約四二%が完成というふうに書かれているんですね。しかし、困難なトンネル工事というのは半分も終わっていないんですよ。
 トンネル工事で、この間、ヒ素などの猛毒の重金属が搬出されたことで、発生土の受入れ地の確保、ここが難航して、簡単に受け入れられないということなんだけど、難航して、それからさらに巨大な岩が発見されてトンネル掘削工事が一時中止になって、現時点で三年から四年程度工期が遅れるというふうに言っているわけですけど。
 この重金属の置場と言われる札幌市の手稲区でも、厚別区でも、それから小樽市でも、八雲町でも、住民説明が不十分なんです。それも問題なんだけども、費用対効果の説明も不十分なんですね。
 財務省にまたお聞きするんですけども、大臣お聞きするんですけども、費用対効果が目安である一を下回っているのに、説明がないんです。そして、予算の使い方としてそういう形でやって、国民の納得が果たして得られるとお思いでしょうか。

○国務大臣(財務大臣 鈴木俊一君) 新函館北斗―札幌間につきましては、令和五年三月に事業費の見直しと、それに伴います事業の再評価が国土交通省において実施されたと承知をしております。
 その結果、費用便益分析、BバイCについては、事業全体のBバイCは〇・九、そして、評価時点での残事業費に対する便益を算出し、事業継続による投資効果性を評価する残事業BバイCは一・三で評価されたと、そのように承知をしております。
 国交省において、残事業BバイCが一を上回る場合には事業継続されているということ、それから、事業評価についてBバイCでは評価できない効果も含めて、第三者により総合的に評価をするものとする、これ先ほど国交省からも答弁があったところであります。
 再評価の中では、沿岸地域の活性化による交流人口拡大など、BバイCに換算されない事業効果も認められており、こうしたことも踏まえて、国交省において事業の継続を判断したものと承知をしております。
 したがいまして、国交省による事業継続の判断につきましては、それ自体、公共事業共通の事業実施手続に基づいて進められたものでありまして、問題があるものとは考えておりませんけれども、先ほど申し上げたとおり、必要に応じた柔軟な工期の設定など、今後無用な工事費の増加を招くことがないように、国交省に対して適切な事業実施を強く求めてまいりたいと考えております。

○紙智子君 状況に応じて、柔軟な対応を含めて、拙速にやらないようにということを求めていくということなんですけど、やっぱりちゃんと、住民なり、説明されないまんまどんどんと進んでいくということに対して、違和感、非常に強い違和感を感じるわけです。
 それで、またちょっと国土交通省にお聞きするんですけれども、新たな問題が発生しました。札幌延伸へのニセコ町の羊蹄トンネルの区間、工区で、熊谷組がコンクリートの品質管理の試験を虚偽報告していたという問題が出ています。なぜこれ虚偽報告をしたのか、どれぐらいのそれは工事をやっている距離も含めてなっているのか、経過を含めてちょっと説明していただきたいと思います。

○政府参考人(国土交通省鉄道局次長 平嶋隆司君) 北海道新幹線新函館北斗―札幌間の羊蹄トンネル有島工区の工事におきまして、コンクリートの品質を確保するための試験、これが所定の頻度等で行われていないにもかかわらず、実施されたように装うという虚偽の報告が行われているということを鉄道・運輸機構の方が確認したところでございます。
 熊谷組等のJVから鉄道・運輸機構への報告によれば、虚偽の報告が行われた原因につきましては、手配が、人の手配が付かず、担当者が試験に来られないことがあったことが起因となったというふうにされているところでございまして、具体的には、コンクリートに含まれる水の量を測定する単位水量試験、そういう試験がございます。それから、コンクリートが固まる前のコンクリートのその混ぜた状態の固さを測定するスランプ試験という試験がございます。この二つの試験につきまして不正が行われていたということでございます。
 虚偽の報告が行われました原因ですとか、それから対象となる構造物の距離等を含めまして、虚偽の報告の内容につきましては、現在、鉄道・運輸機構において精査しているところでございます。

○紙智子君 やっぱり安全対策を非常に軽んじているということだと思うんですよね。やっぱり、工期を急ぐということもあったかもしれませんし、今ちょっと報告がありましたけど、人手が足りなくて調査ができていなかったとかいうことも含めてあるわけで、こういうことが出てくると、ほかは大丈夫なのかと、当然ですけどそういう心配が出てくるわけです。
 それで、過去に遡ってこれも調査すべきだと思うし、安全対策の問題があっても費用対効果が〇・九でも、公共事業は一旦進めたら止まらないと、こういうことってやっぱりおかしくないかというように思うんですよ。
 少なくとも、これ、毎年度費用対効果をちゃんと公表もして、事業の進捗状況を明らかにするように、財務省として是非国土交通省に求めるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(財務省主計局次長 前田努君) お答え申し上げます。
 今先生御指摘のございました北海道新幹線の費用対効果につきましては、国土交通省において実施要領に基づいて評価を行っておられると承知をしてございます。
 この実施要領でございますが、評価の時点、タイミングにつきましては、新規事業採択以降は、ただいま国交省の方からも答弁ありましたけれども、評価から五年を経過した時点又は大幅な工事費増加も含め、社会経済情勢の急激な変化や技術革新等により再評価の必要が生じた時点において再度評価するものとされてございます。
 財務省といたしましては、新函館北斗―札幌間の整備につきまして、大臣からも御答弁ございましたとおり、今後無用な費用増加を招くようなことがないよう、国土交通省において適切な事業実施がなされること、これが重要だと考えておりまして、今申し上げました実施要領を踏まえて、工事費の大幅な増加など再評価の必要が生じた際には五年を待たずに適時適切に評価を行うよう、財務省としても国土交通省に求めてまいりたいというふうに考えてございます。

○紙智子君 今五年を待たずという話ありましたけれども、やっぱり既にこの一を下回っているわけですから、私は、五年を待たずと言うんじゃなくて、毎年公表するように求めたいと思います。
 加えて言えば、国土交通省は、費用対効果の公表と同じ日に新函館北斗―札幌間の工事変更計画を認可しているんですね。これも実は説明がなくやられているということで、これ密室で決めているんじゃないかと言われても仕方がないというように思うんですね。
 それからもう一つ、国土交通省にお聞きするんですけれども、北海道新幹線は二〇二一年度は過去最大の百四十八億円の赤字を出しました。赤字が膨らんでも、道民負担が増えようが、何があろうともこれを進めてきていると。在来線の切捨ても、これ、住民を置き去りでやってきているというように思うんです。根室線の富良野から新得間、これ、二〇一六年の台風というか大雨で大災害になったんですけど、その自然災害によって運休が続いたまま廃線にしようとしているわけですね。
 私、二月に富良野と新得町など行ってお話を聞いたんですけど、富良野の鉄道未来の会というのがあって、ここでは、国が観光立国とか移住促進ということを掲げるのであれば鉄道はつながっているべきだというふうに言うんです。そして、新得町の根室線の災害復旧と存続を求める会というのもあるんですけれども、ここでも、広域周遊観光ルートというのを何とかつくって道内にお客さんを呼べるようにしようというようなことを考えているわけなんですけど、そういうことの創設とともに、あと、十勝の方ですから農業大国だと、輸送ルートを残さないと何らかの事故があったときには農産物を運べないと、こういう声も出されました。
 新得町のこの存続を求める会というのは、二〇一八年に国土交通省に五千三十四人の署名を提出して、今年三月は、この存続を求める会と富良野鉄道未来の会、それに加えて石北沿線ふるさとネットワークと、この三つの団体が北海道知事に存続を求める署名を提出しています。こういう声が上がっているのに、なぜ住民や市民団体の要望や提案を聞かないのかということを改めて問いたいと思うんですけれども、国土交通省。

○政府参考人(国土交通省鉄道局次長 平嶋隆司君) 国土交通省におきましては、JR北海道に対して、輸送需要の大幅な減少を受けて路線を廃止せざるを得ないような場合、こういった場合も事情の変更を沿線自治体に対して十分に御説明していくように指導してきているところでございます。
 これを受けまして、例えば根室線の富良野―新得間につきましては、平成二十九年からJR北海道と自治体さんとの間で根室本線対策協議会を、事務レベルの会議を含めまして、約六年にわたって二十回以上開催して議論を重ねてきているところでございます。また、令和五年三月の同協議会の役員会におきまして、関係自治体の首長さんとの間で路線の廃止と代替交通の確保について合意に至っているというところでございます。
 この間におきまして、関係自治体さんにおかれましては、住民説明会などにより地域住民の声を把握され、また、議会における議論を踏まえられた上で協議に臨まれたものであるというふうに承知しているところでございます。

○紙智子君 まあ住民の声を聞いてと言うんですけど、聞いていないから怒っているということがあって、例えばこれ、鉄路がなくなるというのは一地域だけの問題じゃないんですよね。道民が、だけど、その協議会の内容を知ることはできないということですし、日高線の鵡川から様似間も自然災害による路線の破損を放置したまま、これ復旧しないで廃線に追い込んだわけです。
 災害復旧制度というのはJR北海道がお金を出すことを前提にした制度ですから、国鉄分割・民営化以来、この経営安定資金も失敗したと。JR北海道に資金的な余裕がないことを知りながら廃線に追い込んだという国の責任は大きいと思うんです。それで、しかも、維持することが困難だという口実で在来線の廃止に追い込んだ責任も、国の責任としては大きいと思うんですよね。
 始まりを振り返ると、二〇一一年の石勝線の脱線炎上事故がありました。二〇一三年は函館の貨物列車の脱線事故がありましたが、政府が主導してつくったJR北海道再生推進会議、これが二〇一五年の六月に提言を出したことがきっかけです。この提言を受けて、二〇一六年十一月にJR北海道が、当社単独では維持することが困難な線区についてというのを発表したんです。
 二〇一八年の七月に国土交通省は監督命令を出して、他の輸送機関とも適切に役割を分担するということを求めて、これ事実上のバス転換を進める、求める中身です。ところが、沿線自治体と協議するといっても、参加するのは首長さんだけで、協議内容は公表されていません。
 JR北海道は、株式会社といっても株主は鉄道建設・運輸施設整備支援機構ですから、事実上、これ国有企業なんですよね。今からでも遅くないと思うんです。この間の協議内容を公表するように指導するように求めたいと思いますが、一言でお願いします。

○政府参考人(国土交通省鉄道局次長 平嶋隆司君) 国土交通省といたしましては、ローカル鉄道の在り方に関する協議につきましては、まさに地域住民の方々にとっての生活の足に関わる問題であるということから、住民の方の声を丁寧に把握しつつ、あるべき交通体系に関する議論が行われるべきであるというふうに考えております。こうした観点から、先ほど申し上げましたように、協議会や住民説明会が丁寧に行われているものと認識しているところでございます。
 また、今お話がございました協議の過程についてでございますけれども、こちらの方は、個別に判断される面があるかとは思いますけれども、適切な形で地域住民の方に対して情報公開が行われることが望ましいと認識しております。
 こうした認識に立ちつつ、今後の協議におきまして、JR北海道、それから関係自治体さんに対しまして国として必要な助言を行っていきたいと考えております。

○紙智子君 時間になりましたけど、今からでもやっぱり国の責任果たすことできると思っていまして、我が党としては、提案しているのは、やっぱり路線や駅などの鉄道インフラを保有、管理して、運行はJRが行う上下分離方式と。こういう中身でどうかということについては、懇談した多くの皆さんが、それやってもらったら本当に助かるというふうにおっしゃっているわけで、やっぱり国がそういう形でやっぱり路線を残して、存続させてやっていくという方向で是非力を尽くしていただきたいということを改めて申し上げまして、私の質問といたします。
 ありがとうございました。