<第197回国会 2018年12月7日 農林水産委員会>


◇漁業法等一部改正案に対する反対討論

○漁業法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)

○紙智子君 日本共産党を代表して、漁業法等一部改正案に反対する討論を行います。
 その前に一言。委員長は、解任決議が否決されたことをいいことに、この委員会を前提抜きに強行してしまいました。そのことに強く抗議をしたいと思います。
 七十年ぶりの改正でありながら、質疑時間は八時間四十五分だけです。本会議登壇物でありながら、現場の調査も行われませんでした。農協法並みの質疑を求める野党の要求も受け入れず、漁業、漁村の形を変える重要な改正案を一方的に強行することに強く抗議するものです。
 第一の反対は、現場を置き去りにしているからです。
 参考人からは、戦後、漁業法ができたときは浜に喜びが沸き起こったのに、改正案について多くの漁業者は知らない、分からないと言われました。水産庁が行った説明会に参加したのは、沿岸地区漁協九百五十五中七十七漁協だけです。拙速な質疑、採択は行うべきでありません。
 第二に反対する理由は、浜に対立と混乱を持ち込むからです。
 目的から、漁業者及び漁業従事者を主体、この言葉も、漁業民主化も削除し、漁業権の優先順位も漁業調整委員会の公選制も廃止すれば、漁業による利益を地域に広く行き渡らせる漁業法の骨格を骨抜きにするものです。ましてや、漁業権の優先順位を廃止し、適切、有効を基準にすれば、規制緩和論者がその基準の緩和、廃止を求めてくるのは明らかです。
 第三に、強権的な仕組みが導入されているからです。
 国と都道府県の責務を定めたことに加え、漁場計画に農林水産大臣の助言と指示を新たに明文化しました。我が国生産力を発展を図るための助言、指示ですから、国の政策に従うことを求めています。政府が漁業の成長産業化を掲げ、企業による養殖産業の新規参入を掲げているもので、漁場が企業本位に変質されることになります。
 第四に、大型船のトン数規制を撤廃するからです。
 乱獲を防ぐために取られてきた漁船のトン数規制をなくし大型化を進めれば、沖合漁業と接する沿岸漁業の資源が減少する懸念は払拭されません。
 第五に、資源管理のために導入する漁獲割当て制度、IQに沿岸漁業者の同意を得ることが明記されていないからです。
 今年、沿岸漁業者の意見も聞かずに導入した太平洋クロマグロへの漁獲規制の反省がありません。
 第六に、自主自立が基本である協同組合の原則を踏みにじるものだったからです。
 農協法の改正と同様、漁協に所得の増大を求め、経営の高度化を促進するために定期的な点検を求めれば、小規模な経営が否定されかねません。
 安倍政権は、世界で一番企業が活躍しやすい国にするとして、岩盤規制の打破を掲げて、農業、林業に続き、漁業の規制緩和を迫りました。TPPなど歯止めなき自由化に合わせて、日本の農林漁業を犠牲にすべきではありません。
 以上、反対討論とします。

_____(略)_____

○委員長(堂故茂君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 漁業法等の一部を改正する等の法律案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

○委員長(堂故茂君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。