<第196回国会 2018年6月14日 農林水産委員会>


◇政府がTPP11で牛乳・乳製品に対し、悪影響回避の見込みとする影響試算の根拠を示すよう求める/影響試算の整合性も全く納得できるような説明がされておらず、TPP11の発行手続きをやめるよう要求

○農林水産に関する調査(農林水産分野の貿易等に関する件)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。

   〔委員長退席、理事舞立昇治君着席〕

 先日、TPP11が話題になった本会議で私は、TPP12の五千ページに及ぶ協定案を盛り込んだこのTPP11の質疑について、衆議院では外務委員会で僅か六時間だと、そしてTPP整備法案も十七時間と、こういう短時間で質疑が打ち切られている、丁寧に審議すべきじゃないかというふうに安倍総理に言いましたら、答弁は、TPPについては既に合計百三十時間行った、説明会も行っているという答弁だったんですよ。二年前に百三十時間を質疑したからTPP11は短時間でも問題ないというとんでもない答弁だと。一体、こういうことで丁寧な説明なんて言えるんでしょうか。
 二年前に、衆議院で与党はTPP協定案などを、私たちはまだまだもっと、審議尽くされていないし、大体かみ合わないというか、聞いたことに答えないで、そらした答弁がずっと続いていて、まだまだ不十分だと言っているのに、数の力で採決を強行したわけですよ。
 私たちは、アメリカでこのTPPから離脱するということを公言したトランプ氏が新しい大統領に当選することが決まったから、是非この新しい政権の方針を見極めるべきじゃないかというふうに言ってきたわけですけれども、これに対しても全然もう聞く耳も持たずに採決をしたわけです。
 今回も、国会審議よりもこのTPP11の発効をこれもう最優先でやっているんじゃないんですか。これ、まず政府参考人から。

○政府参考人(光吉一君) お答え申し上げます。
 当然でございますけれども、国会の運営自身につきましては国会でお決めなさることでございますので、私の方からコメントができる話ではございません。
 事実関係申し上げますと、先生今お話ございましたけれども、TPPにつきましては、TPP12の大筋合意以降、合計百三十三時間の国会御審議をしていただきました。そしてまた、政府、業界団体、そして都道府県が主催をいたします三百回以上の及ぶ説明会、こういったものを通じまして、農業関係者、中小企業者の方を含めて丁寧に私どもなりに御説明をしてきております。
 そうした中で、今回のTPP11協定でございますけれども、一部の凍結項目を除きまして、今申し上げたTPP12のハイスタンダードな内容が維持をされているということ、今回の整備法の改正内容も実質的に施行期日のみを改正するものという内容になっております。それで、十本の法律に関わる改正事項に変更はないということでございます。
 いずれにしましても、政府としては、これまでも分かりやすく情報発信、説明会の開催など丁寧に説明する努力をしてきたところでございますけれども、一層の国民の皆様方の御理解を得られるように引き続き積極的な情報提供と丁寧な御説明に努めていきたいというふうに思っております。

○紙智子君 そう言っても、国民は納得していませんって、現場の生産者含めて。丁寧に丁寧にって言うけれども、納得していないじゃないですか。齋藤大臣は閣僚の中の一人ですよ。こういうやり方でもう前のめりになって進めていくということに対してどうなんですか。意見をおっしゃっていますか。

○国務大臣(齋藤健君) 審議時間が不十分ではないかということでありますけれども、私の立場とすれば、その与えられた審議時間の中で真摯に対応していくしかできないわけでありますが、国会の外におきましては、私自身ももう何度説明会に出向いたか分かりませんが、農林省も今、数字は手元にありませんけれども、キャラバン組んで説明に行ったり、そういう努力もさせていただいているわけであります。
 それでもなお努力が足りないではないかという点については、もうこれは引き続きやっていくしかないわけでありますが、国会の運営そのものにつきましては、ちょっと私の方からコメントをするのは差し控えさせていただきたいなというふうに思います。

○紙智子君 本当に知らない人が多いです、11がどんなものになっているのかって。分からないですよ。
 それで、TPP12の質疑もこれ国会決議守ったかどうかというのが大きな争点になっていたわけですけれども、TPP11もこれ国会決議守ったかどうかというのは判断基準になるんでしょうか。

○政府参考人(光吉一君) 国会決議自身につきましては、前から申し上げておりますように、最終的には国会で御判断いただくことだというふうに思っております。ただ、我々としては、交渉内容を含めて国会決議の内容に沿った形で取り組んできたものというふうに思っております。

○紙智子君 決議が守られたかどうかというのはすごく大事な問題だったわけですよ。政府の問題なんですよ、これは。
 国会決議を上げたのは、決議を上げたのは農水委員会ですよ。衆参の農水委員会で決議上げたんですよ。これは、ほかのどこの委員会でもない農水委員会が、やっぱり一番影響を受けるからということで決議上げたわけですよ。それで、それなのに、農水委員会で審議する前に、今回、TPP11については協定案が昨日参議院の本会議で承認、議決されたわけですよ。国会において判断していただくと言われたんだけれども、承認案を議決した後に判断してほしいというのはおかしくないですか。
 これ、日豪のEPA協定案を審議したときには、協定案が採決される前に農水委員会と外交防衛委員会で連合審査したわけですよ。それから、請願がいろいろ寄せられたときには、あのときは外交にそのまま行ってしまうと農水にかからないということで、当時、山田俊男先生もわざわざ付け替えて農水に持ってきて、請願についても審議するということまでやったわけですよ。
 そういうことから考えたら、本当に農水委員会が余りにも軽視されているんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

○国務大臣(齋藤健君) ちょっと今の件につきましても、大変恐縮なんですけど、国会の段取りの話だと思いますので、政府の方からそれについていいとか悪いとか言うのは差し控えさせていただきたいなと思います。

○紙智子君 農業に責任を持とうという農水大臣として、やっぱり閣僚の一人なんですから、やっぱり物を言っていただきたいわけですよ。それ全然言わないで、言う立場にないというようなことはもう本当にもう幻滅ですよね、国民の皆さんは。
 そこで、アメリカが抜けたTPP11が日本の農業にとってメリットになるのかを聞きたいと思います。
 本会議において、総理に私はこう聞きました。TPPで譲歩したバターと脱脂粉乳の低関税輸入枠は残されたままだ、七万トンの枠をニュージーランド、オーストラリア、カナダが対日輸出を迫ってくることになる、そうなったらアメリカの畜産業界はこれは不満を募らせて、日本と二国間の交渉でもっとやれということで圧力を強めるのは必至だ、日本政府にはその場合対抗できるだけの手だてあるんですかというふうに聞いたわけです。
 総理の答弁は、協定の第六条では、米国を含めたTPPが発効する見込みがなくなった場合等には、締約国の要請に基づいて協定の見直しを行うと規定していると、米国からの輸入量も念頭に、TPP12協定で合意された個別の関税割当て等について、我が国として第六条に規定する将来の見直しの対象と考えている、各国に明確に伝え、十分理解を得ていると考えていますという答弁だったんですね。
 この六条の規定で見直す、理解を得ているというふうに言われましたけれども、その合意文書というのは、TPP対策室、あるんですか。

○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
 この点につきましても、これまで本委員会始め様々な場で御質問、御指摘をいただいております。我が国といたしましては、各国に対し、今お話ございましたけれども、第六条を発動する必要が生じた場合、TPP全ての締約国を対象にした関税割当て数量及びセーフガード措置の発動数量を見直すということを何度も明確に説明をし、そのような修正を行うことについて理解が得られているというふうに認識しております。
 合意文書という形ではなくて、この問題につきましては、昨年三月のチリでの首席交渉官会合以降、首席交渉官あるいは私どもの統括官から、会合のたびに、あるいは関係国の首席交渉官が来日するたびに説明し、各国の理解を徐々に得てきたところでございます。
 こうした累次の会合での説明を経まして、十一月のダナンでの閣僚会合の直前、舞浜での首席交渉官会合までの間に主要国から事務レベルでの理解を取り付け、最終的にダナンでの閣僚会合におきましては、それまで事務レベルで理解を得ていることを前提に、確認の意味で茂木大臣から先ほど申し上げた趣旨を説明し、出席閣僚から一切反対がなかったところでございます。
 TPP11の交渉を通じまして、参加各国との間では、様々な利害調整も日本が主導して行う中で、強固な信頼関係を構築することができたところでございます。この信頼に基づいた理解であるというふうに考えております。

   〔理事舞立昇治君退席、委員長着席〕

○紙智子君 だからね、合意文書があるんですかと聞いたわけですよ。今の話じゃ全く分からないですよ。
 茂木大臣は、昨年十一月十四日の記者会見で、TPP全ての締約国を対象とした牛肉、酪農製品を含む関税割当て数量などが含まれているとの考えを閣僚全体の中で私からも明確に申し上げてしっかり担保していると、自信を持っていると語ったわけですよ。ここまで明確に言っているんですからね。担保されていると言うんだったら、それが分かる文書を出してくださいよ。

○政府参考人(光吉一君) TPPワイド枠などに関する懸念につきましては、その文書という形では、先ほど申し上げましたけれども、ございませんけれども、第六条が規定されていることだけではなくて、見直しの必要が生じた場合に修正を行うことについて各国の理解が得られていることも説明してきたところでございます。この第六条を踏まえまして、今後、その理解を基に対応していくと、そういう整理でございます。

○紙智子君 全然そんな納得できない。
 担保しているんだ、自信があるんだと言っているんだから、担保していることが分かるものを出すべきじゃないですか。保秘義務はないんですよ。出すべきじゃないですか。

○政府参考人(光吉一君) 議事録とかそういう形ではもちろん整理しておりません。先ほど、繰り返しになりますけれども、第六条が協定の条文で、そこの規定でございます。それを踏まえまして、先ほど来申し上げていますように、各国との理解、この中で決まっていると、そういうことでございます。

○紙智子君 そんな駄目ですよ。議事録もないなんて、あり得ないですよ。議事録出してくださいよ。その中身について、この11でもってどうなるのかということをちゃんと分かるように議事録出してくださいよ。

○政府参考人(光吉一君) そのTPPワイド枠の件は、今申し上げたように、合意文書には掲載されていないものの、将来必要となった場合には反対しないという形で、各国の理解を信頼関係の下に取り付けているものでございます。そのことにつきましては、これまで累次の会合を通じて徐々に理解を得るべく、粘り強く話をしてきた話でございます。

○紙智子君 ちょっと、合意文書もないのに見直しができるんだということで、実行されるかどうかというのは定かじゃないわけですよ。中身が、証拠がないわけですから。
 ですから、私は委員長に申し上げますけれども、この合意した中身が分かる議事録を提出をしていただきたいということをお願いします。

○委員長(岩井茂樹君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。

○紙智子君 次に、バター、脱脂粉乳のTPPの低関税枠の七万トンについてお聞きします。
 脱脂粉乳とバターの枠内の税率はどのように変わっていくのか、ちょっと端的に、長くならないように答えていただきたいと思います。脱脂粉乳とバターです。

○政府参考人(枝元真徹君) お答え申し上げます。
 TPP11の方の脱脂粉乳、あとバターの関係でございますけれども、これまでの既存のWTO枠というのがございましたが、このTPP11ではTPP枠という形で枠数量を設定いたしますとともに、枠内税率につきましては十一年目までに削減をして、脱脂粉乳については最終的に二五%、三五%、バターについては三五%と、そういう形になるところでございます。

○紙智子君 今、脱脂粉乳は二五%、三五%プラス百三十円ですよね。これ十一年目になったら今言ったように二五%、三五%になると。バターは三五%プラス二百九十円が十一年目になったら三五%ということになるので、つまり十一年目には従量税はなくなるということですよね。
 それで、TPP11の影響試算では、牛乳・乳製品について、当面、輸入の急増を見込み難く、牛乳を含めた乳製品全体の国内需給に悪影響は回避の見込みというふうに言っているんですよね。
 それで、ちょっと聞き方変えますけれども、逆に言ったら、どういうケースになると悪影響が出るんでしょうか。

○政府参考人(枝元真徹君) お答え申し上げます。
 今申し上げたTPP枠内での枠内税率が最終的にそうなるということでございまして、逆に言いますと、その枠外税率につきましてはまた維持いたしました。そういう意味では、現行の国家貿易制度が維持された上で、最近の追加輸入量の範囲内で七万トンは、枠、関税割当てが設定されてございますので、その意味で輸入の急増は見込み難く、乳製品全体での国内需給への悪影響は回避する見込みというふうに考えているところでございます。

○紙智子君 今の答えは、要するにTPP枠の七万トンを超えた場合はそういう影響を受けるということですか。

○政府参考人(枝元真徹君) 今申し上げましたのは、今回のTPP11におきます脱脂粉乳、バターにおける関税割当て枠が最近の追加輸入数量の範囲内で七万トンというふうに設定をしているので、当面輸入の急増は見込み難く、乳製品全体の国内需給への悪影響は回避される見込みというふうに考えているということでございます。

○紙智子君 悪影響になる場合というのはその枠を超えたときですよねということで捉えていいですね。

○政府参考人(枝元真徹君) 枠外税率につきましてはこれまでどおり維持してございますので、そういう意味での影響はないというふうに考えてございます。

○紙智子君 何かよく分かりませんけれども、このTPP七万トン枠が今後の外交交渉の基準なんじゃないんですか、そういう枠決めているわけだから。で、TPP七万トンの枠が言わば今ニュージーランド、オーストラリア、カナダなどで独占されることが不公平だというふうに言って、アメリカが、畜産業界が不満を持って、日本との関係では是非これを求めていこうということになる可能性が大なわけですよね。TPP11の参加国とアメリカで、これTPP枠七万トン以下に抑えるということができるんですか。

○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
 その点につきましては、先ほど来申し上げていますように、第六条の規定に基づきまして必要な見直しを行うということで各国の理解を得ているというふうに考えております。

○紙智子君 だから、その枠の話は、実際出してもらいもしないでそういうことを言ってほしくないので。
 酪農家は、これ、価格が下がれば経営に影響が出るというふうに言っているわけです。輸入枠が何トンなのか、何万トンなのか、不安なわけですよ。悪影響を回避すると言うんだけれども、どんなことがあっても七万トンは超えませんというふうにはっきり言ったらどうですか。(発言する者あり)

○委員長(岩井茂樹君) 速記を止めてください。

   〔速記中止〕

○委員長(岩井茂樹君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(光吉一君) その数量の話につきましては、先ほど来申し上げておりますけれども、第六条を発動する必要が生じた場合にはTPP全ての締約国を対象にした関税割当て数量などを見直すということで、何度も明確に御説明して、修正を行うことについて理解が得られているというふうに考えております。

○紙智子君 だから、得られているか得られていないか分からないわけじゃないですか。何で、ちゃんと出して、これで間違いないなというふうに思えるようにしていただきたいわけですよ。
 日EU・EPAは、脱脂粉乳、バターについては一万五千トンの低関税率を設定しているわけですよね。だから、七万トンに加えて一万五千トン、合計で八万五千トンもの輸入枠ができるわけですよ。TPP11の七万トンで悪影響を回避できる、日EU・EPAで一万五千トンの枠をつくってもこれ悪影響を回避できると、こういうふうに言って、こういう試算で酪農家の皆さんが納得すると思いますか。大臣、いかがですか。

○国務大臣(齋藤健君) まず、先ほど来の議論を伺っていて思いますことは、七万トンに枠が最終的には、六年目ですか、広がるわけでありますけれども、枠外税率はいじらないということでありますので、それを超えてどんどん入ってくるということは想定をし難いでしょうということを申し上げているわけで、それが一点と、それから日EUにつきましても、新しく動き出せばその枠ができるわけでありますが、それに対しても今回対策で様々なものを講じるということにしておりますので、その影響は緩和できるというふうに我々は考えているということでございます。

○紙智子君 アメリカもトランプ大統領の下で、やっぱりもうアメリカ第一主義でやってくるわけですから、そんな枠なんか超えてくる可能性はあるわけですよ。やっぱり影響試算の整合性も全く納得できるような説明がされていないのに、影響ありませんなんて言うことはやめていただきたいと。
 TPP11の発効手続はやめていただきたい、このことを要求して、質問を終わります。