<第196回国会 2018年5月17日 農林水産委員会>


◇農林年金廃止法について 1人1人丁寧な対応を求める/農水省に雪印種苗の偽装の原因究明を求める/被害補償の過程を農水省も見届けるべきだと主張

○厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 この農林年金の問題は十分熟知されている方もいらっしゃると思うんですけれども、国民的にはやっぱりなかなか知られていないということもありますので、今日、基本的なことに質問をしたいと思います。
 まず、農林漁業団体職員共済組合、農林年金制度は、農協、森林組合、漁協等の農林漁業団体の役職員のための年金制度と。今回の法改正は、特例年金給付に代えて特例一時金を支給するというものですね。なぜ特例年金給付、それか一時金かという選択制だったものを変えたのかということを、まず端的に御説明をお願いいたします。

○政府参考人(農林水産省経営局長 大澤誠君) 農林年金制度につきましては、厚生年金と統合以降は三階部分を担ってきたということでございますけれども、平成二十二年度から特例年金に代えて一時金を選択できる仕組みを導入した結果、受給権者の八六%が一時金を選択したことによりまして年金受給者が大幅に減少し、それとともに一人当たりの支給額も非常に少額化しているということでございます。
 また、現行制度のままでは、長期間にわたり事務コストを現役世代が負担し続けることになるということもありまして、今般、農林漁業団体と年金受給者団体の双方から、一時金の支給を義務化して特例年金給付を早期に完了したいという要望が出されたところでございます。
 こういうことを受けて、今回の改正法案を提出させていただいている次第でございます。

○紙智子君 それで、年金財政を改善するために、二〇一〇年の四月にこの一時金支払制度を導入したわけですけれども、平成二十三年農林年金財政の見通しというのが出ていると思うんですけれども、これについて説明をお願いします。

○政府参考人(農林水産省経営局長 大澤誠君) その存続組合におきまして平成二十三年度に先生御指摘の試算がされておりますが、それによりますと、将来的に年金支給財源が約一千九百億円不足する可能性があるということを当時の存続組合が試算したわけでございます。これを契機として制度の早期完了に向けた機運が高まり、選択による一時金制度の拡充が図られたところでございます。

○紙智子君 それで、農林年金は特例業務負担金を徴収しているんですけれども、これはなぜなのか、そしてまた、どこからこれは支出されているんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省経営局長 大澤誠君) これは農林漁業団体の職員のための制度でございますので、この業務の運営経費につきましてはこの農林漁業団体が負担するという考え方になってきてございます。それにつきましては、現在、平成二十八年度では全体で約二百八十一億円になっておりまして、その実際の負担金は各農林漁業団体の福利厚生費から支出されていると承知してございます。

○紙智子君 今、福利厚生費からも支出されているということで、つまり個人負担ではなくて団体負担ということですよね。団体負担ということなので、受益のない組合員なり農民なんかもそこに影響していくということなんだと思うんです。
 それで、受給権についてもお聞きするんですけれども、これ先ほど田名部議員が質問されていましたが、五月十日付けの日本農業新聞で支給対象四万人不明というふうに大きく報じられました。これ、なぜ四万人不明の支給対象がいるのかということについても御説明願います。

○政府参考人(農林水産省経営局長 大澤誠君) 平成九年一月以前は、そもそも住所情報の登録というものは公的年金制度におきましては一般に義務付けられておりませんでした。平成九年一月の基礎年金番号制度導入を契機といたしまして、加入者の住所情報の登録が義務付けられたところでございます。
 当時、農林年金制度では、同月以前に退職したために住所登録の義務のない方々が発生いたしました。これが、当時六十二万人ほどいらっしゃいました。これをいろいろな努力を行いまして、農林漁業団体なり存続組合が調査等行いまして多くの方々で住所が判明し、その六十二万人ほどの不明の方が平成二十九年三月末時点では四・三万人まで減少してきたというような事情がございます。

○紙智子君 そういう努力をしてここまで減ってきているという話ではあるんですけれども、それにしても、受け取れない、分からない人というのがまだ四万人超えて残っているということで、やっぱり制度が変わるわけですので、是非不明者はなくしていただきたい、皆さん共通の質問されておりますけれども。
 同時に、この受給者から意見をお聞きしたんですよね。そしたら、選択制で一時金をもらわずに特例年金給付を選んだと。どうしてそういうふうに選んだかというと、やっぱり一時金で一遍にもらうよりも、分けてずっともらう方が将来の生活設計にとってもそれは立てやすいからなんだということで選んだという人なんですけれども、こういう将来、特例年金給付を選んだ方たちからの理解というのは得られているんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省経営局長 大澤誠君) 今この具体的な要望は、農林漁業団体だけからではなくて、この年金の受給者の団体の方々からも総意をもって、これは制度を一時金だけの制度にしてくれという要望が出されたと聞いておりますが、その過程で一人一人の方々にいろいろ説明があったと思いますが、何分にも個人個人の方々いろいろ御意見あると思いますので、そこはまた引き続き、その制度の今回の趣旨、特に現役世代に対する負担があるということは、この団体、存続組合の方でも引き続き説明を続けていく所存であるというふうに聞いております。

○紙智子君 是非、丁寧にやっていただきたいというふうに思います。
 それからもう一つ、時効についてなんですけど、これ厚生労働省にお聞きします。
 国民年金、厚生年金には五年の消滅時効の規定があるわけですけれども、これ、やむを得ない事情によって時効前に請求することができなかった場合に理由を書面で申し立てることができて、時効消滅をさせないことができると。この規定はなぜ作られたんでしょうか。

○政府参考人(厚生労働大臣官房審議官 諏訪園健司君) これは、年金記録問題を契機に年金法の改正を行いまして、それによりまして、現在の法律の立て付けとしましては、国民年金法及び厚生年金保険法におきまして保険給付を受ける権利は五年を経過したときは時効によって消滅することとされておりますが、しかしながら、行政側の帰責事由により記録訂正などを行った結果、五年を超えて正しい年金を支払う必要が生じた場合には、時効を援用することなく、本来支給すべきであった年金給付を行うこととしてございます。

○紙智子君 やはり一人残らず対応できるようにするためということだと思うんですけど、そういう趣旨ですよね。

○政府参考人(厚生労働大臣官房審議官 諏訪園健司君) 当時、年金記録問題によりまして、年金記録が時効消滅期間である五年を経過した後に明らかになって、その年金の増額分のうち五年以上の前の支払分につきましては自動的に時効消滅し支給できないという問題が生じていたわけでございまして、これを立法上の措置として対応をしていただいた、こういうものでございます。

○紙智子君 それでなんですけど、農林年金もやっぱり同様の対応が必要なんじゃないかと思うんですね。
 法律では、施行後、未裁定者というのは五年の間に一時金の受給申請をしなければ受給権はなくなってしまうということなんです。制度の変更が本人に届かなかったときにどういうふうに対応するのかということも要望として出されております。
 国民年金や厚生年金と同じように時効消滅させないような対応は必要なんじゃないかと、するべきなんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) 農林年金の今までの運用におきましても、実は時効を援用せずに年金を支払っているというケースはございます。
 今回の法改正で特例一時金制度を導入するのは、制度運営のコストをできる限り抑えながら早期の制度の完了を図るという農林漁業団体等からの要望を踏まえたものであるわけであります。ですので、まずは、存続組合や農林漁業団体において住所不明者について住所の特定をすることに全力を挙げるとともに、御指摘ありましたように、特例一時金の支給について様々な周知活動というものを徹底をしていくと、これが前提となるんだろうと思いますが、その上で、様々な活動を徹底してもなお残る住所不明者等に対する取扱いにつきましては、住所の特定状況の推移ですとか財源などを見ながら、時効を援用しないなどの柔軟な対応を取ることも含めて、存続組合においてよく検討をしていただきたいというふうに考えているところであります。

○紙智子君 そういうことで、更に一層その努力をしていただくということだと思うんです。
 それで、農林年金制度を取り巻いて、やっぱり環境的にどうしても農協、漁協、森林組合等の組合数の減少と、背景には農林漁業自体が非常に大変なことになっているということが、非常に厳しくなっているということがその背景にあるわけで、そこがすごく大事なことで、これからの日本の農林水産業を本当にどうしていくのかという将来につながる問題でもあると思いますので、そこを踏まえて是非一人一人丁寧にやっていただきたいというふうに思います。
 それから、先日も徳永委員が取り上げましたちょっと雪印種苗の問題について私も質問したいと思うんですね。
 それで、種苗会社が牧草などの種子の品種を偽って販売していたということなんですけれども、雪印グループは、これ、過去にも雪印乳業の偽装、食中毒、それから雪印食品の牛肉偽装などがありました。種子法が廃止されて、種子や種苗に対しての国民の関心というのは物すごく今高いんですね、非常に高まっている。そういう下で発覚したこれ大問題だというふうに思うんです。
 農林水産省は、昨年の夏に情報提供を受けて、この雪印種苗に対して種苗法の違反の報告徴収命令を出して、この雪印種苗は、二月の下旬に設置をした、弁護士あるいは大学教授らで構成する第三者委員会、この報告を受けて農水省に報告を出していると。農水省は五月二日に対応状況を公表したわけですけれども、率直に言って、これ第三者委員会の報告をうのみにしているだけなんじゃないかという印象があるんですよ。農林水産省の独自の分析というのはないなというふうに思う。
 大問題だと思うんですけど、それなのになぜ独自にこれ原因究明をやらないのかということ、いかがですか。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) まず、今回の雪印種苗による種苗法違反の表示による牧草等の種子の販売及び品種の偽装の行為は、種苗の流通に対する社会的信頼を損なうもので、私どもは大変遺憾であるというふうに考えております。
 実は、率直に言うと、私も第三者委員会の話を一番最初に聞いたときには同じ印象を持ったんですけれども、よく聞いてみますと、農林水産省では、本件について、実は種苗法第六十三条に基づいて家畜改良センターに実施させた発芽率などの検査を始めとする集取検査もやっておりますし、それから、種苗法に基づく立入り権限が法律上ない中で、四月十二日に行った雪印種苗部に任意で当省の職員が調査をするとか、そういうものを踏まえて、その四月二十七日に雪印種苗から提出された第三者委員会報告、これを含む種苗法第六十五条に基づく報告を我々も分析をした上で、実はその再発防止策の確実な実施を確保するとともに、違反表示及び品質の偽装に係る畜産農家等への対応状況をこれに基づいて確認をしていくことが重要であろうという、そういう判断に至ったということであります。
 このため、雪印種苗に対して、五月二日に再発防止策の実施状況に加えて品質偽装に係る農家等への対応状況についても定期的に報告するように種苗法第六十五条に基づき求めておりまして、今後、同社から提出される報告を踏まえて、これは私どももしっかりとチェックをした上で対応していきたいというふうに考えております。

○紙智子君 今分析をされた上でやったんだというふうに言われたんですけれども、第三者委員会のこの種苗法違反に関する調査報告書、概要が出ていますけど、これちょっと見ましたら、種苗法違反の表示問題ももちろん重大なんだけれども、やっぱり品種偽装は特にひどいというか、もう本当になかったことにするとか、ちゃんとまともに答えていないような状況がるる出てくるわけですよね。ですから、やっぱりこれは、その報告書の中では農水省に対しても問題提起がされていると思うんですよ。ですから、そういうところに立って、六十五条が先日も言われていたんだけれども、六十五条に基づいて帳簿とか書類の提出を命じることができると、農水省としても、なっているわけですから、これ出させるべきだと思うんですよね。
 その上で、これ出させていますかね、帳簿とか細かいそういった書類なんかは出させていますかね。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) 今回、家畜改良センターの集取検査ですとか、それから雪印種苗の担当職員への調査などを踏まえまして、雪印種苗からの報告を分析した上で、先ほど申し上げましたように定期的に再発防止策の実施状況等を報告させることが適切かつ必要と判断をしておりまして、現時点で帳簿等の提出をさせること、過去提出をさせておりませんし、現時点で提出させるということが必要とは考えておりませんが、ただ、今回の種苗部の調査では、いわゆる牧草の品種偽装では口座替えと呼ばれる同社の在庫管理システムが活用されていたということがございました。このため、口座替えの内容や実態を把握するとともに、実際に保管されている帳票やデータの種類や内容の確認、それは行っているところでございます。

○紙智子君 今表示の話をされたんですけど、この品種偽装ということについて言うと、報告書によると、過去の品種偽装行為を裏付けるような客観的、具体的なデータの存在が隠されたりとかということもあって、やっぱりこういったものを含めてきちっと提出をさせると、その上でしっかり分析して判断すべきではないかと思うんですけれども、ちょっと更にやる必要があると思うんですけれども、いかがですか。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) 今改善策を彼らが決めてそれを実施をするという状況で、私どもその報告を受けてきちんとチェックをするという、その過程の中でいろいろな対応もあり得るんだろうというふうに考えております。

○紙智子君 つまり、出させて対応していくということでいいんですか。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) 出てきたものを見て必要があればということでございます。

○紙智子君 是非、ちゃんと隠させないで出させて、しっかりと見て判断をしてきちっと対応しないと、第三者委員会も雪印グループがつくっている、顧問弁護士なんかも元々雪印の弁護士を使っているわけですから、しっかりやっぱりそこは農水省が見てやっていく必要があるんだというふうに思うんです。
 それから、書類が出てくると畜産農家への丁寧な対応ができるんだと思うんですよ、被害に遭っているのは農家だから。気付いていない人もいるかもしれないけど、気付かなかったら何にもしなくていいということにならないと思うので、丁寧な対応をすべきだし、雪印種苗は、販売先を通じて牧草などの種子を購入した酪農家など被害者を特定するなどして、被害者が訴えてくるのを待っているんではなくて、自ら調査してきちんと補償すべきだというふうに思うんですね。
 そういう点では、農水省としても、雪印種苗が酪農家などに、種子を購入した被害者に対してきちんと誠実な対応をしているかどうかということを見届ける必要があると思うんですけれども、いかがですか。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) 本件、厳しく対応すべきだという点については委員と全く同じ考えで、先ほどの御質問に戻りますけれども、当然、必要があれば種苗法第六十五条に基づいて帳簿その他の書類も提出命令を掛けるということも流れで当然あり得るということは申し上げておきたいと思います。
 今御質問の件でありますけど、今回の雪印種苗による種苗法違反の表示及び品質の偽装による畜産農家の被害については、雪印種苗が真摯かつ誠実に対応すべきものと私ども当然考えております。
 そうなので、五月二日に雪印種苗に対しまして、実は再発防止策の実施状況に加えて、違反表示及び品質の偽装に係る畜産農家等への対応状況についても定期的に報告するように、種苗法第六十五条に基づく報告徴収命令を発出をしております。その際、違反表示及び品種の偽装に係る種子の出荷先の特定を可能な限り行い、購入者への真摯な対応が誠実になされるよう、口頭でも加えて指導をさせていただいているところであります。
 農林水産省としては、雪印種苗による対応状況の報告等を通じて、畜産農家等に対する対応がしっかりと行われているか、これも確認をして適切に対応してまいりたいと思います。

○紙智子君 時間になりましたので終わりますけれども、やっぱり繰り返させないという深い反省の上に立っていますから、是非そこをしっかりやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。