<第196回国会 2018年4月5日 農林水産委員会>


◇財務省の文書改ざん・防衛省の日報問題・厚労省のデータ改ざんを含め、疑惑解明を求める/新法となる法案の必要性について/農地の所有者と借り手側をつなぐ仕組みについて/貸し手と借り手の契約上のトラブルにおける自治体や農業委員会の関与はどうなるのか/都市農業者が抱える重い税負担への課題にどのように対応していくのか/営農に不可欠な作業場や、農機具倉庫、畜舎などの農業用施設用地なども相続税の納税猶予の制度の対象に加えるべきではないか

○都市農地の貸借の円滑化に関する法律案(内閣提出)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 冒頭、私からも一言申し上げておきたいと思います。
 あってはならない財務省の文書の改ざん、そして今度は防衛省ですね、これまた文書の隠蔽、そして少し前は厚生労働省のデータの改ざん、いいかげんなこのデータでもって審議をさせようとしたという問題ありました。そして、文部科学省と。先日、テレビの報道で加計学園の入学式が放送されました。そこで、元知事の挨拶が流れましたけれども、岩盤突破ということで、魔法の力でと言ったのかな、魔法の力で誕生、出産することができたというような挨拶があって、恐らく全国でテレビを見ていた人は一体どういう魔法だったんだろうかというふうに思うと思うんです。本当にこれ、内閣全体に関わってきているというふうに本当に深刻な問題だと思いますし、本来国会というのはそういった問題を、疑惑を解明するということで力を合わせなきゃいけないわけですから、これは与党であってもそこを真摯に受け止めてやるべきだと。やっぱり、解明のために必要な参考人を要請したら、これ全会一致って言っているんですけれども、与党がオーケーすれば実現するわけですよ。
 ですから、是非そこは真摯に受け止めてやっていただきたいということを最初申し上げておきたいと思います。
 その上に立って、法案について質問します。
 都市農地は、新鮮で安心な農作物の供給はもとより、緑豊かな景観の形成、農業体験の場としての提供、防災空間の確保など、多様な役割を発揮しています。その重要な役割を果たしている都市農地は、特に市街化区域の農地は、宅地化などの影響で減少が進んでいると。一九九三年に市街化区域内の農地は十四・三万ヘクタールだったのが二〇一六年には七・四万ヘクタールということで半減しているんですね。都市農地の果たしている役割をどう維持していくのかということが今問われているんだと思います。
 二〇一五年には都市農業振興基本法が制定をされて、昨年には生産緑地法の改正があって、生産緑地指定の要件を条例によって引き下げることも可能になりました。この間、幾つかのそういう点では前進面があるんですけれども、それでなおかつ今回新法を作る必要性についてお聞きしたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) 今回提案させていただいている法律案は、生産緑地地区の区域内の農地において、農地の所有者から賃借権等の設定を受けて行う耕作の事業に関する計画を作成し、その計画について市町村長の認定を受けた者に対して農地法の特例を講ずることにより、生産緑地地区内の農地の貸借の円滑化を図ろうとするものであります。
 つまり、これ、農地法にはない新たな計画制度の体系を創設をするという側面を持っているのとともに、またその対象は生産緑地地区内の農地に限定をするということとしておりますので、農地法に特例を置くよりも農地法とは別に新たな法制度とすべきであるという結論に達したところであります。
 ちなみに、これまでも、特定農地貸付法ですとか農業経営基盤強化促進法等のように、独自の政策目的を実現するために農地法の特例措置を講ずる場合に、別法で新たな制度を定めているケースもございます。そのことを付言させていただきたいと思います。

○紙智子君 今農地法との関係もおっしゃったんですけれども、二〇二二年、迎えるに当たって、生産緑地地区内の農地が指定から三十年が経過して、これ市町村への買取りの申出が可能となるということで、農業者の高齢化や後継者不足なども出てきて、宅地化が更に進んでしまうんじゃないかという懸念もあったということがこの新法を作る運びになったということですよね。それもちょっと一言。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) そういう背景もございます。

○紙智子君 差し迫った課題でもあるというふうに思うんですね。
 それで、東京都のある地域で六十歳以上の農業者の割合が六〇%になっていると。高齢化が進んでいるわけです。生産緑地の買取り申出の要請というのは、指定から三十年がたたなくても主たる農業従事者の故障とかあるいは死亡とかいうことで買取りの申出も可能になるわけです。
 しかし、東京都などでは生産緑地は地価が高い。さっきも話がありましたけれども、自治体の財政的な負担が大きいことから買取り申出に応じることは困難だということだと思います。
 生産緑地地区内の農地を維持する観点から、今回の法案、どのようなものになっているでしょうか。

○政府参考人(農林水産省農村振興局長 荒川隆君) お答え申し上げます。
 今回の法律案でございますが、まさに市街化区域内の農地、大事な農地でございます。いろんな機能があるわけでございます。これをそのまま放置いたしますと、先ほど来議論がございますように、相続を契機にこれが売却されて宅地化されてしまうといったことも懸念されるわけでございまして、私ども、この大事な大事な市街化区域内の農地をどうやって守っていくかということで、今回法案を考えたところでございます。
 現在、農地の貸借につきましては農地法の法定更新制度が適用されておりまして、農地を一旦貸したら戻ってこないというような懸念があるというのが一つ大きな問題、それからもう一つは、先ほど来出ておりますが、相続税の納税猶予制度を適用されておられます農地につきましては、これを貸借すると相続税の納税猶予が打ち切られて多額な税負担が発生すると、この二つが大きな課題だと認識をしておるわけでございまして、今般の新法の制定によりまして、新しい認定制度によります貸借の制度を作ることによりまして、この農地法の法定更新の適用除外と、それから納税猶予制度の適用というものを認めていただくことによりまして安心して農地が貸借できる、これによりまして都市農地が保全をされるということを期待しておるところでございます。

○紙智子君 東京都でも農家の高齢化や担い手不足などから遊休化とかあるいは低利用化が問題となっているということなんですけれども、都内の農業者の方からは、耕作放棄とまではいかないけれども、クリ畑とか柿畑とかを何とか維持してやっているという話も聞いています。そういう現状がある中で、本来農地を必要としている方に耕作してほしいという要望も出ていると。
 今回の法案は、生産緑地地区内の農地の所有者が農地を貸し出しても相続税の納税猶予が継続されるというものですけれども、この農地の所有者がこれまで農地を貸し出すのをためらってきたという理由は、端的に言うとどういうことでしょうか。

○政府参考人(農林水産省農村振興局長 荒川隆君) お答え申し上げます。
 今先生からお話ございましたクリ畑ですとかそういう形で、余り手間の掛からない形で自ら営農されておられるという形を取って継続をされている、苦労されておられるというのも、先ほど申しましたように、まず大きな経済的な理由といたしましては、貸してしまいますと相続税の納税猶予が切れてしまうという多額な税負担が発生すると、それが経済的には一番大きな問題だろうと思っております。
 もちろん貸す相手がなかなか見付からないとか、それから貸した場合には農地法の適用になるものですからなかなか返ってこないといった懸念というものも、心理的にもいろいろあろうかと思います。そういったもろもろの要因が原因だと思っております。

○紙智子君 土地、農地が減少する状況が進んでいる中で、農地を保全するということでいえば、今のことというのはやっぱり非常に大事なことなんだろうと思います。
 次に、農地の貸借に関わる課題についてお聞きしたいんですが、東京都の調査では、生産緑地の貸借が可能となった場合の貸したい相手については、区市など地方自治体が最も多いと、三五・八%。次には農協というふうに続きます。借り手側の顔が見えないとなかなか貸しづらいというのもあるんじゃないかと思います。
 農地の所有者と借り手側をつなぐ仕組み、これはどんなふうに考えておられるんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省農村振興局長 荒川隆君) お答え申し上げます。
 まさに本法律案におきまして、その賃貸借をつないでいくということが求められるわけでございますけれども、本法律案では、農地を借りたい方から市町村に対しましてあっせんその他の援助の申出がございますれば、市町村はこれにきちんと応ずるということを規定させていただいておるところでございます。
 具体的な取組といたしましては、やはり地域の都市農地の状況ですとか、日頃の農地の見回り活動などの中で、農地所有者の貸付けの意向あるいは農業経営者の規模拡大の意向、そういったものをよく認識しておられます農業委員会の方々ですとか、あと地元の農業協同組合の方々が市町村とよく連携を取っていただいてマッチングを図っていく必要があると認識をしております。
 先ほど、副大臣からも御答弁申し上げましたが、神奈川県の秦野市などでは、はだの都市農業支援センターということで、今申し上げた三者が協議会のようなものをつくって、それぞれの専門性を生かして連携して、そういった掘り起こし活動、マッチングにこれから当たっていただけるのではないかと期待をしておるところでございます。

○紙智子君 農業委員会とかJAとかということで期待をしているという話あったんですけど、やっぱり農水省として新法を作るわけですから、きちんと農水省としてはリーダーシップを取っていただきたいと思います。
 それから、事業計画を認定した後に、貸し手と借り手の当事者間で契約上のトラブルなんかも想定されるわけです。契約内容と異なるような事業を行っていたり、あるいは借りた側が、例えばビニールハウスなりを建てて営農していたんだけれども途中で耕作を放棄して、そしてビニールハウスなどもそのままにして放置して農地が原状回復されないというようなことがあった場合に、自治体や農業委員会というのは関係するんでしょうか。

○政府参考人(農林水産省農村振興局長 荒川隆君) お答え申し上げます。
 本法律案に基づきまして設定された賃貸借がきちんと実施されることが、都市農業の機能の発揮という意味で大変大事でございます。その意味で、事業計画の認定を受けた方が計画に従って耕作の事業をやっていただくというのがもう基本中の基本でございます。
 今先生お話ございましたように、何かトラブルがあって借り手の方が計画どおりに事業を行っていないといったような場合ですとか、あるいはそれ以外の認定要件もあるわけでございまして、そういった認定要件を満たしていない状態になったといったような場合には、市町村長は、相当の期間を定めた上で、借り手の方にきちんと是正をするべく勧告をするという手続をまず取ることになっております。その上で、勧告に従っていただけない場合には、最終的には市町村長さんは認定を取り消していただくということで対応をしていただくということでございます。
 この場合、突然農地が返ってまいりましても貸主の方も困りますので、そういった場合にはまた市町村が中心になりまして、農業委員会やJAと連携をしまして、新たな借り手を探すのをお手伝いをするといったようなことも法律に書いてあるところでございます。

○紙智子君 自治体のそういうことも言われたんですけれども、やっぱり事業計画の認定に関わる自治体や農業委員会がそういうトラブルについて対応するんだけれども、やっぱりそこをできるだけそうならないようにフォローする必要があるんだと思いますので、その点もしっかり踏まえてやっていただきたいと思います。
 それから、都市部の農業者が営農を継続していく上で税制面の課題がネックになっていて、都内の農業者は、農地課税となる生産緑地というのは固定資産税と都市計画税を含めて十アール当たりで二千七百円から三千円ほどなんだけれども、宅地並み課税だったら百万円を超えると、相続税は数億と。以前、都内のところにみんなで見に行ったときには、本当に二億とかという大変な額で、もう潰れてしまいそうだという話あったんですけれども、そういう額なわけですよね。
 ですから、都市農業者が抱える重い税負担への課題にこれはどのように対応していくつもりなのかということも大臣お聞きします。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) 生産緑地は、指定後、原則として三十年間開発行為が規制をされると、それから農地としての管理が義務付けられるという、そういう制約が掛かるわけでありますが、一方で、生産緑地でない市街化区域内の農地は、届出さえすればいつでも転用が可能ということになっておりますので、その面で税負担に差が生じるということはやむを得ないものだと思います。
 生産緑地におきましては既に固定資産税の軽減措置が講じられているということでありますので、是非、市街化区域内農地において農業の継続を図ろうという意欲のある方については、生産緑地の指定を受けていただくということが基本ではないかなというふうに考えております。

○紙智子君 今回、この生産緑地地区内の農地の貸付けに対して相続税の納税猶予制度を適用したというのは、これはいいことだというふうに思うんですね。さらに、営農継続を保障する上でも、営農に不可欠な作業場だとか、あるいは農機具倉庫、それから畜舎などの農業用施設用地なども相続税の納税猶予の制度の対象に加えるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) この農地の相続税の納税猶予制度は、相続に伴う農地の切り売りによって経営の縮小、農地の細分化防止を図る観点から講じられているものなので、すなわち、農地については権利移動や転用に係る農地法上の規制がある一方で、農地を農業目的で使用している限りにおいては到底実現しない高い評価額により相続税が課税されてしまうと、農業を継続したくても相続税を払うために農地を売却せざるを得ないという問題が生じますので、そこで認められた特別な制度でありますが、一方、御指摘の農業用施設用地は既に耕作ができない状況となっておりまして、農地と異なって権利移転や転用行為に係る厳しい規制が存在するわけではありません。このため、このような土地にまで相続税の納税猶予といった優遇措置を講ずることは課税の公平性という観点から見ていかがなものかという問題があるのではないかと考えています。
 なお、付言すればということでありますけれども、農用地区域内及び生産緑地地区内の農業用施設用地につきましては、農業振興地域の整備に関する法律等において建築物の建築等への土地の利用が制限をされており、相続税の評価額については宅地に比べては低くなるように一定の配慮がなされているところであります。

○紙智子君 都市農地の場合、相続税が高額で払い切れないということもあって、農地を物納する方も中にはいらっしゃるというふうに聞いています。
 東京都が二〇一七年の五月に発表した東京農業振興プランの中で、国への要望として、都市農地を保全するために相続税の物納により国有化される市街化区域内農地を自治体に低額で貸し付けて市民農園として活用させるなど、農的利用できるような新たな制度の創設を要望しているんですね。今の枠では無理だけれども、新しくつくってほしいと、そういう制度をつくってほしいと要望しています。
 それで、農水省としても、この都市農地の宅地化による減少、これに歯止めを掛けるためには、これ今日は答弁は求めません。ちょっと宿題として、是非、今後に向けて検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それからあと、都市農業は、新鮮で安全な農作物を供給する役割を発揮して、地産地消ということでも大きく貢献していると思います。
 JA東京グループでは、都内の小中学校に学校給食の食材として都内の農作物を供給しています。足立区では、区内の農家が生産したコマツナを学校給食に使用しています。学校給食に地元で取れた農作物を利用している割合も、東京都の教育委員会の学校給食の実態調査でも、この小中学校共に全都の合計で九〇%を超えていると。
 学校給食などへのやっぱり地元の農作物の安価な、安定的な供給が課題となっているわけですけれども、その体制整備に向けてどのように取り組んでいるでしょうか。

○政府参考人(農林水産省食料産業局長 井上宏司君) 学校給食は、食を支える農業と生産者の努力を知る機会になるなど、食に関する生きた教材としても重要な役割を果たしておりまして、農業、農産物に対する理解や生産者との結び付きが希薄になりがちな都市部などの学校給食において地場産農産物の利用を進めていくことは有意義な取組と考えてございます。
 一方で、学校給食は栄養バランスの取れた食事の提供によって子供の健康の保持増進を図ることを目的としておりますので、その食材供給に当たりましては一定の規格などを満たした食材を不足なく納入することが求められまして、農業生産現場にとって負担が生じる場合もあるというふうに認識をしてございます。
 このような課題を解決し、地場産農産物を安定的に学校給食に供給するためには、学校給食と農業生産の現場の双方の食材供給についてのニーズや課題を調整し、地域ぐるみで関係者が取り組む体制を構築することが不可欠でございまして、農林水産省といたしましては、栄養士や地域で食育に携わる方など、学校給食と生産現場をつなぐコーディネーターの育成や派遣を支援をいたしまして、関係者が連携して取り組める体制づくりを進めて、できるだけ多くの地場産農産物が学校給食で利用されるように取り組んでおります。
 また、こうした取組を実施するに当たりましては、文部科学省とも連携をして取り組んでいるところでございます。

○紙智子君 時間ですので、終わります。是非、更なる振興を求めていただきたいと思います。
終わります。