<第196回国会 2018年3月29日 農林水産委員会>


◇東日本大震災の被災地における水産加工業の復興状況について/不漁による原材料の高騰という経営難が降りかかる中、水産加工業者への二重ローン対策を求める/近年続く水産加工原料のサケ、サンマ、スルメイカなどの大不漁について、水産庁の分析と対策/中小企業が輸入原材料を確保できるよう支援策を求める/被災者支援策について、期間延長などの見直しを求める/クロマグロの資源管理について/クロマグロの漁獲枠について沿岸漁業者が生活できる配分への見直しを求める

○水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 ちょっと問数が多いので、できるだけ答弁については要領よく簡潔にお願いしておきたいと思います。
 最初、法案について質問いたします。
 東日本大震災から七年が経過し、私も先月、岩手県で調査をしてまいりました。岩手、宮城、福島の各県において再開を希望した水産加工施設は、昨年十二月末現在で、七百九十施設のうち七百四十九施設で、九五%が業務の再開を果たしたということです。陸前高田市では、震災から再建した水産加工業者八社が二百五十人を雇用して、漁業者の経営や漁村の雇用に大きな役割を発揮しているということです。
 被災地の水産加工業における復興状況について、まず齋藤大臣の御認識を伺いたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) 岩手、宮城、福島、三県の水産加工施設につきましては、水産加工資金の活用をした施設も含めまして、業務再開を希望する施設のうち九五%が業務を再開するなど、復旧が進んできております。
 一方で、水産庁が、青森、岩手、宮城、福島、茨城の五県の水産加工業者を対象に行ったアンケートによりますと、売上げが八割以上回復した事業者というのは五割弱にとどまっているという現状がございまして、人材の確保、原材料の確保、販路の確保、風評被害等が課題として挙げられているところであります。
 水産加工業は被災地域の基幹産業の一つだと考えておりまして、引き続き、復興庁と関係省庁と連携をしまして、被災地の実情を踏まえて水産加工業の復興に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

○紙智子君 それで、水産加工資金は、東日本大震災以降、被災した工場の再建などに利用されてきたと思うんですけれども、今回の改正で五年間延長と。どういう課題にこれから活用できるんでしょうか。水産庁、お願いします。

○政府参考人(水産庁長官 長谷成人君) 水産加工業者からは、復興に向けた課題として、人材の確保、原材料の確保などが挙げられているところでございます。今回の水産加工資金法の五年間の延長を通じまして、引き続き、こうした課題に対応いたしまして、省力化等の新たな技術、生産体制の導入ですとか資源状況の良い魚種への原材料転換などの加工機器の整備などにつきまして支援していきたいと考えております。

○紙智子君 それで、被災した加工業者は、この水産加工資金などを利用して生産能力が回復しつつあるということですけれども、三月に発表された、先ほどちょっと大臣も紹介していただいたんですけれども、この水産加工業者における東日本大震災からの復興状況アンケートですね、売上げが八割以上回復したと回答した業者が五県全体で四五%ということです。販路の確保などの課題も抱えていると。東日本大震災で被災した多くの中小企業がグループ補助金で再建を果たそうとする中で、水産加工業者は今、大不漁ということになっていて、原材料ですね、この価格の高騰が経営難に降りかぶってきていると。
 二重ローン対策としての金融機関の柔軟な対応も求めたいと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。

○政府参考人(復興庁審議官 伊野彰洋君) 水産加工業者につきましては、震災支援機構法の附帯決議において重点的に対象とすることとされておりまして、震災支援機構は、これまで百二十三件の支援決定を行い、事業の再生支援を行っております。本年二月に機構の支援決定期間を約三年間延長する法改正が行われたことを受け、復興庁としまして、被災地域の自治体、商工団体に対しまして周知の協力を依頼するとともに、被災地の金融機関に対して機構活用の協力依頼を行っております。また、金融庁を含め関係省庁からも、所管の金融機関等に対しまして、機構の活用に向けた要請を行っていただいているところでございます。
 復興庁としましては、機構活用に向けた周知広報や、金融庁とも連携して金融機関への協力要請を行うことにより、できる限り多くの被災事業者の再生支援ができるよう努めてまいりたいと考えております。

○紙智子君 水産加工業の皆さんにとって、今待ったなしの課題が原材料の確保と。もう、現地で聞いたら、二重ローン、今度延長になりますという話をしたら、原材料がないという話が出されたんですね。近年続いている水産加工原料となるサケやサンマ、スルメイカなどの大不漁について、水産庁としてどのように分析をし、対策を講じていくのか、お答え願います。

○政府参考人(水産庁長官 長谷成人君) 近年は、サケ、サンマ及びスルメイカが不漁となりまして、水産加工業者にとっては極めて厳しい状況であると認識しております。不漁の要因としては、サケについては、稚魚が海に下りる時期の海洋環境が生存に不適だったことによるその回帰率の低下が指摘されております。サンマについては、海洋環境の変化による資源の減少が挙げられますけれども、北太平洋の公海でサンマを漁獲する外国漁船の影響も排除できないというふうに考えております。スルメイカにつきましては、先ほどもお答えいたしましたけれども、様々な要因が考えられますが、海洋環境の変化が一番大きな要因と認識しているところでございます。
 対策といたしましては、まず、サケにつきましては、放流後の稚魚の生き残りを向上させるため、適切な放流時期あるいはサイズの検証をするとか、健康な稚魚を育成する手法を開発するといったことを進めたいと思っております。サンマにつきましては、外国との関係がありますので、北太平洋漁業委員会、NPFCといいますけれども、この場で国際的な資源管理を強化していきたいというふうに思っております。スルメイカにつきましては、海洋環境をどうこうするというのは大変難しいわけでありますが、先ほどもちょっとお話ししました外国船の影響がまだ十分分かっておりませんので、これを評価するための調査を進めていきたいというふうに思っております。その上で、水産加工業者に対しましては、公庫資金として、一時的に売上高などが減少した事業者を対象としたセーフティーネット貸付け、そして原料転換のための機器の導入等のための水産加工資金といった支援策を措置しているところであります。
 今後とも、漁業者及び加工業者が何とか安定した経営を続けられるようにしっかりと対応してまいりたいと考えております。

○紙智子君 先ほど紹介しましたアンケートでも、復興に関わる問題として、例えば青森県で最も切実な要求は原材料の確保で四三%、続いて岩手県では三一%となっているんですね。衆議院の農水委員会で我が党の田村議員が質問したそれに対する答弁で、当面の対策として、イカについては追加の輸入割当てを行うなどの、輸入原材料の安定供給確保のため、輸入割当て制度の柔軟な運用を行うというふうになっていると思うんです。
 この原材料の価格が高騰して経営環境が悪化する中において、原材料の確保が困難な中小企業、大手はまあそれなりにというのは、中小企業については原材料が行き渡っていないというのもあるので、行き渡るような支援策を講じる必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) 大事な御指摘だと思います。イカの加工業者の方々は今、加工原料の確保ができず、厳しい状況に直面をしております。このような中で、輸入原料の確保に支障が出ないように、平成二十九年九月、昨年の九月に三万八千トンの輸入割当てを追加をいたしました。さらに、今年になってから三月には、例年発表している年度当初の割当て、これ七万四千九百五十トンなんですが、これと同時に一万二千トンの追加の輸入割当てを行ったところであります。
 御指摘のように、輸入割当てにつきましては主に水産加工業者や輸入商社に割当てを行っているところでありますが、水産加工業者への割当てにつきましては水産加工に関する全国団体へ割当てを行っておりまして、昨年九月の割当てに当たりましては、これらの全国団体に対して、加工業者の要望数量等を十分把握の上、輸入した原材料を必要とする加工業者に輸入枠を適切に配分するよう、水産庁長官より改めて指導を行ったところであります。
 小規模事業者を含め輸入枠の適切な配分が行われるよう、今後とも、水産庁、農林水産省、関係団体を指導していくこととしておりまして、引き続き目配りをしていきたいと思います。

○紙智子君 三月九日付けの河北新報で、「大船渡・水産加工場 不漁続けば廃業危機」と題して報道されているんですね。その報道の中で、大船渡湾の冷凍水産加工業協同組合の役員の方が、事業計画どおりに復興できない事業者がほとんどだと、返済期間の延長など長い目で支援してほしい、これ以上不漁が続けば廃業が増えるんじゃないかというふうに訴えているんです。
 東日本大震災から七年が経過した今ですけれども、これまでの被災者への支援策が打ち切られる、期限が来たということで、そういう状況があるんですけれども、例えば固定資産税の減免というのは五年ですよね。二重ローンも五年で、これは延期するとなったわけだけれども、そうするともう支払がこれからは出てくるということになると。
 漁村の雇用を支える水産加工業が復興途上の中で、被災業者や被災者への支援策について、政府全体としてやっぱり期限の延長などを含めた見直しをすべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか、大臣。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) これまでも、先ほどのアンケート調査ありましたけれども、いろいろ被災地の実情を伺いながら、被災地水産加工業者の復興に向けた支援策を講じてきているわけであります。具体的には省略をさせていただきますが、今後とも、やはり被災地水産加工業の復興状況の把握に努めながら、復興庁を始めとする関係省庁、自治体とも連携をして、地域の状況をしっかり踏まえて、適切に対応しながら、被災地水産加工業の復興に取り組んでまいりたいと考えています。

○紙智子君 被災地の復興を前進させるためにも、是非農水省としても、この水産加工業者の皆さんの経営が維持できるように、よく把握してという話ありましたけれども、是非力を尽くしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 次に、クロマグロの資源管理について質問します。
 クロマグロの資源を管理することは必要だから、これは賛成なんです。資源管理をめぐってまだ現場は混乱していると思うんですね。二〇一八年から、太平洋クロマグロ漁にTAC法を適用することになりました。それで、漁獲枠を超過しそうになると捕獲の停止命令を出して、違反する者に罰則が掛かると。これ、なぜ罰則を掛けるんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤健君) まず、クロマグロの資源量は過去最低水準付近にありまして、加盟国は漁獲枠を確実に守るために必要な措置を講じなければならないとされている二〇一四年に採択された中西部太平洋まぐろ類委員会の保存管理措置がございまして、これを遵守するということは、クロマグロの最大の生産国であり消費国である我が国の責務であると考えています。このため、二〇一五年一月から、定置漁業等の沿岸漁業を含めた全ての関係漁業者による漁獲量管理に取り組んできたところでありますが、現状は委員御案内のとおりだと思います。
 TAC法に基づく数量管理の導入は、採捕停止命令を含む法的措置の下に管理を行うため、水産政策審議会や広域漁業調整委員会での議論を経て、昨年四月に決定されていたものでございます。本年六月末までの第三管理期間における小型クロマグロの漁獲量は現時点で三千三百六十八トンと、漁獲枠三千四百二十四トンの九八%にまで既に達しておりまして、漁獲枠を確実に守っていくための万全の対策が必要だと考えております。

○紙智子君 TAC法を適用するのは、沖合漁業が二〇一八年で、今年の一月からですね、沿岸漁業は七月からというふうになっています。
 ところが、昨年、定置漁業において、僅か数日であらかじめ決めていた漁獲枠を超えてしまう状況が発生しました。そこで、水産庁は、一月二十三日に、現在の漁獲枠を超えた漁獲になることが想定されるために全ての沿岸漁業者に対して操業自粛を要請したと。操業自粛要請は関係者の理解を得ているのかということが一つあります。
 それからまた、今年からは本格的にTAC法が適用されますけれども、枠を超えたとして、法律で一方的にこれ罪人をつくってしまうやり方がいいのでしょうかと思うんですが、いかがでしょう。

○政府参考人(水産庁長官 長谷成人君) TAC法における沿岸漁業者に対する罰則の適用は、まず、配分された漁獲枠を超過するおそれが著しく大きいと認められた場合において、都道府県知事が採捕の停止などの命令を行うことが前提となります。その上で、その命令に違反して採捕等を行った場合に初めて罰則が適用されることとなります。
 七月からの第四管理期間に向けましては、まずは各都道府県における留保枠の設定、あるいは配分された漁獲枠の更なる細分による責任の明確化、漁獲のきめ細かい報告体制の整備などによりまして、そもそも採捕停止命令を発するような事態になることをまずは回避することが必要、重要というふうに考えております。
 これまでも、都道府県との意見交換会を始め、水産政策審議会や広域漁業調整委員会等、様々な機会を捉えて関係者の意見を伺ってきたところであります。今日も長崎の方で、北海道のその関係者も長崎の方へ出向いて、長崎の方に事情を説明したりというようなこともして、関係漁業者の理解が深まるように水産庁としても取り進めているところであります。
 今後とも、全国各地で都道府県が主催する説明会にも、その長崎も一つの例なんですけれども、水産庁の職員、積極的に派遣させまして、採捕停止命令を含めた制度全体についての漁業者の理解が得られるようにしっかりと努めていきたいというふうに考えております。

○紙智子君 元々二〇一五年から始まった小型マグロ漁獲枠の規制というのは、これ沿岸漁業者に混乱を引き起こしているんですよね。やっぱり一方的に言っているだけだったら理解得られないというふうに思うんですよ。
 それで、事前の説明も実は不十分だったという話も出ています。今年からは罰則まで付けて資源管理をするわけです。水産庁は、この沿岸のクロマグロ漁で漁業者の経営と生活が成り立つ見通しを持っているのかというところをちょっと説明していただきたいと思います。

○政府参考人(水産庁長官 長谷成人君) 先ほど来、外国船の影響という話も出ている中で、クロマグロ、先ほど来申し上げているように非常に資源状態が悪い中で、日本だけで取り組んでも効果が期待できない状況だったわけです。その中で、国際交渉の中で韓国ですとかメキシコについても同意が得られたという条件の中で、何とかこの機会に資源を回復させたいということで取り組んできたというのがございます。
 説明が不十分であったのではないかという御指摘もありますけれども、我々としては先ほども申し上げましたような審議会ですとか委員会ですとか様々な場で説明を尽くしてきたつもりではありますけれども、今後もっと頑張りたいというふうに思っております。
 それで、現在は、そういう状況なものですから、昨年十二月以降、これまでも収入安定対策、漁業共済とその積立ぷらすというものを活用して沿岸漁業者を含めて経営の安定に資するようにというふうにやってまいりましたけれども、このクロマグロの状況を踏まえまして休漁等への減収に対する支援を行ってきておりますけれども、昨年十二月以降、更にということでクロマグロ資源管理促進対策を打ち出したところであります。
 具体的には、定置網、これはまた日本の漁業実態を踏まえてというお話もありました。定置網という魚種を選択、なかなか難しい漁法が沿岸漁業のかなりの部分を占めているというのがまた日本の実情なわけですけれども、その定置網においてクロマグロの混獲を防ぐために漁業者が行うクロマグロの放流作業や魚探、魚群探知機などの機器導入への支援ですとか、定置網におけるクロマグロの混獲回避のための技術開発によりまして、まずは何とかクロマグロの漁獲を抑制しつつ、ブリだとかサケだとか主要な魚種を狙った操業ができるようにしつつ、それでも放流など更に、更に強度な資源管理に取り組む沿岸漁業者を対象にいたしまして、その漁業収入安定対策事業、共済と積立てを組み合わせた事業でありますけれども、この強度資源管理タイプにおける払戻し判定金額を原則平成二十九年の水準から下回らないようにするという拡充措置を講じたところであります。
 このような支援策を通じまして、クロマグロの資源回復に取り組む漁業者の経営安定を図りながら、何とか資源を回復させていきたいというふうに思っております。

○紙智子君 ちょっと時間が来てしまったんですけれども、積立ぷらすに入っていない漁業者もいて、やっぱりその基準年でも生活できないというふうに多くのマグロの漁業者からも資源管理についての意見を聞いているんですけれども、マグロが増え過ぎて他の漁業にも影響すると。マグロが集まってイカや小魚を食い尽くすと。ヨコワと言われるんですね、小さいのはね。それが付くと途端に一匹も捕れなくなると言われているんですね。

○委員長(岩井茂樹君) 時間が参りましたので、質疑をおまとめください。

○紙智子君 マグロだけで操業している漁業者は漁業制限を一隻分で割ると年間七十キロ、金額にすると十万円しかならないと。生活ができないというんです。このままだったらもう撤退せざるを得ないような沿岸漁業者が出かねないということなので、そこのところを是非、大臣許可の枠組みを見直していただきたいと、配分のところもですね、そこのところは沿岸に厚くしてほしいということを是非求めまして、質問を終わりたいと思います。