<第195回国会 2017年12月12日 農林水産委員会>


◇日EU・EPAとTPPのもとで、改めて生産基盤の弱体化を問う/酪農家の所得向上に向け、畜産価格の算定方式の見直しを要求/日EU・EPAの速やかな情報公開を求める/国産チーズや生乳生産への影響をただす/歯止めなき自由化交渉からの撤退を求める

○農林水産に関する調査
(畜産物等の価格安定等に関する件)(畜産物価格等に関する決議の件)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 私たち日本共産党国会議員団として、昨日、畜産、酪農に関する申入れを行いまして、齋藤大臣には快く受けてくださってありがとうございました。
 その上で、今年の畜産価格の決定は従来にない重要な局面で行われることになりました。一つは、日EU経済連携協定、いわゆる日EU・EPAと、そして包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定、CPTPP、TPP11というふうに言いますけれども、こうした貿易交渉の下で迎えたということが一つ。もう一つは、酪農家の所得を増大させる名目で加工原料乳生産者補給金暫定措置法を廃止し畜産経営安定法に改定したと。制度が変わった下で迎えるということです。
 言わば、貿易交渉の結果、日本の畜産、酪農経営が新たな嵐の中に突入すると。国内的に言えば、規制改革推進会議が酪農、畜産経営に介入する意見を取りまとめて、安倍総理が責任を持ってこれを実現するんだというふうに言った規制改革の嵐の中で迎えたというふうに思います。嵐は過ぎればまた平穏に戻るわけですけれども、この二つの嵐は、これから本格的に酪農、畜産経営に大きな影響を及ぼすことは間違いないと思うんです。
 齋藤大臣にお聞きしますけれども、この北海道、まあ北海道多いんですけれども、酪農経営は既に生産基盤の弱体化ということが指摘をされているわけです。再生のめどが立っているのかといえば、見えていないと。そういう中で、この二つの嵐が吹き荒れて、もう生産基盤の弱体化に歯止めを掛けることができるのでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤 健君) 我が国の酪農におきましては、高齢化等による酪農家の経営離脱に伴い飼養戸数が減少をすると、そして交雑種生産の増加によりまして乳用後継牛が減少するなど、生産基盤の強化というものは喫緊の課題になっているということ、そういうふうに認識しております。
 このため、まず畜産クラスター事業による収益力の強化ですとか高齢化に対応する労働負担の軽減やコスト低減を図るために、酪農ヘルパー、TMRセンター等の作業の外部化や搾乳ロボット等の省力化機械装置の導入、あるいは乳用後継牛を効率的に生産するための雌の性判別精液の活用等の取組を支援して、その体質の強化を図っているところであります。
 それに加えて、御指摘ありました生乳改革によりまして、加工原料乳生産者補給金制度については、平成二十九年度より生クリーム等液状乳製品を追加して単価を一本化して、そして生乳改革の法案によりまして制度を恒久化をするという手を打たせていただいておりまして、この面からも酪農経営の安定を図っていきたいと考えております。
 また、日EUのEPAにつきましては、関連政策大綱でその方向性をしっかり出したので、それに従って、これから補正予算を含めて対策を講じていきたいと考えているところでございます。
 いずれにしても、意欲ある酪農家が将来にわたって希望を持って営農に取り組めるように、様々な課題に対応していきたいと考えております。

○紙智子君 いろいろな対応策やっているということではあるんですけれども、北海道の酪農家はこの十年間で八千三百十戸から六千三百十戸と二千戸減っているんですね。毎年二百戸ずつ減っていると。これ、歯止めが掛かっていないわけです。頭数でいえば、五万六千六百頭も減っているわけです。ですから、基盤が縮小していると。家族経営を始めとした多様な担い手がやっぱり希望を持って営農を続けるということは、地域コミュニティーを維持する上でも本当に重要になっているわけです。
 政府の農業競争力強化プログラムで、生産者が出荷先等を自由に選べる、所得を増大させていくんだと、そのために制度を見直すというふうに言って畜産経営安定法を改定しました。今回のこの畜産物価格の決定というのは、法改正後の出発点になるわけですね。畜産関係者も注目していると。畜産価格の決定が、一部の酪農家だけではなくて全ての畜産酪農家の所得が増大する、そういう決定になるというふうに理解してよろしいでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤 健君) 今回の補給金制度改革は、補給金の交付対象を拡大をして、出荷先等を自由に選べる環境の下で、生産者による創意工夫を促して所得を増大させるということを目的といたしております。
 具体的には、改正畜産経営安定法によりまして、まず、生産者の生乳の仕向け先の選択肢が広がり、自ら生産した生乳をブランド化し、加工、販売する取組など、創意工夫による所得向上の機会を創出しやすいというふうになる。それからもう一つは、現在の指定団体である農協、農協連についても、生産者の選択に応えるために、流通コストの削減ですとか乳価交渉の努力を促すことにもなると。また、これまで補給金をもらえないために飲用向け一辺倒だった、そういう生産者を乳製品向けにも計画的に販売する方向に誘導することができるなど、これらによって冬場等の飲用牛乳の不需要期の廉価販売にも歯止めを掛ける効果があるのではないかと考えているところでありまして、これで、ただ、新たに導入される年間販売計画におきましては、しっかりと乳製品仕向けの経営戦略を明確にすることで、より消費者ニーズの高い用途や付加価値の高い国産乳製品の製造が促進をされていくと。その結果、乳業メーカーが得られる利益を基とした乳価の形成にも効果があるのではないかと考えているわけであります。
 以上のように、改正畜産経営安定法によりまして、それぞれの酪農家の所得向上につながるような努力が促されるような、そういう環境が整うんじゃないかと考えております。

○紙智子君 全てのところに行き渡るように環境が整うんじゃないかと言われましたけれども、本当に、一部だけじゃなくて全ての畜産、酪農家の所得向上につながるようにすることが大事だと思います。
 酪農家の所得を上げる上で大事なのは、継続して再生産できるように生産費を償えるものにすることだと思うんです。今の補給金単価の算定方法は、生乳一キログラム当たりの生産費、三年間の平均ですけれども、生産費の変動率を乗じて算定する方式になっていると。そうすると、飼料代などのコストが上がっても、三年間で平均されるために変動は微々たるもので、補給金の単価って、いつも何銭、何銭というその程度のことなんですね。ですから、生産現場の人は今の算定方式では所得増えない、現にこの間も離農が相次いでいると。だから、生産コストと販売価格の差を補填するような仕組みが必要なんだということが言われているわけです。
 法改正は酪農家の所得を上げることが目的だということですから、この算定方式もやっぱり見直すべきじゃないのかなと、前から言っているんですけど、いかがでしょうか。

   〔委員長退席、理事舞立昇治君着席〕

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤 健君) 実は、加工原料乳生産者補給金単価の算定方式につきましては、平成二十九年度の予算において大幅に見直しを行っておりまして、生クリーム等の液状乳製品を補給金の交付対象に追加をしたと。これ、従来御説明したとおりですが。
 それから、それまでのバター、脱脂粉乳等向け及びチーズ向けといった用途別の単価から一本化した単価としたわけでありますけど、この際、実は平成二十九年度は生産コストから乳製品向け乳価を差し引いて、そして平成三十年度以降は生産コスト等の変動率方式により算定するというふうにこのときに実はさせていただいているところでございます。

○紙智子君 三十年度以降そういう変動率にしたという話なんだけど、輸入品と競合しない飲用向けの生乳は価格が生産コストを上回っているんですね。ところが、輸入品と競合する乳製品向けの生乳というのは価格が生産コストを下回っているんですね。加工原料乳の生産者補給金というのは、やっぱり再生産が可能となる水準まで上げるべきだというふうに強く言いたいんです。北海道の飛田会長も、今の十円、少ないと、もっと上げるべきだと言っていますけれども、是非そのようにしていただきたいというふうに思います。
 次に、集送乳調整金についてなんですけれども、今回から生産者補給金とは別に集送乳調整金を決めることになりますけれども、生産者補給金とこの集送乳調整金の違いについて説明を、ちょっと簡潔にお願いいたします。時間があるから。

○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元 真徹君) 生産者補給金は、年間販売計画を作成して農林水産大臣に提出をいたしまして、年間を通じた用途別需要に基づく安定取引である等、計画が一定の基準を満たしてある事業者に対して、取引乳価が生産コストを下回る加工原料乳の再生産を確保するために交付するものでございます。この単価については、法律八条一項におきまして、生産費その他の生産条件、生乳、乳製品の需給事情並びに物価その他の経済事情を考慮して、生産される生乳の相当部分が加工原料乳であると認められる地域における生乳の再生産を確保することを旨として定めるというふうにされてございます。
 一方、集送乳調整金でございますが、これは加工原料乳につきまして、例えば酪農家の所在地が乳業工場から距離が遠い等により相対的に高い集送乳経費を要する区域を含めまして、指定事業者が平準化措置をとることを前提にあまねく集送乳を行うことを確保するために交付するものでございまして、この単価につきましては、法律の十五条二項におきまして、指定事業者が集送乳に通常要する経費の額から効率的に集送乳が行われる場合の経費の額を控除して得た額を基礎として定めるというふうにされてございまして、このため、御指摘のように、生産者補給金の単価には効率的に集送乳が行われる場合の経費の額が含まっていると、そういうことでございます。

○紙智子君 ちょっと確認します。
 集送乳調整金単価の算定に当たっては、現行の指定団体が果たしている機能に見合った単価水準にするという問題と、それから全国的な需給調整に要する経費を反映するということ、それから部分委託等による掛かり増し経費を反映するということ、それから集送乳コストの高い地域を含めてあまねく生乳を集める計算を算定要素にするということが必要だと、こういうことでよろしいんでしょうか。もう一度、簡潔にお願いします。確認します。

○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元 真徹君) 今御説明しましたとおり、集送乳調整金は、加工原料乳につきまして、例えば酪農家の所在地が乳業工場から距離が遠い等により相対的に高い集送乳経費を要する区域を含めて、指定事業者が平準化措置をとることを前提にあまねく集送乳を行うことを確保するために交付するものでございます。
 この単価につきましては、法律の十五条二項におきまして、集送乳に通常要する経費の額から効率的に集送乳が行われる場合の経費の額を控除して得た額を基礎として定めるということで、これから審議会等の意見を聴いて適切に決定してまいりたいと存じます。

○紙智子君 新制度に移行するに当たって、生産者の事務負担が煩雑になるという声も聞かれているんですね。事務負担を軽減するように、この点は要求をしておきたいと思います。
 そこで、ポイントは、生乳の需給調整と安定供給にこれ誰が責任を持つかということなんです。
 加工原料乳生産者補給金等の暫定措置法の下で、農協や指定生乳生産者団体には四つ機能がありましたよね。輸送コストの削減、それから条件不利地域の集乳、三つ目は乳価交渉力の確保、四つ目に飲用向けと乳製品向けを調整すると、この四つの機能がありましたけれども、なぜこういう機能が必要なのかといえば、やっぱり生乳は傷みやすいということもあり、生乳の生産量や牛乳等の消費は、僅かな変動でもこの生乳需給というのは不足と過剰を繰り返す、それから、飲用向けの販売に集中した場合に乳価が暴落すると。そして、生乳の需給調整と安定供給、これは一体そういう中でどこが担うのかなということなんですけど、いかがでしょう。

○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元 真徹君) お答え申し上げます。
 新制度におきましても、これまで同様、補給金の交付に当たりまして、需給変動も含めた生乳全体の需給を見込んだ上で、加工原料の需要量であります交付対象数量を示すことで、その数量が飲用、加工用の仕向け、また生乳全体の増減産に係る目安とすることとしてございます。その上で、改正法におきましては、現在の指定団体以外に出荷する者も補給金の対象とすることによりまして、飲用向け一辺倒ではなく、乳製品向けにも販売する方向に誘導することができるというふうに考えてございます。
 具体的には、補給金の交付を受けようとする事業者に対しまして年間販売計画の提出を義務付けまして、基準に適合する場合には、事業者ごとに交付対象数量を通知いたします。また、加工向けの実績を四半期ごとに確認いたしまして、計画に比べて実績が大幅に減少している場合には当該事業者の交付対象数量を削減いたします。これらによりまして、生乳需給の安定、生乳供給の安定を図る仕組みができているというふうに考えてございます。
 政府といたしましては、制度を適切に運用することによりまして、生乳の需給の安定を通じた酪農経営の安定を図ってまいりたいと存じます。

○紙智子君 暫定措置法を廃止したことによって、生産者団体が持っている機能、骨格が四つあったわけだけれども、条件不利地域の集乳はやれることになると思うんだけれども、全体としていえばこれ崩れているんじゃないかと思うんですよ。ですから、私はやっぱり需給調整はちゃんと国が見て責任を持つべきではないかというふうに思います。

   〔理事舞立昇治君退席、委員長着席〕

 次に、日EU・EPA、TPP11についてお聞きします。
 この間、北海道、群馬、茨城と、経営努力を行っている農家の話も聞いてきました。ある農家は四人家族で四十頭の牛を大事に飼って、牛乳、ヨーグルト、チーズを生産し、販売していると。良い牛乳は良い堆肥、土作りからだと言って、農薬を使わない牧草、飼料トウモロコシを作り、食べさせて、牛にも人にも優しい飼い方でこそ誰にも負けない品質の良いものができるんだと言っているんですね。ホルモン剤使ったり牛を酷使する米国の酪農を見てきたことがきっかけだったそうなんです。
 そこで、自由化ですけれども、振り返ると、これ、TPPや日豪EPAはこうした農家からも国会決議守ったのかということで、そこに論点が一つありました。今や政府・与党は、国会の関与がなくなったかのように、TPPがスタンダードだと言って貿易交渉を続けているわけです。しかし、TPPに反対する多くの市民や農業関係者、そして基幹産業と位置付ける自治体は、TPPの強行劇に至るその経過を忘れてはいないわけです。それなのに、国民を言わば置き去りにしたまま日EU・EPA、TPP11を既成事実化しようという形ですよね。十二月八日に安倍総理は欧州委員会のユンケル委員長と電話会談して、日欧EPAの最終合意を確認したということが報道されました。
 まずお聞きしますけれども、日本政府はこの日EU・EPAのテキストをいつ公表するんでしょうか。

○政府参考人(外務大臣官房参事官 小泉 勉君) 今委員からお話ございましたとおり、日EUのEPAにつきましては、先週金曜日、十二月八日に安倍総理と欧州委員会のユンカー委員長との間の電話会談を持ちまして、交渉の妥結、これは確認をいただいたというところでございます。
 今お尋ねのございました協定のテキストについてでございますが、この協定のテキストそのものは今回の交渉の妥結の時点ではまだ確定をしておりませんで、この後、引き続き法的な精査等様々な作業を経まして、最終的には署名をもって確定をするということになるわけでございます。したがいまして、無用な混乱を招かないという観点から、政府といたしましては、現時点でのテキスト案そのものの公開は差し控えをさせていただいておるところでございます。
 一方で、このEPAの内容につきましては、大枠合意、七月の頭の大枠合意以降、ファクトシートの作成、公表あるいは国内各地での説明会の開催等を通じまして説明を行ってきておるところでございまして、今後とも、できる限りの情報の提供、御説明をさせていただきたいというふうに考えておるところでございます。

○紙智子君 大体、電話でやることかと。我々全然議論していないですよ。情報も出していないですよ。何で勝手に電話で決められるんですか。本当にこれひどい話だと思うんですよ。
 それで、EUは十二月八日に交渉テキストはもうすぐ公開しているわけですよ。署名を終えたらやるという話したんだけれども、一体いつになるのかということを私たち待っていなきゃいけないわけですか。私は齋藤大臣に言いたいんですけど、是非農水大臣として、大臣のイニシアチブでこれを早く公開するように働きかけていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤 健君) 内容については大枠合意のときに発表させていただいているわけであります。ただ、細かい多分文言のドラフティングというものに、向こうは何か国も何か国語もあるものですから、最終的なドキュメントにするには時間が掛かるというふうに認識していますが、私どもとしては、できるだけ早くそれは作成していただきたいというように思っております。

○紙智子君 日本語でもやるんですね。

○政府参考人(外務大臣官房参事官 小泉 勉君) EUとの間におきましては、交渉そのものは英語で進めてきておりましたけれども、最終的な成果物になります協定の文書そのものは、日本語を含めまして、英語以外のEUのほとんど全ての公用言語も含めて正文となるということで了解をしておるところでございます。

○紙智子君 そこで、乳製品についてお聞きします。
 ソフト系のチーズは、乳脂肪四五%以上のクリームチーズ、モッツァレラ、ブルーチーズ、カマンベール、プロセスチーズ等五品目は、横断的EU枠を設定をして、初年度で二万トンから三・一万トンに拡大する、二九・八%の関税はこれは撤廃と、TPP水準を超える内容になっているんですね。
 TPP水準でも国内生産に影響があるというふうに言われているのに、なぜ日EU・EPAではTPPを超える水準をいとも簡単に認めたんでしょうか、大臣。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤 健君) この日EU・EPAとTPPの比較ということでありますが、乳製品の品目ごとに合意結果が凸凹していて異なるわけでありますね。ですから、日EU・EPAの合意内容がTPPより、それを深掘りしているとかしていないとかいうのは、乳製品全体で私はそういう指摘は当たらないと思っております。
 具体的には、バターや脱脂粉乳等については、関税割当てをTPPに対しては七万トン、これは生乳換算ですけれども、のところを日EU・EPAでは一・五万トンというふうにとどめておりますし、ホエーにつきましては、TPPに対しては関税撤廃をしているということでありますけれども、日EU・EPAではTPPにおける初年度の関税水準の三割を維持するという結果になっているわけであります。
 チーズにつきましては、ハード系チーズ等はTPP、日EU・EPA共に関税撤廃しましたけれども、共に長期の撤廃期間を確保しております。ソフト系チーズについては、TPPで関税維持や撤廃、削減となったものも含めて、日EU・EPAでは横断的な関税割当てという形で設定をしたということになっておりますので、TPP、日EU・EPA、それぞれの貿易実態、あるいは貿易の関心を踏まえたものとなっているわけでありまして、単純に比較ができるというものではないと思っております。

○紙智子君 いろいろバランス取っているんだという話だと思うんですけれども、TPPの協定の際には物すごい議論になったわけですよね。何の歯止めもなくTPP以上の合意を簡単にしたと、しかも、従来の一括全分野合意ではないわけですよ。EU枠を設定したというふうに言っても、これ乳製品の国境措置を緩和すれば国内の生乳生産に影響が出るというふうに思うんですね。
 政府は、飲用向けと乳製品向けの消費は五年後に逆転するとこれまで言ってきたわけです。飲用向けは平成三十七年には三百五十九万トンになるんだと、乳製品向けは三百八十五万トンに増えて、これ逆転するんだというふうに見込んでいるわけです。そうすると、乳製品の市場というのは、これ貿易の自由化で競争が激化するんじゃないかと思うんですね。
 そして、乳製品を扱う業界というのは、やっぱり為替相場や輸入価格を見ながらこの原料の調達先を考える動きが進んでくるんだと思うんです。輸入価格でいうと、キログラム当たりオーストラリア三百六十三円とかニュージーランドが三百七十五円とか、その他いろいろドイツとかオランダとかとあるんですけれども、輸入業者から見ると調達先はTPP諸国、それからEU諸国まで広がるということで、どんどん安くしていくという方向になるわけですね。そうすると、生乳生産から撤退せざるを得ない酪農家が増えることになるんじゃないか、それ避けられないんじゃないかと思うんですよ。
 で、乳製品のこの国境調整措置の緩和、撤廃が進んで、乳価の下落、生乳生産の縮小、不足するこの乳製品の輸入拡大といった悪循環に陥るんじゃないかと。これ、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 齋藤 健君) 今回のEUとの合意は、牛乳、乳製品については、ソフト系チーズは関税割当てにとどめたし、脱脂粉乳、バターは国家貿易を維持したこと等によりまして、当面、輸入の急増があるということは見込み難くて、国内需給への悪影響は当面回避できていると思っております。ただ、長期的には、競合する国産の脱脂粉乳あるいはチーズの価格下落等が生じることによりまして、加工原料乳価の下落も懸念をされるというふうに分析をしております。このような中、改訂されました総合的なTPP等関連政策大綱においては、だからこそ体質強化対策について、これまでの実績の検証等を踏まえた所要の見直しを行った上で、必要な施策を実施するというふうに決定をさせていただきました。
 また、日EU・EPAにより必要となるチーズを中心とする乳製品対策につきましては、累次お話しさせていただいておりますように、国産チーズ等の競争力を高めるとともに、その需要を確保し、将来にわたって安定的に国産チーズ等の生産に取り組めるようにすること、あるいは原料面で原料乳の低コスト、高品質化の取組の強化、製造面でコストの低減と品質向上、ブランド化等を推進することとこの対策でされておりまして、これに基づきまして、具体的にこの補正予算含めて酪農分野の必要な対策にしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。

○委員長(岩井茂樹君) 時間が過ぎておりますので、質疑をおまとめください。

○紙智子君 今、当面は大丈夫だけれども、長期的には大変だという話で対策言われたんだけれども、必要なことは、やっぱり生産を支える、環境を支える、地域コミュニティーを支える、そういう意味では循環農業を確立するということが大事で、そのためにも、ヨーロッパで常識になっている乳価の下落対策、それから所得補償制度、これが求められているということを強調したいし、歯止めなき自由化交渉からは撤退すべきだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。