<第195回国会 2017年12月7日 農林水産委員会>


◇軽種馬生産農家の現状を示し、施設整備などの支援策を求める/離農者への支援策を要求/馬の新たな魅力の研究・普及を/ギャンブル依存症対策として、競馬場などにあるATMの撤去を求める

○競馬法の一部を改正する法律案

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 競馬法の改正案についてお聞きします。
 競馬法は、国及び地方公共団体の財政に寄与するとともに、畜産業の振興等を図るという目的で制定されました。本改正案は、地方競馬全国協会の行う業務に対して地方競馬全国協会からの繰入れと、それから日本中央競馬会からの資金の交付の措置を五年間延長するというものです。そして、競走馬生産振興事業というのは、これ、軽種馬の農家やあるいは軽種馬産地に対しても支援するものだと理解しております。
 そういうことですけれども、どのようなこの間効果があったのかということについてまずお聞きします。
○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元 真徹君) お答え申し上げます。
 今の御指摘ございました競走馬生産振興事業でございますけれども、地方競馬の不振に起因する競走馬の需要減少等に対応いたしまして、馬産地の生産構造の強化を図るために平成十七年度から実施してございます。
 具体的には、優良な種牡馬、優良な繁殖牝馬の導入、先駆的な軽種馬生産施設の整備、市場上場馬の脚部レントゲン、上部気道の内視鏡検査、あと馴致への取組の支援、あと負債の長期低利資金への借換えなどに対する支援を行ってまいりました。これらの対策ですとか、軽種馬生産者の方々の経営改善への取組によりまして、競り市場での上場馬の売却率や販売価格が上昇するなど、明るい兆しが見え始めているところでございます。
○紙智子君 それで、齋藤大臣にお聞きしたいんですけれども、先ほど来いろいろお話があったんですけど、北海道の日高地方における軽種馬生産というのは、古くは明治時代における軍馬育成から始まっていると。それで、第二次世界大戦後の財政逼迫の時期に競馬法が制定されて以降、高度成長期には国策として一方で米の減反というのがあったわけですけれども、軽種馬生産への急激な転換ということになって進められてきたという経過があります。
 それで、生産者はオグリキャップを始めとしてたくさんの名立たる名馬を生み出してきたと。そして、中央競馬や地方競馬で走る馬を支えるということでやってきたわけです。こうした馬産地の日高の役割といいますか、位置付けについて、大臣の御認識をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(農林水産大臣 齋藤 健君) 北海道日高地方は、平成二十八年の調査におきまして、全国の軽種馬生産農家数の八四%、軽種馬生産頭数の七九%を占めておりまして、今御指摘のように、現状だけでなく歴史的にも我が国最大の馬産地であると認識しています。
 強い馬づくり、魅力的なレース編成といったファンの求める競馬を提供するに当たりましては、馬資源の確保というのは極めて重要でありますので、その生産を担う日高地方が果たす役割は極めて重要であるというふうに認識をいたしております。
○紙智子君 それで、この競走馬生産振興事業に資金を交付する改正で効果が上がっているというふうに先ほど紹介があったわけです。
 ところが、北海道日高地方でいえば、生産農家が二〇一一年は八百三十六戸だったのが二〇一六年には百戸以上減っていると、七百二十五戸。先ほど徳永さんが幾つか数字紹介していて、ちょっと微妙に年数が違うので違いはあるんですけれども、それから、生産頭数は二〇一一年のときに五千六百三十頭だったんだけれども、二〇一六年には五千四百五十三頭ということで、二百頭減っているわけですね。
 ですから、改善の方向、兆しということなんだけれども、こうした生産農家が減っているのはなぜでしょうか。
○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元 真徹君) お答え申し上げます。
 地方競馬主催者の収益でございますけれども、平成二十六年度に全てに黒字になったというふうに御説明いたしましたが、それまでコストの削減を中心として経営改善を行ってまいりました。これは、逆に言いますと、賞金ですとか諸手当などを充実させるというところまでは至っておらず、そういうことから、生産者が生産する馬の購買意欲の低下等々もあって、地方競馬の登録頭数、また生産戸数、こういうのも平成二十七年まで減少し続けてきたんだろうというふうに思ってございます。こういう中で、軽種馬生産者の経営状況につきましても、多くの生産者が負債を抱えるなど厳しい状況にあるというふうに理解をしてございます。
 しかしながら、競馬活性化への支援策等の効果もございまして、平成二十八年から登録頭数が増加に転じました。また、市場の売却率、平均価格も上昇を続けておりまして、そういう意味では生産現場にとっては明るい兆しが見え始めてきているというふうに思ってございます。
 引き続き、地方競馬の活性化の取組を支援いたしますとともに、馬産地の要望等も踏まえました強い馬づくりに資する競走馬生産振興事業を通じまして、軽種馬生産農家の経営の安定を図ってまいりたいと存じます。
○紙智子君 今御紹介あったんですけれども、競馬事業者について言えば経営は改善されているんだけれども、農家の生産頭数が減少したということでいえば、やはり農家の経営実態というのが依然として厳しい状況にあるということだと思うんです。
 日高地方の二〇一〇年の産駒一頭当たりの生産費というのは、費用合計で五百四十三万六千円と。その内訳ということでいうと、種付け費で二百十三万九千円、全体の三九%を占めると。それから、労働費が百四十万九千円。そのほか、餌代なども経費が掛かるわけですね。販売価格の低下があって粗収入が四百五十四万八千円ということで、生産費総額を下回っている。ですから、利益がマイナスということで、赤字なわけですよね。
 全国の生産農家の九割を占める北海道日高地方が衰退してしまったら、これレースを走る馬がいなくなってしまうということだと思うし、そうすると、中央競馬や地方競馬を支えられなくなるんじゃないかと。ひいては、競馬法が、国及び地方公共団体の財政に寄与するとともに、畜産業の振興等を図るという目的ですけれども、その目的が達成できなくなってしまいかねないというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元 真徹君) お答え申し上げます。
 日高地方、我が国の軽種馬の約八割を生産してございまして、日高地方で軽種馬が安定的に生産、供給されるということは、競馬を実施する上で極めて重要でございます。
 競馬法の目的でございます畜産の振興、また地方財政の改善を図るためには、中央競馬また地方競馬が活性化をし、生産者の方が上場する市場の売却率ですとか、売却平均価格の上昇等を通じて、日高地方を中心といたします馬産地振興、馬産地が発展していくということが重要だというふうに考えてございます。
 このため、地方競馬につきましては、本法案によりまして経営改善を確固たるものにしたいというふうに考えてございますし、馬産地の要望等も踏まえた強い馬づくりに資する競走馬生産振興事業の取組等も支援いたしまして、軽種馬生産農家の経営の安定も図ってまいりたいと、そういうふうに考えてございます。
○紙智子君 改めて、その法の目的からいったときに、馬産地の振興は重要だというお話がされたわけですけれども、今回の改正がその馬産地の窮状を打開するために役立つのかどうかというのを改めてお聞きしたいのと、それから北海道日高地方からも高齢化や担い手の減少によって生産農家や生産頭数が減少しているということで要請も上がってきていると思うんですね。生産基盤の拡大を図る担い手等を対象とした施設や機械の整備の支援、それから新規就農者、後継者ですよね、新規参入者も含めてですけれども、や労働力の確保など、切実なそういう要請、声が寄せられていると思うんですけれども、こうした産地からの切実な声にどう応えていくのかということについて、二点お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元 真徹君) お答え申し上げます。
 まず、最初の方の今回の法律の延長ということでございますが、仮にこれをお認めいただけないと、中央競馬会からの資金の供給がなくなりますので、競走馬生産振興事業を始めとする取組ができなくなります。是非ともお認めいただいてやってまいりたいというふうに思ってございます。
 また、もしお認めいただいてこの法律が成立いたしますと、地全協の方で活性化計画を作りまして大臣が承認するという形に入ってまいりますけど、その際にどういう事業をやっていくかということについては、当然ながら馬産地の生産者の方々、そういう方々の要望も踏まえながらやっていくということでございます。
 とりわけ、御指摘ございました経営を引き継ぐ後継者ですとか、従業員として働いて独立を目指している方ですとか、新規参入の方に対しては、現在も馬の飼養管理技術ですとか経営に関する研修ですとか、繁殖牝馬の導入ですとか、生産基盤整備を行う場合には補助率をアップするとかいうことをやってございますけれども、馬産地の要望等を踏まえながら、どういう取組にまた支援をしていくのかということはこれから考えていくということになります。
○紙智子君 昨年、日高地方で離農した農家四十戸って先ほども紹介ありましたけれども、その主な理由としては後継者が不在だと、それから経営不振と。負債が三千万とか五千万とかということであるわけですよね。今その持続可能な生産体制をつくろうということで、現場もいろいろ議論したり一層の努力をしているんですけれども、そのために、例えば安定的にお金が入ってくる預託馬の受入れを増やすだとか、あるいは馬だけでなくて馬とアスパラ生産とか馬と肉牛の生産だとか、そういう複合的にやる方向ですとか、あるいはイチゴへの転作とか経営転換の努力も含めてやってきていると思うんです。
 それで、北海道の事業の活用もしたり、町としてもハウスの貸出しとか独自の取組もやってきているわけですけれども、なかなか大変ということもあって、国としてもこの改正案のスキームで支援できるのか、あるいは新しい取組が更に要るのかということで言えば、知恵も出していただいて、是非この現地の努力に対して支援できないかというふうに思うんですけれども、これについていかがでしょうか。
○政府参考人(農林水産省生産局長 枝元 真徹君) お答え申し上げます。
 今お話ございましたとおり、日高地方、軽種馬農家の経営の安定化を図るために、軽種馬農家が園芸作物ですとか肉用牛の導入等による経営転換、また複合化を行う場合に自治体が支援を行ってございます。複合化はなかなかいろんな課題があることも承知をしてございます。
 農林省でも、日高で施設野菜、具体的にはイチゴでございますけれども、これへの経営転換に当たって、産地パワーアップ事業で生産に必要なパイプハウス資材の導入ですとか、共同選果施設の整備も支援してございます。
 今後ともこうした地元の取組、様々ございましたら、園芸の方でまいりますと、産地パワーアップ事業によります施設整備ですとか農業機械のリース、もし肉用牛等であれば畜産クラスター事業による繁殖雌牛の導入ですとか奨励金交付等々ございますので、現場の取組をそういう支援でまた後押ししてまいりたいというふうに考えてございます。
○紙智子君 今産地パワーアップという話もあったんですけど、なかなかこの使い勝手が悪いというのもあり、例えば既に借りていてそれで更にというのはできないわけですけれども、いろいろなちょっとそういう意味では工夫、努力が必要だということでもありますので、是非相談に乗って打開のための対策を考えていただきたいと思います。
 それから次に、今世界では新しい馬の文化づくり、馬の魅力を引き出す取組が広がっています。アニマルセラピーという試みがあるんですけれども、その中でも乗馬療育、ホースセラピーということで、この取組が、例えば精神の回復や身体の回復効果がいろんなそのアニマルセラピーの中でも著しく高いそうなんですよね。それで、欧米では保険が適用される医療として広く普及してきているという話で、ちょっと私も知らなかったんですけれども、そういう話を聞いたんですけど、大臣、御存じだったでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 齋藤 健君) 一般的に、動物によるセラピーの効果というものがあるというのは承知しております。
 近年は、乗馬や馬の世話等の体験による癒やしの効果を利用したホースセラピー、あるいは馬との触れ合いや馬のいる風景を観光資源として活用する取組ですとか、学校でのポニーの飼育など教育の現場で利用する取組ですとか様々な広がりが見られてきています。そういう認識をしております。
○紙智子君 それで、北海道浦河町では全国でも先駆的に障害児や障害者やあるいは高齢者を対象としてこのホースセラピーに取り組んでいるんですね。競馬の世界では速く走る馬のみが評価されるということなんだけれども、ギャンブルでもレジャーでもない、馬の新たな可能性や魅力を切り開いていこうということで期待もされていると。
 ですから、農水省として、新しい馬の魅力を引き出して可能性を発掘していくような研究や普及を是非していただきたいなと思うんですけれども、大臣、一言。
○国務大臣(農林水産大臣 齋藤 健君) 実は、引退した競走馬、これにつきまして、繁殖や乗用馬として利用されるわけなんですけど、より多様な利活用を進めるということで、日本中央競馬会では引退競走馬等の馬の多様な利活用普及推進事業を本年から開始をしております。
 この中でも、今委員御指摘のホースセラピーも重要な手段であるとして位置付けられておりまして、利用者の安全性等の諸課題もございますけれども、当省職員も参加して今検討が始まった段階でありますので、医療、福祉、観光、教育の各分野とも連携しながら多様な利活用が図られるよう後押しをしてまいりたいと思っております。
○紙智子君 よろしくお願いします。
 最後になりますけれども、ギャンブル依存症対策について、これ大臣にお聞きしたいと思います。
 一部の競馬場あるいは、中央競馬や地方競馬含めてですね、そういう場所や一部の場外馬券売場に競馬ファンの利便性向上を図るとしてATMが設置されていて、クレジットカードによるキャッシングサービスも利用可能になっているということなんですね。これは、簡単に現金が引き出せるために予想以上の過大な馬券購入につながるんじゃないかという批判が実は当初からあったと、なかなか厳しい批判がずっと続いているということでもありまして、是非、大臣、このATMキャッシングサービスを速やかにやめさせるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(農林水産大臣 齋藤 健君) 競馬におけるギャンブル等依存症対策については重要な課題だというふうに認識しておりまして、積極的に推進をする必要があると思います。このため、本年八月二十九日に第三回のギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議、これ私も出席をさせていただきましたが、ここにおいて決定されましたギャンブル等依存症対策の強化についてに基づいて、各競馬主催者が各般の対策を順次今実施してきているところであります。
 それで、御指摘のATMのキャッシング機能の廃止につきましては、まず、キャッシング機能を有するATMが設置されているのは七か所の競馬場と四か所の場外馬券売場であります。十一月二十日の伊勢崎場外馬券売場を皮切りに、既に七か所の場内、場外施設で廃止をいたしました。残り四か所ですけれども、そのうちの三か所につきましても十二月九日に廃止の予定であります。残りの一か所は年度内に廃止をする予定でありまして、着実に実行していきたいと思っております。
○紙智子君 この対策もとても大事だと思いますので、是非早急にやっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。