<第193回国会 2017年6月1日 農林水産委員会>


◇加計学園/山本幸三地方創生担当相、9月7日に日本獣医師会に会う/内閣府副大臣、何故、加計学園に決めたのか答えず/山本有二農水相、9月23日に日本獣医師会から要請を受けたことを認める/農林水産省が示した獣医師の需給見通しに影響すると告発

○農林水産に関する調査(獣医師等に関する件)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 加計学園について質問いたします。
 十一月九日の国家戦略特区諮問会議において、獣医学部を新設することが決まりました。私は、決定に至るプロセスを明らかにするように要求しましたけれども、誠実に回答する意思がないようで、いまだ明らかになっておりません。
 一方、文部科学省の前川喜平前事務次官は、獣医学部新設をめぐって安倍首相の意向が強く働いたことを示す文書は確実に存在していたと証言をし、その後、朝日新聞などの報道では、昨年九月から十月に和泉洋人首相補佐官に呼ばれて、国家戦略特区で獣医学部を新設するため、文科省が早く手続を進めるように要求されたというふうに言っているわけです。安倍首相の友人を優遇するために行政がゆがめられたのではないかという疑惑というのは、晴れるどころかますます深まっているというふうに言わざるを得ません。
 この問題で政府は説明責任を果たしているとは言えません。国会で真相を究明するために日本獣医師会や関係者をお呼びして議論を深めようというふうに提案をしていますけれども、参考人招致を与党は拒否をされると。事の発端はこれ、政府側にあるわけです。充実した審議が進むようにこの先も強く求めておきたいと思います。
 まず、内閣府にお聞きします。
 松本副大臣はこの諮問会議の取りまとめに至る経過を説明されているわけですけれども、獣医師会などから提出された慎重な意見があるというように答弁をされています。内閣府にはいつ頃提出されているんでしょうか。

○副大臣(内閣府副大臣 松本洋平君) 昨年十一月九日の特区諮問会議取りまとめに当たって、獣医師会等からどの時期にどういう形で意見が提出をされたのかということのお尋ねだと理解をしております。
 まず、昨年九月七日に日本獣医師会の酒井副会長、北村顧問が山本大臣を来訪いたしました。獣医師会の考え方を述べられ、そのほかのところでも非公式にいろいろとお会いをしたり電話などでお話をしたこともあるというふうに山本大臣からはお聞きをしているところであります。
 こうした、以前から一貫して獣医師会は慎重な立場であることや、特区ワーキンググループでの文科省、農水省との議論などから総合的に判断をいたしまして、まずは地域を限定することを山本大臣が御決断になったものであります。

○紙智子君 九月七日に会われて、そして実際話を聞いているんだけれども、慎重な意見というのはどういう慎重な意見でしたか。

○副大臣(内閣府副大臣 松本洋平君) 済みません、御通告をいただいていないので、山本大臣がその場でどのようなやり取りをしたかということを私はお聞きをしておりませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

○紙智子君 通告していますよ。通告しています。

○副大臣(内閣府副大臣 松本洋平君) 先日、山本幸三大臣が衆議院の地方創生特別委員会におきましてお答えになられている答弁があるわけでありますけれども、九月七日に、日本獣医師会の酒井副会長、北村顧問が私のところに来られまして、獣医師会の考え方を述べられまして、私も、私どもの概略の考え方も申し上げました。それから、十一月十七日、私から、これは次の日からパブリックコメントが始まるということであります、十一月九日に諮問会議が決まりまして、パブリックコメントをやろうということになっておりまして、パブリックコメントをやる以上、私も仁義を切らなきゃいかぬと思いまして、前日の十七日に獣医師会をお訪ねしまして、蔵内会長、酒井副会長、北村顧問等との意見交換を行いました。十一月二十八日には日本獣医師会から要請文書がございまして、それから、十二月八日には一校に限ってほしいという旨の要請文書もございました。そして、十二月二十一日には蔵内会長、北村顧問との意見交換もありましたということであります。

○紙智子君 ちょっと、ちゃんと通告もしているし、慎重な意見の中身聞きますと言っているんですよ。ちゃんと答えてくださいよ。慎重な意見、どういう慎重な意見だったのか。

○副大臣(内閣府副大臣 松本洋平君) 九月七日に、獣医師会の酒井副会長、北村顧問が山本幸三大臣と会談をいたしまして、獣医師会の考え方を述べられたところでありますけれども、獣医師会からは、従前から獣医学部の新設について一貫して慎重な立場を取っており、九月七日の山本大臣との会談においても獣医学部の新設には反対であるというお話をしていたと聞いております。
 なお、昨年十二月八日には、日本獣医師会から一校に限る旨を明記してほしいとの要望がありました。また、今年の二月三日には、日本獣医師会会長から山本幸三大臣宛てに、獣医学部の設置許可申請があった場合には、平成二十七年六月三十日に閣議決定した四条件を満たすものとなるよう、内閣府、文部科学省、農林水産省等において厳しく審査すること等の要請書をいただいたということであります。

○紙智子君 ストレートになかなか答えないで、その側の話を一生懸命しているんだけど、要するに、需要については全体としては足りているというその主張、一貫しているんですよ。そして、そこにつくったりするとやっぱり水準が崩れていくということも心配されているとかという話をしていると思うんですよ。だから、その四条件についても、これ満たされていないという話もしているんですよ。
 そういう話があると思うんですけれども、それを実際には聞かれたと思うんですね。慎重な意見が出されて、総合的に判断したというふうに答弁されているわけです、山本大臣が、総合的に判断したと。
 どういう意見のやり取りがあって、九月七日の会談の資料を、あったのかということについては今ちょっとはっきり言わなかったんですけれども、是非資料を提出してください。

○委員長(渡辺猛之君) 後刻理事会で協議いたします。

○紙智子君 それで、総合的に判断した根拠というふうになる資料なわけですよ、それは。今、ちゃんと通告しているのにもかかわらず言わなかったんだけど、どんなやり取りがあったかということについてはちゃんと資料で提出いただきたいということで、委員長が後刻やるということなので、それはお願いしたいと思います。
 それで、山本幸三大臣は日本獣医師会から意見を聞かれたということなんだけれども、特区ワーキンググループは、これ、日本獣医師会からは意見を聞いていないんですよね。なぜかというふうに聞いたら、ワーキンググループというのは規制改革提案を実行するために省庁と交渉するところだからなんだというふうに内閣府が説明をしたわけですよ、私にしたわけです。
 それで、山本幸三大臣は、日本獣医師会から意見を聞いていると、聞いたんだけれども、総合的に判断するというふうに言われたと。つまり、その判断というのは官邸と相談したということなんでしょうか。

○副大臣(内閣府副大臣 松本洋平君) この特区ワーキンググループに関しましては、獣医師会など、慎重な意見を持つ関係者をなぜ呼ばなかったのかという話でありますけれども、これは、特区ワーキンググループは、自治体等からの規制改革提案があった場合に、規制の特例措置をどのように制度設計するかという制度面について規制担当省庁と折衝を行うものであります。一方、それ以外の関係者の意見は、推進派、慎重派共に規制担当省庁を通じて聞くこととしておりまして、特区ワーキンググループに関係者を特段呼んでいないということであります。
 そして、これらの決定をするに当たりましては、当然、特区諮問会議等々におきまして、これは閣議決定をするそうした項目でもありますし、また様々な段階において総合的に判断をしているということであります。(発言する者あり)

○委員長(渡辺猛之君) この際、申し上げます。
 答弁は質問に対して的確、簡潔にお願いをしたいと思います。

○紙智子君 官邸と相談したんですかと聞いたんです。

○副大臣(内閣府副大臣 松本洋平君) 日本再興戦略改訂二〇一五は閣議決定でありますから、当然、政府の各府省はそれぞれの所掌事務の範囲内でこれに従って検討していると考えております。そして、当然、閣議決定をしているということは、総理も御了解をいただいているということであります。

○紙智子君 ごまかしていますよね、答弁が。最終的には閣議決定だと言うんだけれども、その至る過程のことですよ。獣医師会から意見を聞いたと、そしてもう一方ではワーキンググループの話があったと、最終的に山本幸三大臣が私が決断したんだと言っているんだけれども、それに至るまでに官邸の意見聞いたのかと聞いたんですよ。言わないですよね。
 この間のやり取りの中でいえば、例えば大臣が私が判断したと言うんだけれども、そんなことあり得ないんですよ。大臣が自分の判断で判断するなんてあり得ないと。なぜならば、この間、文部科学省の前川喜平前事務次官は、和泉洋人首相補佐官から獣医学部の設置について文科省の対応早くというふうに言われたというふうに証言されているわけですよね。つまり、総合的に判断したと答弁されるんだけれども、これ、首相補佐官が、総合的に判断する前にやっぱり圧力を掛けたということなんじゃないんですか。違いますか。

○副大臣(内閣府副大臣 松本洋平君) 本件を議論するに当たって、官邸等々からの圧力はございませんでした。

○紙智子君 まあ、それは信じられないので。その当時の事務次官の発言ですよ。しかも、総合的に判断する前に和泉洋人首相補佐官が圧力掛けた疑いというのは高いと。真実を明らかにするためにはやっぱり、皆さん要求していますけれども、私も和泉洋人氏の参考人招致を要求します。

○委員長(渡辺猛之君) 後刻理事会で協議させていただきます。

○紙智子君 次に、農水大臣にお聞きします。
 我が党の小池晃書記局長が明らかにした二〇一六年九月二十六日付けの内閣府の審議官との打合せ概要、獣医師、獣医学部新設という文書があるんですけれども、この概要には、今治市構想について、獣医師会から文科省、農水省に再興戦略を満たしていないと指摘する資料が届いているというふうにあるわけですよ。
 農水省はこの資料を受け取っているでしょうか。受け取っているかいないかということについて伺います。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) 日本獣医師会は、平成二十八年十一月二十八日付けの私宛ての要請書を作成しております。当省が受け取ったのは、翌十一月二十九日、受け取りました。

○紙智子君 九月二十六日付けの内閣府の審議官との打合せ概要、獣医師、今治市の構想についてのこの文書なんですけど、これについてです。(発言する者あり)

○委員長(渡辺猛之君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕

○委員長(渡辺猛之君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) 要請者は、この十一月二十八日のような具体的なことは記載されず、いわゆる大学の設置について反対という旨の趣旨の要請でございました。

○紙智子君 要請書というのは、だからさっき言ったように、大臣が言ったのは十一月二十九日に届けられた要請書だと思うんですけど、私が聞いたのは九月二十六日付けの文書です。今治市構想について要するに届けられたもの、再興戦略を満たしていないというふうに指摘する書類ですよ。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) 九月二十三日、私のところに日本獣医師会の蔵内会長が来られました。日本獣医師会からは、獣医学部の新設は農林水産省の所管ではないと認識を示した上で、反対である旨の表明があったわけでございます。
 これに対し、私からは、獣医学部の設置については当省の所管ではないことをあえてしっかりお伝えした上で懇談をさせていただいたということでございました。

○紙智子君 ちょっとやっぱり回答がずれているんですよね。文書を届けられたというふうになっているので、届いたかどうかということを聞いたのでありまして、蔵内さん個人から話を聞いたというのはまた別の話だと思うんですけど。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) 九月二十三日、蔵内会長が来られ、要請文を受領をしております。

○紙智子君 この文書については、これも大事なことなので出していただくように要請しておきます。

○委員長(渡辺猛之君) 後刻理事会で協議いたします。

○紙智子君 大臣は、この前の、前回の私の質問に対して、獣医師の需給バランスをどう整えていくか、獣医師会の皆さんに是非やっていただきたいというふうに答えられているんですね。バランスを整えるのは、これ獣医師会なんでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) 獣医師さんそれぞれの御判断だというように思います。

○紙智子君 ちょっと聞いていたところでいうと、県が獣医師会と相談しながら確保や調整するというふうに聞いているんですけど、違うんですか。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) 五月二十三日の紙委員さんの御質問で、産業動物獣医師の確保、育成のための農林水産省の事業も活用して各地域において県庁を中心に、獣医師会、畜産協会等に連携して取り組んでいきたい等の趣旨を申し上げたところでございます。
 農林水産省といたしましても、引き続き産業動物獣医師及び農林水産分野の公務員獣医師の確保、それをしっかりと確保、偏在のないように是正していきたいというように思っておりますし、それは我が省も一端を担っているという認識でございます。

○紙智子君 県において獣医師会等が需給調整しているということだと思うんですよ。
 そこで、獣医師学部を新設することが決まったことに日本獣医師会は何と言っているかということですけれども、昨年十一月二十八日に、国家戦略特区における追加の規制改革事項についての決定に伴う告示改正に関する対応についてという、これ、日本獣医師会会長通知を出していますよね。また、同様の中身が日本獣医師会のホームページに、蔵内会長の挨拶にも掲載されていると。今年一月の挨拶では、十一月九日に開催された国家戦略特区諮問会議において、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度の改正に、直ちに行うことが決定されたと、これについて、このような国家戦略特区による獣医師学部の新設は、これまで関係者が実施してきた国際水準達成に向けた努力と教育改革に全く逆行するもので、不適切であるというふうに指摘しているわけですよ。これ、なぜこのように意見を出したと思いますか。

○政府参考人(農林水産省消費・安全局長 今城健晴君) 獣医師会の御主張ということでございますけれども、当然、獣医師の皆様は獣医療の最前線でいろんな努力をされているということでありますので、そこで起こっている事柄、そういうことに対応するような獣医師をやっぱり育成していただきたいというようなことで、大学側ともいろんな話合いをされているということをおっしゃりたかったんだろうなというふうに推察します。

○紙智子君 今治市の構想について、この獣医師会から文科省や農水省に再興戦略を満たしていないという指摘する資料が届いていて、獣医師会が見解を公表しているということになるんであれば、農水省は、これ静観するんじゃなくて、積極的に調整する必要があったんだと思います。なぜならば、農水省は、二〇〇七年、平成十九年に獣医師の需給に関する検討会報告書というのを出しています。そこで、今後三十年程度の中長期的な獣医師の需給の見通しを作成するというふうにして、二〇四〇年までの獣医師の需給見通しを推計したというふうになっているわけですよ。言っているわけですよね。
 現在、獣医学部は十六大学で定員数約九百名と、そこに定員百六十名もの大学ができると、農林水産省が示した需給見通しに影響するんじゃないんですか、大臣。

○政府参考人(農林水産省消費・安全局長 今城健晴君) 平成十九年に実際に、私どもの検討という形で、二〇四〇年を推計するという書類を取りまとめたというのを承知しております。
 その中身でございますけれども、いろんな前提を置かないと当然推計できないものですから、その中の前提の大きな一つが、二〇一五年までは家畜は増加していくと、二〇一五年からは大体フラットになるというような前提を置いて推計しておりますけれども、そういう前提からすれば少し実際は違う推移をたどっており、家畜については逆に減少しているとか、そういうこともございますので、現在その推計に基づいて云々というのはなかなか適当ではないんではないかというふうに考えております。

○紙智子君 この検討会には日本獣医師会も参加しているわけですよ。この間の農政改革も同じなんだけれども、結局、関係者の意見もまともに聞かないで首相の一存で行政を変える、岩盤と称して規制改革を行うと、こういう手法というのは間違っていますよ。農林水産省は検討会をつくって、二〇四〇年までの獣医師の需給見通しを推計したわけです。新たなニーズがあるというんだったら、検討会などで需給見通しを見直すのが農水省の役割、責任じゃないんでしょうか。
 そして、農水省が、もう時間になりましたから最後答弁求めませんけれども、獣医師の需給を検討しないというんだったら、国会がやるべきだと思います。そのためにも、日本獣医師会を始め関係者を参考人として招致して集中的な議論をすべきだと、何よりも特区に名を借りた政治の私物化はやめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。