◇土地改良法等の一部改正案の反対討論
○土地改良法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○紙智子君 日本共産党を代表して、土地改良法等の一部改正案に反対する討論を行います。
土地改良事業は、地域で話合いを進め、合意を集める努力を積み重ねて民主的に行う必要があります。同意要件の廃止、緩和等は慎重に行うべきです。
農地中間管理機構が借り入れている農地について行われる基盤整備事業は、現行制度において農業者の三分の二の同意が条件になっています。改正案は同意を全く求めないものになっています。また、土地改良事業、施設を更新する際に技術革新等による機能の向上が図られるときは、参加資格者の三分の二以上の同意という要件を簡素化し、土地改良区の総会の議決で実施することを認めるものになっています。同意手続要件などを廃止、簡素化すれば、事業に慎重な方や反対する人がいても事業を進めることが可能になり、地域の共同で進めている農地管理に混乱が生まれかねません。
また、農地中間管理機構が借り入れている農地について、農業者からの申請によらず、都道府県営事業として、農業者の費用負担や同意を求めないで行う基盤整備事業を創設する、その際、公共性、公益性を確実に担保する要件を定めるとしています。収益性が相当程度向上すること等を要件にしていますが、安倍内閣になって以降、規模拡大で農業所得が増えるのかといえば、二十ヘクタール以上で見れば、十アール当たりを見ても一時間当たりを見ても、農業所得は下がっています。生産費の削減効果も限定的です。
質疑を通じて、公共性、公益性を確実に担保する要件が明らかになりませんでした。大規模、小規模な農業者を含めた地域の自主的な支援よりも、今後十年間で全農地面積の八割を担い手に集積、集約するための農地中間管理機構の実績づくりにすぎないのではないでしょうか。
改正案は、こうした懸念を払拭するものになっていません。必要なことは、過疎化が進展し、農地の担い手不足に苦しんでいる地域の課題に応えるためには、地域の実態に合った支援を充実強化することです。
以上を述べて、討論とします。
○委員長(渡辺猛之君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
土地改良法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(渡辺猛之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、徳永君から発言を求められておりますので、これを許します。徳永エリ君。
○徳永エリ君 私は、ただいま可決されました土地改良法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・こころ、民進党・新緑風会、公明党及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
土地改良法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
最近の農業・農村を取り巻く情勢変化の中で、土地改良事業が、良好な営農条件を備えた農地・農業用水の確保と有効利用を通じて、農業の生産性の向上、食料自給率・食料自給力の維持向上、農村地域の活性化、国土の保全、防災・減災等に果たす役割は一層重要なものになっている。
よって、政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
○委員長(渡辺猛之君) ただいま徳永君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(渡辺猛之君) 全会一致と認めます。よって、徳永君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。