<第193回国会 2017年3月21日 沖縄及び北方問題に関する特別委員会>


◇在沖米軍・ニコルソン調整官の暴言に抗議するよう要求/沖縄振興一括交付金、特段の事情を認め柔軟な対応を

○平成二十九年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成二十九年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成二十九年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について(内閣府所管(内閣本府(沖縄関係経費)、北方対策本部、沖縄総合事務局)及び沖縄振興開発金融公庫)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日は沖縄の問題を質問いたします。
 初めに、在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官の三月八日の記者会見での発言について、大臣にお聞きします。
 オスプレイの墜落事故の後、ニコルソン氏は、多くのメディアから申し訳なく思っているかと質問されたことに対して、レイプ、殺人などの犯罪が起きたとき私は恥じていたと、しかしながら、訓練中に起きた事故は私は恥じることはない、同盟を保護するために必要な訓練だというふうに言って、県民の怒りを呼んでいます。
 このニコルソン氏の発言は沖縄県民の心情を傷つける発言だと思いますけれども、担当大臣としての御認識を伺います。

○内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策) 鶴保庸介君 ニコルソン調整官が報道関係者との意見交換会の場で行ったとされる発言一つ一つにコメントをさせていただくことは差し控えたいと思いますが、その上であえて申し上げるとするならば、御指摘のとおり、ニコルソン調整官の発言は、殺人などの恥ずべき犯罪とは異なり、訓練中に生じる事故は恥じるものではないというふうな趣旨であったというふうに理解をしております。決して褒められたものではないし、喜ばしい事案ではありません。しかしながら、これを犯罪と同列に論じることが私はそうは思っていないという趣旨だというふうに理解をし、それを受け入れておるところであります。
 オスプレイを始め米軍機の飛行機の安全は米軍が我が国に駐留する上での大前提であり、沖縄県民の皆様に不安を与えないよう、米軍に対し安全対策に最大限取り組むよう今後とも強く働きかけていくことは言うまでもありません。

○紙智子君 同列にはそうじゃないというふうに言われたんですけど、やっぱり沖縄県民の心情ということで見たときに、ニコルソン四軍調整官の発言というのはこの県民の心情を理解していない、反省もない発言だというふうに思います。
 それに対する日本政府の対応にも実は怒りがあると思います。沖縄県民は、基地があるがゆえに繰り返されてきたこの被害を二度と繰り返してほしくないし、基地のない沖縄を願っていると思います。ところが、その願いを踏みにじる発言が繰り返されてきた。墜落直後には、うまく不時着して被害が出なかったのだから感謝してもらいたいと言っていたわけですよ。
 大臣は、沖縄振興に最も心を寄せるべき立場にある大臣で、基地があることで安全や経済や環境が損なわれるなど、沖縄振興を損なう問題にはやはりいち早く抗議をするとか、県民の立場に立って閣内でも言うべきことを言う必要があるんじゃないかと思いますけど、いかがですか。

○内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策) 鶴保庸介君 そのことについては私も同感であります。
 この発言が穏当なものであったかどうかについては私の方からコメントは差し控えますが、できる限り、こうした誤解というか懸念を生じることのないように、穏当な発言をしていただくことを私たちとしても望んでおります。
 また、以前オスプレイの事故が起きましたときに、この委員会の場で申し上げたかどうか分かりませんが、私どもとしては、この飛行再開に向けてしっかりとした説明をするべきであるというふうに防衛省を通じて米軍の方には申入れをさせていただいたところであります。具体的には、県民に少なくとも今後、事故が及ぶ、累が及ぶような飛行訓練はしないということを確約をしていただくということが大切なのではないかということであります。
 その結果として、飛行区域の制限とか様々な改善案を出してきたというふうに仄聞をしておりますので、今後もそういった思いを私たちとしてはしっかりと伝えていきたいというふうに考えています。

○紙智子君 ニコルソン氏の、四軍調整官の発言というのはこのほかにもいろいろあって、県内全ての米軍基地を自衛隊と共同使用する案も公言している。こんなことをやったら基地の固定化につながりかねないし、さらに夜間訓練も必要だと強
調しているわけですね。これは騒音被害を拡大することになる、苦しみを増やすと。こういうやっぱり県民を傷つけて逆なでするような発言というのはやっぱり撤回するとか、これ見過ごすわけにいかないことだということを申し上げておきたいと思います。
 次に、沖縄県の予算についてお聞きします。
 来年度の振興予算が三千三百五十億円から三千百五十億円へ二百億円も減額されました。そのほとんどが沖縄振興一括交付金で、一千六百十三億円から一千三百五十八億円まで減額されています。一括交付金は、沖縄の実情に即してより的確かつ効果的に施策を展開するため、沖縄振興に資する事業を県が自主的な選択に基づいて実施できる交付金だということです。
 なぜ減額したのかと尋ねましたら、全国と比較すると繰越金や不用額が多いためだというわけです。一括交付金はハードとソフトがあって、ソフトの交付金のこの不用額というのは毎年五十億円ほどあるんだというわけですね。
 それで、この不用額というのはどういうものなのか、また、なぜ不用額が出るんでしょうか。

○政府参考人(内閣府政策統括官 北崎秀一君) お答えいたします。
 沖縄振興一括交付金につきましては、我が国の厳しい財政事情の下、相当程度の繰越額及び不用額が恒常的に生じていることを踏まえまして、二百五十五億円を減額し、千三百五十八億円を計上したところであります。
 御質問の不用額とは、予算措置されたものの結果として使用する必要がなくなった額であり、年度終了後、県から提出された書類により、交付決定された額と執行された額の差分として把握してございます。
 不用額が生じる理由といたしましては、入札に伴う執行残だけでなく、執行実績を基に積算が行われていない場合があることなどが影響しているものと承知をしております。そのため、県においては執行実績を基に次年度の積算を行うなど不用額を減らすための取組が行われているところでございます。
 引き続き、沖縄県あるいは沖縄県下の各自治体と連携しつつ、執行状況の改善を図り、沖縄振興一括交付金が効率的、効果的に活用されるよう努めてまいりたいと考えております。

○紙智子君 今、数字の上のことは言われたんですけど、何で不用額が出るのかと、その中身というのは精査されたんでしょうか。

○政府参考人(内閣府政策統括官 北崎秀一君) 不用額が生じる理由といたしましては、先ほども御答弁申し上げましたが、入札に伴う執行残だけでなくて、執行実績を基に積算が行われていない場合があることなどが影響しているものと理解をしております。

○紙智子君 ちょっとやっぱり突き詰めていないですよね。よく分からないわけですよ。何でそうなっているのか精査できていないのに、不用額が多いからといって減額するということでいいのかと思うんですね。不用額が沖縄に多いというんだけれども、この制度がスタートした時期からいろいろな交付決定が遅れたり、あるいはソフト交付金に係る事業費の十分の一は自治体が負担するということから財政の持ち出しをしなきゃいけないことに懸念をしたとか、いろいろあるんだろうと思うんですよ。
 そこで確認しますけれども、沖縄振興特別推進交付金の交付要綱、これはどうなっているのか、第三条の趣旨を御説明ください。

○政府参考人(内閣府政策統括官 北崎秀一君) 第三条におきましては、ソフト交付金について、原則としてソフト交付金を充てることができないものを規定しておりまして、例えば職員の人件費でありますとか旅費とか事務費、あるいは公共施設の施設整備など通常必要とする行政運営に必要な経費でありますとか、あるいは出捐金、保証金、あるいは個人、法人の負担に充当する事業でありますとか、個人、法人の資産を形成するための事業でありますとか、あるいは基金の造成費、あるいは他の国の負担及び補助を得て実施することができる事業、こういうものは原則としてこの交付金を充てられません。ただ、沖縄振興にとって必要不可欠である等の特段の事情が認められる場合にはこの限りでないという旨を規定しているものでございます。

○紙智子君 つまり、この沖縄振興にとって必要不可欠である等、特段の事情をもって県から申請された場合は、国は受け取るということだと思うんです。
 確認しますけれども、今まで申請があったものを断った例はあるのでしょうか。

○政府参考人(内閣府政策統括官 北崎秀一君) お答えいたします。
 常に沖縄県あるいは沖縄県下の市町村と私どもできるだけ前広に相談をしております。したがいまして、事前の調整の段階で、沖縄県の判断としてこれに当たるようなものということで沖縄県の方で申請をしなかったもの、こういうものはございます。ただ、正式には私どもでお断りをしたものはございません。
 以上でございます。

○紙智子君 特段の事情があれば受け取るということが、確認していいということですよね。

○政府参考人(内閣府政策統括官 北崎秀一君) 私ども、沖縄県庁あるいは県下の市町村とソフト交付金についていろいろ相談をしております際に、先ほど申し述べました三条が、原則が先ほど申しましたとおりでございます。あくまで沖縄独特のもの、沖縄の特殊な事情によるものというのは例外でございまして、それを丁寧に議論をし、判断をしていく必要があると。国費が十分の八でございますので、それに国費十分の八を充てる納得がいくものということが必要であると考えております。
 以上であります。

○紙智子君 特段の事情が認められれば受け取るということを確認できたと思います。
 そこで、一括交付金の問題というのは、県議会でも相当これ、この間議論になっていると。与野党問わず解決すべき問題として努力しているというふうに聞いているわけですよ。雇用や子育て、沖縄の持つ特殊性によって切実な要望、例えば離島の高校が人口減で廃校になりそうだ、何とか続けて国内留学も受けられるように学生寮を造って運営していると、こういう運営に一括交付金を使えないかとか、沖縄の子供の貧困の深刻さからスクールカウンセラーを設けているけれども不足している、その人件費に充てたいとか、保育士のベースアップ事業をやりたいとか、いろいろと提案をしてきたんだけれども申請に至らなかったと。
 もっとこれ柔軟な対応をすれば不用額は減るんじゃないかと思いますけど、いかがですか、一言。

○政府参考人(内閣府政策統括官 北崎秀一君) いろいろ御相談がありましたもの全てにおきまして、丁寧に私ども県庁と議論をしているところでございます。個別のものお一つずつはお答えすることはかなわないと思いますが、先ほど申し上げました三条の原則と、あるいはあくまでの例外、これを那辺に議論をしていくかということで県と、納得ずくというんでしょうか、合意をもちまして議論をさせていただいているところでございます。
 今後も、不用額など、あるいは繰越額など出ていかないように、事前に前広に御相談に来てください、そして相談に参りますという話をしているところでございます。
 以上であります。

○紙智子君 最後に大臣にお聞きしたいんですけれども、大臣は昨年の八月の記者会見で、沖縄の振興策と基地は確実にリンクをしていると、予算額を減らすのは当然のことだ、つまり予算額の未消化がある場合、予算額減らしても当然だという発言をされています。
 私は、もちろん不必要なものに使うことは必要ないと思うけれども、しかし、実はこの不用額の中には必要なんだけれどもできなかったという問題もあるわけで、大臣のこの発言が申請を抑圧しているんじゃ、抑制しているんじゃないかという心配もあるわけですけれども、これについて一言いかがですか。

○内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策) 鶴保庸介君 いや、もう先生おっしゃったとおり、不必要なものについては減額をされるべきというか、そういう結果になっても致し方ないのではないかという趣旨でありますので、御懸念には及ばないということだけ申し上げておきたいと思います。
 ただ、先ほど来お話がありましたとおり、一括交付金制度についての御議論、先生が言われるような本当に特段の必要性というそのさじ加減がどういった基準でされるのか、これらについては私たちもやっぱり真剣に議論をしていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。
 この先生の御質問を受けて、今本当に部局の中で様々な議論をしておりました。私自身も納得のいかないところもありますし、果たしてこの要綱が、全てのものを皆さんに納得のいっているような状況になっているかということについてもしっかり議論を始めたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○紙智子君 やっぱり振興に努力していること、応援する大臣だと思いますから、是非、県の振興策と基地問題リンクするなどということは言わないでいただきたいことを最後に申し上げまして、質問を終わります。