<第192回国会 2016年12月9日 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会>


◇多国籍企業のもうけのためのTPP協定等に反対する(反対討論)

○環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件(第百九十回国会内閣提出、第百九十二回国会衆議院送付)
○環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案(第百九十回国会内閣提出、第百九十二回国会衆議院送付)

○紙智子君 私は、日本共産党を代表し、環太平洋パートナーシップ協定及び関連法案について反対の討論を行います。
 まず、安倍内閣がTPPを最優先課題として、アメリカが離脱を明言した下で、慎重審議を求める国民世論を無視して強引に成立を図ろうとしていることに強く抗議します。
 我が党が反対する最大の理由は、TPPが多国籍企業のもうけを最大化するためのルール作りだからです。今、世界中で、多国籍企業の横暴によって雇用が失われ、貧富の格差が広がる。食の安全が脅かされ、農業が崩壊する。経済主権と国民主権が侵害され、安倍内閣の言う自由貿易に対する各国民の疑問や反対の声が広がっています。ヨーロッパなどの動きを見ても、今求められているのは、多国籍企業のためのルールではなく、国民の暮らしを守るためのルール作りではないでしょうか。
 TPPが各分野に与える被害も甚大です。
 第一は、日本の農業に壊滅的な影響を与えるものだからです。米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源など農産物の重要五項目は、除外を求めるどころか三割もが関税撤廃。TPPの原則は関税撤廃ですから、後戻りはできません。多くの農業者は、国会決議違反に怒り、影響試算も信用していません。なぜなら、自民党農政に翻弄されてきたからです。農業生産に打撃を与え、地域の共同を窮地に追い込むことは容認できません。
 第二に、国民の命と健康、暮らしを脅かし、地域経済に深刻な打撃を与えるからです。TPPは二十二の小委員会をつくり、利害関係者が制度の変更に介入できる仕組みがつくられます。TPP委員会は、食の安全、安心、医療制度と薬価、保険、金融、政府調達など非関税措置の撤廃を進める司令塔になるものです。日本の制度を形骸化させてはなりません。TPP協定の発効が不可能でも、アメリカと合意した九分野の非関税措置は生き続けることが明らかになりました。二国間交渉を求めるアメリカの足場になり、更なる圧力が掛かることは明らかです。
 第三に、ISDS条項で国の主権が脅かされるからです。仲裁人は多国籍企業で働く弁護士が多く、判決は強制力を伴います。国民の命より外国企業の利益が優先される危険性があります。
 多国籍企業のもうけのために食料主権も経済主権も犠牲にするTPP協定批准に断固反対の意思を表明し、討論とします。

○委員長(林芳正君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
  これより採決に入ります。
  まず、環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件について採決を行います。
  本件を承認することに賛成の方の起立を願います。

〔賛成者起立〕

○委員長(林芳正君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の起立を願います。

〔賛成者起立〕

○委員長(林芳正君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。