<第192回国会 2016年11月15日 環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会>


◇TPP委員会、貿易と投資を拡大しつづける歯止めなき仕掛け/重要農産物も関税撤廃に突き進む仕組みが/遺伝子組換え作物を初めて扱う経済連携協定(EPA)

○環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件(第百九十回国会内閣提出、第百九十二回国会衆議院送付)
○環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案(第百九十回国会内閣提出、第百九十二回国会衆議院送付)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 TPP協定で新たに今回設置することになるTPP委員会について、今日はお聞きをしたいと思います。
 今、もう国会ではTPP協定等関連法案を議論しておりますけれども、TPPが仮に発効されるということになると、TPP協定の運営はTPP委員会が行うということになります。
 そこで、TPP委員会についてお聞きします。TPP委員会というのはどういうメンバーで構成されるのでしょうか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) ただいま紙委員がお示しいただきました環太平洋パートナーシップ委員会、通称TPP委員会のメンバーについての御質問でございますが、TPP委員会は各締約国の政府の代表者から成ると規定をしているところでございます。

○紙智子君 それは閣僚でなきゃならないということはないわけですか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) その点につきましては、大臣又は上級職員のレベルということでございまして、今御質問にございましたとおり、閣僚に限定はされていないというふうに理解をさせていただいているところでございます。

○紙智子君 このTPP委員会は、日本の国内組織ではなく、TPPに参加している十二か国でつくる組織ということでよろしいでしょうか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) 紙委員が仮に発効されたらということを前提条件に付けられて御質問をされておりますとおり、まだ決まっておりませんで、どこにどういうふうにやるかということはまだ決まっておりません。先ほど条文の内容について御説明させていただいたとおりでございます。

○紙智子君 TPP委員会のそうすると本部はどこにつくるとかいうようなことはお決まりでしょうか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) 仮に発効いたしましたら、締約国の中で御議論がスタートするというふうに理解をさせていただいております。

○紙智子君 それはまだ、そうすると、全く話にはなっていないということでしょうか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) くどいようですけれども、現時点ではまだ決まっていないというふうに御理解をいただきたいと思います。

○紙智子君 それでは、TPP委員会を設置する目的、そして役割、これについて御説明をお願いします。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) 役割、任務について条文でどのようになっているかということしか今の段階では御説明できないんでございますが、これはTPP協定の第二十七章の二条の一に規定されておりまして、任務として、TPP協定の実施又は運用に関する問題を検討すること、TPP協定の発効の日から三年以内に、及びその後は少なくとも五年ごとに、締約国間の経済上の関係及び連携を見直すこと、TPP協定の改正又は修正の提案を検討すること、TPP協定に基づいて設置される全ての補助機関の活動を監督すること、締約国間の貿易及び投資を一層拡大するための方法を検討することと記載をされているところでございます。

○紙智子君 つまり、TPP委員会は協定の改正あるいは修正を検討すると。三年以内に、その後五年ごとに、貿易と投資を拡大するために見直すということなわけですね。
 TPP交渉では、閣僚会議が大筋合意ということで言われたように、重要なことを閣僚会議で決定をしたわけです。先ほど、必ずしも閣僚でなくてもいいという話がありました。そうしますと、TPP協定の調印式に、当時、高鳥修一内閣府の副大臣が行かれたわけですけれども、要するに、政府を代表するのであれば閣僚でなくてもいいということですよね。総理、お願いします。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) まだ発効されておりませんので現時点では決まっていないというふうに御答弁させていただきましたが、条文上は政府の代表者、そしてその上級者のレベルというのは、多分、ちょっと想像の範囲でございますけれども、首席代表というのがTPPの取りまとめの中でいらっしゃいました。そういう大使級というんでしょうか、そういう方を念頭にこういうような文言になっているんだと承知をしているところでございます。

○紙智子君 TPP委員会は協定の改正、修正などを行うわけだけれども、閣僚でなくても決定できるということだと思うんですけど、これはちょっと驚きです。
 それで、ちょっとパネルを見てください。(資料提示)
 この間、TPP協定の組織図、実際にこの統治機構ってどうなるんだろうかと、条文を見ながら、いろいろお聞きをしながら作らせていただきました。作ってみますと、相当これ大掛かりな組織だなということが分かるわけです。
 TPPは、関税と非関税障壁の撤廃が原則だと言われています。物品の貿易がしやすいように、日本に入ってくる農産物に掛ける関税ですね、税金を掛ける、それをなくしていくということ。あるいは関税以外の方法、関税は掛けないけれども、貿易を規制する、制限するような非関税貿易の障壁をなくしていく。例えば、貿易を制限するような食の安全基準を緩和する行為なども入るんじゃないかと。
 パネルにお示しをいたしましたけれども、関税を扱うというのは、そこにちょっと色分けしましたけれども、二つの組織なわけです。物品貿易小委員会、農業の貿易小委員会と。これは関税のところですね。
 それから、非関税障壁を扱う組織が二十もあるんですね。相当、この間、農業の問題、随分集中してやってきたんですけれども、それ以外のところ、非関税のところも物すごくたくさんあるということなわけです。
 総理は、丁寧に説明する、あるいは熟した論議が必要だというふうに言われましたけれども、総理、こんなにも多くのTPP協定を推進する組織があるということは御認識をされておりましたか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 全般について概要は説明を受けております。

○紙智子君 説明を受けていたということであります。
 それで、TPP委員会とこの二十二の小委員会、作業部会とがどういう関係にあるのかということも、石原大臣、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) ただいま委員がこの図をお示しいただいているとおり、この親会をTPP委員会とすると、こういう形でぶら下がっているというふうに解釈をさせていただいております。
 そして、条文を若干読ませていただきますと、TPP協定二十七章二条の一におきまして、TPP委員会は、この協定に基づいて設置される、委員がお示しいただいているこの下のものでございます、全ての小委員会、作業部会その他の補助機関の活動を監督する義務を負っている旨定めているところでございます。
 また、TPP委員会は、小委員会、作業部会その他の補助機関に問題を付託することができる、いわゆる上から下にというこの矢印の点でございます。一方、補助機関はTPP委員会に対し問題を提起することができると定められております。委員がお示しいただいている下から上に行く図でございます。

○紙智子君 今パネルのとおりに言っていただいたんですけれども、TPP委員会が問題を付託する、そして小委員会が提起する問題を検討することになるわけです。
 それで、通商交渉でこれまでこれだけ多くの小委員会をつくったことというのはあったんでしょうか。

○国務大臣(外務大臣 岸田文雄君) このような補助機関ですが、これまで日本が締結したEPAにおいても設置されています。ただ、種類とか数はそれぞれの協定に応じて異なっております。TPP協定については御指摘のように二十二機関ですが、過去の例を見ますと、日タイEPAで二十補助機関をつくっています。日ベトナムEPAで十六補助機関をつくっています。十以上補助機関をつくっている協定は数多くあるというのが実情であります。

○紙智子君 そうしますと、国民生活に関わる多くのことが扱われることになるわけですね。
 それで、パネルをちょっと御覧いただきたいんですけれども、食の安全に関わる衛生植物検疫小委員会、食品の表示に関する貿易の技術的障害小委員会、自由職業サービス作業部会とか、それからビジネス一時的入国小委員会とか労働評議会とかですね、こういうふうにいろいろあって、これ雇用に一体どういうふうに関わってくるのかな、変わってくるのかなというふうに思いながら見るわけです。
 環境小委員会あるいは開発小委員会とあるわけですけれども、開発が優先されるようなことになるのかなと思ったり、それから、その農業貿易小委員会の横にバイオテクノロジー作業部会があります。これ、なぜここに入ったんでしょうか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) なぜ入ったかということを、結果論としてそこに入っているというふうに御理解をいただければと思います。

○紙智子君 結果論というのはどういうことですか。どんな議論があって結果になったんですか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) 経緯については、これまでどおり説明できる限りのことを説明してきておりますけれども、ここの部分は、協定を取りまとめている中で、そこにバイオテクノロジーを補助機関として、ところにぶら下げたと、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。

○紙智子君 全然分からないんですけれども。
 これ、ちょっと途中になっているのは何でなのかなと。関税に入るんですか、それとも非関税障壁に入るんですか、どちらに入るんですか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) まさにこの紙委員がお示ししていただいた絵の色のとおり、非関税障壁でございます。

○紙智子君 ずっと中身を読んでいくと、農業貿易小委員会の下につくられているというふうに文書あったんですけど、関税なんですか、非関税なんですか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) 農業貿易小委員会は関税に関するものを取り扱いますけれども、このバイオテクノロジーの作業部会というものは非関税障壁について議論をするものだと御解釈いただいて結構でございます。

○紙智子君 なぜ農業に、この下につくられたんでしょうか。変わっていますよね、これ。今までは衛生植物検疫のところに入っていたと思うんですけど、変わっていますよね。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) 何度も御答弁させていただいておりますけれども、バイオテクノロジーの遺伝子組換えのものについて、微量のものが入っている入っていない、そういうものを議論をするということでございますので、農業貿易小委員会のところにぶら下がっている、そしてバイオテクノロジーの問題というのは、関税の問題ではなくて非関税障壁の問題だと整理をさせていただいております。

○紙智子君 これは条文に書いてあることなので、てきぱきと答えていただきたいと思います。
 そこで、TPP委員会の任務があるんですけれども、そこで注目したことは、協定の運用の見直しに当たり、非政府の者又は団体の助言を求めることというふうになっているわけです。これ、二十七章の二条四ですね。つまり、民間人や民間団体、多国籍企業もあれば経済団体もありますが、なぜこうした方から意見を聞くのでしょうか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) TPP協定におきまして、委員がお示しいただいておりますTPP委員会が経済上の関係及び連携を見直すことがその二十七条の二章一に規定をされていることはもう御承知のとおりでございます。そして、今御質問のございました見直しについては、過去にも例があるということは既に外務大臣から御答弁をさせていただいてまいりました。今委員御指摘の、適当な場合には、締約国の非政府の者又は団体からの意見を考慮することが、実は第二十七章二条四項で記載されてあります。したがいまして、委員の御質問のとおりでございます。

○紙智子君 なぜこういう方々から意見を聞くのでしょうかというふうにお聞きしています。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) ただいま、なぜ、議員の御質問のとおりであるかということを説明させていただきましたのは、幅広く意見を聞く、もう既に日本でも様々な方法でいろいろな方から意見を聞くシステムが既にございます。それと同等のところを考えてこのようになっていると御理解をいただきたいと思います。

○紙智子君 幅広い方々から意見を聞かなきゃいけないんだというお話なんですけれども、民間人の意見は聞くということなんですけれども、国民の代表である国会の意見を聞く規定というのはあるんでしょうか。国会の関与についてということなので、総理の方からお答えください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPP協定では、協定の発効の日から三年以内、及びその後は少なくとも五年ごとのTPP委員会による見直しが規定されています。小委員会などの補助機関が見直しを行うことを規定している章もあります。それはもう今御議論をいただいたところでありますが。
 TPP委員会や補助機関等の全ての決定は、いずれの国からも反対がないことが条件になるため、日本が反対するような内容が決定されることはないということは繰り返し答弁をさせていただいておりますが、見直しの結果、これは当然見直しをするということは我が国も賛成するということでありますが、見直しの結果、協定を改正する場合は国会の承認が必要となります。

○紙智子君 見直しの結果、改正する必要があるときは聞くというか、国会の承認ということなんですけれども、国会の関与の仕方で、いろんなことについて議論されるんだけれども、これ全部話し合ったことを全部国会の承認を得るんですか。ということにはなっていませんよね。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これ、今申し上げましたように、まさにこの協定を改正する場合は、その改正案について国会で御議論をいただき、その承認が必要となってくると、こういうことでございます。

○紙智子君 改正するというのは、例えばどういうことをですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) このまさに協定の中身を改定すると、こういうことでございますが、繰り返しになりますが、日本が同意しないものは、それが改定ということにはならないということは繰り返し申し上げているところでございます。

○紙智子君 法律に関わる問題とか、あるいは財政事項に関わる問題とか、あるいは政治的に重要な問題とか、そういうことということですか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) もう既に総理から御答弁をいただいておるんですが、協定の見直しに関するものについては、当然協定を見直すわけでございますから、委員会はどこになるのか存じませんけれども、国会の承認を得ない限りは発効しないというふうに御理解をいただきたいと思います。

○紙智子君 その国会にかけなきゃいけないかどうかということは誰が判断するんでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、条文が改正になれば当然国会の承認が必要になるということでございますから、条文が改正になればこれは自動的に国会の承認が必要となると、こういうことでございます。

○紙智子君 条文が変わるということになればと言いましたけど、それ以外にもたくさんありますよね。いろんなことが議論されるんですけど。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当然、これ議論はございますけれども、議論された結果、これ変わらなければ、これは我々、国民生活にも業界にも影響がないわけでございますから、議論は議論でございますが、議論の結果を受けて条文が変われば、それは国会の承認が必要となるということでございます。

○紙智子君 それ以外についてはどうでしょうか。条文以外。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) ただいま総理が御答弁させていただきましたとおり、この委員がお示しの小委員会あるいは作業部会で様々な議論がなされます。これは十二か国が議論をすることになるわけですけれども、そこで、総理が申しておりますのは、日本もその案をのんで、よし変えようと十二か国が合意したといたします。そうしますと、条文の改正になりますので、当然国会の御審議を経た後に御承認をいただかない限りならないという意味で条文の改正というふうに総理が御答弁をさせていただいているところでございます。

○紙智子君 このTPP委員会は、もうこういうふうにたくさんのことをいろいろ議論する、検討すると。それについては条文に関わらない部分もたくさんあるわけですけど、関わらないけれども、この中で話し合われて決まったことというのはどんどん進んでいくということになるんでしょうか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) これももう既に総理が御答弁をいただいているんですが、様々なことについて御議論が、これもあくまで発効してできたという仮定の話でございますけれども、議論がなされると思います。しかし、議論の結果、私はそう思う、うちの国はそう思わないとなれば、それは改正、見直しにはつながらない、こういうふうに御理解をいただければと思います。

○紙智子君 民間の方たちですとか団体の意見をいろいろ聞くというふうになっていて、国会との関わりということでいうと、どういう案件を、じゃ、どうするのかというところというのはなかなかはっきり見えてこないわけですよ。
 それで、国民の健康や命や暮らしに関わる二十二の分野というのは、もうどの分野も、働く、労働の問題だとかいろんなことに関わって、暮らしにも関わってくるわけですよね。だから、こういう二十二の分野を扱って、経済連携の在り方を五年ごとに何回も見直すと。
 だから、TPP協定は生きた協定というふうに言われてきたと思うんですけれども、TPP委員会が、この経済連携協定を見直す責務、権限というのを、これ委員会が持っているわけですよ。しかしながら、意見を聞くのは、そういう多国籍企業や財界の民間人や、言い換えれば貿易を推進したいというふうに思っている人たち、こういう人たちの、TPP協定の実施や運営に意見を言う、介入できるということになるわけです。一方で、国民の代表たる国会の関わりというのは、その案件によっては、条文を変えるときは変えるかもしれないけれども、そのほかのことについてはよく分からないと。
 これでは、やっぱり利潤をどんどんどんどん追求する経済活動が優先されかねないんじゃないかというふうに思います。そのことをちょっと申し上げておきたいと思うんです。
 それから、次に小委員会についてもお聞きをしたいと思います。
 小委員会には、これ横断的分野と言われる小委員会があります。例えば、競争力・ビジネス円滑化小委員会、開発小委員会、規制整合性小委員会などが挙がっております。TPP協定全体に関わって、これ全体に関わっていくことができるという、そういう組織なわけです。
 そこで、この規制整合性小委員会についてお聞きしますけれども、過去の通商協定に、EPAに規制整合性小委員会というのはあったんでしょうか。

○国務大臣(外務大臣 岸田文雄君) TPPの第二十五章の規制の整合性章、こうした章は、これまで我が国が締結した経済連携協定において規定されたことはありません。したがって、同章において設置される小委員会に関する規定についても、これまで設けられたことはありません。

○紙智子君 つまり、初めてつくられた、設けられたということですよね。
 それで、この規制整合性小委員会の目的と役割を御説明ください。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) ただいま紙委員が御指摘されましたこの一番右端に書いてあります規制整合性小委員会、今外務大臣から御答弁をさせていただきましたように、二十五章の二条一項にございますとおり、各国、日本も含めてですけれども、行う規制について良い慣行を用いていく、いわゆるグッドプラクティスと申しておりますけれども、それに努めていくという努力規定になっております。また、そうした良い慣行など、規制に関する情報交換や協力を行う努力規定を定めたものでございます。
 ここから読み取れますことは、各国が規制に関する情報交換や、こういう規制がある、こういう規制をこれからやっていこう、こういう協力について話し合う、それが規制整合性小委員会、そして、外務大臣から御答弁をさせていただいたとおり、今回のTPP交渉においてここが出てまいったということは事実でございます。

○紙智子君 パネルをこれもちょっと見ていただきたいんですけれども、上から二列目の第二十五章の三条のところ、対象規制措置の範囲というところです。それで、締約国は速やかに自国の対象規制措置の範囲を決定する、各締約国は、当該対象規制措置の範囲を決定するに当たり、相当な範囲を対象とすることを目標とするというふうになっています。
 この相当な範囲というのはどういうものが入るのか。例えば、食品添加物の定義とか遺伝子組換えの食品の表示基準を例えばアメリカに合わせるということも相当な範囲というところに入るのでしょうか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) ただいま委員が御説明をいただきましたとおり、二十五条の三条、上の赤線の入っているところにございますけれども、各国は、TPP協定の発効後一年以内に対象となる規制の範囲を各国の判断で具体的に決定することとされております。そして、決定に当たっては、今御質問のございました規制の、相当な範囲を対象とすることを目標とすべきという規定になっております。
 しかし、ここにあります相当な範囲について、何をもって具体的であるかというような基準は定められておりません。

○紙智子君 全然、だからまだ何も範囲というのは入っていない、何も決まっていないんですか。各国が定めるということは、それは全然煮詰まっていない、これからという話なんですか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) 先ほど委員が一枚目の表でお示しいただきましたこの小委員会並びに作業部会、補助機関でございますけれども、これは、発効後つくることができるということでございます。
 そしてまた、このTPP委員会の、前段の御議論でございましたとおり、大臣並びに上級者を念頭に置いて、そして、その上級者というものは、私の考えで、TPP交渉に当たられました大使級の首席交渉官等々が念頭にあるというお話をさせていただきましたとおり、まだ発効しておりませんし、委員会もできておりませんし、決まっておりますことは各国の判断で規制を決めることができるということでございまして、その相当な範囲ということについては、具体的な基準は定められておりません。

○紙智子君 各国の判断に任せるということはちょっと怖い話ですよね。
 農業でいえば、企業の農地参入を認めろという意見も国内的にも議論されているわけですけど、アメリカはJAの金融事業を特別扱いしないで民間の金融と同じように扱うように要求をしています。これも相当な範囲に入るのかどうか。政府の規制改革会議の議長は安倍総理なので、規制措置の範囲ということですから、総理、お答えを願います。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) 総理にお答えいただきます前に、私の御答弁が誤解を招いてはならないのでちょっともう少し詳しく話させていただきますと、各国の判断で具体的に規制を決めることができる各国の判断というのは、例えば日本が、委員が御指摘されたようなものについて自国の判断で決められるというふうに御理解をいただきたいということと、相当な範囲については、この経緯からして、まだ具体的な基準は定められておりません。

○紙智子君 総理も。責任者なので。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは大臣が答弁をいたしましたように、そこで決めた規律については自分で、言わばその規律については自分でしっかりと規律を決めていくということになるわけでございまして、言わば我々が他国によってそれを強制されることにはならないということでございます。

○紙智子君 それだけでは分からなくて、我々が決めていることは影響されないという話されるんだけど、各国の判断によってそれは決まってくる。これからというわけですよね。(発言する者あり)自分の判断。ちょっと、いろいろ聞いていてもよく分からない。各国の判断でとおっしゃいましたけど、まだ決まっていないですよね。これは、決まらないのに入ろうということをおっしゃっているんですか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) 先ほどちょっと誤解があるので御説明させていただいたんですけど、様々な規制というのは各国もう既に持っております。そして、TPP協定が発効されたとしても、TPP協定の文言を読む限り、我が国の規制を相手国の言いなりになって変えるというようなことは一切ないということを総理は申し述べているのであって、規制をあくまで規制していくのは我が国の場合は我が国であると、こういうふうに御理解をいただきたいのと、このTPP委員会の一番右端にお示しいただいた小委員会等々は、これから相当な範囲について、文言を読ませていただきますと、「相当な範囲を対象とすることを目標とすべきである。」と二十五章第三条の対象規制措置の範囲ということで示されている。まだ小委員会も開かれておりませんし、TPP委員会も開かれておりませんし、各国が各国の規制を行っていくというのが現状のあるべき姿だと認識をしております。

○紙智子君 相当な範囲についてどこまで入るのかということがよく分からない不確かな中で、安心なんてできないわけですよ。
 次、パネルのこの二十五章の八のところを見ていただきたい。利害関係者の関与というところがあります。規制整合性小委員会は、締約国の利害関係者が規制の整合性の推進に関連する事項についての意見を提供する機会を与えるために適当な仕組みを設けるとあるんですけれども、この意見を提供する機会を与えるための仕組みというのはどういう仕組みなんでしょうか。総理かな。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) 意見提供の機会に関する具体的な仕組みについての御質問だと聞かせていただきました。
 その設置された後に小委員会の会合においてこの議論をされるわけでございますけれども、TPP協定第二十七章三条に、小委員会は、いずれの国からも反対がないことが条件となるコンセンサス方式で意思決定がされる、これももう既に総理が述べておりますように、仮に我が国もそうだといったときには、先ほどの、前の議論に戻るわけですけれども、条約の改正等々になりますから、国会の承認をいただくことになる。
 そして、利害関係者というものに疑念を持たれての御質問かと存ずるのでございますが、意見提供の機会に関する具体的な仕組みについては先ほどもう既に御答弁させていただいておりますけれども、小委員会が設置された後にその小委員会の会合において議論されます。TPP協定二十七章第三条に基づいて、小委員会は、これもしつこいようですけれども、いずれの国からも反対のないことが条件となるコンセンサス方式で意思決定をされる。
 ですから、どんな方が出てきて、どういう形になるか分かりませんけれども、委員の念頭にあるような、大企業の方が出てきて自社の利益に資するような規制の変更を求めるようなことがあっても、仮にあったとしても我が国の利害を害するような仕組みが導入されることがなぜないかといえば、総理が御答弁されているように、我が国も、おお、そうだなと言わない限りはそれが改正に当たらないから、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。

○紙智子君 安倍総理、私は、もしかすると、民間人が多く入っている規制改革推進会議のようなそういうイメージなんじゃないのかなというふうにも思うんですけど、いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 例えば、規制改革会議において決まったことにおいても、これ最終的には、これは法改正が必要であれば、国会の御審議がなければそれは言わば法律とはならないわけでございますが、しかし、この今開いた、この小委員会においては、まさにそこで様々な議論が出されるわけでありますが、繰り返しになりますが、そこで言わば我が国も同意をして条文を変えようということになって初めて国会で御審議をいただき、そしてそれは条文が変わっていくということになるわけでありますが、例えばこの小委員会で、我々が作った法律で、例えば厚労省関係の法律を作って、勝手に厚労省で政令を作っていって、政令は国会の審議がないのでその政令が確立をしていくということは、ここではないということでございまして、これはまさに、ここでは利害関係者が出てきて話をするかもしれませんが、ここで話したことが我が方が賛成しなければまさにそれは条文改正とはならず、条文改正となったとしても、それはそれぞれの国、日本は日本において国会で御審議をいただくことになると、こういうことでございます。

○紙智子君 TPP協定については交渉過程が秘密なわけですよ。知らされていなかった。どんなやり取りがあったのか分からなかったわけですよ。それで、出された協定も今後どうなるかということは、今のこのやり取りだけでも、まだ各国に委ねられるところもあったりしてよく分からないと。TPPは生きた協定というふうによく言われるわけですけれども、貿易と投資を拡大するということのために中身的にはどんどん進化していくんじゃないのかなというふうに思うわけです。
 そうすると、まだ分からないところがある中で、そのバスに乗ったら一体どこに連れていかれるのか分からないと、そういう心配はないんですか、総理。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) このバスに乗っても、我々もちゃんと運転席に乗っていますから、ですから、勝手に、客席にずっと乗っているということではなくて、我々もまさに運転席に乗っていく、どういうふうにこのバスを運行していくかというルール作りも我々も行ってきたということではないかと思います。

○紙智子君 ブレーキが利かなかったりしたら本当にこれは恐ろしいことになるなと思います。
 TPPというバスは、私はどこに行くか分からないと。国会の関与も分からないと、具体的に。しかし、はっきりしていることは、やっぱりこの経済団体、多国籍企業、利害関係者が関与していく、そこで意見を述べられる、介入する仕組みがあるということははっきりしているわけです。それで、協定の見直しが待てないという企業があればISDSといって国を訴える権利まで与えられているんじゃないか、二重三重の仕掛けをつくって多国籍企業や巨大企業を応援する、企業のための歯止めなき協定と言えるんじゃないかというふうに思います。
 次の質問に入りますけれども、TPP協定の関税の部分、これ農業分野についてなんですけれども、TPPは言うまでもなく関税と非関税障壁の撤廃が原則です。農産物については、総理は、TPP協定に基づいて見直しのための再協議が求められても、日本に不利な合意はする必要はないんだということを言われてきたわけですね。
 そこで、ちょっとパネルをまた見てほしいんですけれども、これは第二章の四条です。関税撤廃について書かれている、文章は本当はもっと長いんですけれども、その一番の要点というかポイントのところだけを抜き出しました。
 ここでは、一つ目に、現行の関税を引き上げ、又は新たな関税を採用してはならない、二つ目のところは、漸進的に関税を撤廃する、三つ目のところは、関税の撤廃時期の繰上げについて検討するため、協議すると。だから、関税の繰上げのための検討をするんだ、協議するんだということが書かれているわけですよ。もうどれにしても全部関税は撤廃していくという方向に向かうわけですね。
 その附属書があります。二のD、日本の関税率、譲許表がその後載っているんですけれども、関税率表では九の(a)のところで、オーストラリア、カナダ、チリ、ニュージーランド又はアメリカ合衆国の要請に基づき、市場アクセスを増大させる観点から、七年以降に協議すると。つまり、アクセス数を増やすための再協議だということですよね。
 そして、その下の第二十七章の二条、TPP委員会の任務、任務については、協定を修正検討する第一番目に農業が書かれているわけです。つまり、附属書の二のDの関税率表の修正は関税の撤廃時期の繰上げに限ると、限ると限定されている、特出しになっているわけですよ。
 第二章四条、第二十七章の二条を見ますと、TPP協定は関税撤廃に進んでいく仕組みがあると思います。関税撤廃に進んでいく仕組みというふうに私は思うんですが、総理はお認めになりますか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) 条文でございますので、総理に御答弁いただく前に説明をちょっとさせていただきたいんですが。
 ただいま委員が御指摘いただきましたいわゆる二章四条の二項でございますが、「各締約国は、この協定に別段の定めがある場合を除くほか、原産品について、附属書二―D」、その赤線で引かれている下段のところでございます、「の自国の表に従って、漸進的に関税を撤廃する。」というふうになっております。
 それはどういうことかと申しますと、TPP協定の二章四条の二項ではこの関税の扱いが規定されておりますけど、その規定ぶりを見ますと、「各締約国は、この協定に別段の定めがある場合を除くほか、原産品について、附属書二―Dの自国の表に従って、漸進的に関税を撤廃する。」と、この規定はここまで読んで、全てまとめて読んでいただかないと間違ってしまうと思うので。
 そして、漸進的という言葉も、どういう意味かといいますと、関税を撤廃すると合意した品目について定めているんでございまして、我が国は、例えば米は国家貿易を維持しておりますし、関税も維持しております。その「協定に別段の定めがある場合」というのが、今お話をさせていただいた関税撤廃の例外が認められているもの、我が国が関税撤廃の例外を獲得した品目、今、二、三例を出させていただきましたけれども、それは関税率表において例外の内容が具体的に、年、廃止の時期はばらばらでございますけれども規定されておりますので、関税撤廃の例外として扱われます。
 すなわち、何が申したいかと申しますと、関税撤廃の例外として獲得した品目は、この二章の四条で規定されている関税撤廃の義務を負うことにはなりません。そういう中で総理の御答弁をいただければと存じます。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私が、私が答弁しようと、既に答弁をしておりますが、要は、ここに「漸進的に関税を撤廃する。」と、こう書いてあるものでございますから、我々が獲得した例外もこの中に入るのではないかという、そういう御指摘かと思いますが、それはそうではなくて、ただいま石原大臣から答弁をしたように、第二章の第四条の規定は例外品目についての関税撤廃の根拠にはならないと、こういうことでございます。

○紙智子君 この間、必ずそういうふうに別段の定めのところによりどころにしながら例外を確保できたんだというふうに繰り返し言われてきたと思うんですね。それで、だから例外を守れるんだという話をされているんだけれども、しかし、見直しに当たって締約国の非政府の者又は団体が介入することも認めているわけですよ。そうすると、アメリカの米や豚肉の業界団体が堂々とそこに参加をして意見を言う、介入することができると。TPP協定で合意した関税率が守れる保証は私は全くないのではないかと。
 これ以上の関税率の削減や撤廃はしなくてよいなどという協定になっているんでしょうか。

○国務大臣(TPP担当相 石原伸晃君) 今委員が御指摘されました全米の豚肉協会ですか、これは大変強いロビーイングの団体であるということは承知しておりますが、そのロビーイングの団体が出てきてアメリカ政府を動かし、関係諸国全てを合意させて協定の見直しに及ぶ経緯には私は至らないのではないか、こんなふうに考えているところでございます。
 話を聞くのは、NGOの方も含めて様々な御意見がある、先ほど紙委員が御指摘されましたように、開発と環境というのは裏表で、両方の立場を主張される方がいるわけですから、幅広くいろいろな方から意見を聞いて議論を深めていく、協議を深めていく、そういう性格のものであると理解をしているところでございます。

○紙智子君 不必要な合意はしないんだという話がされるんですけれども、なかなか、やっぱりこれまでの経緯をたどると、本当にそれが貫けるのかというふうな思いになるわけです。
 自民党さんは、安倍総理はそうじゃなかったかという話をされましたけど、うそはつかない、TPP断固反対、ぶれない自民党というふうに選挙のときにも訴えてこられました。自民党には強い外交力があるんだというふうに言われて政権に就いたと。ところが、三か月もたたないうちに、重要農産物は除外されないことが分かっているわけですけれども、しかし、聖域は確保できると言ってこの交渉参加に突き進んでいったと。TPP協定には関税撤廃に突き進む仕組みがある以上、いずれこれ撤廃は避けられないのではないかと。国会決議に反する協定を数の力で押し切るということがあってはならないというふうに私は言いたいと思います。
 あと七分ありますので、ちょっと全部は難しいかもしれませんけれども、遺伝子組換えの問題についてもお聞きをしたいと思います。
 それで、基本的なことについてお聞きをします。
 世界の貿易ルールを定めたWTOの衛生植物検疫の問題を扱うSPS協定や過去のEPAにおいて、遺伝子組換え作物の取扱いというのはどうなっていたでしょうか、厚生労働大臣。

○国務大臣(厚生労働大臣 塩崎恭久君) 今御指摘のWTOの食の安全に関する協定、いわゆるSPS協定におきましては、加盟国に対して、食品安全について科学的根拠に基づく適切な措置をとる権利が認められているということでございます。この権利に基づいて、我が国におきまして、食品衛生法に基づいて、食品安全委員会による安全性の評価を経ていない遺伝子組換え食品の輸入や販売等を禁止をするとともに、厚生労働省や地方自治体において、これに違反をした遺伝子組換え食品が流通しないように監視指導や取締りを行うということでございます。
 なお、食品の安全に関する措置を定めましたTPP協定第七章では、WTOの食の安全に関するただいまのSPS協定と同様に、各国に科学的根拠に基づく適切な措置をとることを認めておりまして、我が国の食品安全に関する制度に何ら変更を強いられるものではないということでございます。

○紙智子君 今までの扱いについてお聞きしたんですよね。経済連携協定に遺伝子組換え作物が入ったというのは、これは今回、TPPで初めてなんでしょうか。今までは入っていなかったと思うんですけど。

○政府参考人(厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長 北島智子君) お答えいたします。
 TPP協定第二章の第二・二七条は、未承認の遺伝子組換え食品が微量に混入した食品の輸入の未然防止や発生時の迅速な対応のため、TPP締約国の間で協力や情報交換を図る規定であると認識しております。
 現時点で把握し得る限り、これまでの通商協定において本協定と同様の規定を有している協定は確認できておりませんが、WTOの食品の安全に関する協定、SPS協定に基づき、遺伝子組換え食品を含む食品全般に関する規制について透明性の確保を図っているところでございます。

○紙智子君 経済連携協定に遺伝子組換え作物が入ったのは初めてでしょうか。

○政府参考人(厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長 北島智子君) お答えいたします。
 ただいま答弁申し上げましたとおり、このような規定は初めてでございます。

○紙智子君 遺伝子組換え食品の安全性全般を扱うSPS協定でカバーされていたという話もありましたけれども、なぜTPP協定の農業、物品の分野に入ったんでしょうか。

○政府参考人(厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長 北島智子君) 理由というのは一つではないかもしれませんけれども、この二・二七条の規定は、先ほど答弁申し上げましたとおりに、締約国の間で協力や情報交換を図る規定であると認識しております。

○紙智子君 大臣、なぜ入ったんですか、その理由です。

○国務大臣(厚生労働大臣 塩崎恭久君) これ、二十七条を御覧をいただくとお分かりのように、今また部長から答弁申し上げたように、情報交換をする、あるいは協力を促進をする、そういったことで話し合う場として作業部会も設けられておりますし、初めてではございますけれども、いろんな意味でこのバイオテクノロジー生産品に関して議論をする場として設けられているのではないかというふうに思います。

○紙智子君 今までは食品安全が問題となる第七章の衛生植物検疫に入っていたものが農業貿易に組み込まれたということですよね。
 これからは、だから心配をすると、安全性よりも貿易を優先することになって安全性が後景に押しやられることにならないのかというふうに思うわけですけれども、いかがですか。

○国務大臣(厚生労働大臣 塩崎恭久君) これ、二十七条の例えば第二項には、自国の権利及び義務に基づいて措置を採用することは妨げないことが明記をされております。それから第三項にも、遺伝子組換え食品等を規制するための自国の法令及び政策を採用し修正することを求めるものではないということも明記をされているわけでありますし、また第四条には、透明性の確保、これについても明確な規定をされているわけでありますので、これは初めてでありますけれども、今申し上げたように様々な議論をするということで設けられたものというふうに理解をしております。

○紙智子君 現実に、遺伝子組換え作物が交雑、混入する不安というのがあって、今年の七月三十日にも、アメリカ西部のワシントン州の農地に遺伝子組換え小麦が自生していたということが確認されたばかりです。ほかにもたくさんあります。有機農業をやっている人にとってはこれ非常に深刻で、遺伝子組換えが含まれた農作物は有機栽培と認証されない、だから、遺伝子組換え作物を生産しているようなモンサント社やバイオメジャー企業に対して有機農業者が裁判などを起こしてきたということもあると。
 カルタヘナ議定書では、生物の多様性の保全や維持可能な利用に著しい影響を及ぼすおそれのあるものは、意図的でなくても国境を越えていく可能性があるということで緊急措置を議決しましたし、日本も締約国ですから、一部米国から輸入を停止したこともあったわけで、こういうことが後を絶たないということに対して厳しくしないといけないということなのに、実際にはこれを緩くするんじゃないかということも含めてあるので、私は、それらを含めて、本当にこれから先も含めて、もっと詳しい議論が必要だということを申し上げて、質問を終わります。