<第192回国会 2016年10月11日 予算委員会>


◇輸入米不正取引/「調整金」での値引き認める/TPP試算やり直しを

○平成二十八年度一般会計補正予算(第2号)(内閣提出、衆議院送付)
○平成二十八年度特別会計補正予算(特第2号)(内閣提出、衆議院送付)
○平成二十八年度政府関係機関補正予算(機第1号)(内閣提出、衆議院送付)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 先週の八日に熊本の阿蘇山が三十六年ぶりの噴火ということで、またしても多くの灰をかぶって、被害が出ています。被害に遭われた皆様に対しお見舞いを申し上げたいと思います。
 また、今年八月、九月に北海道では史上初めて四つの台風が上陸、接近し、住宅や農林業、道路やJRなど、大きな被害が発生いたしました。台風十号は岩手県にも大きな被害をもたらし、グループホームで高齢者が犠牲となるなど深刻な被害が発生をいたしました。亡くなられた方々に哀悼の意を申し上げたいと思います。同時に、被害に遭われた方にお見舞いを申し上げたいと思います。
 私たち日本共産党は、対策本部を設置し、被災地にも入りました。北海道や政府にも申入れを行いました。
 まず、農業の再建についてお聞きをします。
 私、各地を回って農業者の皆さんからお話を聞きました。農業を続けるかどうか悩んでおられると、農業を続ける展望がないという話も出されました。総理は北海道にも行かれて御覧になったと思います。本当に過去に例を見ない災害で、北海道は間もなく冬が来る、雪が降ることになるわけです。農地の復旧や共済金の早期支払や当面の資金繰りが急がれるわけですけれども、農地が復旧できないと。そうすると、来年の作付けに間に合わないという方は、営農を続けること、生活そのものも含めて非常に深刻と。ここに対する特別の対策が必要だと思うんですけれども、総理、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 九月の十四日に現地を視察をいたしました。その際、農家の皆様から切実なお話をいただきました。北海道ですから結構大規模にやっておられて、投資も行っているという中において、これだけの被害が出て、頑張っていこうという気持ちが折れそうだというお話を伺いました。
農業というなかなか厳しい分野で一生懸命頑張っている皆さんの気持ちが折れないように、政府としてもできることは全てやるという考え方の下に支援を行っていきたいと思いますが、九月の十六日には今回の一連の台風被害に対して激甚指定を行い、そして農地、農林水産施設等の災害復旧事業の支援を拡充しました。
 また、来年の作付けのためには、厳しい冬を迎える前に可能な限り被災農地の復旧を図ることが重要でありますから、早期復旧が可能な農地について、災害査定の前に応急工事の着手可能となる査定前着工制度の活用を進める取組を行っています。
 さらに、被災した農家の収入を早期に補うため、農業共済の損害評価を迅速に行うことにより共済金が早期に支払われるようにいたしました。
 加えまして、被災農家の皆さんが早期に営農を再開できるように、広く経営の再建のため活用できる農林漁業セーフティネット資金等の融資を行うとともに、貸付当初五年間実質無利子化する措置を講ずることといたしました。
 その上で、来年どうしても作付けが行えない場合があり得ることも考慮し、就労機会を確保する観点から、災害復旧事業等において被災農家の皆さんの雇入れが円滑に行われるよう要請する通知を発出をいたしました。
 引き続き、できることは全てやる。なるべくその状況状況、事情事情に応じて柔軟に対応するように指示をしているところでございますが、被災農家の皆さんの不安に寄り添いながら、被災地域の農業の復旧復興に必要な対策の実施に全力を尽くしていく考えでございます。

○紙智子君 是非よろしくお願いいたします。
 それから、農業を始め被害を受けた方々から、当面の資金繰りが大変で消費税など国税を納めるのが困難という話もありました。熊本地震の際にも行われた措置など、財務大臣としても対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(財務大臣 麻生太郎君) この話は、知っておられる方はもう十分知っておられるんですけれども、知っておられない方が多いので、こういった質問をいただいたので、このテレビを北海道の被災者の方がどれくらい見ておられるかは存じませんが、少なくともそういった見られた方々で伝えていただければと思って、質問をしていただいたことに感謝を申し上げたいと存じます。
 まず、災害によって納税者がその財産に相当ないわゆる被害、損失を受けた場合におきましては、その納税者御自身の方から申告があった場合ですけれども、法令に基づいて最大で三年間、いわゆる消費税を含みます全ての国税については納税を猶予ということはできることになっております。
 また、消費税法では、災害で被害を受けた課税期間というのがありますので、その期間の間に提出しなけりゃならない書類とか帳簿書類が消失したとか紛失したとか水浸しになった等々いろいろあろうかと思いますが、そういった場合、当然のこととして書類がありませんので、簡易課税制度というものの選択が必要となることは十分に考えられますので、そういった場合では、届出書を出すべき時期というのが御存じのようにありますけれども、それを提出することができるのに対しては特別に時期をずらせるという特例制度が設けられております。
 いずれにいたしましても、台風による被害を受けられた方、その置かれました状況等々に鑑みまして、私どもとしては十分に対応させていただきたいと存じます。

○紙智子君 もう一つ、国土交通大臣にお聞きします。
 JR北海道の復旧の問題ですけれども、公共交通機関の復旧が急がれていて、これJR、道民の足を守るという点でも、それから農産物を輸送するという点でも、観光にとっても本当に急がれていると。
 鉄道の災害復旧補助を活用するのは当然なんですけれども、この復旧の見通しを示すなど、国としても是非積極的に支援をしていただきたいということなんですけど、いかがでしょう。

○国務大臣(国土交通大臣 石井啓一君) 今回の一連の台風災害で、北海道では現在、JR北海道の石勝線トマム駅から新得駅間、根室線富良野駅から芽室駅間の二路線で運転を休止しております。このうち、根室線の富良野駅から東鹿越駅間は十月中の運転再開を目指して復旧作業が行われております。そのほかの区間については、被害状況の把握や復旧方法の検討が行われているところであります。まずはJR北海道におきまして復旧方法の調査等をしっかり行っていただき、その結果を伺いたいと思っております。
 国土交通省といたしましては、被災した施設の早期復旧に向けた鉄道軌道整備法に基づく支援を始め必要な支援について検討してまいりたいと考えております。

○紙智子君 非常に不自由な状態がずっと続いているということではありますので、JR任せではなく、やっぱり国が乗り出して支援をいただくように強く求めておきたいと思います。
 次に、TPPと輸入米の問題について質問いたします。
 SBS米をめぐって業者間で輸入価格を実際よりも高く見せかける取引が発覚をしたと。農水省は調査結果を公表しました。調査報告を私も読みました。買受け業者の四割、輸入業者の七割で金銭のやり取りがあったことが明らかになりました。調整金の存在は、これは総理もお認めになりますか。総理、総理。

○委員長(山本一太君) 山本農水大臣。まず農水大臣から。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) 調整金と言われる金銭の授受があったことの確認はできました。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 民間同士でいわゆる調整金と言われているお金のやり取りがあったのは事実でございました。

○紙智子君 SBSというこの米の輸入制度というのは、国産米に悪影響を与えないために農林水産省が、マークアップですね、事実上の関税を取って管理する制度なわけです。
 ちょっとパネルを御覧いただきたいと思います。(資料提示)調整金によるこの輸入米の取引のイメージ図を、これは東京地裁の判決と新聞報道から作成をいたしました。

 それで、このケースで、商社は最初の、ここですね、米を一キログラム当たり百五円前後で調達したんだけれども、国には百四十五円だと言って売り、国はそれにマークアップ四十九円を付けて一キログラム当たり百九十四円で卸業者に売っていると。ところが、卸業者は、百九十四円では売れないからもう少し安くしてほしいと言ったと。そこで、四十円値引きして百五十四円で売ったことにしたと。東京地裁の判決では、これは争いのない事実として、売買代金から調整金を差し引いた金額が実質的な取引価格だと認定をしているわけですね。
 調査報告書で書いてあるわけですけど、調整金は落札を確実にするためにという理由がありました。これは調整金で値引きをすることを約束して入札をしたということではありませんか、農水大臣。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) 調査結果をお読みいただきまして、ありがとうございます。
 その調査結果からしますと、この調整金というものがある場合とない場合があると。そして、入札契約と全く関係する場合もあれば関係しない場合もある。ですから、この調整金の態様というのは非常に区々様々、多様であるということの認識をいただいていると存じ上げます。
 委員配付に当たるこの表のように、調整金が必ず値引きに使われるかどうかについて極めて疑問なしとしないわけでございます。必ず値引きするということになりますと、これは全体として価格に影響があると言われるところでございますが、まずは、卸売業者が中食、外食の業者に売るときに自ら得た利益を全て移転するものであるかどうかも疑問なしとしないわけでございます。
 そこで、できる限りその調査をさせていただきました。調査結果にある二つの例、これあえて二つに絞ったわけではなくて、正確に売買価格の数字まで言っていただいた業者、かつまたこれを公表するということを容認していただいた業者の例が調査結果五ページに書かれておりますけれども、これによりますと、ほぼ国内産価格と同じ値段で売っているという事実がかえって明らかになったというように認識をしております。
 以上です。

○紙智子君 答弁の中では、調査したら国産米に影響していないというところにすぐ結論が行くんですけど、その前に、農水省の調査では、金銭のやり取りは国、輸入業者、卸業者の三者の契約の外で行われたと書いてあるわけですよ。しかし、国がつくった公の取引の外でこのお金のやり取りがあったということは、これ、国の仕組みがゆがめられたということになるわけです。公の外の取引というのは、普通はこれ不正取引だったり裏取引と言うんですよ。その自覚が全くないんですよね。
しかも、調整金は国の収入、これマークアップとして徴収できるものだと。今回の調査では、これ業者間で行った金銭のやり取りの総額が幾らなのかということが報告されていないんですよね。なぜそれを明らかにしないのかと思うわけです。
 ちょっともう一回パネルを見てほしいんですけれども、これ東京地裁が認定した調整金の総額は、ここにある二社の数回のやり取り、たった数回の取引だけでも約五千万円というふうになっているわけですよ、調整金だけで。これ、もっとマークアップ、差益を農水省は徴収できたはずなんです。マークアップは事実上の関税なわけですけれども、なぜしっかり税金を取らないのかと。国の予算に関わる重大な問題であるという認識はおありでしょうか。
 これ、総理、いかがでしょう。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) 今回の調査の結果で、民間事業者の金銭のやり取りが現在もあるとの回答は、買受け業者で約一割、輸入業者で約三割にとどまっております。
 この金銭のやり取りは、販売促進費あるいは販売奨励金などと呼ばれておりまして、輸入業者が顧客でございます買受け業者を選択して行われております。また、落札から実際の調達までの間に生じるコストの変化の調整、あるいは販売促進等の目的で支払われている例もございます。場合によりましては、輸入業者が落札後のコスト増を買受け業者から徴収するという場合もございました。というようなことでございます。
 特に、このヒアリング調査というものを、そもそも論でございますが、業者間のこのやり取りにつきまして、食糧法令上違法ではありません。また、税務上も適切に処理されておるところでございます。また、販売価格の決定方法など、民間ビジネスの機微に触れる内容を調査対象としているという限度がございます。こういう意味で、任意で行った調査、そこに限界もあるわけでございまして、その意味では、我々としましては万全を尽くしたものの、先生がおっしゃる、よりクリアにならないという点は、これは強制調査ではありませんので、その点は御了解をいただきたいと思っております。
 さらに、調査結果を踏まえた経営内容の改善も行いました。委員御指摘のように、SBS入札に不明朗な影を落としたということは私もこれは理解をしておるところでございまして、この調査結果によりまして、民間事業者の金銭のやり取りは、これは国産米の需給及び価格に影響を与えるということを示すという根拠はなかったわけでございますが、今回の調査で、民間事業者の金銭のやり取りがあったというようなことが、SBS入札を適正に行い農業関係者のSBS入札に関する不信感を生じないようにするという観点からは、これは存在として適当ではないと考えましたものですから、契約内容の改善を行う方針を取りました。
 まず、SBS契約書の契約項目として、個々のSBS取引に係る三者契約に関連して、輸入業者及び買受け業者との間で金銭のやり取りを行ってはならないことを明記することといたしました。もし仮にこのことに違反した場合には、資格の停止又は取消し等を行う所存でございます。
以上でございます。

○紙智子君 なかなかよく分からないんですけど、要するに任意の調査で強制力もなくて限界もあったということをお認めになっているわけですよ。クリアになっていないと。そう言いながら、これからは禁止するぞというふうになっているというところが飛躍しているというふうに思うわけですよ。もっとちゃんと徹底して調べなきゃいけないと。
 マークアップを少なめに設定したのであれば、事実上のこの関税収入というのは、政府はまけてやったということになるわけで、これは国の予算に関わる重大な問題だと、その認識が全くないわけですよね。
 ですから、委員長にお願いしますけれども、この調整金の総額を公表するように要求をしたいと思います。計らってください。

○委員長(山本一太君) ただいまの件は後刻理事会で協議をいたします。

○紙智子君 今回の調査で国産米の価格に影響を与えた事実は確認できなかったというふうにおっしゃいました。卸業者は幾らで国内市場に流したのか調査されましたか。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) これは、非常に機微にわたる、競争下にある中食、外食の過激な競争の中の一環で、価格、あるいはその米の性質で食味が変わる等々、すぐに顧客の増減に関わることでございます。できるだけこれを調査をするべく努力をいたしました。しかし、正確な金額を示していただいたところが少なく、また正確な金額を示していただけても、あえて公表については同意を得られなかったところが多かったわけでございまして、この調査結果に同意を得て正確な数値を示していただいたところは公表をさせていただいております。

○紙智子君 問題は、これ現場でどうなっているか、実際の現場がどうなっているかということを明らかにすることが求められているわけです。実態を示さないで、国産価格に影響を与えたかどうか、これは疑惑は晴れないというふうに思うわけですよ。
 政府の調査から明らかになったことは、国がつくった公の取引に闇があったと、マークアップを少なめに徴収して国の予算に重大な影響を与えた可能性、そして何より国産米価に影響を与えたのかどうか、肝腎なことが解明されていないということです。したがって、政府の調査報告は、これ目的を達しない欠陥報告としか言いようがないと。
 そこで、委員長、もう一度お願いします。調整金の問題を解明するために関係者の参考人質疑を要求いたします。

○委員長(山本一太君) ただいまの発言につきましては、後刻理事会で協議することといたします。

○紙智子君 政府はSBSの取引は国家貿易だと、政府は国家貿易が維持されるから国内価格には影響しないと説明してこられました。しかし、調整金の存在が明らかになったことで、これ国家貿易の信頼性が根底から崩れたということです。TPPの影響試算の根拠が崩れたと。ですから、試算のやり直しをすべきだと。総理、いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、このSBSという仕組みに対して農家の皆さん等の疑念を呼ぶ行為があったことは事実でございまして、そこで対策を農水省として考えているわけであります。
 一方、ではTPPにどういう影響を与えるかといえば、言わばSBS米として輸入する量と同量のものを国内で国が買い上げるわけでございまして、需給には影響を与えないようにしているところでございます。実際、今回の取引自体が、調査の結果、国内価格に対しての影響もないということもございまして、併せて考えればTPPに対しての影響というものは我々はないと、このように考えているところでございます。

○紙智子君 影響はないという結論ありきの話を繰り返しされているわけですね。国産米は八百万トンあって十万トンのSBSだからとか、あるいは一万トンなんだから影響ないというふうにおっしゃるけれども、よく見なければいけないのは、このSBS米と業務用米の関係なんですよ。それで、業務用米を多く作る青森県や福井県、熊本などは、この業務用米と輸入米が競合することを心配しているわけですね。
 国内の業務用米の流通量というのは二百五十から三百万トンというふうに言われているんですけれども、この業務用米が米市場の全体の価格を形成しているというふうに関係者は言っているわけです。二百五十万トンだとすれば、そのうちの十万トンが輸入米と。これ、決して小さくないわけですよ。だから農水省も、あなた方も、これまで輸入米の国内の価格は中食や外食などの業務用に用いられる国産米とほぼ同等だと、競合するということを言ってきたじゃありませんか。
この業務用米との価格の影響というのはお調べになったんですか。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) 今回の分析におきまして、SBS米の価格水準は、圧倒的に多く流通しております国産米八百万トンの価格水準を見据えて形成されております。国産米価格が低いときはSBS米に対する需要が大きく減少しています。そして、SBS米の輸入、消費が減少する実態にあるというところでございます。
 また、委員御指摘のように、おおむね二百から三百万トン程度業務用米がございますが、この使用される代表的な品種銘柄の価格水準が国産米全体の価格水準とおおむねパラレルに動いている中で、当該品種銘柄の価格水準が低かった平成二十五年から二十七年度は、SBS米に対する需要が大きく減少しておりまして落札残が生じ、十万トンにはるか及ばなかったという事実もございます。この国産米全体とSBS米の関係の同様の結果が見られるところでございます。
さらに、今回、主要な外食・中食事業者に対してもヒアリングを実施させていただきました。業務用米のユーザーの立場からも、SBS米の価格が国産米価格に影響しているわけではないという回答を得ております。こうした業務用ユーザーの声から考えましても、結論は変わらないというように考えております。
 以上です。

○紙智子君 業務用の価格の関係について聞いたわけですよね。業務用米がどのぐらい流通しているかということも含めてずっと資料を要求していたわけだけれども、出てこないわけですよ。とにかく調査中だから待ってくれと。で、出てきたものを見たら、それについて、今のような話はあるけれども、聞き取りですよね、あくまでも、ヒアリングと。全体像を把握しているわけじゃないんですよ。なぜ出さないんですか。これ、肝腎な問題じゃないんですか。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) これは、主要卸売業者から聞き取り結果をこの調査結果に、四ページに載せさせていただいております。このページから御判断いただけますように、業界への影響、そして聞き取り対象として業界上位五者、ここから取扱実績がある四者、こうしたところから聞いておりますので、既にこのような公表をさせていただいているところでございます。

○紙智子君 結局、全体像が全然見えてこないわけですよ。安倍政権になってから生産者米価というのは六十キロ当たりで約一万六千円台から一万二千円台に四千円も下がっているんですよ。農家はみんな米の暴落に対して怒っているわけです。根拠もきちんと示さないでSBS米が国内産の米価に影響を与えていないなんて、これ全く納得できない話です。
 輸入米においては、食の安全を脅かすような偽装販売事件が毎年のように繰り返されてきました。
 ちょっとパネルを見てほしいんですけれども、こういうふうにずっと毎年のように起こってきていると。特に二〇〇八年なんかは、これ三笠フーズの不正流通問題、最たるものだったわけです。船積みでカビが生えて、中には猛毒のカビに汚染された食用にならない事故米を、返還すべきなのに受け入れて、食用以外にといって流通させたんだけれども、これ、業者がただ同然で買い入れて八百六十万食も食用に回して売ったと。広範囲に流通して酒造メーカーにも施設の給食にも回って人の口に入ってしまったと。二〇一三年、これは、外国産米を弁当やおにぎり四百四十七万食に国産米の使用といって長期にわたって販売してきたと。
こういう問題がなぜ毎年のように繰り返されると思いますか。

○国務大臣(農林水産大臣 山本有二君) まず、二〇〇八年の三笠フーズ等でございますけれども、この事故米問題、国が加工用として輸入したミニマムアクセス米から食品衛生法の基準値を超える農薬が検出されました。これを工業用として販売したにもかかわりませず食用として不正転売されてしまった事案でございまして、これは不正な犯罪でございます。こうした個々の米に関する、扱う業者については、倫理観を持って対処するよう監督していきたいというように思っております。

○紙智子君 当時も国会で随分議論になりましたけれども、民間業者のモラルも問題になったけれども、何より農水省の責任が重大だということも議論されたわけですよ。食の安全よりもMA米を早く処理しようというふうに、検査を擦り抜けられてしまうということを許したと。あるいは、二〇〇三年に主要食糧法を改正して、米の販売をそれまでの登録制から届出制に規制緩和をしたことによって、どんな業者も届出さえすれば米の販売に参入できるようになったということがありました。

 私たち日本共産党は、やっぱり入れる必要のない米を義務だといって輸入してきたということが問題だというふうに指摘をしてきました。ところが、今回TPPで更にアメリカから七万トン、オーストラリアから八千四百トン輸入米を増やそうとしているわけで、これ全く反省していないじゃありませんか。しかし、政府は、SBS米は全体の一%しか入っていないと、影響は少ないと言っているわけです。
 しかし、ちょっとパネルをもう一つ見てほしいんですけれども、これTPPのアメリカとの交換文書ですね、サイドレターですけれども、今回、今まで言っていなかったけれども新しく言っている米のTPP枠の運用についてですけれども、まず入札回数を六回に増やすんだと。それから、今まで認められていない外国法人でも入札に参加できることになると。さらに、三回の入札において平均の九〇%を下回る場合は、残りの枠、数量ですね、全てを入札にする。さらに、十分利用されないときは、輸入差益一五%、マークアップですね、引き下げると。つまり、国内産がどうあろうと、これ全く関係なくアメリカの米を強制的に日本に入れる仕組みができると。いかにもアメリカ言いなりじゃないかというふうに思うわけです。国民にとってTPPは百害あって一利なしだと。こういうTPPは到底受け入れられないと思います。
 今、アメリカの大統領選挙がやられていますけれども、両候補もそろって反対と。そして、カナダもニュージーランドも含めて十二か国で批准している国はないと。アメリカの状況をみんな見守っているということがあって、そういう中で日本が前のめりになってやることは絶対許されないということで、TPPは断固批准すべきでないということを申し上げて、質問を終わります。