<第190回国会 2016年3月22日 沖縄及び北方問題に関する特別委員会>


米兵による女性暴行事件、基地ある限り事件続く/沖縄の子どもの貧困と米軍基地

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 まず、那覇市内で十三日に発生した米兵による女性暴行事件、またしてもというふうに思いましたけれども、これまでも幾度となく繰り返されてきました。人権と尊厳を踏みにじる卑劣な犯罪であり、許されることではありません。
 沖縄県議会は、米軍における再発防止への取組や軍人への教育の在り方が機能していないと指摘をし、被害者や家族への謝罪と補償、実効性のある教育など、更に踏み込んだ具体的な対応を求める決議を今日上げるということです。
 那覇の市議会を始め県内の市町村議会も抗議決議を次々と上げていますけれども、大臣としてこれをどのように受け止めておられますか。

○国務大臣(島尻安伊子君) 本件事件はもう極めて遺憾でございまして、あってはならないことと考えております。
 本件の事件発生後、関係省庁において、直ちに米側に対して本件事件の発生は極めて遺憾であるとして綱紀粛正及び発生防止を強く申し入れたと承知をしております。
 他方、本件事件の事実関係については、現在、沖縄県警が捜査中であるというふうに承知をしております。
 私といたしましては、二度とこのような事件が起こることがないようしっかりと再発防止を図ると、それに尽きるというふうに考えております。

○紙智子君 繰り返されているわけですよね。だから、機能していないんじゃないかと、これまで何回もそういうことをお話しになっているのにまた繰り返されると、機能していないんじゃないかということを指摘をしているわけですよ。ですから、踏み込んで、提案の中身になっていますから、そこを本当にやらなきゃいけないだろうというふうに思います。
 私は、やっぱり県民の人権、平和と米軍基地、これは両立できないというふうに思うわけです。
 基地がある限り事件が繰り返されるということですから、やっぱり二度と繰り返させないというためには基地は撤去していくと、なくしていくということが大事だというふうに思います。この点については答弁求めませんけれども、是非その立場に立っていただきたいということを申し上げたいと思います。
 次に、子供の貧困についてお聞きをいたします。
 沖縄県は、昨年十月から十一月、子供の暮らしや精神状況、保護者の就労や家計、子育ての負担など、アンケートの調査をしました。沖縄県は、一月二十九日に子供の貧困実態調査中間報告として発表いたしました。その中で、経済的な理由で過去一年間、米やみそなどの日用的な食べ物を買えなかったことがあると、必要な食料を買えないことがあった県内の子育ての世帯というのは、一人親世帯で四三%、両親がいる世帯でも二五%に上がっているといいます。
 大臣、これどのように受け止められますか。

○国務大臣(島尻安伊子君) 今委員の御指摘のとおり、大変に沖縄の子供を取り巻く環境は特に深刻な状況であると、沖縄県における子供の貧困に関する調査の結果からもこうした点が読み取れるところでございます。
 例えば、今まさに御指摘があったように、過去一年間で経済的理由で食料を買えなかった経験のある一人親世帯の割合が沖縄では四三%に上り、全国の二二から三三%に比較して非常に高くなっていると。また、過去一年間で公共料金の未払があった一人親世帯の割合も沖縄では二五%に上り、全国の一一から一四%と比較して非常に高くなっております。さらに、保護者の地域や友人との関係を見ると、非貧困層に比べて貧困層はつながりが弱い傾向が見られると、こういった調査から見ることができるというふうに思っております。
 こうしたことから、沖縄について独自の子供の貧困対策に取り組むことや、貧困世帯を様々な支援につなげていくことの必要性を改めて感じたところでございます。

○紙智子君 今お話しになりましたけれども、命を支える食事さえも十分に買うことができていない沖縄の子供の貧困の深刻さが浮き彫りになっているというふうに思います。
 全国的にも今、子供の貧困が問題になっています。二〇一二年の厚生労働省の調査で、国内の子供の貧困率は一六・三%と、子供の六人に一人が貧困状態だというふうになっているわけですね。
 今回の沖縄の調査では、貧困率は全国平均の一六・三%を大きく上回る二九・九%というふうに算出をされています。全国平均の一・八倍なわけですよね。
 なぜこんなに高いと思われますか。その御認識をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(島尻安伊子君) 所得の低さ等は、これデータとして出ているということがございます。
 先ほど他の委員からの質問でのお答えもさせていただきましたけれども、やはり沖縄における子供の貧困の負の連鎖があるということはこれ事実でございまして、各専門家の意見、あるいはNPOの皆さんとの意見交換等でもこれは出てきているところでございまして、私としては、そこを何とか早く断ち切る、そういった施策を講じていきたいというふうに考えています。

○紙智子君 それで、なぜこれ沖縄県は独自に調査をしたというふうに思われますか。独自の調査をなぜやられたと思われますか。

○国務大臣(島尻安伊子君) 沖縄県の調査は、全国的な調査の一環だというふうには認識しております。

○紙智子君 これ、二〇一三年に子どもの貧困対策推進法が全会一致で成立をしました。都道府県の責務として、子供の貧困対策について計画を定めるように努めるというふうにされたわけですね。
 だから、一三年にこれ決まっているわけですよ。
 沖縄県が全国に先駆けて、その意味では、みんなが決まってやらなきゃいけないんだけどなかなか手が着いていない中で、全国に先駆けて調査を行ったわけです。私は、やっぱりその役割というのは本当に大きいというふうに思うんですけれども、大臣、このやっぱり沖縄が率先してやったということについての役割は大きいというふうに思われませんか。

○国務大臣(島尻安伊子君) やはり、この子供の貧困について、特に沖縄については各方面から指摘はあったわけでありますけれども、なかなか手が着かなかったというふうに私も認識しておりまして、その点、沖縄県もそうですし、今回、我々内閣府としてもアクションを取らせていただいておりますけれども、これをまた基にして適切な施策を実行していきたいと考えています。

○紙智子君 県の青少年・子ども家庭課は、貧困率は対策の前提となる数字なんだと、全国の数値は沖縄の実情には合わず、有効な対策を打ち出すためにも県独自に算出する必要があったと言っているんですね。大枠を提示する貧困率と実態を示すアンケートが合わさることで、貧困の現状を実感することができたというふうにおっしゃっているわけです。
 それで、実態調査で具体的な数値が示されて、沖縄県が自治体として子供の貧困問題の解決に真っ先に取り組む姿勢を示したということは、これは大変大きな意味があるのではないかというふうに思うんですけれども、その点も一言いかがでしょうか。

○国務大臣(島尻安伊子君) 沖縄県も動きを取っているということは大変評価をするところでございます。
 なお、やはり我々内閣府としても、沖縄県ときちっとお互いに相乗効果があるようにやっていかなければならないというふうに思っておりまして、いずれにしても、やはり有効な施策が何なのかということ、それから、その前にやはりそういった大事な調査をきちっと分析をして、どこに何を投じなければならないのかということはしっかりと県と国が連携を取ってやるべき課題だろうというふうには思っています。

○紙智子君 かねてから沖縄県は貧困という問題が指摘をされています。子供の貧困を解決するために私どもの日本共産党の議員団の皆さんも努力をしてきたと思うんですね。しかし、全国に比べて一人当たりの県民所得が最少とか、非正規の職員・従業員率、母子世帯の出現率など全国一位とか、貧困率が高い状況があると。
 なぜこういう状況が努力しているわけだけれども続いてきたのかということですよね。それは、やっぱり沖縄戦で県土が荒廃した上、終戦後、米軍の統治下に置かれたと。本土で戦後すぐに施行された児童福祉法は当然このときは適用されなかったということもあります。母子世帯などへの支援は遅れたという指摘もされているわけですね。
 本来は、やはり自治体の役割として住民の福祉の増進を図るということがあるわけですけれども、多くの時間を基地問題に費やしてきたというか、その基地問題の解決に翻弄されてきたということも背景にあるんじゃないかと思うんですけど、いかがですか。

○国務大臣(島尻安伊子君) この背景に関してはもう様々な御意見があるとは認識をしております。ただ、現状として、沖縄特有の事情としては、やはり深刻な状況にもかかわらず行政の支援がなかなか子供とか貧困家庭に行き届いていないということ、それから、日中にとどまらず夜間も子供の居場所がないということが特徴的に示されるのではないかというふうに思っております。
 私も、自身の政治的な活動において、基地か経済かのみならず、やはりそこで抜け落ちてしまった暮らし、やはり県民の福祉、暮らしの部分、そこにきちっと光を当てなければならないというところは当初から持っているところでございまして、その点、沖縄担当大臣として沖縄振興の中に含んでこの沖縄の子供の貧困対策取り組んでいくということは、大変私にとっても重要な仕事だというふうに考えています。

○紙智子君 基地か経済かということを言われて、そしてその行政の手が届いていないということを言われたんだけど、私はやっぱり基地問題が背景にあるというのは本当に大きいと思いますよ。
 それで、子供の貧困問題解決するためにも、今そういう中でいろいろ努力を重ねてきて、全国にも先駆けとなるこの役割をやっぱり認めて応援するということが大事だと、沖縄振興大臣としては重要だというふうに思うわけなんですよね。
 そこでなんですけれども、島尻大臣は、昨年十二月の十五日の記者会見で翁長県知事の姿勢が来年度の沖縄関係予算の確保に影響するかどうかということを問われて、予算確保に全く影響がないというものではないということを言われたんですね。この発言は、やっぱり子供の貧困問題を解決するために応援するじゃなくて、逆に背を向けるようなというふうに思われても仕方がない発言じゃないんでしょうか。

○国務大臣(島尻安伊子君) ずっと私は振興予算と基地問題はリンクしないということはこれまでも一貫して述べさせていただいておりますし、昨年の御指摘の十二月十五日の会見でも明確に申し上げております。
 平成二十八年度予算についても、沖縄担当大臣として麻生財務大臣と大臣折衝を行わせていただく中で、昨年度から十億円程度増額した三千三百五十億円を計上し、沖縄振興を進めていく上で必要な予算をしっかりと確保することができたと認識をしております。
 引き続き、沖縄担当大臣として、沖縄振興を総合的、積極的に進めていきたいと考えています。

○紙智子君 基地問題とリンクしないということは、これずっとそういう立場で来たと思うんですよ。それで、そう言われたとしても、誤解を与える発言をしたというのはちゃんと是正しないといけないというふうに思うんですね。
 やっぱり過去にもこういうことが議論になることはありましたけれども、例えば山口前沖縄北方担当大臣のときにも、沖縄の歴史的、社会的、地理的事情を勘案した特措法に基づいて沖縄振興を図っていると、これは国の責務なんだと、膨大な国家予算あるいは待遇と引換えの米軍基地は論外だということで、リンク論については否定をする発言もされてきましたし、そういう政府の姿勢をきちっと示すということが大事であって、やっぱり誤解されるような発言は今後の問題としては慎んでいただきたいということを、最後、苦言になりましたけれども、一言申し上げて、質問を終わります。