<第189回国会 2015年9月24日 災害対策特別委員会>


関東・東北豪雨災害/速やかな激甚災害指定/災害廃棄物、住宅・医療・収穫米の支援等

○災害対策樹立に関する調査(2015年9月関東・東北豪雨災害等に関する件)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 最初に、台風十八号の豪雨災害により犠牲になられた方に心から御冥福を申し上げると同時に、避難、被害を受けられた全ての皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
 今回の被害は広域に及んでおりまして、宮城県大崎市、それから福島県南会津町などでは堤防が決壊をし、農地が冠水をしました。それから、関東地方では鬼怒川に沿うように南北に積乱雲が停滞をして、栃木、茨城、それから埼玉に猛烈な豪雨をもたらし、各地で大きな被害が発生いたしました。
 私たち日本共産党は、塩川鉄也衆議院議員を本部長として対策本部をつくって、地方議員や党支部の皆さんと一緒に救援活動やあるいは支援活動に全力で取り組んでいるわけです。
 今日は、現地に私も入りましてお聞きした内容を紹介しながら質問したいと思います。
 まず、今回の被害は広域で、しかも甚大な被害が発生したと。八十の河川で堤防が決壊、氾濫をし、停電、断水などライフラインにも大きな被害が出ました。結城市に調査に入ったときに、被災者の方からは、水位が一気に上がって、玄関を開けたら道路はもう既に水浸しになっていたという話を聞きました。常総市では、十日の午前六時過ぎに鬼怒川の若宮戸地区で水が堤防を越える越水が始まって、午後十二時五十分頃に四キロメートル下流にある三坂町の堤防が決壊し、経験したことのない浸水被害が発生しました。あと数分遅れていたら逃げ遅れたという人が何人もおられています。
 安倍総理は、この被災地を訪問をされて、激甚災害指定を速やかに検討したいというふうに述べられています。先ほど来、皆さんも要求されておりますけれども、私も大臣に伺います。改めて確認する意味で、この激甚指定を速やかにすべきではないでしょうか。

○国務大臣(内閣府特命担当大臣(防災) 山谷えり子君) 今般の災害につきまして、激甚災害に速やかに指定できるよう、現在、関係省庁の支援を得ながら、地方公共団体において被害状況の把握に努めているところであります。
 先ほども申しましたように、農地、農業用施設、林道等については、全国を対象とした本激基準に達すると見込まれることから、閣議決定に向けて速やかに所定の手続を進めてまいります。また、公共土木施設等についても、引き続き被害状況の早急な把握に努めてまいります。

○紙智子君 現地では、災害救助法に基づく支援も始まっています。
 それで、さきの連休中に常総市に行ってきました。市長も市の職員も、昼夜問わず懸命にこの被災者の救済あるいは復旧に努力をされていました。必要な対策や求められることというのはすぐ決めるとか即決しなければならないと、そういう局面に遭遇するということで、今の制度はこうだからこうだというふうな、そういう、行って判断する余裕がなくやって対応しているという話でもありました。ですから、現場でやっぱり必要な対策は大いに国で支援するから安心してほしいと、こういうメッセージを出すということも非常に大事だというふうに思うんですね。
 大臣、そういう点で政治的なリーダーシップが求められているんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(内閣府特命担当大臣(防災) 山谷えり子君) 復旧のスピードアップのために、被災者に寄り添いながら、それぞれの状況があると思います、よく聞き取りながら対応を進めてまいりたいと思っております。

○紙智子君 被災者の皆さんに寄り添って、是非イニシアチブを発揮していただいて、各省庁間で連携しながら進めていただきたいと思います。
 常総市で出されている声なんですけれども、情報が被災者や避難者に届いていないというのが出てくるんですね。被災者は誰に相談していいのか分からないということがいっぱいあるというふうに言われていますし、支援に入っているボランティアの方、さっき藤田先生からもお話あって、たくさんボランティアの方が入っているんだけれども、そういう方に出会いますと、段取りが悪い、情報は私たちが伝えているんだ、この状況を何とかしないと、改善しないといけないんじゃないかというふうに言われるんです、ボランティアの方から。で、市の職員の方はどうかというと、職員数が足りないということもあって十分に情報発信できていないということが言われるわけです。
 常総市において、情報発信するために今ニュースを発行を始めるということになったんですけれども、やっぱりそういう届くための支援、情報を発信するための支援を強化することが必要じゃないかということを一つ感じたということ。
 それから、避難所に行ったんですけれども、私が行ったところは、避難された方は初めは三百五十人いたと。今、百五十人程度になっているんだけれども、市の職員が二十四時間体制で常時三名前後で対応しているわけなんですね。安心できる避難場所を確保して維持するということで手いっぱいになっていて、ボランティアの方の協力を得て何とか維持されているという状況なんです。
 それで、被災者の方が自宅の様子を見に行ったり、それから片付けをしに行ったりということで通わなくちゃいけないという状況があるんですけれども、そこの移動手段まで手が回っていない状況があるんですね。それで、親戚や知人に車を出してもらってやっている方もいるんですけれども、それができない人もいると。そうすると、タクシーで一回行って帰ってくるともう何千円というふうに掛かってしまうということがあって、この問題は、高杉市長は、お風呂に行くのに循環バスを今出してきているので、その応用で移動手段も支援できないかなということで言われているんですね。車が水没して使えなくなった避難者もたくさんいます。自宅に帰るためのバスなどへの、循環できるような、そういう支援もすべきではないかということも感じたということがもう一つ。
 もう一つあるんですけれども、加えて、命と健康に関わる医療支援も大切だなというふうに思うんですけれども、DMAT、災害派遣医療チームですか、このDMATが避難所の巡回を行っていて、日本赤十字病院も現地に入って支援に入っていました。しかし、市内にある二つの病院が水没をして、二十四時間診療体制が確保できていないと。
 この中のきぬ医師会病院に行ってきたんですけれども、ここの中川院長は、今、だんだん粉じんによる気管支、呼吸器系の病気が出てきているとか、あるいは作業中のけが、ストレスによる下痢が増えているという話が報告されていました。それで、避難所や自宅にいる避難者が安心して医療が受けられる支援が急がれているんじゃないかと。
 こういうふうに、一つは情報伝達のことと、それから移動手段と、それから医療支援と、ここの充実が非常に大事じゃないかと、求めたいというふうに思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

○政府参考人(内閣府政策統括官 加藤久喜君) 被災された方のいろいろな声があると思いますので、県、それから市町村、それから国が一体となって、そのような声を聞きながら、どのような対策ができるか検討を進めていきたいと思いますけれども、避難所と自宅の間の往復については制度上は支援の対象の適用になっておりませんので、そういうこともあるものですから、どういうことができるのか、しっかりと今後また検討していきたいというふうに思います。

○紙智子君 その一つだけ。

○政府参考人(内閣府政策統括官 加藤久喜君) それ以外のところにつきましては、情報発信とかDMAT、関係の省庁とよく相談をしてこれは検討していきたいと思います。

○紙智子君 大臣、やっぱり被災者が安心できるようにメッセージを出していただきたいというふうに思うんですね。
 それから、高杉市長からは、住宅支援の問題と、それからごみ対策が切実だという話もお聞きしました。
 まず、避難所の支援なんですけれども、現在、県はお住まいについての意向調査ということをやっております。それで、避難者のニーズをつかむというのはもちろん必要なことだというふうに思うんですけれども、入居可能日というのは早くて十月三日以降というふうになっていて、あと十日以上待たなきゃいけないんですね。
 それで、避難生活が長期になってくると、もう疲労がたまってくるということもあります。それで、避難所では感染症が何かはやってきているという報道もあります。二次的な健康被害を防止する上でも、民間の旅館とかホテルとかを借り上げて避難所として活用できることに制度上なっていると思うんですけれども、こういう対応もすべきではないんでしょうか、いかがでしょうか。

○政府参考人(内閣府政策統括官 加藤久喜君) 今委員からも御指摘がございましたけれども、まさに住家の被害状況ですとか被災者の意向の把握ということを努めているというふうに聞いておりまして、県の方からは、まず公営の住宅等について対応するということを私どもとしては聞いておりますので、そのほかに何ができるかということは意向調査を進める中でいろいろ検討していきたいというふうに考えておりますので、よく地元とも調整をして、連携して対応を図ってまいりたいと思います。

○紙智子君 制度として、こういう制度があるということも知らないんですよ、被災者の方は。だから、そういうこともできるということは是非周知をしていただきたいと。よく相談をしていただきたいというふうに思います。
 それから、ごみ問題なんですけれども、ごみの量は推計で二万四千トン、年間のごみ総量の約一・四倍以上になるというふうに言われています。市や県が設けた六か所の仮置場はすぐにいっぱいになってしまって、新たに設置したようです。しかしながら、この運び込まれてくる量に追い付かない状況があると。
 災害廃棄物処理事業で仮設の置場から分別して処理することになっているんですけれども、この分別する余裕もない事態なんですね。何かもう泥といろんなものが一緒になって、それを一々分けている余裕もないということもあると。そうすると産廃に回ってしまうのかなと思うんですけれども、そういう状況がある中では、やっぱり近隣の市町村の協力だけでは対応できない場合は、もうちょっと広域に支援する体制をつくるべきではないかと思います。
 これ、環境省に来ていただいていますけれども、お願いします。

○政府参考人(環境大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長 鎌形浩史君) 今回の豪雨によりまして、常総市においては大量の災害廃棄物が発生してございます。今先生御指摘、二・四万トンという推計出てございますけれども、更にもっと大量なものになるというふうに想定しておりまして、市などとも相談しているところでございます。
 一日も早い復旧のために、これらの廃棄物の処理を速やかに本格化させるということが重要でございますが、常総市では今、市内、あるいは市外も含めてですが、十一か所の仮置場を設置して災害廃棄物の搬入が実施されております。また、一か所を二次仮置場というふうに位置付けまして、そこに搬入して更に処理への道筋というものをつくろうというふうにしてございます。具体的には、二次仮置場に搬入いたしまして一定の分別を行った後、産業廃棄物処理業者に委託をして責任を持ってしっかりと処理していく、そういう体制を取ろうというふうなことを、私ども、国あるいは県、市と相談してやってございます。
 それで、環境省といたしましては、今、環境省の職員と技術専門家を現地に常駐をさせて、仮置場の環境対策の管理方法あるいは民間事業者との連携も含めた処理体制の整備などについて助言、支援を行っているところでございます。処理の見通しを含めまして、災害廃棄物処理の実行計画の策定などについても支援していくというふうに考えてございます。全力で取り組んでまいりたいと思います。

○紙智子君 派遣されているということでございますが、現場の実情にかみ合った形での対応策ということでよろしくお願いしたいと思います。
 それから、農業の被害の問題なんですけれども、これも深刻で、十七県の八百二十八か所ですか、で農地が損壊していると。栃木県では、ハウスは壊れて田んぼに砂、石がたまって水稲と特産のイチゴに甚大な被害が出ているということを、さっきもお話がありました。それから、常総市では鬼怒川などの堤防の決壊、越水で広範囲に被害が発生しました。
 米が四十六町歩、それから麦が三十町歩、大豆三十町歩作っている農家の方からお話を聞いたんですけれども、圃場は、家の屋根だとか、それから冷蔵庫だとか瓦れき、それから川砂がもう六十センチもたまっているという状況があって、もうその下になったものは全滅ということを話されていました。復田するのには、やっぱりそれを、もう簡単に掘り起こせないというか、ガラスも入っていたり、いろんなもの入っていますから、そういうことになるとちょっと業者に頼んでやらなきゃいけないのかなということを考えると、来年すぐというふうにはならない可能性もあると。収入が途絶えて、当面の生活や農機具を償還するめども立たないというふうに言われていました。
 そして、今一番困った問題は、やっぱり先ほども藤田先生の質問ありましたけれども、刈り取って倉庫に保管した米の浸水被害ということがやっぱり目下のところは、本当にこれはもう切実な問題で出されていて、それで農水省にお聞きしたいんですけれども、この共済の対象にならない収穫米の救済を考えるべきじゃないのかと。保険ではできないという話をずっとされているんだけれども、できないけれども、実際上はもう収入ないということになると、そこをどう補うかということを真剣にちょっと考えないといけないんじゃないのかなと。
 だから、従来のそういうことだけでなくて、やっぱり別枠で何か知恵を出して考えて、何とか救済しないといけないんじゃないかということを現場で話を聞きながら痛感してきたんですけれども、そこを是非、ちょっと温かく御返事をいただければと思います。

○大臣政務官(農林水産大臣政務官 佐藤英道君) 紙委員から農協の農業の共済制度についての御指摘がございました。
 確かに、先ほども御答弁をさしていただきましたとおり、この共済は自然災害等による減収を保険の仕組みによって補償する制度でありまして、水稲の補償対象とする期間は、農業災害補償法第百十条によりまして、本田の移植期から収穫をするに至るまでの期間と現在定められているところでございます。
 これは確かに農業共済制度の基本的スキームでございまして、圃場で現地確認した収穫量から策定をすることから、圃場から搬出した収穫後の米については、一点目には、どの圃場から収穫されたものか特定できないこと、二点目に、収穫後の米が倉庫に保管されていた場合であっても、どの程度保管されていたのか特定できないことから、適正な損害評価ができないためでございます。
 このため、今回の豪雨による被害につきましては、刈取り前の水稲の収穫量の減少は補償の対象となりますけれども、今御指摘の刈取り後の圃場から搬出した収穫物に対する被害については補償対象とならない現状となっているところでございます。

○紙智子君 そこで終わるというのは駄目なんですよね。これは多分、恐らく与野党超えて、そこで何か考えなきゃいけないだろうという思いは一致していると思うんですよ。
 それで、去年は米価が暴落して赤字背負っているわけですよ、もう既に。それで、今年は水害災害で収入が絶たれると、来年すぐやれるという保証がないと。そうすると、地域の農業を守っていく上でも、食料を供給する上でも、これ放置すると離農ということにもなりかねない状況だというふうに思うんですよ。
 それで、収穫後に倉庫に保管した米が浸水したというのは、これは農家の責任じゃないわけですよね。鬼怒川の越水があって堤防が決壊した、中には低くてちゃんと修復していないところもあったわけで、そういうことが原因なわけだから、やっぱりこれ営農が続けられる支援の枠組みを考えるべきだというふうに思うんです。これは、ちょっと繰り返しまた同じ答弁されると困るので、そのことは強く要望しておきたいと思います。
 大臣、ちょっと一言、いかがですか。

○国務大臣(内閣府特命担当大臣(防災) 山谷えり子君) 政府といたしましては、発災直後から、地元自治体と連携しながら一丸となって災害応急対策に取り組むとともに、物資の確保、心身のケア、住環境確保等の支援に努めてまいりました。被災者の方々が一日でも早く安心した生活を送ることができるように、時間の経過とともに疲れも大きくなってきていると思います、被災地の声をお聞きし、地元自治体と連携しながら全力で取り組んでまいりたいと考えます。
 また、今、農業共済制度のスキームについて説明がございました。これは、災害が収穫最盛期と重なっているというような、このような状況の中での、農業共済制度のスキームはスキームでありますけれども、様々、どのような声、また現状かということを把握をしながら、いろいろと考えてまいりたいと思います。

○紙智子君 是非よろしくお願いします。
 最後にもう一つだけなんですけれども、きぬ医師会病院と附属する看護学校からも話を聞いたんですね。中川院長は、入院患者さんを十一日の朝から自衛隊と海上保安庁の力を借りて近隣の病院に移送したと。電子カルテが全てダウンしたんですね。病名とか使っている薬とか、最低限の情報は伝えて移したんですけれども、やっぱり、鬼怒川の支流と、小貝川ってもう一つあるんですけど、そこの挟まれているところに位置していて、水が一気にあふれてきて、一階は完全に水没して、CTとかMRIとか電気機器、それから書類が水没して使用できなくなったと。
 浸水で被害を受けたこの機器類などへの支援、これすべきじゃないかと思うんですけれども、厚生労働省、対応ありますよね、これ。

○政府参考人(厚生労働大臣官房審議官 福島靖正君) 医療機器、医療機関の浸水被害の問題でございますけれども、被災した病院の早期の復旧は地元の地域の住民の方の健康を守るために重要であると認識しております。
 厚生労働省といたしましては、医療施設等災害復旧費補助金を通じて必要な支援を、経費の一部を補填することで今後医療機関施設の復旧の支援をしてまいりたいと考えております。まず、施設の対象となるもの等々限りがございますけれども、できる範囲でできるだけのことをしていきたいと考えております。

○紙智子君 時間になりました。
 何としても復活したいというふうに院長先生も言っておられましたし、是非、命に関わる地元の大事な拠点ですから、御支援をお願いして、質問を終わります。