<第189回国会 2015年9月10日 農林水産委員会>


研究機関として本来の役割が果たせなくなる/独立行政法人改革法法案・反対討論

○独立行政法人に係る改革を推進するための農林水産省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)

○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人に係る改革を推進するための農林水産省関係法律の整備に関する法律案について反対討論を行います。
 改正案は、農水関係六法人を統合し二法人にするものです。
 反対する第一の理由は、行政改革を断行すると称して、効率化目標を業務経費でマイナス一%、一般経費でマイナス三%と定め、一層の効率化、合理化を迫れば、業務の縮小や研究環境に影響を与え、研究機関として本来の役割が果たせなくなるからです。
 今回統合対象になる独立行政法人の運営費交付金は、農業関係法人で二〇〇一年度から既に二五%削減され、水産関係法人でも約一六%削減されました。農業大学校や茶原種の生産及び配布業務等は廃止され、研究活動のみならず、施設設備の維持管理等が困難になりつつあります。また、職員数は、農業関係法人で二〇〇一年度から一七・五%も減らされ、水産関係法人においても一四%減らされています。また、正規の研究職員は二十代で五十八名、三十代を含めても二三%にすぎず、任期付研究員が増え、正規から任期付研究員への置き換えが進んでいます。研究機関は、気候や自然条件、地域性を重視した研究を行うことで食料自給率の向上や海洋資源の管理等において重要な役割を果たしています。運営費交付金の削減はやめるべきです。
 次に、改正案は、農林漁業信用基金に金融庁検査を導入するものです。反対する第二の理由は、金融庁検査を導入し過度な検査が行われれば、県の基金協会は信用力を補完することに慎重になり、農林漁業者を支えることが困難になりかねないからです。農林漁業信用基金の使命は、農林漁業者が担保や保証人がなくても民間金融機関から融資が受けられるように信用力を補完することにあります。現在、農林水産業という業態を知っている農林水産省並びに財務省が検査を行っていますが、今の検査のやり方を変える必要はありません。
 独立行政法人は、整理統合や一方的な経費削減目標が押し付けられてきました。こうした独立行政法人の役割の発揮を妨げている仕組みを改めて、職員の雇用を保障するよう求めて、反対討論を終わります。

○委員長(山田俊男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 独立行政法人に係る改革を推進するための農林水産省関係法律の整備に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(山田俊男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。