<第189回国会 2015年8月27日 農林水産委員会>


農協法、農業委員会法等の反対討論

○農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)

○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、農業協同組合法等の一部改正案について反対討論を行います。
 第一の反対理由は、自主自立が基本である協同組合の原則を踏みにじり、官邸主導の改革を押し付けたものだからです。
 農協法の改正案では、非営利規定の削除をしました。また、理事の過半数は認定農業者としましたが、企業も認定農業者になれますから、企業支配が強まる可能性があります。加えて、農協、全農、経済連の株式会社化も認められます。全中監査を廃止し、新たに会計士監査が導入されます。改正案は、協同組合を変質させ、株式会社に近づけるものです。
 国際協同組合同盟、ICA理事会が法改正の方向は明らかに協同組合原則を侵害するものと指摘しているように、自主自立であるべき組合組織に法的に介入することは、協同組合原則をないがしろにすることであり、容認できません。今後、准組合員の利用を規制するといいますが、法律で縛るのではなく、組合の自主性に任せるべきです。
 第二の反対理由は、農地の番人である農業委員会制度を骨抜きにするからです。
 公選制を廃止し、市町村長の任命制に変えれば、恣意的な選任になりかねません。また、目的規定から農民の地位の向上に寄与する、農業、農民に関する意見の公表、建議を削除することは、農業委員会の農民の代表機関としての権限を奪い、農地の流動化のみを行う行政の下請機関に変質させられます。農業委員は、農家の財産や農地の権利を扱います。この改正案では、地域からも信頼される農業委員会にはなりません。
 第三の反対理由は、農地法の一部改正で農地を所有できる法人の要件緩和を進めることは、企業による農業、農地支配を一層進めるものだからです。
 審議を通じ、参考人からは疑問や懸念、不安が多く出され、賛同する意見は出ませんでした。それにもかかわらず、一定時間審議したからといって採決することに強く抗議するとともに、農業組織の解体に道を開く本改正案の採択に強く抗議を表明して、反対討論といたします。

○委員長(山田俊男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(山田俊男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。