<第189回国会 2015年4月7日 農林水産委員会>


都市農業・農地税制の抜本的改善を要求/資源管理、沿岸漁業経営に配慮を/沖縄県辺野古のサンゴ礁の破壊に手をかすな

☆平成二十七年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成二十七年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成二十七年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
☆都市農業振興基本法案に関する件

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日、この後出される予定にもなっていますけれども、都市農業の振興策についてまず議論をしたいと思います。
 日本共産党は、二〇一〇年の五月に、住民の暮らしに欠かせない都市農業を発展させるためにということで都市農業の政策を発表しております。そこでは五つ柱があるんですけれども、一つは都市の農地と農業の維持発展を都市づくりの重要な柱に位置付けるということ、二つ目は農地税制、これを抜本的に改めて、都市農地・緑地の減少を食い止める、三つ目は採算の取れる価格の実現、農地の基盤整備、販路の確保など農業生産を拡大する条件を広げること、四つ目は生産者と消費者、住民の結び付きを強めて地産地消の多面的な発展を図る、五つ目は都市の条件を生かした担い手の確保の対策を強化するなどの提案を行いました。
 現在、都市農業を発展させるに当たって、都市づくりの重要な柱に農業を位置付けるということや農地税制を抜本的に改めるということが非常に重要になっているというふうに思います。そこで、農地に多様なやはり役割がある、都市の中で農地を残すことの重要性や役割が増しているというふうに思うんですけれども、まず農水大臣の御認識をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) 紙委員が今おっしゃっていただいたことは、珍しくというと語弊があるかもしれませんが、全く認識が一致しておるところでございまして、有り難いなと、こういうふうに思うことでございます。
 まさに都市農業は、今おっしゃっていただいたように、新鮮な食料の供給、緑や農業体験の場の提供、防災空間の確保など多様な役割を果たしておりまして、都市農業の振興や都市農地の保全、重要な課題だと認識をしております。
 都市の住民の方を対象とした各種のアンケートにおいても、都市農業、都市農地の保全を望む回答が多数を占めておると、こういう状況でございまして、都市農業を評価する声が高まっているということでございます。戦後間もない頃、ずっと住宅化が進んでいった状況と変わりまして、人口が減少局面に日本全体として入ってきているということもこれありで、やはり緑に囲まれたところで住みたい、こういう自然な姿が現れてきているのではないかと、こういうふうに思っております。
 こうした高齢化、人口減少が進む中で、都市農地を保全して有効に活用していくということは新たな課題でございまして、国土交通省等と連携して都市農業の振興や都市農地の保全に関する施策の在り方についてしっかりと検討を行ってまいりたいと思っております。

○紙智子君 農地の保全と税制の関係についても聞きたいんですけれども、固定資産税や相続税の支払のために農地の売却が進んで都市の緑が失われるという指摘があります。農林水産省の都市農業・都市農地に関するアンケート、今大臣お話しになりましたけれども、転用のきっかけというのがあって、そこには、首都圏では相続税の納付準備の割合が一番高くなっているわけですね。
 以前、この参議院の農水委員会で都内に調査に行ったときにも話になったんですけれども、固定資産税が非常に高い、それから、農地に掛かる税金の負担の重さに耐えかねて、農地を売っていかないと成り立たないということでどんどんどんどん農地が減っているという話が聞かされました。
 固定資産税の農地並み課税にするということや相続税の引下げというのは、これ、農地を保全する上では避けて通れない急がれる課題ではないかと思うんですけれども、この点でも大臣の見解を求めたいと思います。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) この都市農地の保全と税制は、今御指摘があったように密接な関連がありまして、都市農地の保全を図るための方策として税制の在り方を検討することは大変重要な課題だと認識をしております。
 今取り上げていただいたアンケート調査でも、都市農地を転用したきっかけとして、相続税のため若しくは納付準備のためということを挙げられた農業者の方が五四%ということで、一番多いわけでございます。
 都市農地に係る税制ですが、三大都市圏の特定市の市街化区域内では、生産緑地において相続人が営農を継続する場合に限って相続税の納税猶予制度が適用され、それ以外の場合は適用が認められないということなど、様々な課題が農業者の皆さんを中心として指摘をされておるところでございます。
 こういった土地に関する税制の在り方やその前提となっております土地利用規制については、多数の国民の利害に関わりまして、見直しに当たっての課題も多いわけでございますので、都市計画制度等を担当する国土交通省と連携をしながら、幅広い観点から検討してまいりたいと思っております。

○紙智子君 是非、具体的に進むために、やっぱり踏み込んで必要な改善を図るということにしていきたいというふうに私どもも考えております。
 次に、日本海北部系群のスケソウダラについてお聞きします。
 漁獲枠が一万三千トンから七千四百トン、大幅に削減をされます。スケソウダラの資源が減少しているのは承知していますけれども、このTAC、漁獲可能量、これをABC、生物学的許容漁獲量と等量としているわけです。TACイコールABCではないというふうに思いますけれども、日本国内でTACがどのように設定されているのか、ちょっと端的に、余り長くならないように説明をお願いします。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) TAC、いわゆる漁獲可能量でございますが、これは法律に基づきまして、資源の動向を基礎としながら、当該魚種に係る漁業経営その他の事情を勘案して定めるということになっております。
 この場合の資源の動向でございますけれども、今御指摘のあった生物学的許容漁獲量、ABCと申しますが、これを参考にしながら算出することになっております。このABCといいますのは、生物学的にこれだけ捕っても大丈夫だという漁獲量を出すものでございますけれども、目指すべき一定の管理シナリオというものに基づいて算出することにしております。
 今回の北海道のスケトウダラにつきましては、三十年間掛けて資源を最低限の持続性が見込まれる水準にまで持っていく、そういうシナリオの下に作ったABC、これが七千四百トンという数字でございます。これまでABCを上回るTACもありましたけれども、やはり漁業資源を持続的に利用していく、それを確保していくためには生物学的にやはり許される漁獲量にこのTACを合わせていく、こういうことが必要ではないかということで、今後、こういうTACとABCを等量に設定するということにしてまいろうと思っておるところでございます。

○紙智子君 今回の漁獲枠の設定について、沿岸漁業社会の経済上の要因に配慮したのかなというのは、ちょっと疑問が残っております。
 それで、沿岸漁業者は、日本海北部系群のスケソウダラ資源においては自主的な様々な資源管理の取組を進めてきたわけです。一九九〇年度をピークにして資源量が減少して、漁業経営が厳しい状況になっているわけです。水産庁に、なぜこのスケソウダラの資源が減少したのかということを聞きますと、環境の要因であったり、例えば水温が高くなったとか、スケソウダラの産卵場所が変わったとか、そういう可能性などが想定されるけれども、しかし資源の減少要因は定かでないというふうにお聞きしました。なぜ減少したのか、捕り過ぎなのか、それとも環境要因なのか、きちんとというかしっかり説明していくというのも大事だと思うんですね。今回、漁獲枠を減らすことから、水産庁として漁業構造改革総合対策事業、それから魚種転換などの支援事業などを準備しているわけです。
 しかし、養殖への転換も実績があるわけではなくて、かなりこれリスクも伴うんじゃないかと。事業を活用しても、補助率に上限がありますよね。そういうのもあって、新たなリスク、借金が漁業経営にのしかかることにならないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) 先ほど申し上げたように、このABCにつきましても、私どもいろいろなシナリオを御提言申し上げて、漁業者の方と意見交換をしてまいりました。例えば、十年で回復する、二十年で回復する、三十年で回復する、あるいは僅かでも親魚量を増大させる、いろんなストーリー、シナリオで検討させていただいた結果、漁業者の方とも意見交換をして三十年で持っていくというところで、七千四百トンというのを設定をしたということでございます。それから、御指摘のように、こういう漁獲枠が減ってしまうということになれば、やはり沿岸の零細な漁業者の方に影響を与えるということがございます。
 それからもう一つは、北海道の日本海側におきましては、非常に漁業面で困難な状況が続いておるといったような、他の地域と比べても困難な状況が続いておるというようなことがございまして、私も昨年夏には、北海道日本海側を訪れていろいろ意見交換を行いました。その結果、北海道におきましては、日本海の漁業振興基本方針というものを道庁で定められまして、いろいろな取組をなさろうとしておられます。それを受けて、漁業者の方々も、先ほど御指摘のあった漁業構造改革総合対策事業の地域協議会を立ち上げて、これによって養殖への転換でありますとか魚種の転換、こういったことを進められようとしております。
 私ども、そういう動き、意見交換を踏まえて、今回、もうかる漁業の中で三十五億円を新たに補正予算で確保いたしまして、まさに御懸念の点を含めて、漁業者のそういう努力を応援をしていきたい、支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。

○紙智子君 しけが非常に日本海側というのは激しいわけなんですけど、例えば養殖に転換しようというふうに思っても簡単ではないと。新たなリスクもしょうということでは、やっぱり沿岸部の漁業者というのは非常に不安を持っていて、そのことは是非、ちゃんと受け止めながらやっていただきたいと思うんです。
 加えてお聞きしたいのは、東日本大震災のときに私も痛感したんですけれども、地域経済を支えるためには漁業とそれから水産業、加工、流通ですね、これ一体に支援することが大事なわけです。この水産加工業などへの支援というのはあるんでしょうか。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) 水産加工業への今回のスケトウダラの枠の削減の影響についてでございますが、国内生産量はスケトウダラは大体二十三万トンでございます。そのうち、平成二十五年でありますと五万六千トン、六万トン弱が輸出に向けられておりますので、残り十七万トン強、これが国内の生産量がほぼ加工に、すり身として加工に向かっているというふうに考えております。
 今回のTACの削減量は、先ほど先生がおっしゃった一万三千トンから七千四百トンでございますので五千六百トンの減少でございますけれども、実績は二十五年度でありますと大体九千九百トンぐらいでございますので、実際は二千五百トンぐらいの水揚げ高の減少というふうになります。
 先ほど申し上げた十七万トンの国内加工原料の中で二千五百トンの減少ということでございますので、これ以外にも、すり身原料としては輸入物も相当ございますので、そういう意味で、直ちに加工原材料としてのスケトウダラの供給が不足する状況にはないと私ども認識しております。
 ただ、一方で、日本海側に立地する加工業におきましては局地的に原材料が不足すると、こういったような事態も想定されますので、今後よく状況を見ながら、加工業者の方が輸入を含む他の冷凍すり身に転換される、あるいはすり身以外の製品の転換を行って新しい商品を作られる、こういったようなニーズもきちんとつかんだ上で、加工場の建設、機械の導入などに必要な資金の融資もございますので、そういうものを含めて御助言申し上げてまいりたいと考えておるところでございます。

○紙智子君 関係者の皆さんからも話を聞くんですけれども、政府は地方創生ということも言っているんですけれども、やっぱり漁業が続けられるかどうかというのはすごく大事な、特に沿岸部は支えている人たちなわけで、不安もあるわけです。
 ABCイコールTACだというふうな議論もあるんだけど、これはちょっと乱暴じゃないかというふうに思います。沿岸漁業者の経営上、経済上のやっぱりニーズに合った支援を求めておきたいと思うので、最後、この問題についての大臣の一言、お願いします。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) このスケトウダラ日本海北部系群のTAC削減は長期に低迷する資源を回復させるために行うものでございまして、中長期的にも漁業者のためにということであろうかと、こういうふうに思っておりますが、一方で、今委員がお話しなさったように、沿岸漁業者にやはり影響が出る可能性があると、こういうことでございますので、二十六年度補正で措置しました三十五億円、これは漁業構造改革総合対策事業ということでございますが、こういうものを活用しまして、例えば養殖業へ転換するですとか、未利用資源の積極的な活用をするですとか、付加価値向上などの取組をしていただくですとか、こういったことでしっかりと支援をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
 また、加工業者については今長官から答弁したとおりでございますが、さらに、現地の実態、つぶさによく精査しながら適切に対応してまいりたいと、こういうふうに思っております。

○紙智子君 是非よろしくお願いします。
 次に、水産資源保護法についてお聞きします。
 水産資源保護法に基づいて県は漁業調整規則を定めることになっているんですけれども、これはなぜでしょうか。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) 水産資源保護法に基づく具体的な規制につきましては、やはり都道府県ごとに異なる漁業とか水産資源の状況に応じて行う必要がございますし、それから状況の変化に応じて弾力的に対応していくことも必要であるということから、都道府県の漁業調整規則に委任をしております。しかしながら、こうした規制につきましては、都道府県の区域とは無関係に広く生息、回遊する水産資源を対象にしているものでありますので、法定受託事務に位置付けまして、国による全国的、広域的な視野に立った調整を行うことによってその適正な処理を確保しているところであります。
 こういうことから、都道府県漁業調整規則につきましてはそれぞれの県で定めていただいているわけでありますが、農林水産大臣の認可を受けなければならないというような仕組みにしておりますし、解釈を示したり、あるいは都道府県漁業調整規則の例を示したりすることによりましてこの法定受託事務の適正な運用を確保している、そのような状況でございます。

○紙智子君 水産資源保護法の目的については、これ、水産資源の保護培養を図ると、かつ、その効果を将来にわたって維持することで漁業の発展に寄与するということですよね。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) その条文のとおりでございます。

○紙智子君 それで、これから聞こうとするところまで含めて答えてくれたものですからあれなんですけれども、今、漁業調整規則というのは法定受託事務だというふうにおっしゃいましたけれども、それはなぜですか。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) 先ほど一つの事例を申し上げましたが、例えば複数の都道府県の領域をまたがって漁業が営まれているというような実態、それから都道府県の領域を越えて水産動植物は移動するという実態、それからさらには水面における都道府県の境界が必ずしも画定していない場合があるといったようなことから、これを法定受託事務というふうに位置付けまして、これに対しましては、全国的、広域的な視野に立った調整を国が行うことによってその適正な処理を確保する、このようなことで法定受託事務にしているところでございます。

○紙智子君 それで、県のこの漁業調整規則というのは農林水産相の許可を受けるわけですよね。つまり、農水省としては県の漁業調整規則にお墨付きを与えるということになるわけですけれども、県の漁業調整規則の運用というのは、運用は県の裁量、自主性に任されるんでしょうか。それから、知事が替わった場合、新しい知事の運用になるということでよろしいんでしょうか。

○政府参考人(水産庁長官 本川一善君) 水産資源法に基づくこの都道府県知事が規則を定める事務というものは、まさに御指摘のあるように法定受託事務でございます。その規則を定めるに当たっては農林水産大臣の認可を受けなければならないということにされておりまして、仮に知事が漁業調整規則に基づき事務を処理するに当たっては、この法律を所管する農林水産省が示す通知文とか解釈の範囲内で行っていただくことが必要であると考えております。
 また、行政機関が行う処分の手続につきましては公正の確保と透明性の向上というものが重要でありまして、漁業調整規則に基づく処分などの具体的な運用についても、仮に知事が替わったとしても、処分を受ける事業者間で公平性が確保されるようにしていく必要があるというふうに考えております。

○紙智子君 運用は県がやると、運用するということですよね。
 そこで、沖縄辺野古についてお聞きします。
 沖縄防衛局は、新基地建設に必要な工事が可能なのは、昨年八月に仲井眞前知事が県漁業調整規則に基づいて出した岩礁破砕許可によるものだというふうに言っているわけです。しかし、翁長知事は、コンクリートブロックの投下は許可区域外で行われていて、許可なしに岩礁破砕が行われている蓋然性が高いというふうに言っているわけです。
 漁業調整規則の運用は県知事が行うと。国には本来、水産資源の保護義務があるわけですけれども、同じ国の機関である防衛省が、許可を受けている、ここは許可を受けているという主張をして、そう言って県の運用を認めないというのはこれ無理があるんじゃないかと思うんですけれども、これ大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) 水産資源保護法第四条に基づく都道府県漁業調整規則に関する事務は、今長官から答弁いたしましたように法定受託事務でありますことから、これも答弁したとおり、運用に際しては農林水産省が示す通知文や解釈の範囲で行われる必要があるということでございます。このため、各都道府県から具体的な照会があった場合は、これまでも適切に助言を行ってきたところでございます。
 今お尋ねの本件につきましては、既に行政不服審査法に基づく審査請求が行われておりまして、公平中立の立場にある審査庁としては本件に対する具体的なコメントは差し控えたいと、こういうふうに思っております。

○紙智子君 沖縄防衛局は、知事が替わっても許可は受けているというふうに強弁しているわけですよね。普天間飛行場の継続的な使用とこれに伴う危険性を除去する唯一の解決策だという理由を言って、新基地建設を強行しているわけです。
 しかしながら、昨年の知事選挙を始めとして一連の選挙で、米軍基地新基地建設の中止というのはオール沖縄の民意であることが明らかになりました。
 戦後、沖縄では銃剣とブルドーザーで米軍基地が造られて、沖縄県民が自ら米軍に基地を提供したことはないと。だから、普天間の危険性を除去することは当然なんだけれども、辺野古に新基地を造ることが唯一の解決策だということでは納得をしていないわけですね。漁業調整規則をめぐって見解の違いがあれば、これちゃんと話し合うことが必要なのに、話し合うどころか一方的に自らの主張を押し付けていくと。
 翁長知事は、菅官房長官と先日お会いして会談をした中で、そのやり取りの中で上から目線だということもおっしゃいました。地方の民意を無視するやり方というのはやっぱりやめるべきだというふうに思うわけです。
 そして、農林水産省は水産資源保護法を所管する官庁なわけです。水産資源の保護培養を図って、将来にわたって維持し、漁業の発展を図るということが農林水産省の役割であって、サンゴ礁の破壊に手を貸すのではなくて、本来、工事を止めるべきではないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) これは、先ほど申し上げたとおり、沖縄の防衛局から申立てがあって、今行政不服審査法に基づいて審査請求を行っております。審査請求については、県の方に、弁明書だったと思いますが、これを出していただくようにお願いをして、この到着を待っておるところでございますので、具体的な案件について、今審査庁としてはコメントは差し控えたいと思っております。

○紙智子君 農水省の立場ということをさっきも言いました。やっぱり、サンゴだとか漁業の資源を守らなきゃいけないという立場で考えたときに、防衛省は違う理由で不服審査ということでやっているんだけれども、この防衛省の不服審査ということですけれども、行政不服審査法に書いてある中身というのは、行政庁の違法又は不当な処分に対し、ちょっと省略しますけれども、国民に対して広く行政庁に対する不服申立ての道を開きと、国民の権利利益の救済を図るというものでありまして、国民の権利を守るための法律なわけですよね。そういう法律を、強い権力を持つ国が地方自治体を訴えるというのは、これは法律の悪用と言わざるを得ないというふうに思うんです。
 国は、県としっかり話し合ってやるべきだと。もう何か手続に入ってしまっているという状況なわけですけれども、本来、そうじゃなくて、もっと事前によくやっぱり話合いをしなきゃいけないはずじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょう。

○国務大臣(農林水産大臣 林芳正君) 審査請求については先ほど申し上げたとおりでございますが、一般論として、この件にかかわらず、いろんなことについて話合いをするということは大変大事なことだと、こういうふうに思っておりまして、そういう観点から官房長官が知事とお会いになって話合いをされたということは大変に良かったことであると私も認識をしております。
 なお、沖縄防衛局が国の機関であるので申立ての適格がないんではないかということが、この執行停止をするに当たっての沖縄県からの弁明書にもそういう主張がございましたが、一方で、沖縄県の漁業調整規則三十九条に、岩礁破砕を行うに当たって必要な許可について、国が事業者であっても特に国を除外しておらず、国は許可が必要と、こういうふうになっておりますので、したがって、国が事業者である場合も沖縄県知事の許可が必要であるということでございますから、この点において私人が事業者である場合と変わらないということで、沖縄防衛局にも申立人としての適格が認められると、こういう判断をしたところでございます。

○紙智子君 私も何回も法務省、総務省ともやり取りしましたけれども、法律上はそうだというふうに、私人になれるんだと、国もという言い方をするけれども、しかし、やっぱり事の経過をずっと見ていったときに、都合のいいところで私人になって、もう、権力のある国が個人と一緒というか、一業者としてそういう形でやるということ自体が非常にアンフェアというふうに言わざるを得ないということで、引き続きこの問題、話をよくするということは大事だということを言われましたけれども、まだ総理も会いに行っていませんし、以前は、橋本龍太郎総理のときは何度も現地に足を運んでよく話し合ったということも言われているわけで、今まで安倍総理は一度として沖縄に行って話もしていないということもあるわけですから、そういうことも含めて変えていただきたいということを最後に申し上げまして、質問とさせていただきます。

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○委員長(山田俊男君) 次に、都市農業振興基本法案に関する件を議題といたします。
 本件につきましては、理事会において協議いたしました結果、お手元に配付しておりますとおり、草案がまとまりました。
 この際、都市農業振興基本法案の草案の趣旨及び主な内容について御説明申し上げます。
 我が国の都市農業は、大消費地に新鮮な農産物を供給する機能に加え、防災、良好な景観の形成及び国土、環境の保全、農作業体験及び学習の場の提供等、多様な機能を有しており、これを営む者等の努力により継続されてまいりました。
 都市農業については、都市計画制度の導入以降、市街化区域が優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とされていることもあって、税制措置等を通じ農地の宅地化が進んできました。しかしながら、近年では、宅地化の圧力が低下するとともに、都市農業に対する住民の意識も大きく変化しており、都市農業の機能に対する評価が高まっております。また、東日本大震災を経て、防災の観点から都市農地を保全すべきとの声も広がっております。
 このように都市農業をめぐる情勢が大きく変化している中、都市農業の意義、役割を改めて見直し、適切な振興方策を確立することが喫緊の課題となっております。
 本法律案は、都市農業の安定的な継続を図るとともに、都市農業の有する機能の適切かつ十分な発揮を通じて良好な都市環境の形成に資するため、都市農業の振興に関し、基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定めること等により、都市農業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、基本理念として、都市農業の有する機能の適切かつ十分な発揮とこれによる都市の農地の有効な活用及び適正な保全が図られるべきこと、人口減少の状況等を踏まえた良好な市街地形成における農との共存が図られるべきこと、また、都市住民を始めとする国民の都市農業の有する機能等についての理解の下に施策が推進されるべきことを定めることとしております。
 第二に、都市農業の振興に関する国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、都市農業を営む者等の努力並びに関係者相互の連携及び協力について定めることとしております。
 第三に、政府は、都市農業の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、都市農業振興基本計画を定めなければならないこととしております。また、地方公共団体は、都市農業振興基本計画を基本として、当該地方公共団体における都市農業の振興に関する計画を定めるよう努めなければならないこととしております。
 第四に、基本的施策として、国及び地方公共団体は、都市農業の農産物を供給する機能の向上並びに都市農業の担い手の育成及び確保を図るために必要な施策、的確な土地利用に関する計画の策定等のための施策、都市農業のための利用が継続される土地に関する必要な税制上の措置等を講ずるものとすることとしております。
 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。
 以上がこの法律案の草案の趣旨及び主な内容であります。
 それでは、本草案を都市農業振興基本法案として本委員会から提出することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(山田俊男君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、本会議における趣旨説明の内容につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(山田俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。